こいごころ
最新 最初 全 
#101 [向日葵]
いらない言葉まで、吐き出してしまいそうだったから。
「茉里ちゃん、どうかした?」
バスに乗ったとき、千早先輩が声をかけてくれた。
優しい先輩。
好きな先輩。
尊敬できる先輩。
今日で、最後なのに……。
どうしてこんな醜い気持ちでいっぱいにならなきゃいけないの……?
「なにもないですよ。なーに言ってんですか!」
宗助の視線を感じた気がした。
でも見なかった。
:09/05/07 23:58
:SO906i
:☆☆☆
#102 [向日葵]
宗助が自分を心配しているはずなんてない。
変質者の時、助けてくれたからって、思い上がっちゃいけない。
あれ……?
でも、あの時なんで宗助いたんだろう……。
いいや。
なんだか、今は考えるのが面倒くさい。
茉里は席に着くと、顔を背けて目を瞑った。
次に目が覚めたとき、気持ちの入れ換えがちゃんと出来ている事を祈って。
:09/05/07 23:58
:SO906i
:☆☆☆
#103 [向日葵]
――――――――…………
「茉里ちゃん、起きて」
綾香に起こされた茉里は、寝たりないとばかりに目をこする。
どれくらい寝たのかと、携帯を見れば、まだ15分くらいしか寝ていなかった。
「なに?」
「高速に乗ったから、そろそろ先輩に最後の言葉おくろうよ」
引退の時の決まりごと。
先輩方にお疲れ様の意味を込めた贈り物と手紙。
それを今から渡そうと言ってるのだ。
:09/05/07 23:59
:SO906i
:☆☆☆
#104 [向日葵]
「じゃあ、次期キャプテン候補の宗助に言ったら?」
「茉里ちゃんメールで呼び出してくれない?ここで呼んじゃったらバレちゃうし、私メアドしらないの」
仕方ないから、茉里はメールを作成。
素っ気ない文章で呼び出す。
《ちょっと来て》
ただそれだけ。
少しして、宗助が返信してきた。
《なんで?》
《いいから来て》
:09/05/07 23:59
:SO906i
:☆☆☆
#105 [向日葵]
また返す。
するとしぶしぶといった感じで、宗助がやって来た。
「……なに?」
「用事があるのは綾香。私じゃないから」
可愛くない態度。
茉里は自分でも思った。
たった15分の睡眠は気分をいれかえちゃくれなかった。
そっぽを向いて、窓の外の景色を眺める。
それでも聞き耳を立てる。
段取りはこうだった。
:09/05/07 23:59
:SO906i
:☆☆☆
#106 [向日葵]
・先輩方を後ろの席に集める。
・1、2年の順番に先輩に手紙などを渡す。
・渡し終えたところで、全員で「3年間お疲れ様でした」と言うらしい。
「よし、じゃあ私が言うよ。先輩方ー!ちょっと聞いてくださーい」
綾香が説明をしている間、宗助がこちらを向いた。
窓ガラスでそれが見え、茉里はドキリとして、必死に窓の外を見た。
「加賀、酔ったのか?」
「……私、酔った事ないから気にしないで」
茉里は宗助を振り切るように、1年生にさっき2人が話していた事を説明する。
:09/05/08 00:00
:SO906i
:☆☆☆
#107 [向日葵]
今は、素直に宗助と話せない。
勝手だけれど、宗助を傷つける発言をするよりはきっといいに違いない。
誰も悪くない。
悪いのは、“仮彼女”の枠を窮屈と考えてしまう茉里自身だ。
馬鹿みたいだ。
自分で自分の首を絞めてるだなんて。
準備が整った。
先輩方に手紙などを渡す。
茉里が渡すのは、皮肉にも千早先輩だった。
「お疲れ様でした……」
:09/05/08 00:00
:SO906i
:☆☆☆
#108 [向日葵]
「茉里ちゃんも、いつもマネージャーとしてありがとう。茉里ちゃんが作ってくれるお茶、いつもおいしかったよ」
無邪気に笑いかけられれば、泣きたくなった。
ああ……宗助の好きな人とか、今は関係ない……。
私は、この人と2年間、一緒に過ごせて良かった。
先輩たちに席を譲った為、茉里たちの席もバラバラになった。
茉里は隣に宗助がきてびっくりした。
:09/05/09 00:04
:SO906i
:☆☆☆
#109 [向日葵]
無意識なのか、ただここが空いていたからか。
笠井キャプテンが、茉里たちに向けて言葉を贈る。
「2年生とは約2年間、1年生とはほんの少しの時間だったけど、とても楽しかったです。仲間は、一緒の目標に向かって進む為に大切な存在です。来年、皆で一致団結して、頑張って下さい。ありがとうございました」
バス内が、拍手でいっぱいになる。
皆して、涙を流す。
宗助を見ると、目元が光っていたけれど、それが涙なのかは分からなかった。
:09/05/09 00:04
:SO906i
:☆☆☆
#110 [向日葵]
この部活に入れて、心から嬉しいと思えた。
―――――――…………
1つの小さな行事を終え、移動するのが面倒くさいと皆言ったので、その場の席で着くまで過ごす事になった。
ほとんどが、泣き疲れたりで睡眠タイムに入った。
しかしこんな時に限って眠気が来ない。
茉里は困っていた。
さっき寝るんじゃなかった……。
しかも隣はあのままだから宗助なのだ。
宗助も、寝ずに起きている。
:09/05/09 00:05
:SO906i
:☆☆☆
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194