悪 魔 の 誕 生 日
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#1 [七瀬]
どーも(*´∀`*)
3作目です!!

受験勉強の息抜きとして
書いていきますので
マイペース更新になりますがご了承下さい。

荒らし、中傷
止めてね(ノд<。)゜。

前作も貼ってるので、
感想板にも遊びに来て下さいな♪

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4276/

⏰:09/04/12 00:31 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#2 [七瀬]
*アンカー* 

>>2-100
>>100-200
>>200-300
>>300-400
>>400-500
>>500-600
>>600-700
>>700-800
>>800-900
>>900-1000

⏰:09/04/12 00:43 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#3 [七瀬]
 
 
「もう少しですよ。
頑張って下さい!
肩の力抜いて……そうだ。一緒に深呼吸しましょう。スゥーハースゥーハー。」


目の前にいる看護師さんに促され、深く息を吸い込む。

そして、その息をなるべく長く吐く。


スゥーハースゥーハー。
 

⏰:09/04/12 00:49 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#4 [七瀬]
 
「もうお腹まで出かかっていますよ。」

そうやって、こめかみに流れる汗を拭いてくれる。


今日は生憎の大雨。

雷のゴロゴロとゆう音が
遠くに聞こえる。



「ん゛ん゙ん゙ーーー!!」

再び息を吸い込んだ後、
思いっきり力んだ。

⏰:09/04/12 00:53 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#5 [七瀬]
 
 
その瞬間

ピカッ ゴロゴロゴロゴロドーーン!!


雷の落ちる音が聞こえたと同時に



オギャアー!

という愛しい我が子の
泣き声が聞こえた。
 
 

⏰:09/04/12 00:57 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#6 [七瀬]
 
 
 
 
 
 
“ 悪 魔 の 誕 生 日 ”
 
 
 
 
 
 

⏰:09/04/12 00:58 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#7 [七瀬]
 
 
「ねぇねぇ〜!!
今日はなんの日か覚えてるでしょー?」


『忘れるわけないじゃん!俺と美里の誕生日!!』


「雷、
覚えててくれたんだっ!!」


『あったりまえだろ!』
 
 

⏰:09/04/12 01:02 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#8 [七瀬]
「お祝いしよ?今日。」

『わりぃ。
今日はダメなんだ。』

「えー?なんで?
私と雷の誕生日だよ??」


あー、めんどくせぇな。
知るかよ、そんなの。

『ごめん、美里。
またな!!』

そう言って立ち去った。


「ちょっと!雷ってば〜!!」 

⏰:09/04/12 11:13 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#9 [七瀬]
 
ため息をしながら
教室を出た。



「お誕生日おめでとう!」

廊下を出たら、
横から声が。

チラッと目線だけ、そいつに向けた。


「お前は、ほぼ毎日が誕生日で羨ましいな。
で、“今日で”何歳になったわけ?」

⏰:09/04/12 11:20 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#10 [七瀬]
 
相変わらず、
嫌味ったらしいヤツだな。
 
『知らね。
もう80歳くらいじゃね。』

「俺のじぃちゃんより年上じゃん。」

ハハッと笑ってゆう。


「お前、ほんと悪魔だな。」


『京介。』

「ん?」

⏰:09/04/12 11:27 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#11 [七瀬]
 
『悪魔ってゆーのも、
結構、疲れるもんだぜ。』

そう言って、
俺は学校を後にした。

細かく言うと、サボった。


かなり申し遅れたけど
俺の名前は岩崎雷(イワサキライ)

で、さっきのヤツが
京介(キョウスケ)
俺のダチ。

2人とも、県内で5本の指に入るほどの超バカ高に通う17歳、つまり高2。

⏰:09/04/12 11:35 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#12 [七瀬]
 
さっき京介が言ったように俺にはほぼ毎日が誕生日。


なぜかって?

それは俺が
だらしないからかな。

特に女に。


俺は勉強も生活も全部、
テキトーだが、
女のことに関しては
もっとテキトー。

その割には、女遊びが大好き。

⏰:09/04/12 11:40 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#13 [七瀬]
 
そんな俺がつく嘘…

まあ俺は
冗談のつもりなんだけど。


とりあえず、そういう嘘が俺の毎日を誕生日にしてしまった。


って言ってもね?

