悪 魔 の 誕 生 日
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#1 [七瀬]
:09/04/12 00:31
:N703iD
:uqDmmwIM
#2 [七瀬]
:09/04/12 00:43
:N703iD
:uqDmmwIM
#3 [七瀬]
「もう少しですよ。
頑張って下さい!
肩の力抜いて……そうだ。一緒に深呼吸しましょう。スゥーハースゥーハー。」
目の前にいる看護師さんに促され、深く息を吸い込む。
そして、その息をなるべく長く吐く。
スゥーハースゥーハー。
:09/04/12 00:49
:N703iD
:uqDmmwIM
#4 [七瀬]
「もうお腹まで出かかっていますよ。」
そうやって、こめかみに流れる汗を拭いてくれる。
今日は生憎の大雨。
雷のゴロゴロとゆう音が
遠くに聞こえる。
「ん゛ん゙ん゙ーーー!!」
再び息を吸い込んだ後、
思いっきり力んだ。
:09/04/12 00:53
:N703iD
:uqDmmwIM
#5 [七瀬]
その瞬間
ピカッ ゴロゴロゴロゴロドーーン!!
雷の落ちる音が聞こえたと同時に
オギャアー!
という愛しい我が子の
泣き声が聞こえた。
:09/04/12 00:57
:N703iD
:uqDmmwIM
#6 [七瀬]
“ 悪 魔 の 誕 生 日 ”
:09/04/12 00:58
:N703iD
:uqDmmwIM
#7 [七瀬]
「ねぇねぇ〜!!
今日はなんの日か覚えてるでしょー?」
『忘れるわけないじゃん!俺と美里の誕生日!!』
「雷、
覚えててくれたんだっ!!」
『あったりまえだろ!』
:09/04/12 01:02
:N703iD
:uqDmmwIM
#8 [七瀬]
「お祝いしよ?今日。」
『わりぃ。
今日はダメなんだ。』
「えー?なんで?
私と雷の誕生日だよ??」
あー、めんどくせぇな。
知るかよ、そんなの。
『ごめん、美里。
またな!!』
そう言って立ち去った。
「ちょっと!雷ってば〜!!」
:09/04/12 11:13
:N703iD
:uqDmmwIM
#9 [七瀬]
ため息をしながら
教室を出た。
「お誕生日おめでとう!」
廊下を出たら、
横から声が。
チラッと目線だけ、そいつに向けた。
「お前は、ほぼ毎日が誕生日で羨ましいな。
で、“今日で”何歳になったわけ?」
:09/04/12 11:20
:N703iD
:uqDmmwIM
#10 [七瀬]
相変わらず、
嫌味ったらしいヤツだな。
『知らね。
もう80歳くらいじゃね。』
「俺のじぃちゃんより年上じゃん。」
ハハッと笑ってゆう。
「お前、ほんと悪魔だな。」
『京介。』
「ん?」
:09/04/12 11:27
:N703iD
:uqDmmwIM
#11 [七瀬]
『悪魔ってゆーのも、
結構、疲れるもんだぜ。』
そう言って、
俺は学校を後にした。
細かく言うと、サボった。
かなり申し遅れたけど
俺の名前は岩崎雷(イワサキライ)
で、さっきのヤツが
京介(キョウスケ)
俺のダチ。
2人とも、県内で5本の指に入るほどの超バカ高に通う17歳、つまり高2。
:09/04/12 11:35
:N703iD
:uqDmmwIM
#12 [七瀬]
さっき京介が言ったように俺にはほぼ毎日が誕生日。
なぜかって?
それは俺が
だらしないからかな。
特に女に。
俺は勉強も生活も全部、
テキトーだが、
女のことに関しては
もっとテキトー。
その割には、女遊びが大好き。
:09/04/12 11:40
:N703iD
:uqDmmwIM
#13 [七瀬]
そんな俺がつく嘘…
まあ俺は
冗談のつもりなんだけど。
とりあえず、そういう嘘が俺の毎日を誕生日にしてしまった。
って言ってもね?
誰でも一回は、
つくような嘘なんだぜ?
いや、ほんとに!
:09/04/12 11:45
:N703iD
:uqDmmwIM
#14 [七瀬]
ただ女に
“誕生日いつ〜??”
