―‥ 殺したいほどに ※BL
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#201 [雪]
「海って彼女に甘えたりする?」
上からのぞき込まれるのは
何となく不思議なかんじ
「んや‥しない」
視線をどこにやったらいいのか
‥なんかこっぱずかしい
:10/11/30 17:38
:D905i
:vVPRNFp.
#202 [雪]
「たまにはいいでしょ?(笑)
耳掻きしてあげよっか?」
悪ガキみたいに笑って
髪を撫でられた
小さい頃から母親とは離れて
父親がこんなことするはずもなく
だけど結の膝枕は心地よかった
:10/11/30 17:40
:D905i
:vVPRNFp.
#203 [雪]
言葉がでない。
こんなことされたら
甘えたくなるのも、くっつきたくなるのも
わからなくもないかも‥
「海、僕ね
小さい頃いじめられてたんだー」
頭を撫でる手はリズムを刻んで
この上ない安心感を覚えた
少しだけ眠くなる
:10/11/30 17:43
:D905i
:vVPRNFp.
#204 [雪]
「‥」
特に返事もしないで寝たフリをした
その方が話しやすいだろうって
俺なりの気遣い。
「女の子みたいって‥
見た目も確かにそうだったかもだし
性格も、なよなよで‥今もだけど」
結は自らをあざ笑うかのように
ふんっ、と鼻で笑った
:10/11/30 17:47
:D905i
:vVPRNFp.
#205 [雪]
「お母さんしか知らないから
"男の子"ってよくわかんなくて‥
お絵かきとか、そんなんが好きで」
俺が聞いていようがいなかろうが
関係ないようだった
目をつむって真っ暗なはずなのに
何とも言えないような顔をしてる結が
目に浮かんだ
:10/11/30 17:50
:D905i
:vVPRNFp.
#206 [雪]
「何されてもやり返せなくて
すぐ泣いてた‥うん、ホントすぐ」
今だってそうじゃん‥
ってツッコミたいくらい
安定感をなくした声が耳につく
「それで、そのうち
お母さんにバレちゃってさ‥
そしたらね、お母さん‥言ったんだ」
:10/11/30 17:55
:D905i
:vVPRNFp.
#207 [我輩は匿名である]
更新頑張ってください♪♪♪
見てまーす(^_-)
:10/11/30 20:22
:SH002
:rRTx/a8A
#208 [雪]
>>207
あぁあありがとうございます(;_;)
ホント気まぐれマイペース野郎ですが
今後ともよろしくです!
展開がだらだらぐだぐだですが
楽しんでもらえるように頑張ります**
:10/11/30 22:22
:D905i
:vVPRNFp.
#209 [雪]
>>206 続き
「社会のルールは多数決。
多数派が所謂"普通"で、
‥少数派は拒まれる
僕がいじめられる理由は
僕が"男"の中の"普通"じゃないから」
異見を述べれば非難される時代は
昔も今も、きっとこれからもそう
自由、自由と言われた世界だって
結局は人間の弱さが自由を奪う
:10/12/01 00:19
:D905i
:POlFmNQk
#210 [雪]
「社会の目を恐れて
自分の身を安全なソコへ投げるのも一つの手
だけど、少ないかもしれないけど
理解してくれる人は必ずいる。
見つけるのは難しいけど
‥神様はそんなに意地悪じゃない」
まるで母親が乗り移ったように
優しい口調で結は続けた。
:10/12/01 19:37
:D905i
:POlFmNQk
#211 [雪]
「教室のベランダから
体操着を放り出されて
半べそかきながら取りに行って‥
そしたら、後ろから僕を見てる子がいてね
冷やかしかと思ったら
『大丈夫?ごめんね』って言ったの。
結局その子しか
僕の味方をしてくれる子はいなかった
だけど、お母さんの言うとおりで
神様はそんなに意地悪じゃなかった」
:10/12/01 19:42
:D905i
:POlFmNQk
#212 [雪]
「お母さんね、
お父さんと離婚するときに
『10年後、まだ私を想っていてくれたら
また一緒になろう』って
‥そう言ったんだって。」
10年後‥。皮肉だ
俺は、神様は意地悪だと思った。
:10/12/01 19:49
:D905i
:POlFmNQk
#213 [雪]
結が何でいきなり
そんなことを話し出したのかは解らない
素敵なお母さんだよねって
そう呟いていたが
声質は異様に弱々しかった
俺らが2才の時に離婚
それから10年後は‥12
俺らの母親が命を落としたのは
約束の年の‥たった1年前
:10/12/05 00:27
:D905i
:cy9k1HSQ
#214 [雪]
「なんか‥話がめちゃくちゃだ(笑)
何言いたかったんだろ、僕」
自分に呆れたように笑った
「海‥?起きてるんでしょ?」
「あぁ‥うん」
愛おしそうに大事そうに
母の写真をいつも眺めていた
急に老いぼれだ父の姿が目に浮かんだ
:10/12/05 00:32
:D905i
:cy9k1HSQ
#215 [雪]
愛し合ってたなら
なぜ別れなきゃいけなかったのか
それが神様が決めた運命なら
‥神様は親切か?