誰でも一回は、
つくような嘘なんだぜ?


いや、ほんとに!
 

⏰:09/04/12 11:45 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#14 [七瀬]
 
ただ女に
“誕生日いつ〜??”
って聞かれた時に、

“〇〇ちゃんは?”
って聞き返して、

“えー、私は〜”
ってバカみたいに言うのを


“うっそ!まぢ?
俺と一緒〜!!”

って言うだけ。


ほんとそれだけなのに。
 

⏰:09/04/12 11:49 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#15 [七瀬]
 
大体、女はその後に


“やだっ!運命じゃん!!”

って、一人喜ぶか、

“じゃーさ、
その日お祝いしよーよ!”

って果たされることのない約束をするのか…

たまに
食事したりするけどね。
俺がヒマな時とか。


まあ、そのどっちかだな!

⏰:09/04/12 11:54 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#16 [七瀬]
とりあえず、
誕生日を聞かれた時に
これを言って喜ばない女はまずいない。

それで盛り上がって、
ホテルに直行!!

みたいな?


そんでね〜、
誕生日プレゼント。

これも、全然ふつーの俺にとってなにもない日に
いきなり貰えたり、

これが
ほんとのサプライズ!

⏰:09/04/12 12:00 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#17 [七瀬]
後、さっきみたいに
“今日はなんの日でしょう?”って
聞かれても簡単に答えられる。

一回や二回、遊んだだけの女の誕生日なんて
覚えられないでしょ。

こういう時、便利なんだよね〜!

“一緒”って言っておけば間違いないし。
 
“覚えててくれたんだ〜”ってバカみたいに喜ぶんだよなこれが…
あ、さっきみたいにね。

⏰:09/04/12 12:08 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#18 [七瀬]
 
そんな俺を京介は
“悪魔”と呼ぶ。


でも、良いことばっかりじゃないんだよなあ〜。

やっぱテキトーな俺には
めんどくせぇし。



毎日毎日、誕生日…

さすがに飽きてくる。

“おめでとう”と群がってくる女たちもウザい。

⏰:09/04/12 12:31 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#19 [七瀬]
 
 
「ね、そこのあなた。」


ん、逆ナンか?
別に珍しくないけど。

『な〜に?』

いつもみたいに調子良く
振り向いた。

その瞬間、俺は目を見開いた。



…外人?
 

⏰:09/04/12 13:40 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#20 [七瀬]
 
『…俺?』

フランス人か?
なぜか突発的にそう思った。
やべー、俺フランス語どころか英語すらまともに話せないぜ。


「そう、そこのあなた。」

そこには色素の薄い髪に
真っ白な肌。
極め付けは焦げ茶の瞳の
チビな女。

ってか、めちゃめちゃ日本語しゃべってんじゃん!

⏰:09/04/12 13:45 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#21 [七瀬]
 
『えーと、俺になにか?』

とりあえず日本語話せるみたいだし、いっか。


すると、その外人?は
ニコッと笑って、言った。




「私と
付き合ってくれない?」  
 
 

⏰:09/04/12 17:30 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#22 [七瀬]
 
『は?』

逆ナンつっても、
ここまでストレートなのは初めてだな。


「だーから、付き合って?」

『観光案内?』

こう考えるのが
一番まとも…


「そうじゃなくって」

次はクスッと怪しげに笑った。

⏰:09/04/12 17:34 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#23 [七瀬]
 
 
「ボーイフレンドになってとゆう意味。」


『え?
って!!ちょっと……』

聞き返す前に
制服の裾を思いっきり引っ張られていた。


『ねぇ、ちょっと!
ねぇ!!どこ行くの!』


なにも答えない外人女。

⏰:09/04/12 17:39 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#24 [七瀬]
 
5分くらい、振り回されて俺はもうヘトヘト。

チビのくせに
すごい力だな、この女。


「あっ!」

いきなり止まる謎の女。


そして振り向いて
俺に

「駅ってどこにあるの?」

ってペロッと舌を出した。

⏰:09/04/12 17:43 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#25 [七瀬]
 