って聞かれた時に、
“〇〇ちゃんは?”
って聞き返して、
“えー、私は〜”
ってバカみたいに言うのを
“うっそ!まぢ?
俺と一緒〜!!”
って言うだけ。
ほんとそれだけなのに。
:09/04/12 11:49
:N703iD
:uqDmmwIM
#15 [七瀬]
大体、女はその後に
“やだっ!運命じゃん!!”
って、一人喜ぶか、
“じゃーさ、
その日お祝いしよーよ!”
って果たされることのない約束をするのか…
たまに
食事したりするけどね。
俺がヒマな時とか。
まあ、そのどっちかだな!
:09/04/12 11:54
:N703iD
:uqDmmwIM
#16 [七瀬]
とりあえず、
誕生日を聞かれた時に
これを言って喜ばない女はまずいない。
それで盛り上がって、
ホテルに直行!!
みたいな?
そんでね〜、
誕生日プレゼント。
これも、全然ふつーの俺にとってなにもない日に
いきなり貰えたり、
これが
ほんとのサプライズ!
:09/04/12 12:00
:N703iD
:uqDmmwIM
#17 [七瀬]
後、さっきみたいに
“今日はなんの日でしょう?”って
聞かれても簡単に答えられる。
一回や二回、遊んだだけの女の誕生日なんて
覚えられないでしょ。
こういう時、便利なんだよね〜!
“一緒”って言っておけば間違いないし。
“覚えててくれたんだ〜”ってバカみたいに喜ぶんだよなこれが…
あ、さっきみたいにね。
:09/04/12 12:08
:N703iD
:uqDmmwIM
#18 [七瀬]
そんな俺を京介は
“悪魔”と呼ぶ。
でも、良いことばっかりじゃないんだよなあ〜。
やっぱテキトーな俺には
めんどくせぇし。
毎日毎日、誕生日…
さすがに飽きてくる。
“おめでとう”と群がってくる女たちもウザい。
:09/04/12 12:31
:N703iD
:uqDmmwIM
#19 [七瀬]
「ね、そこのあなた。」
ん、逆ナンか?
別に珍しくないけど。
『な〜に?』
いつもみたいに調子良く
振り向いた。
その瞬間、俺は目を見開いた。
…外人?
:09/04/12 13:40
:N703iD
:uqDmmwIM
#20 [七瀬]
『…俺?』
フランス人か?
なぜか突発的にそう思った。
やべー、俺フランス語どころか英語すらまともに話せないぜ。
「そう、そこのあなた。」
そこには色素の薄い髪に
真っ白な肌。
極め付けは焦げ茶の瞳の
チビな女。
ってか、めちゃめちゃ日本語しゃべってんじゃん!
:09/04/12 13:45
:N703iD
:uqDmmwIM
#21 [七瀬]
『えーと、俺になにか?』
とりあえず日本語話せるみたいだし、いっか。
すると、その外人?は
ニコッと笑って、言った。
「私と
付き合ってくれない?」
:09/04/12 17:30
:N703iD
:uqDmmwIM
#22 [七瀬]
『は?』
逆ナンつっても、
ここまでストレートなのは初めてだな。
「だーから、付き合って?」
『観光案内?』
こう考えるのが
一番まとも…
「そうじゃなくって」
次はクスッと怪しげに笑った。
:09/04/12 17:34
:N703iD
:uqDmmwIM
#23 [七瀬]
「ボーイフレンドになってとゆう意味。」
『え?
って!!ちょっと……』
聞き返す前に
制服の裾を思いっきり引っ張られていた。
『ねぇ、ちょっと!
ねぇ!!どこ行くの!』
なにも答えない外人女。
:09/04/12 17:39
:N703iD
:uqDmmwIM
#24 [七瀬]
5分くらい、振り回されて俺はもうヘトヘト。
チビのくせに
すごい力だな、この女。
「あっ!」
いきなり止まる謎の女。
そして振り向いて
俺に
「駅ってどこにあるの?」
ってペロッと舌を出した。
:09/04/12 17:43
:N703iD
:uqDmmwIM
#25 [七瀬]
はあ!?