理解できない俺は
まだまだ子供なのだろうか。
2人が別れた原因は
後々知ることになった。
:10/12/05 00:39
:D905i
:cy9k1HSQ
#216 [雪]
「僕ね、"一般論"とか嫌いなんだ
多数派を"普通"にして
その他は"異常"扱いでしょ?
もしも"異常"が多数派になったら
今度はそれが"普通"になる。
‥そんなのおかしいよ」
「‥弱いからだろ
みんな弱いから群れたいんだ
自分が所属する場所がほしい
‥安心できる場所が。」
「じゃあ、僕は強い?」
:10/12/05 00:46
:D905i
:cy9k1HSQ
#217 [雪]
苦しそうに聞こえたその声は
いつもの笑顔の裏側の不安だった
「母子家庭で育って、母親が死んで
今時高校行ってなくて、体売って
‥自分の手首切ることしか
生きてる実感が湧かないような僕は
‥異常でしょ?僕は強い?」
きっと見えないところで
ずっと結は助けを求めてた
:10/12/05 00:50
:D905i
:cy9k1HSQ
#218 [雪]
「あぁ‥強いさ」
俯いた結を下から眺めれば
きつく唇を噛んでいて
手を伸ばして軽く頭を撫でれば
呆気なく崩れた
「少なくとも、俺なんかよりずっと」
独り言のようにそう付け足した
:10/12/05 01:03
:D905i
:cy9k1HSQ
#219 [雪]
世間体ばかり気にして
目の前にある愛おしい存在を
認めることができない‥
同性を愛することも
実の弟を愛することも
こんなに躊躇って、
ただただ罪悪感だけが生まれるのは
全部‥この世の中のせいだと
今にも投げ出してしまいそうな‥
「俺なんかより‥ずっと」
:10/12/05 01:08
:D905i
:cy9k1HSQ
#220 [雪]
腕の中にすっぽり収まって
ガキみたいにわんわん泣いて
いつの間にか静かになる
「‥何歳児だよ」
思わず口元が緩む
甘えたい盛りに大して甘えられなくて
子供らしく居られなかった
15、6で大人の裏の世界を見て
まだ未熟だったこの体は
‥一体何を思ったのだろう
:10/12/05 01:13
:D905i
:cy9k1HSQ
#221 [雪]
「ちっせぇなー‥」
一回り小さな体は
細くて繊細な線の集まりで
髪から香る匂いがやけに愛おしい
当たり前だけど
俺と同じ匂いだと思ったら
お揃いに喜ぶ中坊のガキみたいに
はしゃぎたくなった
:10/12/05 01:18
:D905i
:cy9k1HSQ
#222 [雪]
耳元に唇を寄せて
恥ずかしながら愛の言葉を囁いてみた
起きて欲しいような、欲しくないような
"好き"と"愛してる"の使い分け方が
未だによくわからない
何となくしっくりくるから
「‥愛してる」
もう一度囁いた
:10/12/05 01:22
:D905i
:cy9k1HSQ
#223 [雪]
―――――‥
時に神様は残酷で
それを僕らはよく知っている
いつだって僕らは試されてる
‥そんな気がするんだ
:10/12/06 00:23
:D905i
:.1jpaoqQ
#224 [雪]
「いってらっしゃい♪」
「ん、行ってくる」
玄関の段差で
少しだけ目線の高さが近づく
それでも結のがちっさい
さっきまで俺の腕ん中で寝てて
きれいないつもの目も腫れぼったい
:10/12/06 00:29
:D905i
:.1jpaoqQ
#225 [雪]
「海‥」
時々ドアノブに手をかけるあたりで
後ろから呼び止められる
だけどいつも"気を付けてね"って
‥たったそれだけ
「遅かったら、先食べてていいからな」
会話がまるで夫婦
将来俺はこんな生活を送るのだろうか
‥結でしか想像できなかった。まじで
:10/12/06 00:34
:D905i
:.1jpaoqQ
#226 [我輩は匿名である]
あげ!
