―‥ 殺したいほどに ※BL
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#1 [雪]
:09/09/22 23:34
:D905i
:kWoLOAIg
#2 [雪]
誰だっけ‥
夢の中で
いつも俺を呼んでんだ
誰だっけ‥
「‥い ‥い ‥かい‥
海 !!
早く起きなさいよ !」
ベチーンと
すっかっとするような音と共に
右頬に痛みが走った
:09/09/22 23:38
:D905i
:kWoLOAIg
#3 [雪]
あぁ ‥
もやもやすんなぁ。
俺はひりひりする右頬を
軽く撫でて 眠たそうに言った
「‥はよ」
今日も友梨は元気だった
友梨ってのは俺の彼女で
一年くらい付き合ってる
ちなみに同棲中
:09/09/22 23:43
:D905i
:kWoLOAIg
#4 [雪]
大学は違うけど
友達の紹介で知り合った
普通にかわいいし
普通に優しいし
普通に泣くし怒るし
普通にいいやつ
ちょっと気が強いかな
いつもこうして
朝はやーく起こされる
「‥ねみ。」
:09/09/22 23:46
:D905i
:kWoLOAIg
#5 [雪]
カーテンを一気に開けるもんだから
眩しいったらありゃしねぇ
「目が潰れるわーどあほ」
朝が苦手な19歳。
栗色の髪が寝癖パラダイスで
目は死んだ魚の目
布団ごちゃごちゃ
ひどい時には
床にこんにちはしてやがる
とりあえず
朝は生き生きしていないわけで
:09/09/22 23:50
:D905i
:kWoLOAIg
#6 [雪]
「あたし先行くよ ?」
俺の寝癖を
さりげなく直して
友梨はガチャンと出ていった
‥ ねみ。
あー‥誰だっけかなぁ
胸くそ悪い
:09/09/22 23:54
:D905i
:kWoLOAIg
#7 [雪]
たまに見る夢だった
俺くらいの年の男が
「海ー海ー」って
馴れ馴れしく呼んでんだ
知らない奴ではないはず
嫌な気にはならなかった
むしろ
なんか心地よかった
確かいっつも
笑ってたような‥
気もしなくもないような‥
あー‥わけわかんね。
:09/09/22 23:58
:D905i
:kWoLOAIg
#8 [雪]
「んー‥」
寝ぼけながら考えながら
ぼーっと歯を磨く
寝癖からパーマへと変身させて
速攻着替えて
家を出た
飯‥忘れた。
俺が飯を抜くなんて前代未聞
どんだけ夢が気になってんだよ
:09/09/23 00:03
:D905i
:uoG52s76
#9 [雪]
電車に乗って
いつも通り大学に向かう
ふと吊革の向こうの
広告に目をやった
きゃぴきゃぴした感じの
ピンクな広告に目が行く
そりゃ俺だって男。
んまぁ、
電車にそんな広告があるはずはなく‥
:09/09/23 00:08
:D905i
:uoG52s76
#10 [雪]
友梨の女子大の広告だった。
そーいえば
今日文化祭だとかなんとか
言ってた気がする‥。
行ってやりたかったけど
今日テストあるしなぁ‥
案外俺は真面目で
案外‥ってこたぁないな
ちっちゃい頃から
学校を休むのが嫌だったわけで
:09/09/23 00:11
:D905i
:uoG52s76
#11 [雪]
正直行く気はもともとなかった
女にきゃーきゃー言われるのが
なんか最近苦手だったから
いつものように講義を受け
友達の修也が飯食いながら
「今日友梨ちゃんとこ文化祭だろ?」
‥出たよ女好き。
「行けばよかったなぁー
可愛い娘いっぱいなんだろーな」
興味ねぇなぁ
:09/09/23 00:16
:D905i
:uoG52s76
#12 [雪]
俺は頬杖をついて
退屈そうに頷いた
「俺は友梨だけだってか?
かっこいい上に一途とか
嫉妬しちゃうねー海くん。」
「どうだかねぇ」
無意識にそんな言葉をこぼした
なんとなくマンネリ化 ?
よくわかんないくど
女を通り越した存在になりつつあって
刺激がほしいのか ?
:09/09/23 00:21
:D905i
:uoG52s76
#13 [雪]
嫌いとかじゃなくて
なんだろーな‥
「友梨ちゃんいい女なのにー
いらないなら俺がもらうよ?」
「‥うん。」
適当に返事をした
友梨には悪いけど
今俺の頭んなかはアイツでいっぱいで
どうしょもなかったんだ。
:09/09/23 00:26
:D905i
:uoG52s76
#14 [雪]
修也はにやっと笑って
どこかへ行っちまった‥
あいつのことだ
本気で友梨に手を出すだろう
俺はいたって冷静だった
‥―
家に帰ると
もう友梨が先に帰ってたようで
電気がついていた
:09/09/23 00:32
:D905i
:uoG52s76
#15 [雪]
とりあえず
文化祭行けなかったことを謝ろうと
ドアを開けた瞬間
バタバタっと
友梨が駆け寄ってきた
「おかえり♪
文化祭話しかけたのにー‥
気付かなかったの ??」
は ?
酔ってんのか?こいつ
:09/09/23 00:36
:D905i
:uoG52s76
#16 [雪]
「わりぃ
俺行けなかったんだ。
誰かと見間違えたんじゃねぇ?」
「そうなんだぁ‥
見間違えたのかも。」
あっさりと受け入れて
俺の手を引いた
ついに友梨も
俺と誰かを見間違えるようになったんだな
友梨も今の俺と
同じ気持ちだったりして。
:09/09/23 00:40
:D905i
:uoG52s76
#17 [雪]
そんなこと思う頭の片隅には
やっぱりアイツがいた。
そうこうしていたら
珍しく友梨が甘えてきたわけで
少し戸惑った
「今日いろんな人に
アド聞かれたりしたけど‥
みーんな断ったよ!海がいるもんね」
自慢げに誇らしげに言っていた
もはや
嬉しいとも思わなくなってた俺は
"友梨の彼氏の海"を演じてみる
:09/09/23 00:47
:D905i
:uoG52s76
#18 [雪]
「ありがとな」
にっと笑って友梨を撫でた
「ねぇ?」
妙に友梨が積極的で
なんだか不自然。
気のせいか ‥?
俺をソファーに軽く押し倒して
軽くキスをされたんだが‥
‥。
いつもはスイッチ入るくせに
今日はそういう気分じゃなかった
:09/09/23 11:10
:D905i
:uoG52s76
#19 [雪]
「わりぃ、
ちょっと体調悪いんだ‥」
嘘をついた。
なんだかもやもやする
嫌な予感がしたけど
追うつもりもなければ
責め立てるつもりもない
もう無理だ‥。
:09/09/23 11:12
:D905i
:uoG52s76
#20 [雪]
先に寝ると言って
俺は布団にくるまった。
俺の匂いと友梨の匂いが混ざってて
きもちわりぃ‥
枕に顔を伏せて
―‥ またあの夢を見た
誰だっけかなぁ‥
未だにわかりゃしない
:09/09/23 11:15
:D905i
:uoG52s76
#21 [雪]
最近
あの夢を見ることが楽しみになっていた
なにより心地いい時間だった。
ジリリリリ‥
いつの間にか朝になっていて
耳元で鳴る目覚ましを乱暴にあつかった
「‥ねみ」
友梨がいねぇ‥
カーテンも開いてなかった
あ‥メールだ。
:09/09/23 11:19
:D905i
:uoG52s76
#22 [雪]
―――――――――
少し出かけてくるね。
夜には帰ります。
友梨より
―――――――――
勘が働いたようで
なんとなくだけど
友梨が男といるってわかった
むかつかなきゃいけねーのに
悲しまなきゃいけねーのに
俺はほっとしていた。
:09/09/23 11:22
:D905i
:uoG52s76
#23 [雪]
一年もつき合ってきたけど
好かれるために精一杯で
ほんとの自分なんか見せちゃいない。
あぁ‥俺疲れたんだ
やっと気づいて
気分転換に外に出ることにした
そこに
俺の欲しいものはあった。
:09/09/23 11:25
:D905i
:uoG52s76
#24 [雪]
唯一のストレス発散法は
衝動買いだった。
そんなわけで
服屋に行くことに‥
「もう秋物かぁー」
いつの間にやら
並ぶ服の色も暗くなってきていた
休日なのに客少ねぇなぁ‥
客は俺とあと一人だけ
珍しい
:09/09/23 12:55
:D905i
:uoG52s76
#25 [雪]
あ‥これいいかも
そう思って服に手を伸ばすと
ヒョイと
もう一人の客に先に取られた
‥ ちくしょ。
仕方なく他のとこを見て回る
あ‥これいいかも
するとまた ヒョイと
ヤツに取られてしまった
んだ こいつ。
:09/09/23 12:58
:D905i
:uoG52s76
#26 [雪]
たまたまだとしても
むかつく‥
しかもどうやら買うらしく
その服を抱え込んでいる
‥次行こ。
なんか嫌になったから
違う店に行こうと店を出ると
後ろから足音が近づいてきた
そしてアイツの声が聞こえたんだ
:09/09/23 13:03
:D905i
:uoG52s76
#27 [雪]
「海ー海ーっ!!」
その瞬間
心臓が飛び跳ねそうだった
頭ん中のもやもやが
一気に晴れた気がしたが‥
俺の後ろにアイツがいる
そう考えたら
嬉しい反面惜しくも思える
恐る恐る‥少し期待をして
思い切って振り向いた。
「‥んなっ‥」
:09/09/23 13:07
:D905i
:uoG52s76
#28 [雪]
時が止まったみてぇ‥
夢の中のアイツが
今俺の目の前にいる
しかも‥
はぁああぁあ ?