なに言ってんだよ、この女。
内心イライラしてたけど
相手はガキだし外人?だし…女だし。
『…ずいぶん前に通り過ぎたけど。』
無愛想だけど
十分、我慢したつもり。
「そ。
じゃあ戻ろっ!!」
:09/04/12 17:48
:N703iD
:uqDmmwIM
#26 [七瀬]
そんな俺の好意を
この女はあっさりとスルーしたどころか
また走りだした。
もう勘弁してくれよー!!
『ハァ…ハァハァ……』
やっと駅に着いた。
これで、この謎の女とも
おさらばできる。
:09/04/12 17:52
:N703iD
:uqDmmwIM
#27 [七瀬]
『ハァ…無事に駅着いて、良かったな。』
息を整える。
『じゃあ俺はこれで…』
そう立ち去ろうとした
瞬間
グイッ
またかよ!
「電車乗ろっ」
:09/04/12 17:58
:N703iD
:uqDmmwIM
#28 [七瀬]
『なに言って…』
「デートデート〜」
そう楽しそうに笑う女。
俺のイライラは最高潮に。
『いい加減にしろよ!!
いきなり“付き合え”だの“デート”だの…
俺もヒマじゃねぇんだよ』
ヒマ人だけどね。
まあ、知らん女に振り回されて…
俺、実は気短いんだよ。
:09/04/12 18:03
:N703iD
:uqDmmwIM
#29 [七瀬]
『それにお前の
ボーイフレンドになったつもりもない。』
きついけど、
はっきり言わないと…
こういうヤツは質が悪い。
女はうつむいている。
…ちょっと言い過ぎた?
『その…ちょっと言い過ぎたかな?大丈…』
:09/04/12 18:06
:N703iD
:uqDmmwIM
#30 [七瀬]
顔を上げた女。
…笑ってる?
「そう…そうだよね。」
悲しそうに笑う。
泣かれたりすると、ウザいけど、
こんな顔されると…
ちょっと後悔すんだよな。
『え…と。』
:09/04/12 18:10
:N703iD
:uqDmmwIM
#31 [七瀬]
「私…20歳まで生きられないんだよねぇ。」
え?
「死ぬまで一回、デートしてみたくって。
彼氏とか憧れてて…ね。」
引きつってる笑顔が、
真実を語っていた。
「でも、なんかごめんね!見ず知らずなのに…
いきなり迷惑だよね!!」
:09/04/12 20:00
:N703iD
:uqDmmwIM
#32 [七瀬]
『いや…その。』
涙を流すわけでもなく、
ただ真っすぐに、その茶色い瞳を空へと向けていた。
『よし!行こっ!!』
「え…いいの?」
彼女の目が輝きだす。
:09/04/12 20:03
:N703iD
:uqDmmwIM
#33 [七瀬]
「わあ!!」
彼女は歓声を上げた。
目はキラキラしたまま。
「あれ!
あれ乗りたあーい!!」
指差す先には
メリーゴーランド。
軽やかなメロディーが流れる中、
子供たちが並ぶ列の最後に2人で並んだ。
:09/04/12 20:13
:N703iD
:uqDmmwIM
#34 [七瀬]
メリーゴーランドなんて
子供みたいな乗り物に
乗って楽しいのか?
そう思ったけれど
横顔を見る限りは楽しいんだろうな。
「お待たせしました。」
ガチャと鎖が開くと
今まで乗っていた子供たちが降りて、並んでいた俺たちの列が入った。
:09/04/12 21:38
:N703iD
:uqDmmwIM
#35 [七瀬]
「あれ!」
『え?…って、おいっ!』
俺の声を無視して
あの女は、子供らを押してまで、一番大きな白馬に乗っかった。
「ねぇねぇ!
早く早くー!!」
『え?俺も乗るの?』
「当たり前ー!!」
:09/04/12 21:47
:N703iD
:uqDmmwIM
#36 [七瀬]
ただでさえ、
周りの目が痛いのに
大人2人が
メリーゴーランド?
…なんて絶対無理!
「早くってばあ!!」
『いや…その、
俺は止めとくよ…』
「なんで?
なんでなんでー??」
:09/04/12 21:51
:N703iD
:uqDmmwIM
#37 [七瀬]
今さらだけど
なんなんだ、この女は。
3歳児か?