:10/12/09 01:13
:SH02A
:j2oDi10c
#227 [雪]
>>226
あがってる(´;ω;`)嬉しい!
いつもいつもありがとうございますっ
不定期更新で申し訳ないです(;_;)
励みになりますっ ^^*
>>226さんのためにも
頑張って更新しちゃいます!
:10/12/09 23:26
:D905i
:Y0/4P.Mk
#228 [雪]
西風が吹いていた。
マフラーに鼻下まで顔をうずめる
「さっむ‥」
寒いと言って何になるんだろう
サムサムサムサム言って、
外国で言ったら振り向く人いるんかな?
くだらない事ばかり考える。
寒いのは嫌いなんだよなぁ‥
暑いのも嫌いだけど(笑)
適温が一番。そりゃそうか
:10/12/09 23:32
:D905i
:Y0/4P.Mk
#229 [雪]
駅のホームに立つと、
何人か知り合いを見つける。
だけど、正直めんどい
糞寒いのに、俺には笑顔なんか振りまけねぇ
だから気付かれないように
さらに深く顔をうずめた。
マフラーの温かさと結の温かさは
当たり前だけど、同じではなかった
:10/12/09 23:36
:D905i
:Y0/4P.Mk
#230 [雪]
電車の吊革の向こうの
ピンクのキャピキャピした広告が目に入る
あぁ‥。アイツの大学か。
"入試日程・出願期間"
もうそんな時季かぁ‥
焦りに焦ってる高校生を想像したら
なんだか可笑しくて、
少しだけ口元が緩んでしまった
:10/12/09 23:40
:D905i
:Y0/4P.Mk
#231 [雪]
"〜大学で女性らしさを磨こう!"
女性らしさ‥ねぇ
会いたいとは思わない。
浮気した女なんかに未練はない。
あの時の、許してくれるだろうという
期待に満ちて潤んだ瞳を思い出す。
馬鹿馬鹿しすぎて、笑っちまうよ
:10/12/09 23:44
:D905i
:Y0/4P.Mk
#232 [雪]
噂をすれば何とやら。
駅前の大きな柱の前に
アイツは立っていて、
少しして"アイツ"もやって来た
:10/12/09 23:47
:D905i
:Y0/4P.Mk
#233 [雪]
「修也!遅いよーっ」
「わり、電車遅れててさぁ」
2人は当たり前のように腕を組む
まるで恋人のようだった
"恋人のようだった"だけであって
アイツらは所謂セフレだと言う。
修也がそう言っていた
:10/12/09 23:50
:D905i
:Y0/4P.Mk
#234 [雪]
"彼女ってなると、何かと面倒だし"
一応人の女に手を出したわけで
中途半端に奪われた気がして
なんだかその時はイラついた。
恋人じゃない奴と繋がるって
どういう気分なんだ?
俺には気持ち悪いとしか思えない
:10/12/09 23:53
:D905i
:Y0/4P.Mk
#235 [雪]
友梨からアド変の連絡が来て
ついでに報告を受けた。
"修也と付き合うことになったよ"
惨めで、可笑しかった。
男と女なんて所詮そんなもんだろ?