はあ!?
なに言ってんだよ、この女。

内心イライラしてたけど

相手はガキだし外人?だし…女だし。

『…ずいぶん前に通り過ぎたけど。』

無愛想だけど
十分、我慢したつもり。


「そ。
じゃあ戻ろっ!!」
 

⏰:09/04/12 17:48 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#26 [七瀬]
 
そんな俺の好意を
この女はあっさりとスルーしたどころか

また走りだした。


もう勘弁してくれよー!!



『ハァ…ハァハァ……』


やっと駅に着いた。

これで、この謎の女とも
おさらばできる。

⏰:09/04/12 17:52 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#27 [七瀬]
 
 
『ハァ…無事に駅着いて、良かったな。』

息を整える。


『じゃあ俺はこれで…』

そう立ち去ろうとした
瞬間


グイッ

またかよ!


「電車乗ろっ」

⏰:09/04/12 17:58 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#28 [七瀬]
『なに言って…』 


「デートデート〜」

そう楽しそうに笑う女。


俺のイライラは最高潮に。

『いい加減にしろよ!!
いきなり“付き合え”だの“デート”だの…
俺もヒマじゃねぇんだよ』

ヒマ人だけどね。

まあ、知らん女に振り回されて…
俺、実は気短いんだよ。

⏰:09/04/12 18:03 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#29 [七瀬]
 
『それにお前の
ボーイフレンドになったつもりもない。』


きついけど、
はっきり言わないと…

こういうヤツは質が悪い。


女はうつむいている。

…ちょっと言い過ぎた?


『その…ちょっと言い過ぎたかな?大丈…』

⏰:09/04/12 18:06 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#30 [七瀬]
 
顔を上げた女。


…笑ってる?

「そう…そうだよね。」


悲しそうに笑う。

泣かれたりすると、ウザいけど、

こんな顔されると…


ちょっと後悔すんだよな。

『え…と。』

⏰:09/04/12 18:10 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#31 [七瀬]
 
「私…20歳まで生きられないんだよねぇ。」

え?


「死ぬまで一回、デートしてみたくって。
彼氏とか憧れてて…ね。」
引きつってる笑顔が、
真実を語っていた。


「でも、なんかごめんね!見ず知らずなのに…
いきなり迷惑だよね!!」
 

⏰:09/04/12 20:00 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#32 [七瀬]
 
『いや…その。』


涙を流すわけでもなく、
ただ真っすぐに、その茶色い瞳を空へと向けていた。




『よし!行こっ!!』
 
 
「え…いいの?」

彼女の目が輝きだす。
 

⏰:09/04/12 20:03 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#33 [七瀬]
 
 
 
「わあ!!」

彼女は歓声を上げた。
目はキラキラしたまま。


「あれ!
あれ乗りたあーい!!」

指差す先には
メリーゴーランド。


軽やかなメロディーが流れる中、
子供たちが並ぶ列の最後に2人で並んだ。

⏰:09/04/12 20:13 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#34 [七瀬]
 
メリーゴーランドなんて
子供みたいな乗り物に
乗って楽しいのか?

そう思ったけれど
横顔を見る限りは楽しいんだろうな。



「お待たせしました。」

ガチャと鎖が開くと
今まで乗っていた子供たちが降りて、並んでいた俺たちの列が入った。

⏰:09/04/12 21:38 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#35 [七瀬]
 
「あれ!」

『え?…って、おいっ!』


俺の声を無視して
あの女は、子供らを押してまで、一番大きな白馬に乗っかった。

「ねぇねぇ!
早く早くー!!」

『え?俺も乗るの?』


「当たり前ー!!」
 

⏰:09/04/12 21:47 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#36 [七瀬]
 
ただでさえ、
周りの目が痛いのに

大人2人が
メリーゴーランド?

…なんて絶対無理!


「早くってばあ!!」

『いや…その、
俺は止めとくよ…』


「なんで?
なんでなんでー??」

⏰:09/04/12 21:51 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#37 [七瀬]
 
今さらだけど
なんなんだ、この女は。

3歳児か?