それに、
さっきの悲しそうな顔…
今は微塵も感じられない。
失敗した…
やっぱり、こんな
訳の分かんねぇヤツに付き合うんじゃなかった。
俺は後悔し始めていた。
:09/04/12 21:56
:N703iD
:uqDmmwIM
#38 [七瀬]
あの時、
俺は、この女に同情したのだろうか。
ただ、
なぜか、揺れている彼女の真っ茶色な瞳を見て
ほっとけなくなったんだ。
:09/04/12 22:32
:N703iD
:uqDmmwIM
#39 [七瀬]
「あの〜お客様。
危ないので……」
アナウンスの人が
そう言ってくれなかったら俺は今頃、顔から火を吹いていただろう。
あの女は仕方なくといった感じで諦めてくれたようだ。
「ちゃんと写真、撮っててよね!」
:09/04/12 22:35
:N703iD
:uqDmmwIM
#40 [七瀬]
そう言ってたのを
思い出し、
インスタントカメラを構えた。
……お姫さまみたい。
子供だらけのメリーゴーランドで一人浮いてる彼女。
色素の薄い髪が太陽の日差しで、より美しさを際立たせている。
:09/04/12 22:40
:N703iD
:uqDmmwIM
#41 [七瀬]
無邪気に笑う彼女。
周りの目に
気にも止めないで、
白馬にまたがる彼女は
昔、読んだ童話に出てくるような
本物のお姫さまみたいだった。
そんな姿に、
ついレンズ越しに見とれていた。
:09/04/12 22:45
:N703iD
:uqDmmwIM
#42 [七瀬]
「ねぇ〜
ちゃんと撮ってくれた?」
『あ…ああ。』
気付くとメリーゴーランドはもう止まっていて、
あの女が目の前にいた。
「どれどれ…って全然撮れてないじゃ〜ん!!」
あなたに見とれてて
撮れませんでした。
なんて言えるわけない。
:09/04/12 22:57
:N703iD
:uqDmmwIM
#43 [七瀬]
『ごめん…』
「もうしっかりしてよね。」
こんな言い方されて
さっきみたいにムカつくはずなのに…
なぜか素直に頷いている自分がいた。
「ま、いいよ。
次、あれ行こーよ!」
そうやって、やっぱり俺の制服の裾を引っ張った。
:09/04/12 23:01
:N703iD
:uqDmmwIM
#44 [七瀬]
「あ、あれ食べたい!!」
コーヒーカップやら
なんやら…
幼稚園児が乗りそうな
乗り物ばっかり片っ端から乗った後、
そうやってクレープを指さした。
『はいはい。』
彼女をベンチに座らせて
俺は、ジュースとクレープを買いに行った。
:09/04/12 23:07
:N703iD
:uqDmmwIM
#45 [七瀬]
クレープ屋のおじさんが
丁寧に生クリームをのせている。
俺…やっぱり変だな。
だって、今日会ったばかりの見ず知らずの女に振り回されて…
しかも黙って言うこと聞いてるし。
なんか、あの女のペースにはまってる。
:09/04/12 23:10
:N703iD
:uqDmmwIM
#46 [七瀬]
「はい、クレープ2つとジュース2つで1000円ちょうどね。」
お金を渡して、あの女の待つベンチへと戻った。
「ふわふわ〜」
クレープを頬張る彼女。
結構、
キレイな顔してんだな。
その横顔を見て思う。
:09/04/12 23:15
:N703iD
:uqDmmwIM
#47 [七瀬]
横顔だと鼻筋の通った鼻がより強調されて見える。
ほんとフランス人みたい。
ってか絶対フランス人だ、これは。
大人っぽい。
けど、どこか幼さがある。
なんでだろう。
:09/04/12 23:18
:N703iD
:uqDmmwIM
#48 [七瀬]
座っている彼女の
上から下をゆっくりと吟味した。
あ、そうか!
