こいごころ
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#322 [向日葵]
それだけ言うと、茉里は逃げるように宗助から離れた。

茉里の姿が見えなくなるまで、宗助はそこにたたずんでいた。

宗助には分かっていた。
素っ気ない態度の理由も、強い喧嘩腰の口調の理由も。

父親のことで傷ついた茉里。

彼女はその痛みを表には出さなかった。
しかしそれは耐えていたのだとあとから分かった。

彼女のそういった態度は、心の深いところで傷ついてる証拠なのだ。

胸が軋む。

⏰:09/08/14 03:26 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#323 [向日葵]
それだけ自分は彼女を傷つけたということだ。

傷つけたくない、利用なんかしていない。
そう言っても、最終的にはそういう結果になってしまったのかもしれない。

でも加賀。
昼間のゴメンは、一体なんの謝罪……?

――――――――…………

見事な晴れ具合。
そして腫れ具合……。

鏡を見て驚いた。

目が、いつもの1.5倍……。

昨日、帰ってきてからほぼ部屋で泣いていた。

⏰:09/08/14 03:27 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#324 [向日葵]
そしていつの間にか寝てしまって、起きたらこれだ。

某ドラマの人物ではないが「なんじゃこりゃ」と言わずにはいられない事になっていた。

そしてこの嫌味な程の快晴ぶり。寒い体を温めてくれる太陽すらうっとおしく感じる。

しかも今日、出がけに母が言った。

[お父さんが今日ディナー行こうって。茉里は?]

行くわけがない。

「試合なのに無理に決まってるでしょ。2人で行ってきなよ。外で食べるし」

って、んなわけない。

⏰:09/08/14 03:27 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#325 [向日葵]
何が悲しくてクリスマスを祝うカップルで溢れかえっている街にご飯を、しかも1人で食べなきゃならんか。

家でも1人、自分は1人か……。

苦笑しながら、集合時間に間に合うように行った。

駅周辺は自分たちと同じように防具を持った人がちらほらいた。
そして待っていれば、だんだんと皆が集まる。

宗助も、やってきた。

でも茉里は気づかないフリをした。
目を合わせば、自分がどんな顔をしているか容易に想像出来る。

フと、鞄の中を見る。

⏰:09/08/14 03:27 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#326 [向日葵]
そこに、小さな袋が入っていた。

中身は、宗助の面紐だ。

前にもらったものを、小さく切って、リボンのように結んで、袋にお守りのようにいれた。

宗助だけでなく、皆の必勝祈願の意味も込めて……。

でも誰を1番応援したいかなんて、もう分かっていた。
でも、応援出来るだろうか。

応援してほしいのは、いつだって……。

「茉里ちゃん?」

綾香の声に、茉里がハッと我に返る。

⏰:09/08/14 03:28 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#327 [向日葵]
「あ、ごめん」

会場近くまで行くバスに乗り込む。
バスで10分ほどだ。
着けば他校の人たちもいて、茉里たちは挨拶する。

その中に、見慣れた人物がいた。

「おはよう、加賀さん」

「沢口くん……」

夏祭り以来、口をきくのは久々だ。
地区大会もあったりしたが、姿を見ても喋ることはなかった。

⏰:09/09/13 17:39 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#328 [向日葵]
「おはよう」

「寒いね、山奥だから余計に」

無邪気に微笑まれれば、罪悪感が胸をよぎった。
そんな茉里に気づいた沢口は、少し困ったように笑う。

「フラれたくせに、喋りかけるのは、迷惑だったかな?」

「ち、違うの!普通に喋ってくれて、すごく嬉しいから」

そういえば、沢口はまたいつもの微笑みにもどり、茉里はホッとした。

「先生がいた。行くぞ」

⏰:09/09/13 17:39 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#329 [向日葵]
宗助が皆に言った。
タイミング的に、沢口との会話を遮ったような気がしたが、自分の良いように考えすぎだと頭を切り替える。

沢口に「また」と言って、茉里はその場を後にした。
茉里の背中を見ていた沢口は、視線を感じたのでその方を見る。

その視線の先には、宗助がいた。

沢口をじっと見つめる。
確か茉里は彼の事が好きだったはずだ。

彼も、彼女が?と首をひねるが、なんだか違う気がする。

⏰:09/09/13 17:40 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#330 [向日葵]
恋人同士にしては、2人に距離を感じた。

そして茉里も、夏休みに、彼女に会いに行ったときのような雰囲気をまとっていた。

つまり、恋人がいるから、幸せという感じではない。

あの2人は、一体どういう関係なんだ?

沢口はそう思いながら、会場へと入っていった。

―――――――――…………

試合が始まれば、応援にスコアの記録に、水分の用意。
マネージャーとしての仕事に、茉里は忙しく動いていた。

⏰:09/09/13 17:40 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#331 [向日葵]
何人かは負けてしまったが、綾香と宗助、そして男子副キャプテンは残っている。
そして沢口も。

決勝までいけば、宗助と沢口はあたることになる。
「私たちの勘違いだったんだね」

試合待ちをしている綾香が言った。

茉里は綾香のたすきを赤から白に変えている途中で、綾香の言葉に首をひねる。

「なにが?」

「先に帰るね」

「笹部くんと付き合ってると思ったら、沢口さんと付き合ってたんだ」

茉里は口を閉ざす。

⏰:09/09/13 17:41 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


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