:09/09/23 18:23
:D905i
:uoG52s76
#29 [雪]
‥なんか、え ?
「海ーっ」
ガバッと一瞬にして抱きつかれた
だってよぉ‥
こいつ見たことある。
鏡で見てる俺の顔だ‥
:09/09/23 18:30
:D905i
:uoG52s76
#30 [雪]
そう
今俺に抱きついてるのは
俺と同じ顔。
ドッペルゲンガーだっけ ?
それか ??
そうだよな‥
世界中に3人だかなんだか
いるらしいし‥
「‥ってか、
こんなとこで抱きつくなよ!!!」
:09/09/23 18:34
:D905i
:uoG52s76
#31 [雪]
ドッペルゲンガーくんは
抱きついたまま
ぴょんぴょん跳ねてやがる‥
いつの間にか俺らの周りには
人 !人人人人人人 !!
そりゃそうだよなぁ。
こんな町中で男同士抱き合ってて
しかも同じ顔で
:09/09/23 18:39
:D905i
:uoG52s76
#32 [雪]
周りの視線が痛い。
ドッペル(略)くんは
気にもしてない様子‥
「ちょっ‥お前こっちこい」
ドッ(更に略)くんを抱え込み
人ごみをかき分けて
とりあえず
少し行ったところのファミレスへ
:09/09/23 18:45
:D905i
:uoG52s76
#33 [雪]
俺の目の前に座らせる
やっぱり同じ顔
本人の俺が見ても同じなんだから
端から見たら双子だなぁ‥
髪は黒と茶のツートーンだし
ちょっと俺より小さいし
なんか‥小動物っぽいし
違うって言えば違うけど
:09/09/23 18:50
:D905i
:uoG52s76
#34 [雪]
「海♪」
そんなニコニコして名前呼ばれても
‥反応しにくい。
「‥えーっと、唐突だけど 誰 ?」
俺のその質問に
驚いたように目をまん丸くして
こう言った。
「ゆ・い!!結!
わかんないの ?」
:09/09/23 18:56
:D905i
:uoG52s76
#35 [雪]
‥わかんねぇや。
「結 ?
んな名前、女でしか聞いたことねぇ」
するとニコニコした顔は
一気に曇った
「‥だよ。海の‥弟だよ」
は ? 今何て?
:09/09/23 19:00
:D905i
:uoG52s76
#36 [章]
続きが気になって
wktkしてます(゚ω゚)w←
:09/09/26 00:42
:SH06A3
:☆☆☆
#37 [雪]
章さんありがとです ^^*
へたくそですが
暖かく見守ってやってくださいw
:09/09/26 09:26
:D905i
:cXRV5epE
#38 [雪]
こいつ‥
頭イっちゃってんのか ?
「いや待て、人違いだな
俺は一人っ子だ
ちびの頃からひとりだ」
冷静にそして淡々と
すると
俺の言うことを予想してたかのように
鼻で笑われた
:09/09/26 09:29
:D905i
:cXRV5epE
#39 [雪]
ガサガサと
リュックの中を探り始めた
おいおい‥何が出てくんだ?
目を細めて見つめていると
「これ!見覚えない?」
そう言って
写真を手渡された
:09/09/26 09:32
:D905i
:cXRV5epE
#40 [雪]
俺と‥親父。
それと‥もう一人俺。
俺が2人 ??
:09/09/26 09:35
:D905i
:cXRV5epE
#41 [雪]
待て待て待て待て‥
落ち着け
頭がついて行かねぇ。
ゾッとした
俺は自分のカバンの中から
財布を取り出した。
「‥嘘だろ?」
一瞬にして俺の人生の歯車が狂う
ここまでくると
なんだか笑えてきちまうよ
:09/09/26 09:40
:D905i
:cXRV5epE
#42 [雪]
コイツの写真と俺の写真を
横に並べてみた
俺の写真はいびつな形をしてて
小さい頃から不思議に思ってた
俺を抱きかかえる親父
親父のもう片方の手のとこで
切られていた
この不思議な形は気に入っていて
親父のことも好きだったし‥
まさかこんなとこで
この形の意味がわかるなんて
:09/09/26 09:44
:D905i
:cXRV5epE
#43 [雪]
親父のもう片方の手には
"もうひとりの俺"の手が
しっかり握られていた。
なんだよ‥親父
なんで隠してたんだよ
なんで‥切らなきゃいけなかったんだよ
‥―すると結が口を開いた
「父さんを恨んじゃだめだよ
父さんは悪くないんだ」
:09/09/26 09:51
:D905i
:cXRV5epE
#44 [雪]
いきなり
いろんな事を知ったもんだから
なんだか頭が痛くなってきた。
「コイツは‥結なのか?」
写真の"もうひとりの俺"を指す
俺の指は小さく震えてた
「うん。‥一応、はいっ」
母子手帳を渡された
これを見てしまったら‥
全部受け入れなきゃいけねぇのか
:09/09/26 09:54
:D905i
:cXRV5epE
#45 [雪]
サエジマ カイ
冴島 海 O型 2984g
サエジマ ユイ
冴島 結 O型 2792g
一卵性双生児
:09/09/26 10:01
:D905i
:cXRV5epE
#46 [雪]
もう驚かなくなった。
意外と俺、素直に受け入れられんだな
俺‥双子だったんだ
:09/09/26 10:02
:D905i
:cXRV5epE
#47 [雪]
「‥なんかもっと
うまい伝え方できたらよかったんだけど
俺、バカだからさぁ。ごめんね ?」
初めて会ったような気がしなかったのは
俺らが兄弟だったから?
一緒にいて落ち着くのは
俺らが双子だったから?
「違うとこで‥話すか」
俺たちは場所を移動した
:09/09/26 10:08
:D905i
:cXRV5epE
#48 [雪]
時間を気にしてなかったが
もうあたりは暗くなり始めてた。
結は俺の少し後ろを
下を向きながら歩いてた
「‥んな、元気だせよ
教えてくれてありがとな」
すると
一気に元気が出たようで
にこにこと少し弾むように歩いてやがる
単純だなこいつ‥
なんかかわいいわ。
:09/09/26 10:12
:D905i
:cXRV5epE
#49 [雪]
さぁて‥どこ行くかなぁ。
「‥俺んち来るか?」
いや、特に深い意味はねぇよ?
うん。弟だからなうん
「‥行くぃ‥たいけど、いいの?」
行くぃってなんだよそれ
今までひとりだったから
誰か隣にいると
どんなことでも楽しかった
:09/09/26 10:17
:D905i
:cXRV5epE
#50 [雪]
:09/09/26 10:18
:D905i
:cXRV5epE
#51 [雪]
玄関をあけると
友梨が帰ってきてた。
案の定男と一緒に
:09/09/28 22:47
:D905i
:IjAAVtBU
#52 [雪]
大きなスニーカーが
友梨のヒールに寄り添うように
置かれてた。
さあ‥どうしようか
「誰か来てる‥うぅっ」
俺は結の口をふさいだ
:09/09/28 22:51
:D905i
:IjAAVtBU
#53 [雪]
「そこの部屋が俺のだから
ちょい、入って待ってて」
結の耳元でそう囁いて
冷静な足取りで
2人のいる寝室へ向かった。
:09/09/28 22:53
:D905i
:IjAAVtBU
#54 [雪]
「あぁ‥ん/
修也くん‥はぁはぁ‥/」
聞き飽きた声だ。
「ここ ?