なぜ、この女に幼さがあるのか…
それは
とてつもなくチビだから。
:09/04/12 23:21
:N703iD
:uqDmmwIM
#49 [七瀬]
チビといっても
なんというか…
まあ、簡単に言えば
顔は外人っぽくって
体は日本人とゆうか子供。
顔だけ見れば、大人っぽいのに
体と全体で見ると、どうしても幼く見えてしまう。
俺が最初にガキと思ったのは、このせいだろう。
:09/04/12 23:26
:N703iD
:uqDmmwIM
#50 [七瀬]
なんともアンバランス。
スタイルも決して良いとは言えない。
でも、そのアンバランスさが彼女の魅力に見えた。
こう他の女にはないような…
不思議な魅力。
けど、今思うと
それは魔力だったのかもしれない。
俺を虜にした魔力…
:09/04/12 23:33
:N703iD
:uqDmmwIM
#51 [七瀬]
「あー、美味しかったあ」
クシャッと丸めてクレープの巻紙をゴミ箱に捨てた
彼女の顔は満足感で溢れていた。
『よし、
じゃあもう帰るか。』
そうベンチから立ち上がった。
「え…、もう…?」
:09/04/12 23:37
:N703iD
:uqDmmwIM
#52 [七瀬]
『“もう”って、
そろそろ日も沈むし…』
そう言いながら
彼女を見た。
「まだ…帰りたくない。」
『帰りたくない
って言われても……』
「私ね、遊園地に来たの、初めてなの。」
あの悲しそうな笑顔。
:09/04/12 23:41
:N703iD
:uqDmmwIM
#53 [七瀬]
「産まれた時から、
心臓が弱くって…
遊園地になんて、ろくに連れてってもらえなかった。
私が20歳まで生きられないのも、この心臓のせい。
だから死ぬ前に一度、
最初で最後の遊園地に来たかったの…」
ちょっと待って!
心臓弱いのに、あんなに走れるもんなのか!?
:09/04/12 23:46
:N703iD
:uqDmmwIM
#54 [七瀬]
「お願い…
もう少しだけ…」
そうは思ってもあの笑顔でお願いされちゃあなぁ。
『…分かった。
もう少しだけだぞ?』
「ありがとう!」
パアッと明るい笑顔に。
「で、ねぇ。次はこれに乗りたいんだあ!」
:09/04/12 23:49
:N703iD
:uqDmmwIM
#55 [七瀬]
そう指さす先には
ジェットコースター?
:09/04/12 23:51
:N703iD
:uqDmmwIM
#56 [七瀬]
「行くよっ!」
また引っ張られ走りだした。
『ちょ、ちょっと…』
これはさすがに
ダメでしょ!
心臓弱いのに
ジェットコースターって…
俺、なにがあっても
責任持てないよ?
:09/04/12 23:53
:N703iD
:uqDmmwIM
#57 [七瀬]
『待って!
待ってってば…』
そんな声も虚しく、
もう列に並んでいて、
夕方になって人が少なくなったからか、
列に並んですぐにジェットコースターに乗っていた。
しかも最前列。
:09/04/12 23:57
:N703iD
:uqDmmwIM
#58 [七瀬]
俺は、この時から…
と言うより、もっと前から
“20歳まで生きられない”
というのは嘘なんじゃないかと思っていた。
だって普通に考えたら、
そうなるだろ!?
あんなに走れて
しかもジェットコースターに乗るなんて…
心臓弱いのに、
あり得ないに決まってる。
:09/04/13 00:01
:N703iD
:6qm6G8Qs
#59 [七瀬]
いくらバカ高に通う俺だからって
それくらいは分かる。
なのに彼女のいいなりになってしまってる俺は
やっぱり
世界一バカなのかもしれない。
:09/04/13 00:04
:N703iD
:6qm6G8Qs
#60 [七瀬]
「キヤアァアアアーー!!」
隣のこの女…
すごい声だしやがった。
だから、もしかしたら心臓止まったんじゃねぇか
って思って見たら
ただ騒いでただけだった。
そんなこんなで
ジェットコースターが終わった後には
俺の方が心臓停止の状態だった。
:09/04/13 00:39
:N703iD
:6qm6G8Qs
#61 [七瀬]
「お疲れさまでしたー」
スタッフのこの一声に
“ほんと疲れたよ”
って言ってやりたかった。
『もう満足か?』
そうやってジェットコースターを降りた外人女の肩に手を置いた瞬間
「ハァ…ハア」
いきなり、しゃがみ込む。
:09/04/13 00:46
:N703iD
:6qm6G8Qs
#62 [七瀬]
『どうしたんだよ?』
「ハアハァ…大丈…夫。」
苦しそうに顔を歪ませるのを見て、俺はやっと事態の重大さに気付いた。
『大丈夫か!?』
「た……だのほっ…さ」
“発作”?