町でカップルを見かけるたび
俺は嫌悪感と嘲笑したい気持ちで
腹の奥がむずがゆかった
:10/12/09 23:57
:D905i
:Y0/4P.Mk
#236 [雪]
彼女のいる男にアンケートを取ったらいい
"もし今の彼女が妊娠したら
あなたは結婚しますか?"
何%が"イエス"と答えるだろうか
そんなことを考慮して
腰を振る男は果たしているだろうか
そんなことを思う俺は
結婚したくてセックスをしたことはない
ただ快楽だけを求めてた
:10/12/10 00:11
:D905i
:Dx5Kyx0I
#237 [雪]
同じ質問を女にもしてみたら
それは一目瞭然だろうな。
愛されてると錯覚している
めでたい女がうじゃうじゃいる
ひとつの命をかけてまでするんだ。
快楽の欲求の他ないだろう?
愛だなんだと美化する奴に
大抵ろくな奴はいないじゃないか。
:10/12/10 00:15
:D905i
:Dx5Kyx0I
#238 [雪]
"友梨‥愛してる"
簡単に口にして、腰を打ちつけた。
快楽の波に襲われて、満足した。
ろくな奴はいない。俺が実例だ
:10/12/10 00:17
:D905i
:Dx5Kyx0I
#239 [雪]
女の子が嫌いになったわけじゃない
ただ、男女の関係に疲れたみたいだ。
本気で誰かを愛したくなった。
:10/12/10 00:19
:D905i
:Dx5Kyx0I
#240 [雪]
―――――‥
「んっ‥あ、はぁ」
生ぬるい声が響く
潤んだ瞳がこちらを捉えたようだ
「あぁん‥海く、ん‥ひぁ」
手を動かすたびに
ぴちゃぴちゃと水音を立てた
:10/12/10 00:22
:D905i
:Dx5Kyx0I
#241 [雪]
「ん‥んんっ‥はっあぁあ」
演技かと疑うくらいの喘ぎ声と
自分の腕を動かすテンポが徐々に速まる
「海くんっ‥あぁ‥んっ」
二本の指が、
ぎゅっと締めつけられたのがわかった
:10/12/10 00:25
:D905i
:Dx5Kyx0I
#242 [雪]
大きく仰け反った体は
一定感覚でぴくりと跳ねる。
嫌悪感に満たされて
すぐに指をひん抜いた。
指先が気持ち悪かった。
「ねぇ‥真由美ちゃん」
内股をすり合わせて
火照った頬がなぜか懐かしい
:10/12/10 00:29
:D905i
:Dx5Kyx0I
#243 [雪]
「‥っはぁ」
彼女はまだ目を細めて浸っていた
「‥海の名前、呼ぶのやめて?」
ティッシュを数枚取り出して
分泌された液体を丁寧に拭き取る
長時間愛撫したせいか
指はだらしなくふやけていた
:10/12/10 00:33
:D905i
:Dx5Kyx0I
#244 [雪]
「‥ヤキモチ?」
「え‥?」
最初、意味がわからなかった
僕が海を好きだと言うことが
バレているのかと思った
「"結って呼べ"って?」
彼女は体を起こし
何事もなかったかのように
乱れた下着を整える
切り替えが早いのは
男だけじゃないみたいだ‥
:10/12/10 00:37
:D905i
:Dx5Kyx0I
#245 [雪]
「そうじゃな‥」
そこで僕は口を止めた
"そうじゃなくて、
海の名前を呼ばないでほしい"
別に海以外の名前なら
誰の名前だって構わない
だけど、"海"だけは嫌だった
海は‥僕のなのに
:10/12/10 18:26
:D905i
:Dx5Kyx0I
#246 [雪]
「何?」
彼女の手がこちらにのびて
僕のベルトに手をかける
金属の音が情けなく響いた
「‥あ、そう‥うん、海じゃないから」
どっちとも取れないような返事をすると
"そ"とあっさり受け入れられる
妙にもやもやして、胃の辺りが重いよ
:10/12/10 18:32
:D905i
:Dx5Kyx0I
#247 [雪]
真由美ちゃんの手が止まる
少しだけ‥間に合わなかった
思わず「あ‥」と漏らす
躊躇いながらも自らの恥部に目をやると
だらしないままだった
まるで‥
「これじゃぁ、ただのお飾りね」
図星だ。‥急に申し訳なくなった
:10/12/10 18:36
:D905i
:Dx5Kyx0I
#248 [雪]
「ごめんね‥なんか最近‥」
必死に言葉を繕おうとしても
空回りして口元が浮ついた
「‥もういらない?」
「そ‥そうじゃないよ!これは‥」
真由美ちゃん‥泣いてるの?
