こいごころ
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#863 [向日葵]
きっと卒業式にこれを歌ってから、次に自分たちが歌ってもらう番の時がくるのは、あっという間なんだろうな……。

茉里はちらりと教室を見渡す。

やる気ないながらも、みんな歌っている。
中には歌ってない人もいるし、立っている人に紛れて座ってる人だっている。

真面目にやってる人からすれば、ちゃんとしろと苛立つ光景だけれど、卒業して、この教室のことを思い浮かべる時、そんなことすらも懐かしく、いとおしく、さみしくもあるのだろう。

⏰:11/08/20 13:06 📱:P04C 🆔:☆☆☆


#864 [向日葵]
そう思うと、少しやる気を出して歌おうと思えた。

―――――――――…………

「加賀ー。現国の阿部先生が模造紙取りにきてくれってさー」

朝のホームルームも終わると、担任が言った。

ちょっと……、今日だけやけに日直の仕事多いじゃない……。

ちらりと宗助を見ると、茉里のことを気にしないかのように友達と談笑している。

⏰:11/08/20 13:06 📱:P04C 🆔:☆☆☆


#865 [向日葵]
また気にしているのは私だけかと茉里は苛立つが、それをなんとか押さえる。

今日は喧嘩をする日じゃない。
仲直りをする日なのだから。

茉里は教室を出て、日直の仕事に専念しようと思った。
すると。

「茉里」

へ?

振り返ると、友達の輪から抜けたのか、宗助がこちらにやって来た。

⏰:11/08/20 13:07 📱:P04C 🆔:☆☆☆


#866 [向日葵]
「日直の仕事、手伝う」

「え、でも……」

「だからさ……、ああ……、えっと……」

歯切れの悪い返事をするので、早くと心の中で思ったが、辛抱強く待つ。

「早く……、俺にチョコ……ください……」

言い終えてから、すぐに宗助は顔を真っ赤にさせた。
茉里はそれが宗助の精一杯の気遣いだと思うと、宗助が可愛く思えて仕方なかった。

⏰:11/08/20 13:07 📱:P04C 🆔:☆☆☆


#867 [向日葵]
「ありがと。じゃあ荷物運ぶの手伝ってね」

「おう」

「ちなみにチョコじゃなくてクッキーだからね」

「いいよ。なんでも」

と言い終えた後、「あっ」と手で口を隠す。
茉里はどうかしたのかと宗助を見る。

「なんでも……っていうのは……、茉里の物ならなんでもって意味で」

⏰:11/08/20 13:08 📱:P04C 🆔:☆☆☆


#868 [向日葵]
おお、なんかすごい頑張ってる。
華名ちゃんがなんか言ってくれたのかしら。

「はいはい。私も悪かったから、あんまり無理しなくてもいいわよ」

「別に無理は……」

「宗助はそのままでいいの。あの時は……。私が少し過剰になってただけよ」

茉里はきょろきょろと辺りを見渡す。
「よし」と小さな声を出したかと思えば、宗助を手招きする。

⏰:11/08/20 13:08 📱:P04C 🆔:☆☆☆


#869 [向日葵]
なんのことかと、宗助が茉里に顔を近づけると、一瞬やわらかな感触を頬に感じた。

してやったりと笑う茉里に対し、なにがあったかわからず、きょとんとした顔をする宗助は、次第になにをされたかを理解し、また赤くなった。

「さてと、宗助がゆでダコになる前に、早く日直の仕事しなくちゃだわねー」

「誰がしてるんだ誰が!」

「もちろん私。とっても嬉しい限りだわー」

⏰:11/08/20 13:09 📱:P04C 🆔:☆☆☆


#870 [向日葵]
「覚えとけ……」

「記憶力はいいほうだから安心して」

言い負かされて、宗助は少しムッとするも、仲直り出来たほうに安心して、ムッとしたくても出来なかった。

―――――――――…………

そう、別にそれはそれでいい。

ただ見てみたい。
こんな機会だから見てみたい。
いや別に大した機会ではないけれど。

⏰:11/08/20 13:09 📱:P04C 🆔:☆☆☆


#871 [向日葵]
「と思うのは罪かしら、綾香」

「罪というより、それはただただサディステイックだよ茉里ちゃん」

防具をつけてる綾香に、茉里は話しかける。
一方の茉里は、昨日片付けきれなかったコップを洗っている。

「だって、見てみたいじゃない。宗助が私に焦るとこ」

せっかくのカップルイベント、バレンタイン。
ならば宗助が、茉里を誰かにとられてしまうんじゃないかと焦るところを見てみたいと茉里が言い出したのは、つい先ほど。

ちなみに宗助にまだチョコ、ならぬクッキーは渡していない。

⏰:11/08/20 13:09 📱:P04C 🆔:☆☆☆


#872 [向日葵]
帰りに渡すつもりだ。
そう言ったら宗助が「俺の手伝った意味は……」とグッタリしていた。

「笹部くんが茉里ちゃんのこと好きなのなんて、見てればわかるじゃない」

「よくよく考えてみればね、宗助になにかあったりしたら、焦ってるのっていつも私ばっかりな気がするのよ。たまには私がそれを味わいたい」

「笹部くんも大変ね」

苦笑いを浮かべて、綾香は面を置きに行った。

⏰:11/08/20 13:10 📱:P04C 🆔:☆☆☆


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