その間にも、
肩で大きく息を弾ませている。
:09/04/13 06:48
:N703iD
:6qm6G8Qs
#63 [七瀬]
ど…どどど、
どーすればいいんだ!?
正直、かなり混乱した。
だって、こんなことに
出くわしたのは人生初めてだし!
なかなか出くわさないでしょ。
ええ、えーと…
落ち着け、自分…
とりあえず、
自分に言い聞かせた。
:09/04/13 06:52
:N703iD
:6qm6G8Qs
#64 [七瀬]
『お、俺は
なにをしたらいいんだ?』
こういうことは、
本人に聞かなきゃわからない。
「カ…バン。カバ…ン
ハァハ…ァ」
段々、彼女の口から単語しか出てこなくなるのが
俺を余計に焦らせた。
カバン?
:09/04/13 06:57
:N703iD
:6qm6G8Qs
#65 [七瀬]
俺は、素早く
ジェットコースターの荷物置場にある彼女のカバンに手を伸ばした。
「あ…りがと。」
そうやって
白い粒、…多分錠剤みたいなものを口に運んだ。
「お客様、
大丈夫でしょうか!?」
それから、5分くらい
ジェットコースターの前にいた。
:09/04/13 07:02
:N703iD
:6qm6G8Qs
#66 [七瀬]
「フゥ…もう大丈夫。
行こっか。」
とりあえず歩けるみたいだし、さっきのベンチに戻った。
『やっぱり、もう帰ろう』
俺は、
彼女を見ずに言った。
責任は取れない。
これ以上、こいつの“ボーイフレンド”でいるのも
嫌だ。
:09/04/13 07:06
:N703iD
:6qm6G8Qs
#67 [七瀬]
「分かった。」
やけに素直だな。
「じゃあ最後に一つだけ。一つだけお願いがあるの」
はあ…
また“お願い”かよ。
『もうダメだ。
もうほんとに…』
彼女がジッと俺を見た。
今度は強引に引っ張るわけでもなく、俺の裾を掴むだけ。
:09/04/13 07:10
:N703iD
:6qm6G8Qs
#68 [七瀬]
「お願いよ…」
『…ほんとに最後だぞ。』
これに弱いんだよなあ、
俺は。
結局、こいつのいいなりじゃんかよ。
「ごめんね。」
だから
そんな風に改まれると
逆に手放せなくなるんだよ
:09/04/13 07:14
:N703iD
:6qm6G8Qs
#69 [七瀬]
俺たちは
彼女が希望したデートの最後を締めくくる定番らしい観覧車に乗った。
「……」
なにも話さず、外を見ている。
俺も“キレイだね”とか
“今日は楽しかった?”
とも聞かない。
:09/04/13 07:18
:N703iD
:6qm6G8Qs
#70 [七瀬]
「ねえ、今日はほんとにありがとう。」
彼女のこの一言で
もう最後なんだなって実感した。
この女に振り回されることもなく、
嘘か本当かも分からない
彼女の“発作”というなにパニくる必要もない。
なのに、
なぜか物足りない。
精々するはずなのに。
:09/04/13 07:33
:N703iD
:6qm6G8Qs
#71 [七瀬]
彼女の名前が知りたい。
そう思った。
一回デートしただけの女なのに。
一回寝た女の名前、誕生日はどうでもいいのに。
やっぱ俺、なんか変。
京介が見たら笑うだろうな。
:09/04/13 07:37
:N703iD
:6qm6G8Qs
#72 [七瀬]
「ねえ、あなた名前なんていうの?」
俺と同じこと考えてたんだ。
『君は?
なんてゆーの??』
「真実のお姫さま。」
ニコッと笑う。
:09/04/13 18:35
:N703iD
:6qm6G8Qs
#73 [七瀬]
真実のお姫さま……?
なにそれ。
ふざけてんのか?
外人女を見ると、
見下すように俺を見て笑っている。
…ふざけてんだな、
こんにゃろう。
:09/04/13 18:38
:N703iD
:6qm6G8Qs
#74 [七瀬]
『じゃー俺は悪魔くんだ』
「フフッ、なにそれ。」
おかしそうに笑う。
「マヒメ。」
マヒメ…?