シーツにぽたっと一粒落ちる
じわり染みを作った
:10/12/10 18:41
:D905i
:Dx5Kyx0I
#249 [雪]
「ただ‥僕ね」
「結まで見捨てるの?」
胸がえぐられるように痛くて
なぜ泣かせてしまったんだろって
僕は自分を責めた
「見捨てないよ!
真由美ちゃんは‥僕の恩人だもん」
女神さまだよって、
昔は無邪気に笑って言ってたな‥
:10/12/10 18:45
:D905i
:Dx5Kyx0I
#250 [雪]
急に彼女は僕の肩を掴み、揺さぶった
強く、激しく揺さぶった
「どうして?!
どうしてみんなそうやって離れるの?!
どうして愛してくれないの?!」
奇声混じりの声は鼓膜を突き破りそうで
脳みそがごちゃ混ぜになりそうだった
「あたし何かした?
ねぇ結‥教えてよ‥
生まれて来なければよかった?」
彼女は、大人に壊されたんだ
:10/12/10 18:50
:D905i
:Dx5Kyx0I
#251 [雪]
僕の視界は一転して、天井が見えた
お腹のあたりに重みを感じる
涙でぐちゃぐちゃになった顔で
彼女は必死に何かを訴えてた
だけど何も聴こえなかった
ただ頬に走る痛みだけが残った
僕も‥壊れちゃいそうだよ
:10/12/10 19:05
:D905i
:Dx5Kyx0I
#252 [雪]
――――‥
鍵‥開いてる。
なんだか泥棒みたいじゃんか、俺
なぜか忙しなくなる心臓を抑えて
明かりのついていない部屋に入る
「‥た、だいま」
明かりをつけて一応言ってみたものの
あの可愛い愛犬は顔を出さなかった
:10/12/10 19:08
:D905i
:Dx5Kyx0I
#253 [雪]
"おかえり〜♪"って吹っ飛んでくるのを
密かに楽しみに帰ってきてるんだなって
自分のあほみたいな本心を知る。
「‥ばか」
自分にそう呟いた
どっか隠れてんじゃないか?
脅かすために、どっかに‥
:10/12/10 19:11
:D905i
:Dx5Kyx0I
#254 [雪]
結の部屋を覗く
なんだ‥やっぱり
入ってドアのすぐ横に
愛犬はうずくまってた。
驚かそうとしてたのに
疲れきって寝ちまった‥ってとこか?
呆れ笑いがでる
想像したら結らしくて、微笑ましかった
:10/12/10 19:14
:D905i
:Dx5Kyx0I
#255 [雪]
「‥い」
何か聞こえる‥
「ごめ‥なさい、ごめん‥い」
自分がお気楽人間すぎて冷や汗をかいた
こいつは、犬じゃない。
感情を持った人間だ
:10/12/10 19:16
:D905i
:Dx5Kyx0I
#256 [雪]
思わず、言葉を失う
ぺたんと壊れた人形のように座り込んで
若い女の子が肌で寝そべってたり
かと思えば、密部だけが撮された写真集を
右手でペラペラと捲り‥凝視している。
左手は‥股間に添えられていた
:10/12/10 21:11
:D905i
:Dx5Kyx0I
#257 [雪]
「‥ごめ、なさい‥ごめ」
なんだ、結も思春期の男子と
何ら変わりはなかったんだ。と
安堵する反面
俺に対する"好き"は
やっぱり兄としてだったのか。と
既にエンジンがかかってしまった俺は
素直肩を落とした
行為中は邪魔しちゃいかん。
男同士の暗黙の了解だろう
:10/12/10 21:15
:D905i
:Dx5Kyx0I
#258 [雪]
しかし、
呪文のように結の口から零れる言葉が
気になって気になって仕方なかった
"ごめんなさい"
確かにそう言っている
:10/12/10 21:16
:D905i
:Dx5Kyx0I
#259 [雪]
俺はバカだ。異常だ。
実の弟の自慰行為から目を放せない
末期だ‥変態だ
しかし添えられた左手は
ぴくりとも動かない。
なんかの宗教か?新しい遊び?