それに、
さっきの悲しそうな顔…

今は微塵も感じられない。


失敗した…
やっぱり、こんな
訳の分かんねぇヤツに付き合うんじゃなかった。


俺は後悔し始めていた。

⏰:09/04/12 21:56 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#38 [七瀬]
 
 
 
あの時、
俺は、この女に同情したのだろうか。





ただ、
なぜか、揺れている彼女の真っ茶色な瞳を見て


ほっとけなくなったんだ。 
 

⏰:09/04/12 22:32 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#39 [七瀬]
 
 
「あの〜お客様。
危ないので……」

アナウンスの人が
そう言ってくれなかったら俺は今頃、顔から火を吹いていただろう。


あの女は仕方なくといった感じで諦めてくれたようだ。


「ちゃんと写真、撮っててよね!」
 

⏰:09/04/12 22:35 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#40 [七瀬]
 
そう言ってたのを
思い出し、
インスタントカメラを構えた。



……お姫さまみたい。


子供だらけのメリーゴーランドで一人浮いてる彼女。

色素の薄い髪が太陽の日差しで、より美しさを際立たせている。
 

⏰:09/04/12 22:40 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#41 [七瀬]
 
 
無邪気に笑う彼女。


周りの目に
気にも止めないで、
白馬にまたがる彼女は


昔、読んだ童話に出てくるような
本物のお姫さまみたいだった。



そんな姿に、
ついレンズ越しに見とれていた。

⏰:09/04/12 22:45 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#42 [七瀬]
 
 
「ねぇ〜
ちゃんと撮ってくれた?」


『あ…ああ。』

気付くとメリーゴーランドはもう止まっていて、
あの女が目の前にいた。


「どれどれ…って全然撮れてないじゃ〜ん!!」

あなたに見とれてて
撮れませんでした。

なんて言えるわけない。

⏰:09/04/12 22:57 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#43 [七瀬]
 
 
『ごめん…』

「もうしっかりしてよね。」


こんな言い方されて
さっきみたいにムカつくはずなのに…

なぜか素直に頷いている自分がいた。


「ま、いいよ。
次、あれ行こーよ!」
 
そうやって、やっぱり俺の制服の裾を引っ張った。

⏰:09/04/12 23:01 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#44 [七瀬]
 
 
「あ、あれ食べたい!!」


コーヒーカップやら
なんやら…

幼稚園児が乗りそうな
乗り物ばっかり片っ端から乗った後、
そうやってクレープを指さした。


『はいはい。』

彼女をベンチに座らせて
俺は、ジュースとクレープを買いに行った。

⏰:09/04/12 23:07 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#45 [七瀬]
 
クレープ屋のおじさんが
丁寧に生クリームをのせている。



俺…やっぱり変だな。

だって、今日会ったばかりの見ず知らずの女に振り回されて…

しかも黙って言うこと聞いてるし。


なんか、あの女のペースにはまってる。

⏰:09/04/12 23:10 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#46 [七瀬]
 
 
「はい、クレープ2つとジュース2つで1000円ちょうどね。」

お金を渡して、あの女の待つベンチへと戻った。



「ふわふわ〜」

クレープを頬張る彼女。


結構、
キレイな顔してんだな。

その横顔を見て思う。

⏰:09/04/12 23:15 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#47 [七瀬]
 
横顔だと鼻筋の通った鼻がより強調されて見える。


ほんとフランス人みたい。

ってか絶対フランス人だ、これは。

大人っぽい。


けど、どこか幼さがある。


なんでだろう。
 

⏰:09/04/12 23:18 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#48 [七瀬]
 
座っている彼女の
上から下をゆっくりと吟味した。



あ、そうか!