:09/04/13 18:54
:N703iD
:6qm6G8Qs
#75 [七瀬]
「真実のお姫さまと書いて“真姫”」
『ま…ひめ。』
「あなたは?」
『俺は…』
呆然としてしまったのは
あまりにも彼女に
ぴったりな名前だと思ったから。
:09/04/13 19:08
:N703iD
:6qm6G8Qs
#76 [七瀬]
「私も言ったんだし…ね。あーくまくん?」
ニヤリと笑うお姫さま。
『雷だよ、雷。』
「雷。」
『いきなり呼び捨てかよ。年下のくせに。』
「年下?
なんで年下だって分かるのよ。
なにも言ってないのに。」
:09/04/13 19:11
:N703iD
:6qm6G8Qs
#77 [七瀬]
『えーと…』
第一印象ガキだからです。
とはさすがに…ねぇ。
今もガキだけど。
「平成4年生まれ。」
『ってことは…』
ええーぇっ!?
俺と同い年じゃん!!
:09/04/14 07:03
:N703iD
:iZekniZY
#78 [七瀬]
「そ。あなたと同じ17歳。」
嘘…だろ?
ぜってー嘘だ。
“心臓が弱い”という以上に信じらんない。
…が俺はここで一つ気付いた。
『それより、そっちこそ
なんで分かったんだよ。
俺が17歳だって。』
:09/04/14 07:07
:N703iD
:iZekniZY
#79 [七瀬]
「簡単なことよ。」
俺の胸元を指さした。
「このピンバッジ。
青でしょう?
あそこの高校は1年生は赤、2年生は青、3年生は緑のピンバッジをする。
じゃあ青のあなたは2年生でしょ。」
あ…なるほど。
と一人合点したと同時に
思う。
:09/04/14 07:12
:N703iD
:iZekniZY
#80 [七瀬]
この女…
あなどれない。
初めて会った時から
感じていたことだが、
ピンバッジのことを指摘され、改めて思った。
「雷、自分のことを
“悪魔”と言ったわね。
なぜ?」
:09/04/14 18:33
:N703iD
:iZekniZY
#81 [七瀬]
『分かんね。
周りが勝手にそう呼ぶだけ。
ただ、これだけは分かる』
「なになに?」
身を乗り出す彼女。
『“悪魔”ってゆーのは
毎日が誕生日なんだぜ。』
ニヤッと笑って言った。
:09/04/14 18:37
:N703iD
:iZekniZY
#82 [七瀬]
きょとんとする彼女。
「そう。
それは面白いわね。」
…が、すぐに
俺に負けないくらいの
意地悪な笑みを浮かべた。
「じゃあ今度、
誕生日プレゼントを持って来なきゃ。」
挑むような挑発的な態度は俺のハートに火を付けた。
:09/04/14 18:42
:N703iD
:iZekniZY
#83 [七瀬]
…っても
悪魔にハートもくそもねぇか。
『じゃあ俺も、
お姫さまに、お返しに
誕生日プレゼントを渡さなくっちゃな。』
目をジッと見て言った。
「それは、ありがたいことだわ。
けど残念ね。
私は悪魔さんとは違って、誕生日は年に一回しかないの。」
:09/04/14 18:46
:N703iD
:iZekniZY
#84 [七瀬]
そうやって肩をくすめる。
『そうだな。
じゃあ、姫の誕生日に渡すとするか。
いつなんだよ、誕生日。』
「さあ、いつでしょう。」
わざとらしい目付き。
『教えてくれよ。
でなきゃ、プレゼントをいつ渡せばいいのか分からない。』
:09/04/14 18:50
:N703iD
:iZekniZY
#85 [七瀬]
訂正
そうやって肩をくすめる×
そうやって肩をすくめる〇
:09/04/14 18:52
:N703iD
:iZekniZY
#86 [七瀬]
「あら、悪魔なのに分からないの?」
ジラすなあ。
もどかしくて仕方ない。
そんな俺の様子を
この女は楽しんでるみたいだ。
『悪魔だって、分からないことの1つや2つあるだろ。
頼むよ、姫。』
:09/04/14 18:56
:N703iD
:iZekniZY
#87 [七瀬]
「しょうがないわね。」
手を合わしてる俺は
顔を上げた。
「2月24日。」
『うっそ!