友梨ちゃんって以外と‥」
やっぱり修也は有言実行だな
関心関心
「ひぁあ ッ/だめ //」
誰としても
同じような反応するんだ
今までにないくらい
俺は冷静にその声を聞いた
:09/09/28 22:58
:D905i
:IjAAVtBU
#55 [雪]
いきなり入ったら
非常識だよな。
それに男の裸なんて見たかねぇし‥
少し意地悪をしたかった
焦ってばたばたするとこ
落ち着きがない声
豆鉄砲くらったような顔
俺はそんなものが欲しくて
「友梨 ? ただいま」
ノックをしてそう言いドアをあけた
:09/09/28 23:02
:D905i
:IjAAVtBU
#56 [雪]
俺の望み通りに
ばたばたと音を立て
震えた声で「か‥海??」なんて‥
相変わらずわかってくれるよ友梨は
目をでっかくして
友梨も修也もこっちを見た
だから‥さあ
「俺、男の裸とか興味ねぇの。」
あえて微笑んでやった
憎たらしいんだろーなぁ。
:09/09/28 23:07
:D905i
:IjAAVtBU
#57 [雪]
「わりぃなあ‥。
お前がいらないって言うからさ
俺がもらっとこうと思ってね」
服を着ながらそう言われた
「海‥ごめんね
あたし、こんなつもりじゃ‥」
ドラマから引っ張ってきたみたいなセリフ
友梨はぼろぼろ泣き出した
:09/09/28 23:23
:D905i
:IjAAVtBU
#58 [雪]
修也は
スタスタと帰って行った。
服を乱したまま
泣きじゃくる友梨と
じっくり観察するように
それを静かに見つめる俺
温度差は確かだった
もう‥疲れたんだ。
:09/09/28 23:26
:D905i
:IjAAVtBU
#59 [雪]
‥冷酷になろうと思ったのだ。
「友梨‥大丈夫だよ」
優しく頭を撫でてやると
ぎゅっと飛びつかれた
「もうこんなこと‥ヒクッ‥しない」
俺は意外にも
傷ついたのかもしれないな
だからこんなに
体の力が抜けていくのか‥
:09/09/28 23:30
:D905i
:IjAAVtBU
#60 [雪]
傷ついた姿なんて
見せたくないもんだよな‥
突き放さなきゃ。
だから俺は優しくした
「友梨‥大丈夫だから
泣かないで ?」
そっと囁くと
ずっと一緒にいてくれる? と
期待混じりに見つめてきた
かわいいね‥友梨
:09/09/28 23:34
:D905i
:IjAAVtBU
#61 [雪]
「気にしてないから‥
他人だよ俺たち
感情移入なんてしない」
「‥海?」
「‥どうでもいいから正直。
もう疲れたんだ
"友梨の彼氏"は疲れたんだ」
:09/09/28 23:37
:D905i
:IjAAVtBU
#62 [雪]
ひどいって言って欲しくて
嫌われたくて‥
疲れたんだ
ただそれだけ。
「‥ごめんね。ごめんね」
やっと出たような
今にも消えそうな声で‥
友梨は出て行った
:09/09/29 16:20
:D905i
:HV43NjPc
#63 [雪]
小さな後ろ姿が
いつもより
小さく小さくなってた気がした
「ごめんな‥友梨」
ただ傷つけたかった。
ヤったとかヤってないとか
そういうんじゃなくて‥
ほんとの俺に絶望する前に
嫌いになってほしかったんだ
:09/09/29 16:25
:D905i
:HV43NjPc
#64 [雪]
俺、自己中なんだな
なんか疲れたからって
傷つけて消そうとして
嫌なやつ。最低なやつ。
友梨が俺のそばからいなくなって
開放感に浸る間もなく
そんなことばかりが頭に浮かんだ
:09/09/29 16:32
:D905i
:HV43NjPc
#65 [雪]
"俺"を見せるのが怖かった
"俺"を見せたら
ひとりになるって思うから
小さいとき
いろいろあって
いつの間にか人前では
完璧を目指してたわけで
すべてを器用にこなしてきたつもり
:09/09/29 16:40
:D905i
:HV43NjPc
#66 [雪]
誰一人として
"俺"を見たことはないはず。
誰一人として
俺は信じやしないよ
結局は弱いだけ
心ん中はいつもひとりだった
:09/09/29 16:42
:D905i
:HV43NjPc
#67 [雪]
すべてが表向きだけだから
何一つとして執着しない
だから正直
友梨のことはもう気にならないんだ
ひでえーなあ俺。
自らを客観視してあざ笑う
ばかな習慣が染み着いていた
:09/09/29 16:45
:D905i
:HV43NjPc
#68 [雪]
乱れた毛布を几帳面にたたみ
消臭スプレーを撒き散らし
結の元へ戻る
もう12時か‥。
珍しく、眠くねぇや
ガチャ
ドアをあけると
ソファーで気持ちよさそうに
結が寝てて、
なんだか目頭が
じんじんと熱くなった
:09/09/29 16:49
:D905i
:HV43NjPc
#69 [雪]
あんなに騒がしかったのに
こんな安心した顔で寝てるよ‥。
少し微笑み涙を溢れるくらい溜めた
ひとりじゃなかったんだなぁ‥
小さい頃から
結と一緒にいられたら
俺はもう少し
素直になってただろーな。
優しく頭を撫でてやった
:09/09/29 17:04
:D905i
:HV43NjPc
#70 [雪]
すると
ゆっくりと目が開いた
「‥か‥い。」
子犬みてぇな顔だなー。
「‥はよ。」
にこっと笑ってみせると
お帰り とはっきりしない声で言った。
:09/09/29 17:08
:D905i
:HV43NjPc
#71 [雪]
何か聞かれると思ったけど、
結は気を遣ったのか興味がなかったのか
何も聞こうとはしなかった。
‥―
「僕たちは双子。
2歳の時に、お父さんとお母さんが離婚して
僕はお母さんに
海はお父さんに引き取られた。」
結は一呼吸おいてから
淡々と今までのことについて話し出す
しっかりとした口調で
:09/09/29 17:15
:D905i
:HV43NjPc
#72 [雪]
母さんは
結のために一生懸命働いた。
そして、俺のためにも働き
お金を親父に送ってたらしい
11歳のときに
母さんはガンで死んだと言う
実の息子なのに
俺はそんなことさえ知らなかった。
全くと言っていいほど
今まで
俺は結や母さんと関係を持っていない
なぜこんなことになったのかは
わからないままだ。
:09/09/29 17:22
:D905i
:HV43NjPc
#73 [雪]
それから結は
母さんのお姉さん
つまり叔母のもとで育てられた
「中学までは行かせてもらって
卒業してから自分で働いて
ずっとひとりでここまできたんだ」
そう言った。
:09/09/29 17:25
:D905i
:HV43NjPc
#74 [雪]
俺の知らなかった
俺の弟の生涯。
辛いのは
俺だけじゃなかったんだな‥
胸の奥が
ズシッと重くなる
「働いて‥って、何してんの?」
まさかとは思ったが、
:09/09/29 17:29
:D905i
:HV43NjPc
#75 [雪]
ホストでもやってんじゃないか‥?
そんなことがふと脳裏を支配した。
「‥えーっと、」
言葉をつまらせるってことは
やっぱりか‥
しかし、結からは
俺が想像もしなかった言葉が出てきた
:09/09/29 17:33
:D905i
:HV43NjPc
#76 [雪]
「‥援交‥。逆援交。」
:09/09/29 17:33
:D905i
:HV43NjPc
#77 [雪]
‥はぁ?
世の中には
逆なんてあんのか?