なぜ、この女に幼さがあるのか…


それは


とてつもなくチビだから。 
 

⏰:09/04/12 23:21 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#49 [七瀬]
チビといっても
なんというか…


まあ、簡単に言えば

顔は外人っぽくって
体は日本人とゆうか子供。


顔だけ見れば、大人っぽいのに
体と全体で見ると、どうしても幼く見えてしまう。


俺が最初にガキと思ったのは、このせいだろう。

⏰:09/04/12 23:26 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#50 [七瀬]
なんともアンバランス。

スタイルも決して良いとは言えない。

でも、そのアンバランスさが彼女の魅力に見えた。

こう他の女にはないような…


不思議な魅力。
 

けど、今思うと
それは魔力だったのかもしれない。
 
俺を虜にした魔力…

⏰:09/04/12 23:33 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#51 [七瀬]
 
 
「あー、美味しかったあ」

クシャッと丸めてクレープの巻紙をゴミ箱に捨てた
彼女の顔は満足感で溢れていた。


『よし、
じゃあもう帰るか。』

そうベンチから立ち上がった。


「え…、もう…?」
 

⏰:09/04/12 23:37 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#52 [七瀬]
 
『“もう”って、
そろそろ日も沈むし…』

そう言いながら
彼女を見た。


「まだ…帰りたくない。」

『帰りたくない
って言われても……』



「私ね、遊園地に来たの、初めてなの。」

あの悲しそうな笑顔。

⏰:09/04/12 23:41 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#53 [七瀬]
 
 
「産まれた時から、
心臓が弱くって…
遊園地になんて、ろくに連れてってもらえなかった。

私が20歳まで生きられないのも、この心臓のせい。

だから死ぬ前に一度、
最初で最後の遊園地に来たかったの…」


ちょっと待って!

心臓弱いのに、あんなに走れるもんなのか!?

⏰:09/04/12 23:46 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#54 [七瀬]
 
「お願い…
もう少しだけ…」

そうは思ってもあの笑顔でお願いされちゃあなぁ。


『…分かった。
もう少しだけだぞ?』


「ありがとう!」

パアッと明るい笑顔に。


「で、ねぇ。次はこれに乗りたいんだあ!」

⏰:09/04/12 23:49 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#55 [七瀬]
 
 
 
そう指さす先には









ジェットコースター?
 
 
 

⏰:09/04/12 23:51 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#56 [七瀬]
 
「行くよっ!」

また引っ張られ走りだした。


『ちょ、ちょっと…』

これはさすがに
ダメでしょ!

心臓弱いのに
ジェットコースターって…

俺、なにがあっても
責任持てないよ?
 

⏰:09/04/12 23:53 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#57 [七瀬]
 
『待って!
待ってってば…』

そんな声も虚しく、
もう列に並んでいて、

夕方になって人が少なくなったからか、
列に並んですぐにジェットコースターに乗っていた。



しかも最前列。
 
 

⏰:09/04/12 23:57 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#58 [七瀬]
 
俺は、この時から…
と言うより、もっと前から

“20歳まで生きられない”

というのは嘘なんじゃないかと思っていた。


だって普通に考えたら、
そうなるだろ!?


あんなに走れて
しかもジェットコースターに乗るなんて…

心臓弱いのに、
あり得ないに決まってる。

⏰:09/04/13 00:01 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#59 [七瀬]
 
いくらバカ高に通う俺だからって
それくらいは分かる。


なのに彼女のいいなりになってしまってる俺は





やっぱり
世界一バカなのかもしれない。
 
 

⏰:09/04/13 00:04 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#60 [七瀬]
 
 
「キヤアァアアアーー!!」

隣のこの女…
すごい声だしやがった。

だから、もしかしたら心臓止まったんじゃねぇか
って思って見たら


ただ騒いでただけだった。


そんなこんなで
ジェットコースターが終わった後には
俺の方が心臓停止の状態だった。

⏰:09/04/13 00:39 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#61 [七瀬]
 
 
「お疲れさまでしたー」

スタッフのこの一声に

“ほんと疲れたよ”

って言ってやりたかった。


『もう満足か?』

そうやってジェットコースターを降りた外人女の肩に手を置いた瞬間

「ハァ…ハア」

いきなり、しゃがみ込む。

⏰:09/04/13 00:46 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#62 [七瀬]
 
『どうしたんだよ?』

「ハアハァ…大丈…夫。」

苦しそうに顔を歪ませるのを見て、俺はやっと事態の重大さに気付いた。

『大丈夫か!?』


「た……だのほっ…さ」

“発作”?


