こいごころ
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#451 [向日葵]
なんだかホッとしたような、でも来てほしくなかったような、よくわからない気持ちが、胸の中をいっぱいにする。
「あー、ごめんごめん。続きやろっか」
「いい。やっと途切れて一段落したし、今から夕飯の買い出しに行く。加賀、付き合え」
呼ばれて、ぼんやりしていた茉里は、宗助のほうを「え?」といったふうに見る。
「だったらあたしも……」
栞も当然のように立って、一緒に行こうとしたが、宗助に止められた。
:10/03/01 03:34
:SH05A3
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#452 [向日葵]
「おまえはいらん物まで買うからいい」
「買わないから!」
「いい。そんなに大人数でも邪魔なだけだ。」
そう言われて、栞はしゅんと肩を落とす。
「でもあたし……力あるし……」
「俺のほうが、お前よりずっとある」
それで話をきるようにして、まだ座り込んだままの茉里を引っ張り立たすと、上着と財布を持って、そのまま出ていった。
いつも手を繋ぐが、今はなんだか素直に繋げなかった。
:10/03/01 03:34
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#453 [向日葵]
それに気がついた宗助は、少し後ろにいる茉里を振り返る。
「どうした?」
「え?あ、……ううん、なんでも」
拗ねているように、自分が唇を突き出しているのがよくわかった。
宗助はなにも悪くないのに、2人っきりになった途端に、胸の中がぐちゃぐちゃになりだした。
「栞がなにかしたか?」
「なにも……」
:10/03/01 03:35
:SH05A3
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#454 [向日葵]
言ってから、いつの間にか食いしばっていた歯が緩み、唇がわなわなと震え出した。
心配したように、宗助が茉里を覗き込む。
「なんで……泣く?」
宗助の手が、頬に優しく触れる。触れられれば、余計に涙が流れ出す。
いやだ。
こんな自分、宗助に嫌がられる。
宗助の過去を聞いても、その場にいなかった。
出会ってすらいない。
そんな自分は、あきらかに蚊帳の外で、せつなくて、はがゆい。
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#455 [向日葵]
でも1番嫌なのは、宗助の過去すら自分のものにしたがる、ひどい独占欲の自分。
醜い、いや、消えてよこんな感情。
「加賀、別に迷惑だなんて思わないから、言って?じゃないと泣く理由がわからなくて、俺どうしたらいいかわからないよ」
いつまでも、ただ声を押し殺して泣く茉里に困惑して、宗助は優しく、まるで子供に話すみたいに茉里に話しかける。
その優しさが、宗助の家に来てから荒んでいた心を、柔らかくしてくれる。
:10/03/01 03:36
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#456 [向日葵]
「ごめん……。だって嫌だったの」
「何が?」
「宗助を、1番好きなのは、私なのに……っ」
会話が成立していないが、宗助はその言葉だけで、茉里がどうしたのかわかった。
まだ栞が引っ越していない頃、いいなと思った女の子ががいた。
多分両思いだったと思う。
すると、栞はいち早く察知して、妨害した。
それを知ってる
:10/03/01 03:36
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#457 [向日葵]
だからか、茉里の言葉足らずの言い分を、理解してくれたのだろう。
「知ってる。だから、気にするな。大丈夫だから」
でも宗助は、そんな彼女を可愛く思い、柔らかく微笑む。
頭を撫でるが、まだ茉里の涙は止まらない。
そして泣いたことで、甘えたがっているのか、彼女は宗助に要求する。
「ハグがいいっ」
撫でていた宗助の手が不自然に止まり、固まる。
:10/03/01 03:37
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#458 [向日葵]
「……ごめん。なんか聞こえなかったていうか、耳が言葉を受け付けなかったというか……」
こういうところが、またいい。
彼女がいたことのある男子なら、きっとなにも言わなくても抱きしめてくれているかもしれない。
でも、そんな宗助だから、茉里は好きなのだ。
涙もおさまり、茉里は笑顔になる。
「買い物、行こっか」
歩き出すが、宗助は歩き出さない。茉里の背中をじっと見つめ、そしてハッとすると、茉里の腕を引っ張る。
驚く茉里の頭を寄せ、そのまま抱きしめる。
:10/03/01 03:37
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#459 [向日葵]
要求したくせに茉里は、急な宗助の行動にうろたえ、思わず胸を押し返して、距離を作る。
「な、なになに!どうしたの!」
さっきまでの空気とは違い、宗助は真剣に茉里を見つめる。
「アンタはふざけて甘えれても、本当に甘えたいときは甘えないだろ。それを我慢する必要なんかないんだ。俺が……いるから」
その言葉が、温かく胸に広がる。どうして、そうやって、1つずつ私の心を暴いていってしまうのだろう。
嬉しくて、幸せで、どんどん好きになっていく。
好きって気持ちに上限がなくて、自分でもどこまでいくかわからない。
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:SH05A3
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#460 [向日葵]
でもせっかくだからと、その胸に顔をうずめて、その暖かさを確かめる。
しばらくして、顔を上げた。
「ありがとう……」
それから仲良く手を繋ぎ、歩き出した。
・・・・・・・・・・・
なにあれ……。
華名の部屋の窓から、茉里と宗助を見ていた栞は、眉間に深くシワを寄せた。
泣くなんて卑怯だわ。
:10/03/01 03:38
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