言葉を失う俺に
付け足すように言った
「お金が必要だったから‥
叔母さんにもお金返さなきゃだし、
ひとりで生活しなきゃだし‥
逆援はすぐお金もらえるしね、
喜んでもらえるんだ。
俺のために
たくさんの女の子が集まってくれる
いつも誰かといられるんだよ?」
:09/09/29 17:37
:D905i
:HV43NjPc
#78 [雪]
‥結も、寂しいんだな
そう思ったら
叱ってやれなかった。
「でもね、やめようと思うんだ。
海に会えたし
僕、変われる気がする。」
俺はこいつと一緒にいなきゃいけないんだ
そう悟った。
弟に寂しい思いをさせちゃいけねぇ‥
結の手首の傷を
見て見ぬ振りをできなかったから
:09/09/29 17:43
:D905i
:HV43NjPc
#79 [雪]
「結‥今日泊まっていけよ」
心配でならなかった
こいつはいつも独りだった
辛かっただろうな‥
「‥いいの?」
ほんとに犬みてぇだな
かわいいやつ。
結はありがとうと言って
俺に抱きついた
:09/10/04 13:50
:D905i
:HFiTrH2Y
#80 [雪]
結の服からは
女物の香水の匂いがした。
俺と会う前も
"仕事"してたのか。
胸が痛む
男からしたら
自分自身には何の害もない
病気になるかもしれないけど‥
だけど俺はなぜかむかついたんだ
結が誰にでもしっぽを振って
かわいがられて‥
:09/10/04 13:59
:D905i
:HFiTrH2Y
#81 [雪]
何人もの女が結を触るんだ
汚らわしい。
今日、弟だと知った。
だけど一気に芽生えた
独占欲
:09/10/04 14:01
:D905i
:HFiTrH2Y
#82 [雪]
その日は
2人で寄り添って眠った
俺は結を強く強く抱きしめた
こいつの負ってきた傷を
全部俺が代わりに‥
負ってやりたかった。
だってこいつは
辛いくせに寂しいくせに
笑顔を振りまくんだ。
純粋すぎて、切なくなるな
:09/10/04 14:09
:D905i
:HFiTrH2Y
#83 [雪]
‥いっ ‥かい ‥海ーっ
また夢を見た。
いつものあの心地いい‥
結が俺を呼ぶ夢
「海ぃいいぃい !!!!」
鼓膜が破れそうだった
:09/10/04 15:18
:D905i
:HFiTrH2Y
#84 [雪]
「‥んだよばかっ!
んな馬鹿でかい声出されたら
鼓膜破れるわ !!」
飛び起きて早々怒鳴り散らす俺を無視して
「学校でしょ!?遅れるよ!!」
‥あ、ほんとだ。
「ほら早く着替えて!ほら」
なんか‥母ちゃんみてーだなこいつ(笑)
:09/10/04 15:22
:D905i
:HFiTrH2Y
#85 [雪]
結局
着替えてる途中に
口んなかにパン突っ込まれて
寝癖ぴょんぴょんのまんま
玄関に出された。
んな、急がなくても‥
「いってきまーす。」
されるがままに玄関を開けようとした
すると
「海っ待って!!」
早くしろとか待てとか
どっちなんだよおい。おい。
:09/10/04 15:26
:D905i
:HFiTrH2Y
#86 [雪]
「はいっ♪」
そう言って手渡された
ずっしりとした巾着袋。
「‥なにこれ」
にこにこしながら
お弁当♪と答えられたが、
‥なんでだか
新婚夫婦の朝の風景みたいなかんじで
むずかゆい。
:09/10/04 15:29
:D905i
:HFiTrH2Y
#87 [我輩は匿名である]
あげる
:09/10/24 08:29
:W64SH
:8y7tuGC.
#88 [雪]
久しぶりに
書きたいと思います !!
:09/11/04 16:34
:D905i
:Z2Iaeddw
#89 [我輩は匿名である]
まってました∀
:09/11/04 22:43
:W64SH
:mtIzJN7w
#90 [雪]
そんなこんなで
結局遅刻ぎみに家を出た。
誰かに送り出されるのって
いつぶりだろう‥
弁当持たされたのも
久しぶりだなー‥
「にしても、弁当
重すぎやしないか‥?」
だけどその重みが
なんだか嬉しかった
:09/11/04 23:51
:D905i
:Z2Iaeddw
#91 [雪]
ベンチに座って
例の巾着を開ける
蓋を開けると‥
「宝石箱やぁ〜‥って、
本気で宝石箱みたいだな」
そこには
テレビでしか見たことないような
豪華なおかずが詰まってた。
なんかもはやお節みたいな‥
でっかい海老とか、丸ごと入ってる
:09/11/04 23:57
:D905i
:Z2Iaeddw
#92 [雪]
誰かに見られるのは
少し恥ずかしかったけど、
正直うれしかった。
「結って料理得意なんだなぁ‥」
「新しい彼女?」
ぽつり呟いた独り言に
なぜか返事が帰ってきた。
驚いて目を向けると
「あ‥真由美ちゃん」
:09/11/05 00:01
:D905i
:9fJnHxLI
#93 [雪]
「おいしそうだねー♪」
真由美ちゃんは
同じ学部の同級生。
‥修也の元カノ
「あぁ‥うん」
もう俺と友梨が別れたって
知ってんのかよ‥。
「あ、彼女じゃないよ」
動揺を隠すために
緩く笑って見せた。
:09/11/05 00:06
:D905i
:9fJnHxLI
#94 [雪]
ふぅん と言って
流すかと思いきや‥
真由美ちゃんはそうはいかない。
「えーじゃあ友達?
お母さんとかっ?」
キャピキャピした子は
どうやら俺は苦手らしい。
今‥気付いた
「あぁー‥うん、まぁ」
適当に流して嘘を付いた。
"弟"なんて言ったら
きっと修也と同じように
食ってかかられる(笑)
:09/11/05 00:45
:D905i
:9fJnHxLI
#95 [雪]
「そうなんだぁー‥」
無理やり納得したようで
真由美ちゃんは
俺を観察するようにじっと見つめていた
「あ、そうだ
今度‥海くんデートしない?」
デ‥デート‥だと?
「海くんのこともっと知りたいし
ねぇ?いいでしょ?」
展開が早すぎてついて行けず
あほらしく
ぽかんと口を開けたままだった
:09/12/04 12:40
:D905i
:/pht6/sY
#96 [雪]
「あぁー‥えっと‥」
最近苦手になった女の子。
ましてやきゃぴきゃぴされたら
たまったもんじゃない。
そのたまったもんじゃない女の子が
俺をデートに誘っている。
断りたい‥断りたい‥
断り‥
「じゃあ決まりね♪」
「‥は?!」
:09/12/04 12:43
:D905i
:/pht6/sY
#97 [雪]
「ちょっと待って!俺‥」
マシンガン野郎だほんと。
真由美ちゃんは
無理やりだとわかっていて
話を進めているのがわかった。
「詳しいことはまた後で♪」
またねと手を振り
ヒラリとスカートを揺らし
嵐は去っていった。
その時から俺は頭をフルに使い
やんわり断る理由を考え始めた
:09/12/04 12:47
:D905i
:/pht6/sY
#98 [雪]
「まじ勘弁‥」
結に相談しようと決めて
いつもより早く帰った。
――――――‥
窓から明かりがもれていた。
結は家にいるらしいとわかったら
何だか胸が弾んだ。
ガチャ
「ただい‥「おかえりー!!!!」
玄関を開けた瞬間
勢いよく吹っ飛んできやがった。
:09/12/04 12:50
:D905i
:/pht6/sY
#99 [雪]
「た‥ただいま」
友梨とはまた違う新鮮な出迎え。
弟ににやける俺。
おい俺、しっかりしろ俺。
‥ギュウウウ
「おかえり、」
一気にさっきのテンションから
寂しそうな声を出して
結が抱きついてきた。
自然と緩んでいた口元に
俺ははっと我に返る。
:09/12/04 12:55
:D905i
:/pht6/sY
#100 [雪]
:09/12/04 12:56
:D905i
:/pht6/sY
#101 [雪]
「ねぇ‥海?」
上目遣いで見つめる結。
‥ときめいてしまった俺を
どうかお許しください神様(笑)
「ご飯、食べた?」
そんなこと聞くために
こんな可愛い顔されちゃ‥、
「まだ‥だけど?」
まともに目を合わせられない
:09/12/04 22:35
:D905i
:/pht6/sY
#102 [雪]
すると結は
くしゃっと笑って俺の手を引いた。
「ご飯作って待ってたんだよ♪」
やっぱりまるで新婚のようで‥
どう見ても兄弟っぽくない。
これでいいのか?俺
こいつは弟だぞ?