その間にも、
肩で大きく息を弾ませている。

⏰:09/04/13 06:48 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#63 [七瀬]
 
 
ど…どどど、
どーすればいいんだ!?

正直、かなり混乱した。

だって、こんなことに
出くわしたのは人生初めてだし!

なかなか出くわさないでしょ。


ええ、えーと…
落ち着け、自分…

とりあえず、
自分に言い聞かせた。

⏰:09/04/13 06:52 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#64 [七瀬]
 
『お、俺は
なにをしたらいいんだ?』


こういうことは、
本人に聞かなきゃわからない。


「カ…バン。カバ…ン
ハァハ…ァ」

段々、彼女の口から単語しか出てこなくなるのが
俺を余計に焦らせた。


カバン?
 

⏰:09/04/13 06:57 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#65 [七瀬]
俺は、素早く
ジェットコースターの荷物置場にある彼女のカバンに手を伸ばした。


「あ…りがと。」

そうやって
白い粒、…多分錠剤みたいなものを口に運んだ。


「お客様、
大丈夫でしょうか!?」


それから、5分くらい
ジェットコースターの前にいた。

⏰:09/04/13 07:02 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#66 [七瀬]
 
「フゥ…もう大丈夫。
行こっか。」

とりあえず歩けるみたいだし、さっきのベンチに戻った。


『やっぱり、もう帰ろう』

俺は、
彼女を見ずに言った。

責任は取れない。

これ以上、こいつの“ボーイフレンド”でいるのも
嫌だ。

⏰:09/04/13 07:06 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#67 [七瀬]
 
「分かった。」

やけに素直だな。

「じゃあ最後に一つだけ。一つだけお願いがあるの」

はあ…
また“お願い”かよ。


『もうダメだ。
もうほんとに…』

彼女がジッと俺を見た。

今度は強引に引っ張るわけでもなく、俺の裾を掴むだけ。

⏰:09/04/13 07:10 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#68 [七瀬]
 
 
「お願いよ…」


『…ほんとに最後だぞ。』


これに弱いんだよなあ、
俺は。

結局、こいつのいいなりじゃんかよ。


「ごめんね。」

だから
そんな風に改まれると
逆に手放せなくなるんだよ

⏰:09/04/13 07:14 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#69 [七瀬]
 
 
俺たちは
彼女が希望したデートの最後を締めくくる定番らしい観覧車に乗った。


「……」

なにも話さず、外を見ている。


俺も“キレイだね”とか
“今日は楽しかった?”
とも聞かない。
 

⏰:09/04/13 07:18 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#70 [七瀬]
 
 
「ねえ、今日はほんとにありがとう。」

彼女のこの一言で
もう最後なんだなって実感した。

この女に振り回されることもなく、
嘘か本当かも分からない
彼女の“発作”というなにパニくる必要もない。


なのに、
なぜか物足りない。

精々するはずなのに。

⏰:09/04/13 07:33 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#71 [七瀬]
 
彼女の名前が知りたい。


そう思った。


一回デートしただけの女なのに。

一回寝た女の名前、誕生日はどうでもいいのに。


やっぱ俺、なんか変。

京介が見たら笑うだろうな。

⏰:09/04/13 07:37 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#72 [七瀬]
 
 
「ねえ、あなた名前なんていうの?」

俺と同じこと考えてたんだ。


『君は?
なんてゆーの??』


「真実のお姫さま。」

ニコッと笑う。
 
 

⏰:09/04/13 18:35 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#73 [七瀬]
 
真実のお姫さま……?


なにそれ。

ふざけてんのか?

外人女を見ると、
見下すように俺を見て笑っている。


…ふざけてんだな、
こんにゃろう。
 

⏰:09/04/13 18:38 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#74 [七瀬]
 
 
『じゃー俺は悪魔くんだ』


「フフッ、なにそれ。」

おかしそうに笑う。





「マヒメ。」
 
 
マヒメ…?
 

