こいごころ
最新 最初 🆕
#451 [向日葵]
なんだかホッとしたような、でも来てほしくなかったような、よくわからない気持ちが、胸の中をいっぱいにする。

「あー、ごめんごめん。続きやろっか」

「いい。やっと途切れて一段落したし、今から夕飯の買い出しに行く。加賀、付き合え」

呼ばれて、ぼんやりしていた茉里は、宗助のほうを「え?」といったふうに見る。

「だったらあたしも……」

栞も当然のように立って、一緒に行こうとしたが、宗助に止められた。

⏰:10/03/01 03:34 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#452 [向日葵]
「おまえはいらん物まで買うからいい」

「買わないから!」

「いい。そんなに大人数でも邪魔なだけだ。」

そう言われて、栞はしゅんと肩を落とす。

「でもあたし……力あるし……」

「俺のほうが、お前よりずっとある」

それで話をきるようにして、まだ座り込んだままの茉里を引っ張り立たすと、上着と財布を持って、そのまま出ていった。

いつも手を繋ぐが、今はなんだか素直に繋げなかった。

⏰:10/03/01 03:34 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#453 [向日葵]
それに気がついた宗助は、少し後ろにいる茉里を振り返る。

「どうした?」

「え?あ、……ううん、なんでも」

拗ねているように、自分が唇を突き出しているのがよくわかった。

宗助はなにも悪くないのに、2人っきりになった途端に、胸の中がぐちゃぐちゃになりだした。

「栞がなにかしたか?」

「なにも……」

⏰:10/03/01 03:35 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#454 [向日葵]
言ってから、いつの間にか食いしばっていた歯が緩み、唇がわなわなと震え出した。

心配したように、宗助が茉里を覗き込む。

「なんで……泣く?」

宗助の手が、頬に優しく触れる。触れられれば、余計に涙が流れ出す。

いやだ。
こんな自分、宗助に嫌がられる。

宗助の過去を聞いても、その場にいなかった。
出会ってすらいない。
そんな自分は、あきらかに蚊帳の外で、せつなくて、はがゆい。

⏰:10/03/01 03:35 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#455 [向日葵]
でも1番嫌なのは、宗助の過去すら自分のものにしたがる、ひどい独占欲の自分。
醜い、いや、消えてよこんな感情。

「加賀、別に迷惑だなんて思わないから、言って?じゃないと泣く理由がわからなくて、俺どうしたらいいかわからないよ」

いつまでも、ただ声を押し殺して泣く茉里に困惑して、宗助は優しく、まるで子供に話すみたいに茉里に話しかける。

その優しさが、宗助の家に来てから荒んでいた心を、柔らかくしてくれる。

⏰:10/03/01 03:36 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#456 [向日葵]
「ごめん……。だって嫌だったの」

「何が?」

「宗助を、1番好きなのは、私なのに……っ」

会話が成立していないが、宗助はその言葉だけで、茉里がどうしたのかわかった。

まだ栞が引っ越していない頃、いいなと思った女の子ががいた。
多分両思いだったと思う。

すると、栞はいち早く察知して、妨害した。
それを知ってる

⏰:10/03/01 03:36 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#457 [向日葵]
だからか、茉里の言葉足らずの言い分を、理解してくれたのだろう。

「知ってる。だから、気にするな。大丈夫だから」

でも宗助は、そんな彼女を可愛く思い、柔らかく微笑む。

頭を撫でるが、まだ茉里の涙は止まらない。

そして泣いたことで、甘えたがっているのか、彼女は宗助に要求する。

「ハグがいいっ」

撫でていた宗助の手が不自然に止まり、固まる。

⏰:10/03/01 03:37 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#458 [向日葵]
「……ごめん。なんか聞こえなかったていうか、耳が言葉を受け付けなかったというか……」

こういうところが、またいい。
彼女がいたことのある男子なら、きっとなにも言わなくても抱きしめてくれているかもしれない。

でも、そんな宗助だから、茉里は好きなのだ。

涙もおさまり、茉里は笑顔になる。

「買い物、行こっか」

歩き出すが、宗助は歩き出さない。茉里の背中をじっと見つめ、そしてハッとすると、茉里の腕を引っ張る。

驚く茉里の頭を寄せ、そのまま抱きしめる。

⏰:10/03/01 03:37 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#459 [向日葵]
要求したくせに茉里は、急な宗助の行動にうろたえ、思わず胸を押し返して、距離を作る。

「な、なになに!どうしたの!」

さっきまでの空気とは違い、宗助は真剣に茉里を見つめる。

「アンタはふざけて甘えれても、本当に甘えたいときは甘えないだろ。それを我慢する必要なんかないんだ。俺が……いるから」

その言葉が、温かく胸に広がる。どうして、そうやって、1つずつ私の心を暴いていってしまうのだろう。

嬉しくて、幸せで、どんどん好きになっていく。

好きって気持ちに上限がなくて、自分でもどこまでいくかわからない。

⏰:10/03/01 03:38 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#460 [向日葵]
でもせっかくだからと、その胸に顔をうずめて、その暖かさを確かめる。

しばらくして、顔を上げた。

「ありがとう……」

それから仲良く手を繋ぎ、歩き出した。

・・・・・・・・・・・

なにあれ……。

華名の部屋の窓から、茉里と宗助を見ていた栞は、眉間に深くシワを寄せた。

泣くなんて卑怯だわ。

⏰:10/03/01 03:38 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194