「はい♪ハヤシライス♪」
んな‥
:09/12/04 22:39
:D905i
:/pht6/sY
#103 [雪]
「‥何で俺がハヤシライス好きだって
知ってるんだ?!」
ハヤシライスは俺の夢、希望、嫁(笑)
カレーよりハヤシライス派
結はにっこり笑って
だって双子だもんと言った。
今までの孤独が一気になくなった
弟がいるって考えるだけで
どこか心が安らいだ。
:09/12/04 22:42
:D905i
:/pht6/sY
#104 [雪]
そんでこのハヤシライス
ハヤシ通の俺の喉をうならせた。
「‥うま」
俺が食べる姿を
結は顎に両手を添えて
嬉しそうに眺めていた。
―‥家族がいる幸せ。
結がいる幸せ。
:09/12/04 22:48
:D905i
:/pht6/sY
#105 [雪]
結が可愛いすぎ‥
いや、これがうますぎて
すっかり忘れていた。
真由美ちゃんとのデートの約束‥
「どうやったら‥
やんわり断れるもん?」
膨れた腹をなでてため息をついた。
「何を断るの?」
「‥デートの約束」
:09/12/04 22:54
:D905i
:/pht6/sY
#106 [雪]
結は目を伏せて考え込んだ。
なぜかこの沈黙さえも
愛おしく思えてしまう。
「僕‥あんまり断らないからなぁ(笑)」
困ったように眉を下げて笑った。
そうか‥逆援。
金になるもんな‥仕事だしな。
「そっか‥。
最近、どうも女の子苦手でさ」
:09/12/04 22:59
:D905i
:/pht6/sY
#107 [雪]
すると結は目をまんまるくして
不思議そうに見つめてきた。
ほんと、犬みたい(笑)
「何で‥?
もてるのに、もったいないね」
「もてねぇって‥。」
厄介な女の子は苦手だ。
「もてるよ‥。」
少し寂しそうな顔をした結に
俺はまたときめいてしまった。
:09/12/04 23:02
:D905i
:/pht6/sY
#108 [雪]
「ゆ‥結だってもてるだろ?」
聞くべきじゃなかった。
結はだまって首を横に振る。
金のために自分を売り
寂しさを紛らわすために
自分を偽り媚びを売った‥
結の笑顔の裏には
まだ暗い闇が潜んでる。
「結は可愛いからな(笑)
年上に好かれそうだ」
悲しそうな結の表情に
俺は敏感になった。
:09/12/04 23:08
:D905i
:/pht6/sY
#109 [雪]
「‥僕も
もう女の子は苦手になった」
拳にぎゅっと力を入れて
肩を震わせている。
‥見ていられなかった。
そんな姿見たくなかった。
ギュウ‥
俺は後ろから結の首を抱いた
無意識の内に動いた体
弟を守ってやりたいって
傍にいてやりたいって思うのは
普通のこと、だよな?
:09/12/04 23:14
:D905i
:/pht6/sY
#110 [あつ]
:09/12/04 23:38
:SH905i
:XBD5v.Jo
#111 [雪]
* あつさん
ありがとうございます ><
マイペース更新ですが
これからもよろしくです ★!
:09/12/05 13:01
:D905i
:DhlqH7iY
#112 [雪]
「僕は‥汚れてるんだ」
結はぽつり呟いた。
蚊の鳴くような弱々しい声で‥
うまく励ましてやれない
自分に腹が立った。
「‥僕なんか、僕なんか、
生まれてこなければよかったんだ‥」
:09/12/05 13:13
:D905i
:DhlqH7iY
#113 [雪]
衝撃だった。
結が寂しかったのも
辛かったのもわかってるつもりで、
俺と一緒だと思ってた。
だけど俺は
"生まれてこなければよかった"なんて
そこまで思い詰めたことはない。
金のために自分を売ったことが
必ずしもいいことだとは言えないけど‥
:09/12/05 13:42
:D905i
:DhlqH7iY
#114 [雪]
抱きしめる腕に力を入れた。
「‥んな、悲しいこと言うな。」
結の首筋に顔をうずめた。
あったかい‥
それでも結の心は
何よりも冷え切っていた。
:09/12/05 13:49
:D905i
:DhlqH7iY
#115 [雪]
秒針の音が痛い。
「海‥そのまま
僕を殺して‥。」
:09/12/05 14:04
:D905i
:DhlqH7iY
#116 [雪]
普通はここで
"そんなことできるはずないだろ!"って
言うはずだった‥。
俺は体を少し離し
結の首に手をかけて
ぐっと力を入れ、首を絞めた。
:09/12/05 14:40
:D905i
:DhlqH7iY
#117 [雪]
自分の手が震えていた。
徐々に力が入る手の感覚が
今までにない生々しさを覚え
暖かかった結の首が
だんだんと冷たくなってくる気がする‥
「死にたくなるよな‥結
辛かったんだろ‥?」
あえて俺は
結の耳元で優しく囁いた。
:09/12/05 14:44
:D905i
:DhlqH7iY
#118 [雪]
すると結は
ぐっと歯を食いしばっていた。
「か‥ック‥海‥ッあぁ‥、」
苦しそうな声を漏らし
俺の名前を呼ぶ。
結の頬に
すっと涙が伝っていた。
:09/12/05 14:48
:D905i
:DhlqH7iY
#119 [雪]
「死にたいんだろ‥?
今までの苦しさに比べたら‥
こんなの大したことない‥
そうだろ‥?結」
完全に俺はいかれちまった。
このまま弟を殺すのか‥?
「か‥いッ‥‥‥ッだぁ、
や‥ッ死に‥た‥ッン、ない‥。」
必死に振り絞った
"生"を欲するその声に
俺は手の力を緩めた。
:09/12/05 14:51
:D905i
:DhlqH7iY
#120 [雪]
手に残る結の細い首の感覚
"死にたくない"と言った振動‥
「‥ッグハ‥!ゲホッ‥ゲホッ‥」
苦しそうに咳き込む結の姿に
俺は我に返った。
何やってんだ‥俺
:09/12/05 14:55
:D905i
:DhlqH7iY
#121 [雪]
時計の音が聞こえない‥。
ふらつく足で結は立ち上がり
焦点の合っていない俺を見つめた。
「海‥ッ、‥あり‥がと」
またあの無邪気な笑顔をこちらに向ける
俺にはこいつしかいない。
俺は一人じゃない‥。
力いっぱい結を抱きしめて
物心付いてから初めて、人前で泣いた。
:09/12/05 15:00
:D905i
:DhlqH7iY
#122 [雪]
結は黙って
頭を優しくなでてくれた。
"ありがとう、海。
僕‥海の弟でよかった。
死にたくないって初めて思えた‥。"
そう言ってまた笑った。
人は独りじゃないって実感すると
こんなにもあったかくなって、
こんなにも甘えてしまうんだって
その日、
俺は俺をいつものように客観視して
あざ笑わずに、微笑んだ。
:09/12/05 15:10
:D905i
:DhlqH7iY
#123 [雪]
「結が弟だって知って、
驚いたけど‥嬉しかった。」
同じ布団に潜る結を
緩く抱きしめた。
「‥ねぇ、海?」
「ん‥?」
暗がりでよくわかんなかったけど
なんとなく恥ずかしそうにしてる結
「‥ずっと一緒にいて?」
:09/12/05 15:14
:D905i
:DhlqH7iY
#124 [雪]
その言葉のほんとの意味を
俺はわかっていた‥。
だけど、
その意味をわかっちゃいけない
「海‥、大好き‥。」
きっとそのままに受け入れたら
俺たちは辛い厳しい道を歩むから‥
今出たばかりの"芽"を
摘み取るのは簡単だろう‥。
:09/12/05 15:18
:D905i
:DhlqH7iY
#125 [雪]
「ありがとう‥。」
たった一言そう言って
気づかないふりをした。
結は一番いけない相手だ。
結は男‥俺の弟‥。
:09/12/05 15:20
:D905i
:DhlqH7iY
#126 [雪]
それから結は相変わらず
毎日弁当作ってくれて
帰れば出迎えてくれた。
寝る前に
"海、大好き"と言った。
俺は結とは常に
"弟"という線を引くことにしたんだ。
そんなある日‥
:09/12/05 18:53
:D905i
:DhlqH7iY
#127 [雪]
珍しく
家の明かりがついていない。
「ただいま‥」
いつも犬みたいに
勢いよく吹っ飛んでくるのに‥
寝てんのか‥?