⏰:09/04/13 18:54 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#75 [七瀬]
 
 
「真実のお姫さまと書いて“真姫”」


『ま…ひめ。』

「あなたは?」


『俺は…』

呆然としてしまったのは


あまりにも彼女に
ぴったりな名前だと思ったから。

⏰:09/04/13 19:08 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#76 [七瀬]
 
「私も言ったんだし…ね。あーくまくん?」


ニヤリと笑うお姫さま。


『雷だよ、雷。』

「雷。」


『いきなり呼び捨てかよ。年下のくせに。』

「年下?
なんで年下だって分かるのよ。
なにも言ってないのに。」

⏰:09/04/13 19:11 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#77 [七瀬]
 
『えーと…』

第一印象ガキだからです。

とはさすがに…ねぇ。


今もガキだけど。


「平成4年生まれ。」

『ってことは…』


ええーぇっ!?
俺と同い年じゃん!!
 

⏰:09/04/14 07:03 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#78 [七瀬]
 
「そ。あなたと同じ17歳。」


嘘…だろ?

ぜってー嘘だ。


“心臓が弱い”という以上に信じらんない。


…が俺はここで一つ気付いた。

『それより、そっちこそ
なんで分かったんだよ。
俺が17歳だって。』

⏰:09/04/14 07:07 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#79 [七瀬]
 
「簡単なことよ。」

俺の胸元を指さした。


「このピンバッジ。
青でしょう?
あそこの高校は1年生は赤、2年生は青、3年生は緑のピンバッジをする。
じゃあ青のあなたは2年生でしょ。」


あ…なるほど。
 
と一人合点したと同時に
思う。

⏰:09/04/14 07:12 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#80 [七瀬]
 
 
この女…


あなどれない。


初めて会った時から
感じていたことだが、
ピンバッジのことを指摘され、改めて思った。


「雷、自分のことを
“悪魔”と言ったわね。
なぜ?」
 

⏰:09/04/14 18:33 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#81 [七瀬]
 
『分かんね。
周りが勝手にそう呼ぶだけ。

ただ、これだけは分かる』


「なになに?」

身を乗り出す彼女。


『“悪魔”ってゆーのは
毎日が誕生日なんだぜ。』

ニヤッと笑って言った。

⏰:09/04/14 18:37 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#82 [七瀬]
 
きょとんとする彼女。


「そう。
それは面白いわね。」

…が、すぐに
俺に負けないくらいの
意地悪な笑みを浮かべた。


「じゃあ今度、
誕生日プレゼントを持って来なきゃ。」
 
 
挑むような挑発的な態度は俺のハートに火を付けた。

⏰:09/04/14 18:42 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#83 [七瀬]
 
…っても
悪魔にハートもくそもねぇか。

『じゃあ俺も、
お姫さまに、お返しに
誕生日プレゼントを渡さなくっちゃな。』

目をジッと見て言った。


「それは、ありがたいことだわ。

けど残念ね。
私は悪魔さんとは違って、誕生日は年に一回しかないの。」

⏰:09/04/14 18:46 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#84 [七瀬]
 
そうやって肩をくすめる。


『そうだな。
じゃあ、姫の誕生日に渡すとするか。

いつなんだよ、誕生日。』


「さあ、いつでしょう。」

わざとらしい目付き。


『教えてくれよ。
でなきゃ、プレゼントをいつ渡せばいいのか分からない。』

⏰:09/04/14 18:50 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#85 [七瀬]
 
 訂正

そうやって肩をくすめる×

そうやって肩をすくめる〇 

⏰:09/04/14 18:52 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#86 [七瀬]
 
「あら、悪魔なのに分からないの?」


ジラすなあ。
もどかしくて仕方ない。

そんな俺の様子を
この女は楽しんでるみたいだ。


『悪魔だって、分からないことの1つや2つあるだろ。


頼むよ、姫。』
 

⏰:09/04/14 18:56 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#87 [七瀬]
 