俺と同じじゃん!!』
って、いつもみたいに
決まり文句を言った…
はずだった。
:09/04/14 18:59
:N703iD
:iZekniZY
#88 [七瀬]
ただ
“いつも”と違ったのは
俺の反応。
目は見開き、
口は開いたまま、
すっとんきょうな声…
いつものわざとらしい
演技は微塵も無かった。
:09/04/14 19:03
:N703iD
:iZekniZY
#89 [七瀬]
「あら、本当?
悪魔と同じ誕生日だなんてなんだか気が引けるわ。」
そうやって、
窓の外を見た彼女。
日はとっくに沈んでいて
キラキラとイルミネーションが美しかった。
『……』
俺はなにも言えないでいる。
:09/04/14 19:06
:N703iD
:iZekniZY
#90 [七瀬]
時折、少しウェーブがかかった長くて細い髪を掻き分ける彼女の姿が
観覧車越しに見える町並みより、美しかったのは
確か。
いつのまにか
観覧車は天辺まで来ていた。
:09/04/14 19:10
:N703iD
:iZekniZY
#91 [七瀬]
が、今俺の頭にあるのは
本当の本当に
“真姫と同じ誕生日”
だということだけ。
:09/04/14 19:12
:N703iD
:iZekniZY
#92 [七瀬]
ガチャ
「ありがとうございました」
観覧車は一回転して、
また戻って来た。
俺は、まだ誕生日のことをぼんやり考えていた。
降りようとした時、
また彼女が俺の裾を掴む。
:09/04/14 19:29
:N703iD
:iZekniZY
#93 [七瀬]
まだなにかあるのか?
そう振り向いた。
その瞬間を
俺は二度と忘れないだろう。
ってか忘れられない。
:09/04/14 19:56
:N703iD
:iZekniZY
#94 [七瀬]
ググッと俺はネクタイを
引っ張られた。
声を出す暇もない。
本当に一瞬だった。
フワリと良いにおいが
したと思ったら
彼女の顔が目の前に。
:09/04/14 19:59
:N703iD
:iZekniZY
#95 [七瀬]
ちゅーされたのかと
思ったけど、
俺の唇には、彼女の髪がかかっているだけだし、
お姫さまの唇には人差し指が。
もちろん俺の指じゃない。
「実はね、
“20歳まで生きられない”っていうのは嘘なんだ。」
:09/04/14 20:04
:N703iD
:iZekniZY
#96 [七瀬]
は…?
「よし!
もーそろそろ帰ろっ!!」
なにもなかったように
歩く女。
この瞬間と
あの時の悪魔の顔と
俺のマヌケな顔…
今でも鮮明に残っている。
:09/04/14 20:13
:N703iD
:iZekniZY
#97 [七瀬]
“20歳まで生きられない”というのは嘘…
一本やられた。
さっきまで
“嘘じゃねーの?”
って疑ってて、
でも、あの発作を見て
疑ったことを後悔した。
:09/04/14 20:22
:N703iD
:iZekniZY
#98 [七瀬]
それなのに…嘘??
俺って
さすがバカ高に通うだけのことはある!!
じゃねぇっ!
こう…なんというか
俺、勉強は出来ねぇけど
女のことは分かっている
…つもりだった。
:09/04/14 20:25
:N703iD
:iZekniZY
#99 [七瀬]
うん。
そのつもりだったし。
それなのに、
この俺がやられた?
納得いかねえ。
“悪魔”と呼ばれてる俺がこんな女に…
一人、軽やかな足並みの
前のヤツを見て思った。
:09/04/14 20:29
:N703iD
:iZekniZY
#100 [七瀬]
『なあ!』
「ん?」
『嘘って…
じゃあ、あの発作はなんだったんだよ!!』
「なにって…
冗談に
決まってんじゃ〜ん!!
演技だよ、え・ん・ぎ!」
アハハと笑う。
:09/04/14 20:32
:N703iD
:iZekniZY
#101 [七瀬]
演技?
「雷、もうすっかり、その気になっちゃってて…」
お腹を抱える真姫に
余計にムキになる俺。
『じゃっ、じゃぁ!
あの薬は
なんだったんだよ!』
「ああ、あれぇ?」
思い出したように言う。
:09/04/14 20:35
:N703iD
:iZekniZY
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