ソファーにも俺の部屋にも風呂場にも
結の姿はなかった。
「出かけてんのか‥。」
すると携帯が鳴った。
:09/12/05 18:58
:D905i
:DhlqH7iY
#128 [雪]
『今日は帰りが少し遅くなります。
ごめんなさい。
夜ご飯は冷蔵庫に入ってるよ !
あっためて食べてね』
結からのメールだった。
何だか物寂しい‥
冷蔵庫の冷気にブルッと体を振るわせ
夕飯をレンジに突っ込んだ。
くるくる回るそれをぼーっと眺め
ついたため息。
:09/12/05 19:01
:D905i
:DhlqH7iY
#129 [雪]
うまいはずの夕飯も
一人ではあまりうまく感じられなかった。
‥なんだか時間が長く感じる
ソファーに寝転んで
何をするわけでもなく、
ただただ結の帰りを待つ自分。
「結も、いつもこうして
待っててくれてたんかな‥」
久しぶりの独りは心細かった。
:09/12/05 19:06
:D905i
:DhlqH7iY
#130 [雪]
8時‥9時‥10時
なかなか帰ってこない。
俺は少し苛立ち始めていた
寂しすぎた、それ故のわがまま
「早く帰ってこいよ、ばか」
:09/12/05 19:08
:D905i
:DhlqH7iY
#131 [雪]
「―‥くっそ」
苛立ちの矛先を向けたクッションが
鋭く床に突き刺さる
ガチャ
「ただいまー!」
:09/12/09 17:46
:D905i
:meo2v3zE
#132 [雪]
まるで主人を待ってたかのように
いつもの結のように
はっと起き上がり駆け寄った
が‥
「ごめんお風呂入っちゃうね!」
俺よりも早く
隠れるように風呂場のドアを閉めた音が
耳の奥に響いて痛い
:09/12/09 17:49
:D905i
:meo2v3zE
#133 [雪]
どれだけ待ちくたびれてたのか
どれだけ結に飢えてたのか
どれだけ依存してたのか
なんだか急に恥ずかしくなり
眉間に少しシワを寄せて舌打ち。
そんな舌打ちは
いつしかため息に変わり
結の着替えとタオルを持った手が
どこか寂しそうな様子だった。
:09/12/09 17:52
:D905i
:meo2v3zE
#134 [雪]
ドアを開けると
嗅ぎ覚えのある匂いが鼻についた。
隙間から漏れる湯気にゆられ
しっかりと俺の記憶を引き戻し
またよった眉間のシワ。
シャワーの音
結が肌色がうっすら映る曇りガラス
少し使い古された蛍光灯
依存してるのは俺だけだ‥
結局は、孤独なわけか
:09/12/09 18:00
:D905i
:meo2v3zE
#135 [☆☆☆]
続き楽しみにしてます

:09/12/19 21:16
:F01A
:Mae547Gk
#136 [あこ竅兢
いつも読んでますy★
更新頑張ってください(>_<)
楽しみにしてますy
:09/12/20 19:30
:auSH3B
:iXS395WA
#137 [雪]
☆☆☆さん & あこ☆さん
遅れてすみません(´;ω;`)
あげありがとです !
今日は更新しますね!!
:09/12/22 16:45
:D905i
:DeMeQxvE
#138 [雪]
「‥ッ、」
このいらいらは何なのか。
今までにないような‥
じっとしてらんない
付きまとうあの臭いに
鼻をつまんで
結のシャツを洗濯機にぶっこむ
しわしわになったソレは
一体さっきまでどんな状態だったんだろう
放り出されて結と女を眺めてたのか?
しょうもない妄想が俺の中で暴れ出す。
:09/12/22 16:56
:D905i
:DeMeQxvE
#139 [雪]
「‥結、
話あっから‥早く出てこい」
シャワーの音が声をかき消す
何もかもがうざったい。
たった一枚の硝子が
何かを悟ってるかのように
ぼんやりと俺の前から結を奪う。
「結!!‥早くしろ!!」
怒鳴り散らして
勢いよくドアを開けた。
:09/12/22 17:00
:D905i
:DeMeQxvE
#140 [雪]
浴室に似合わないような
透き通った赤を
排水溝が飲み込んでいく。
結の手首から滴る
真っ赤な真っ赤な結の生。
虚ろな目をして
だらしなく崩れている姿は
まるで人間ではないようで、
体の至るとこに
引っ掻いたような生々しい傷が
刻まれていた。
:09/12/22 17:04
:D905i
:DeMeQxvE
#141 [雪]
「てめ‥何してんだよ!!」
急いでシャワーを止め
結をバスタオルで包み込んだ。
あまりの血の量に死んでると思ったが
何かに取り付かれたように
ぶつぶつと繰り返している
:09/12/22 17:09
:D905i
:DeMeQxvE
#142 [雪]
「‥なきゃ、
綺麗にしなきゃ、綺麗にしなきゃ‥」
ただひたすらに
何かに追われているように
そう呟いていた。
:09/12/22 17:44
:D905i
:DeMeQxvE
#143 [雪]
バスタオルが
うっすらと赤く染まる
「結‥!!しっかりしろよ」
バスタオルごと抱きしめると
風呂に入ってたとは思えないほど
体が冷え切っていた。
なぜか俺はぞっとしてしまった。
「‥なきゃ、きれ‥に」
まだ言うかこいつ‥
:09/12/22 17:49
:D905i
:DeMeQxvE
#144 [雪]
服を着せるにも
いたるとこに傷があるからできず
毛布をかけてやったが
血が抜けたせいで体温が下がったのか
青ざめた顔で小さく震えてた
手首の赤く腫れ上がった傷を
隠すように包帯で巻いてやる。
‥相変わらず虚ろだ
「結‥?」
:09/12/22 17:52
:D905i
:DeMeQxvE
#145 [雪]
「海‥ぼく‥、汚いね」
ぷつりぷつりと途切れた声を
拾い集めるのが大変なほど
小さく弱々しくそう言った。
結の腕には
前に見たときよりも傷が付いてて
綺麗な肌もボコボコに腫れ上がり
この顔からは想像できないほど
生々しくグロテスクで‥
寂しさを訴えていた。
:09/12/22 17:57
:D905i
:DeMeQxvE
#146 [雪]
「んなことねぇ。」
緩く微笑んで必死の余裕顔。
なだめるように頭を撫で
額にキスをした。
にしても、ひでぇなこりゃ‥
「何したらこんなになるんだ?」
責めちゃいけない。
今は落ち着かせるのが先だ‥
「綺麗に‥したの。」
「綺麗に?」
:09/12/22 18:01
:D905i
:DeMeQxvE
#147 [雪]
「だって‥汚いから‥。
全部洗い流さなきゃ‥
よく、洗わないと‥」
擦りすぎか‥
結の手のひらについた爪痕
爪に付いた血
納得したように黙って頷く。
やっぱりこいつを
一人にしちゃいけねぇ‥な
「大丈夫だ。十分綺麗だから」
不安そうにやっと目を合わせたその目に
一体何が見えてるんだろう
:09/12/22 18:06
:D905i
:DeMeQxvE
#148 [雪]
何だか放っておけなくて、
次の日は大学を初めて休んだ。
寝たらケロッと復活しやがった‥。
またいつあぁなるかわからない。
そんなことを考えると血の気が引いた。
「海ー?」
ひょっこり顔を出した
あのいつもの無邪気な笑顔
夢を見てたかのような昨日‥
なんだったんだろーな
:09/12/22 18:12
:D905i
:DeMeQxvE
#149 [雪]
「パンとご飯どっちがいいー?」
「んあー‥飯。」
「お味噌汁あるけどー‥
おかずまだ作ってないんだぁ、」
眉を下げて困ったように笑う。
こんなに表情豊かなのに
昨日のあの虚ろな眼差しが
嘘のようだな‥。
「あぁ、俺納豆でいいわ」
「‥」
急に黙り込む結。
まさか‥またヒステリック‥?
:09/12/22 18:17
:D905i
:DeMeQxvE
#150 [雪]
「あ?聞こえてんのか?」
「‥だぁ。
納豆やだああぁああぁあ!!!!!」
‥おいこら、くそがき。(笑)
:09/12/22 18:20
:D905i
:DeMeQxvE
#151 [雪]
「あのなぁ‥
別にお前が食べるんじゃないんだ‥」
ってか人の話は最後まで聞けよ!