「しょうがないわね。」

手を合わしてる俺は
顔を上げた。



「2月24日。」


『うっそ!
俺と同じじゃん!!』

って、いつもみたいに
決まり文句を言った…


はずだった。

⏰:09/04/14 18:59 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#88 [七瀬]
 
 
ただ


“いつも”と違ったのは



俺の反応。


目は見開き、
口は開いたまま、
すっとんきょうな声…
 
 
 
いつものわざとらしい
演技は微塵も無かった。

⏰:09/04/14 19:03 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#89 [七瀬]
 
 
「あら、本当?
悪魔と同じ誕生日だなんてなんだか気が引けるわ。」

そうやって、
窓の外を見た彼女。


日はとっくに沈んでいて
キラキラとイルミネーションが美しかった。


『……』

俺はなにも言えないでいる。

⏰:09/04/14 19:06 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#90 [七瀬]
 
 
時折、少しウェーブがかかった長くて細い髪を掻き分ける彼女の姿が

観覧車越しに見える町並みより、美しかったのは
確か。



いつのまにか
観覧車は天辺まで来ていた。
 
 

⏰:09/04/14 19:10 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#91 [七瀬]
 
 
が、今俺の頭にあるのは







本当の本当に


“真姫と同じ誕生日”

だということだけ。
 
 
 

⏰:09/04/14 19:12 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#92 [七瀬]
 
 
 
ガチャ

「ありがとうございました」


観覧車は一回転して、
また戻って来た。


俺は、まだ誕生日のことをぼんやり考えていた。


降りようとした時、
また彼女が俺の裾を掴む。 

⏰:09/04/14 19:29 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#93 [七瀬]
 
まだなにかあるのか?


そう振り向いた。





その瞬間を



俺は二度と忘れないだろう。
 
 
ってか忘れられない。
 

⏰:09/04/14 19:56 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#94 [七瀬]
 
 
ググッと俺はネクタイを
引っ張られた。


声を出す暇もない。

本当に一瞬だった。


フワリと良いにおいが
したと思ったら





彼女の顔が目の前に。
 

⏰:09/04/14 19:59 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#95 [七瀬]
 
ちゅーされたのかと
思ったけど、

俺の唇には、彼女の髪がかかっているだけだし、

お姫さまの唇には人差し指が。

もちろん俺の指じゃない。




「実はね、
“20歳まで生きられない”っていうのは嘘なんだ。」 
 

⏰:09/04/14 20:04 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#96 [七瀬]
 
 
は…?


「よし!
もーそろそろ帰ろっ!!」

なにもなかったように
歩く女。





この瞬間と
あの時の悪魔の顔と
俺のマヌケな顔…

今でも鮮明に残っている。

⏰:09/04/14 20:13 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#97 [七瀬]
 
 
“20歳まで生きられない”というのは嘘…



一本やられた。

さっきまで

“嘘じゃねーの?”
って疑ってて、


でも、あの発作を見て
疑ったことを後悔した。
 
 

⏰:09/04/14 20:22 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#98 [七瀬]
 
それなのに…嘘??



俺って


さすがバカ高に通うだけのことはある!!


じゃねぇっ!


こう…なんというか
俺、勉強は出来ねぇけど
女のことは分かっている

…つもりだった。

⏰:09/04/14 20:25 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#99 [七瀬]
 
うん。
そのつもりだったし。


それなのに、


この俺がやられた?

納得いかねえ。


“悪魔”と呼ばれてる俺がこんな女に…



一人、軽やかな足並みの
前のヤツを見て思った。

⏰:09/04/14 20:29 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#100 [七瀬]
 
 
『なあ!』

「ん?」


『嘘って…

じゃあ、あの発作はなんだったんだよ!!』


「なにって…

冗談に
決まってんじゃ〜ん!!
演技だよ、え・ん・ぎ!」

アハハと笑う。

⏰:09/04/14 20:32 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#101 [七瀬]
 
演技?


「雷、もうすっかり、その気になっちゃってて…」


お腹を抱える真姫に
余計にムキになる俺。

『じゃっ、じゃぁ!
あの薬は
なんだったんだよ!』


「ああ、あれぇ?」

思い出したように言う。

⏰:09/04/14 20:35 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


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