こいごころ
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#406 [向日葵]
そりゃ言うことだって考えてたけど、毎度こうして自分の為に時間を割いてもらうのは悪いと思ったから。
ときどき付き合ってもらうだけで、茉里は満足なのだ。

「あー、宗兄悪いんだあ。女の子は大事にしなきゃ駄目なんだよーう」

細い手に、3つの缶を精一杯持って、華名が帰ってきた。

ばつが悪そうな顔をする宗助は、茉里から数歩、後ずさる。
その間に華名が入り、茉里の前に立つ。
そして缶を1つ差し出す。

⏰:10/01/01 02:21 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#407 [向日葵]
それが視界に入った茉里は、顔を上げ、華名を見る。

初めて会ったというのに、華名はとても人懐っこい笑みを向けてくれるので、茉里はなんだかホッとして、思わずつられて笑う。

「お姉さん、お名前はあ?」

まるで子供のように訊くので、クスリと笑う。

「加賀 茉里だよ」

「華名は、笹部 華名っていいまーす。13歳ですう」

と言うと、サッとバドミントンの羽を出す。

⏰:10/01/01 02:21 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#408 [向日葵]
「茉里ちゃんは、バドミントン好きですかあ?」

「うん。中学生のときやってたからね。それなりに出来るよ」

「じゃあ、やりましょー」

引っ張られて、茉里はさっきまで宗助たちがいた芝生まで連れてこられた。

「ゆるしてあげてくださいねえ」

突然そう言われたから、茉里は華名の方を見る。
垂れ目がちの目が、気遣うように潤む。

「宗兄心配性だから、茉里ちゃんが気にになってしまってるんですう。気持ちの表し方が下手で、あれで、すごくすごくすごーく、茉里ちゃんを大事に思ってるんですう」

⏰:10/01/01 02:22 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#409 [向日葵]
そう言われて、ちらりと宗助を見る。
離れたところで、じっと茉里たちを見つめている。

うん、ちゃんと分かってるよ。
そんな宗助だから、あまり心配かけたくなかったんだよ。

「ありがとう華名ちゃん。大丈夫だよ。ちょっとびっくりしちゃっただけだから」

安心したように微笑まれると、似てるなあと思った。
そうやって、誰かの心配しちゃうのは。

しばらくバドミントンを楽しみ、時計の針がもうすぐ11時を指す頃、休憩するため、芝生の上に座ると、華名が言った。

⏰:10/01/01 02:22 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#410 [向日葵]
「茉里ちゃん、華名のお友達になってくれませんかあ?」

「え、私でいいの?もちろんオッケーだよ!」

膝を抱えて座っていた華名は、ギュッと膝を胸に寄せた。

「皆、華名の喋り方が嫌だって、離れていっちゃうんですう……」

眉も目も下がってしまった華名は、本当に悲しそうだった。

人は本当に身勝手で、嫌だと思った相手とは、口をききたいとも思わない。

⏰:10/01/01 02:22 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#411 [向日葵]
私みたいに。

でも華名と茉里の父とはまた訳が違う。
華名はこんなにもいい子だ。

それに比べて……。
と茉里はついイラッとしてしまう。

あんな最低な奴に、何故どんどんと女が寄ってくるのかが分からない。

こういういい子にこそ、人は寄るべきだと思う。

「私は、華名ちゃんの喋り方好きだよ。なんだかホッとするし、和むっていうかさ」

⏰:10/01/01 02:23 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#412 [向日葵]
照れたように、けれど嬉しそうに笑う華名は、ぴたりと茉里に寄り添う。
懐いてくれたみたいだと思えば、1人っ子で兄弟がいない茉里は、妹みたいだと華名が可愛くて仕方なくなった。

「お取り込み中悪いんだが……」

後ろから宗助が茉里たちを見下ろしていた。

「本当にタイミング悪いよ、宗兄い」

「だから謝ってんだろ。ところで腹が減った。どこか食べに行こう」

⏰:10/01/01 02:23 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#413 [向日葵]
「えー、まだ茉里ちゃんとお話したいー」

茉里の腕をギュッと組みながら、宗助を見る。

「朝から付き合わされた身になってくれ。お前は早くに起きたかもしれないけど、俺はお前から叩き起こされて、朝飯を食わせてもらえないままここまで来たんだぞ」

「わかったよう。でも華名はあ、お昼から他の用事があるから、とりあえず家に帰ります」

⏰:10/01/01 02:24 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#414 [向日葵]
なんじゃそりゃ、と宗助はカクンとこける真似をする。
マイペースすぎるほどマイペースな華名に、茉里は笑ってしまう。
「あ、華名ちゃん、携帯持ってる?」

「持ってますよー」

だした携帯は、華名の雰囲気には似合わない黒い携帯だったので、一瞬ポカンとしてしまった。

赤外線でメールアドレスを交換した華名は、満足といった風に微笑み、スキップするみたいに駅へと向かって行った。

⏰:10/01/07 15:15 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#415 [向日葵]
そして隣に宗助が残っていたので、アレ?と思う。

「なんで……」

しかし茉里はすぐに口を紡ぐ。
また怒鳴られないかと目をすがめる。

宗助が残る理由はただ1つ。
茉里が心配だからだ。

そんな茉里を見て、宗助はため息をつくが、そのため息とは別のことを話し始めた。

「中学で、バドミントン部ってあったんだ?」

「え……あ、ううん。放課後とかよく友達と学校の借りて遊んでたの」

⏰:10/01/07 15:15 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


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