結はスタスタとキッチンに向かった。
あー今日寝癖やばいわ‥。(笑)
「ったく‥
んな朝っぱらからでけぇ声出すな‥」
って‥
「ごるぁああぁああぁあ!!!!」
:09/12/22 18:23
:D905i
:DeMeQxvE
#152 [雪]
がさごそと冷蔵庫をあさり
乱暴に納豆を取り出し
それを‥‥
「納豆なんか‥
この世にいらないぃいぃいい!!!」
勢いよく腕を振り上げ
ゴミ箱に捨てようとするくそガキ
「てんめぇええぇ!!!!」
後ろから覆い被さるようにして
なんとか納豆を救出(笑)
:09/12/22 18:28
:D905i
:DeMeQxvE
#153 [雪]
両手首を片手で固定。
じたばたするくそチビ
「食べ物を粗末にすんな!!」
朝っぱらから
よくもあんなでかい声がでたもんだ
とりあえず納豆はハヤシの次に
俺の好きなもの。
捨てられてたまるか(笑)
「だって納豆嫌いだもん!
ねばねばだし臭いし!」
あーだこーだ云々。
納豆を悪く言う奴は許さない
:09/12/22 18:32
:D905i
:DeMeQxvE
#154 [雪]
もう片方の手で
思いっきり顔をぶちゅっと
潰してやった(笑)
「なっちょうちゃべちゃら
きゃいがくしゃくなりゅもん
(納豆食べたら海が臭くなるもん)」
「歯を磨けば問題ねぇだろ」
今更ながら思ったより
案外結がちっさいことに気づく。
目線は確かに下へ向く
:09/12/22 18:36
:D905i
:DeMeQxvE
#155 [雪]
こいつぁー‥170ないな(笑)
当たり前のことだが
結は自然と上目遣いになる。
‥くそっ
そこらの女より可愛い‥
なんとなくだんだん
恥ずかしくなってきた。
「まぁ今回は‥ゆ、許してやる」
ぱっと手を離し顔を背けた。
:09/12/22 18:39
:D905i
:DeMeQxvE
#156 [雪]
納豆を片手にため息つきながら
椅子を引いた。
ふと思ったことは、
こんなに賑やかな朝は久しぶりで
結との言い争いは
なんとなく心地よくて‥
うん。‥うん。
「かーいー‥」
声の調子から
かなりしょげてる様子(笑)
:09/12/28 12:37
:D905i
:dWs.vmLM
#157 [雪]
ほんとに
かまってちゃんだなー‥
まぁ、そんなとこも可愛い‥
っておい、俺
もはやコントロール不能な感情。
何だかんだ考えて
悶々としてたら
返事をするのを忘れていた。
:09/12/28 12:44
:D905i
:dWs.vmLM
#158 [雪]
「ねーかいー‥」
あえて返事もせずに
椅子に座ろうとする俺に
‥近づく足音。
「んだよー‥ん?」
仕方なく振り返ったら
結はもう、俺の胸に顔を埋めていた
おいおいおい‥
:09/12/28 12:48
:D905i
:dWs.vmLM
#159 [雪]
もう1年も前のものですが
時間に余裕がでてきたので
また書き始めたいと思います**
読んでくれる方がいらっしゃれば
嬉しいです(^^)
ゆっくりですが、がんばります
:10/11/22 17:51
:D905i
:96rWnzeo
#160 [我輩は匿名である]
読んでました!
続き楽しみにしてます♪
:10/11/22 22:10
:CA003
:KMQketjA
#161 [雪]
>>160さん
ありがとうございます!!
お待たせして
申し訳ありませんでした(´・ω・`)
また読んでいただけるなんて
幸いです**
小説は久しぶりなので
ぐだぐだになってしまいそうですが
一生懸命がんばるので
これからもよろしくお願いします(^^)
:10/11/23 00:09
:D905i
:nXM3hLDM
#162 [雪]
>>158 つづき
少しばかり躊躇いながらも
受け入れてしまう。
なぜか鼓動が忙しくて
結に聞かれていそうで、恥ずかしかった
「んー‥ ?」
離れて欲しいような
欲しくないような
:10/11/23 00:11
:D905i
:nXM3hLDM
#163 [雪]
「納豆臭くても、好き」
胸のあたりが
結の吐息で熱くなる
今の俺には
はいはいと流す他なかった。
自分自身にわかりきった嘘をついて
ブレーキをかけるのに必死だったんだ
:10/11/23 00:12
:D905i
:nXM3hLDM
#164 [雪]
「‥どこも行かないで」
後ろにまわった細い腕は
震えるほどに力がこもってた
「誰にも‥
誰にも取られたくないんだ」
「別に、誰もとりゃぁしないさ」
柔らかい髪をそっと撫でる
:10/11/23 00:14
:D905i
:nXM3hLDM
#165 [雪]
単純なようで
案外複雑なこいつは
一体いくつの苦痛を
独りで背負ってるんだろうか
俺にはそれを
黙って聞くことしかできない ?
:10/11/23 00:15
:D905i
:nXM3hLDM
#166 [雪]
「俺らは、血の繋がった兄弟
‥どんな奴でも
これは変えられない事実‥だろ ?」
いっそのこと‥
この気持ちをぶちまけて
結がどこにもいかないように
俺のだって証を刻んで
何度も何度も溶け合ってしまおうか
:10/11/23 00:16
:D905i
:nXM3hLDM
#167 [雪]
今まで
そんなことを思える相手に
出会えてなかったから
こんなおかしなことを
当たり前のように考える自分が
‥少しばかり怖くなった。
:10/11/23 00:17
:D905i
:nXM3hLDM
#168 [雪]
正しい愛し方がわかんねぇや
そもそも"正しい"って何だ ?
このまま力いっぱい抱きしめて
壊しちまいたいって言うのに
こんなに無防備に
無邪気でいられる結を
恨めしくも思ったりした
:10/11/23 00:19
:D905i
:nXM3hLDM
#169 [雪]
ありがとって笑って
歯磨き粉をホイップクリームのように
たんまりと乗せた歯ブラシを差し出した
「早く歯、磨いてね !」
少し涙目で、愛おしい
俺はもう 終わったのかもしれない
:10/11/23 00:54
:D905i
:nXM3hLDM
#170 [雪]
「はぁ〜〜〜(笑)」
わざと息を吹きかけた
結の前髪がふわっと舞って
眉間にシワが寄って
地獄を見たらしい。納豆地獄
黒目をあっちへこっちへ
ぐらぐらさせていた
:10/11/23 00:57
:D905i
:nXM3hLDM
#171 [雪]
「海‥いじわる !!」
怖くも痒くもなんともない
正直
今にも泣きそうな顔で言われても
笑いをこらえるのに必死だ
「小さいころ
好きな子に、よく悪く言ったなー。
ブスとか、バカとか‥
頭たたいたり、つねったり」
:10/11/23 01:02
:D905i
:nXM3hLDM
#172 [雪]
きょとんとした結
「結は?なかった?そういうの」
「んー‥わかんないや
なんの話?」
「へー。好きな子には意地悪したくなるって
よく聞かない??」
きっと結はわかってる
全部知ってる。
黙っているのは優しさか?
互いに歯止めをかけて
禁じられた遊びに
密かに胸を膨らました。
:10/11/23 01:05
:D905i
:nXM3hLDM
#173 [我輩は匿名である]
気になる!
:10/11/28 03:36
:SH02A
:B0EEeewQ
#174 [雪]
>>173
ありがとうございます ^^*
今ちょっと時間あるので
早速書かせていただきます!!
これからも
よろしくお願いします**
:10/11/28 14:34
:D905i
:wNczvZ9A
#175 [雪]
「さぁーて、買い物行くか?
夕飯何食いたい?」
呼吸すると冷たくなる口内
ミントの葉が今にも目の前に現れそうだ
「え‥海が作るの?」
なんだよその不安たっぷりの目
:10/11/28 14:38
:D905i
:wNczvZ9A
#176 [雪]
「悪いか?」
「‥そんなことない!ありがと!」
ハッとして大きく首を横に振った
目を細めてくしゃっと笑う
こんな可愛いんじゃ
女も寄りつくだろうなー‥
母性本能‥くすぐるってやつか
「何鍋がいい?」
「鍋限定なんだ(笑)」
:10/11/28 14:41
:D905i
:wNczvZ9A
#177 [雪]
外に出ればもう上着なしではいられない
マフラーとか手袋とか
日が暮れれば欲するかもしれない
雲の隙間を縫うようなオレンジ色
それを包むような藍色に白い点
その内雪が降るようになったら
綺麗な夜空はなかなか拝めない
冬の夜空は格別だと思う。
:10/11/28 14:45
:D905i
:wNczvZ9A
#178 [雪]
「キムチもいいけどー‥
カレー鍋とかも美味しそう!」
「カレーなぁ‥
あ、トマトもあるぞ?」
「あー!トマトも捨てがたいねー」
棚に並んだいろんな夕食候補と
結は真剣ににらめっこ
:10/11/28 14:49
:D905i
:wNczvZ9A
#179 [雪]
「ウインナー!ウインナー!」
カートを押しながら、急に走り出した
はしゃぐ姿とか、
ウインナーって言う姿とか
まるで子供な訳で‥
時々俺は保護者みたいに
暖かくもどっしり構えて
見守ってみたりしている。
:10/11/28 14:52
:D905i
:wNczvZ9A
#180 [雪]
「海、たこさんにできる?‥」
「あー‥切ればいいだけだろ?」
俺の雑な返事をよそに
結は何かを目で追っていた
浮ついた唇、泳いだ目
そしてそれを必死で隠すように
またくしゃっと笑う
同じ笑顔なのに
なぜか胸が苦しくなった。
:10/11/28 14:56
:D905i
:wNczvZ9A
#181 [雪]
「トイレ‥ちょっと行ってくる!」
カートを手放し、足早に去った
俺は結の視線の先を追ってみた。
そこには見覚えのある顔
なんで?
:10/11/28 14:58
:D905i
:wNczvZ9A
#182 [雪]
「あ‥海くん♪」
にこにこと、こちらに手を振るのは
間違いなく真由美ちゃんだった
真由美ちゃん‥が?
結は真由美ちゃんを?
何だかよくわからないまま
少しだけ眉間にシワを寄せて
「あぁ‥こんばんはー」
:10/11/28 15:02
:D905i
:wNczvZ9A
#183 [雪]
「海くんってこの辺なの?」
「いや、今日はたまたま‥」
苦手意識が一度生まれてしまうと
俺はどうしようもなくなる
「ふぅん。そっかぁー
あ、デートのことだけどぉ」
すっかり忘れてた‥
:10/11/28 15:48
:D905i
:wNczvZ9A
#184 [雪]
「ごめん‥最近いろいろあってさ」
それは事実。
決して嘘ではない
「ほら、まだ別れたばっかだし
あんまり乗り気じゃなくて」
‥それは嘘かもしれない
女の子が苦手になったのと
真由美ちゃんを苦手になったのと
さすがにそんな事は言えたもんじゃねぇ
:10/11/28 16:22
:D905i
:wNczvZ9A
#185 [雪]
「そっかぁ‥残念
じゃあ、気が向いたら言って?」
真由美ちゃんはにこっと笑って見せ
平気なように振る舞っていたが
微かに聞こえた舌打ちを
俺は聞き逃さなかった
だから女の子は嫌いだ。
:10/11/28 16:26
:D905i
:wNczvZ9A
#186 [雪]
だったら最初から
にこにこしなきゃいいのに
俺みたいに
無愛想でいればいいのに
中途半端に自分を作って
一体彼女たちは何を求めてるのか
作るなら完璧を目指してほしい
男はそこまで鈍くない
‥少なくとも俺は
:10/11/29 20:57
:D905i
:.gyRJ0Eg
#187 [雪]
「結ー?生きてるかー?」
鏡ごしに
一つだけ閉ざされた個室に話しかける
なんか今日、本気の寝癖だなーおい
茶色い髪も徐々に元に戻っていく
人の生命力はすげぇと思う
:10/11/29 21:01
:D905i
:.gyRJ0Eg
#188 [雪]
「あぁ〜ごめんごめん!
納豆の文字見たら‥うってなった(笑)」
へへっと笑いながら
腰を低くして出てきた
鏡ごしに目が合う
なぜか急に愛おしくなって
ついつい体が動き出しそうになって‥
:10/11/29 21:03
:D905i
:.gyRJ0Eg
#189 [雪]
無意識に右手が結のほうに伸びる
このまま腰に腕回して
抱きしめたってよかった
人気なんて全くない薄暗いトイレだ
だけど鏡に映る自分の姿を見て
歯止めがかかった
ぎこちなくそのまま
結の髪を撫でた
:10/11/29 21:06
:D905i
:.gyRJ0Eg
#190 [雪]
「‥?」
直接そんな目で見つめるなよ
受け入れるような柔らかい瞳が
俺にとっちゃ凶器で
「髪‥いい色だな」
「髪?‥お揃いにする?」
「‥ばーか」
「えー何でーっ?いいじゃんお揃いー」
くしゃっと乱暴に撫で回して
背を向けて先を歩いた
:10/11/29 21:11
:D905i
:.gyRJ0Eg
#191 [雪]
結局鍋はトマト鍋になって
真っ赤なスープにたこさんは浮いていた
地獄を見たな、たこさん
あんまりいい絵ではない
「このたこさん足千切れてるー」
「‥ほんとだ」
「この白菜ちゃんと切れてないよー?」
「‥ほんとだ」
:10/11/29 21:15
:D905i
:.gyRJ0Eg
#192 [雪]
「海ー?」
「‥なに」
トマトだしこの色だし
トマトジュースみたいなのを想像してたが
案外甘ったるい味で
個人的には一回食べれば満足なレベル
スープをごくり飲み干せば
そのまま血液になりそうで
貧血気味の俺には何だかありがたく感じる
そんなことは有り得ないけど
:10/11/29 21:18
:D905i
:.gyRJ0Eg
#193 [雪]
「‥すきだよ?」
むせるのも無理はないだろ?
意味わかんねぇこいつ
口を覆った手は真っ赤に染まる
なんとグロテスクなこと。
「ん゛っ‥あ゛ぁ
‥たこさんが?何が?」
内心少しにやけた。
いや、正直、かなり、にやけた
完全にいかれちまった
:10/11/29 21:23
:D905i
:.gyRJ0Eg
#194 [雪]
「‥カイがすき」
「貝?あぁ、そりゃよかったなぁ」
俺は一瞬にして記憶を辿る
貝は買っていない
貝は入っていない
カイは海であって貝じゃない
そしてまた、にやけた。
:10/11/29 21:28
:D905i
:.gyRJ0Eg
#195 [雪]
わかってるくせに、と
結はふてくされてスープに飯ぶっこんで
さらさらっと流し込んだ
そこで同意や肯定の意を唱えれば
このもどかしさは消えたかもしれない
俺は何を恐れているのか
社会の目、常識、血のつながり
凡人の俺には
それらを破れる勇気がなかったのかもな
:10/11/29 21:33
:D905i
:.gyRJ0Eg
#196 [雪]
「かーいー」
きっと結は気付いてる
きっとって言うか、絶対
そんで面白がってる
いつまで俺が我慢できるか試してる
じゃなきゃ‥
「一緒にお風呂入ろー?」
「タオル忘れたー持ってきてー」
「海もベッドで寝ようよー」
こんなこと言うはずない
:10/11/29 21:59
:D905i
:.gyRJ0Eg
#197 [雪]
これがもし無自覚で
これが久々に再開した兄への兄弟愛だとして
そしたら俺は
今にでも襲ってやる
試されてる気がするから
強がりな性格が運良く歯止めをかける
:10/11/29 22:02
:D905i
:.gyRJ0Eg
#198 [雪]
「海ーっ!
シーツに!シーツにっ!」
虫一匹もひとりでヤレないのか
まじで乙女。オトメン(笑)
「穴開いてるよぉお!」
やれやれとティッシュを数枚手に取り
意気込んで向かった俺が
ずっこけそうになったのは言うまでもなく
:10/11/29 22:59
:D905i
:.gyRJ0Eg
#199 [雪]
「穴ぁあ?どこに?」
はぁっとため息をつく
悲しいため息じゃないから
何だか妙に口元が緩んだ
「ここっ!」
ベッドに胡座をかいて
結はそのそばの一点を指差した
「あぁ‥こんなん大したこと‥」
:10/11/29 23:01
:D905i
:.gyRJ0Eg
#200 [雪]
‥ガバッ
視界が一転した
してやられたわけだ。
:10/11/29 23:02
:D905i
:.gyRJ0Eg
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