さらに訳が分からなくなり唖然とする
:10/12/10 21:19
:D905i
:Dx5Kyx0I
#260 [雪]
「‥か、海。おかえり」
気付けば目が合っていた。
結にピントを合わせる
「あ、あぁ‥ただいま」
やべ‥。
動揺を隠せない
「あ‥あは、恥ずかしいよっ
見ないで見ないでっ!」
急に照れくさそうに笑い
写真集を閉じて隅に置いた
:10/12/10 21:23
:D905i
:Dx5Kyx0I
#261 [雪]
「あ‥わりぃわりぃ(笑)
物珍しいからさぁ‥ついつい」
つられて笑う、必死の作り笑い
「海、お風呂は?先入っていいよ!」
「あぁ‥さんきゅー」
なぜか急に沈黙が怖くなる
結も同じ気持ちな気がした
:10/12/10 21:29
:D905i
:Dx5Kyx0I
#262 [雪]
"顔どした?"って聞こうとしたら
早く入れと背中を押されてしまった
あの色白のきれいな顔
頬の辺りが赤く腫れていた
1人で全部を抱え込もうとしてる気がして
不安でやるせない気持ちになる
:10/12/10 23:13
:D905i
:Dx5Kyx0I
#263 [雪]
「‥っはぁー」
大きなため息をひとつ。
湯気に混じって昇ってく
この気持ち、どこに向けたらいーのかねぇ
結が俺のこと好きだって言ったから
俺は結を好いてんのか?
好きって言われなかったら
いちいち反応することもなかったのか?
:10/12/10 23:20
:D905i
:Dx5Kyx0I
#264 [雪]
今朝アイツらを見て思ったのは
体の繋がりなんかなくたって
誰かを愛することは可能で
互いが信頼し合えるのも可能だって事
相手が異性だろうが同性だろうが
どっちにしろ俺にはその自信があった
結相手なら、本気で愛せると思った
:10/12/10 23:23
:D905i
:Dx5Kyx0I
#265 [雪]
「結、それ何?」
バスタオルを頭からかぶって
雑に髪を拭きながら
同じようにしてる結を見た
「え?‥真似っこ」
俺にはない八重歯を見せて笑う
「そうじゃなくて、顔」
:10/12/17 15:25
:D905i
:ic0DbgC.
#266 [雪]
「顔?‥何のこと?」
とぼけた面して冷蔵庫に向かい
コーラをコップに注ぐ
プシュウっと情けない音がして
シュワシュワと染みる音がした
「ヤンキーにでも絡まれた?」
明らかに殴られた痕だ
しかも、何回も
:10/12/17 15:29
:D905i
:ic0DbgC.
#267 [雪]
「階段踏み外しちゃって‥」
情けなく眉を下げて
炭酸にやられた目は少し潤んでた
「‥あんま、無理すんなよ」
「別に、無理なんかしてないよ」
「一応‥2人で暮らしてんだから
‥共同生活なんだからさ」
「うん‥そうだね」
結は空のコップを静かに置いた
俺はそれ以上何も言えなかった
:10/12/17 15:34
:D905i
:ic0DbgC.
#268 [雪]
―――――‥
「あんちゃん!あんちゃん!」
学校帰りにその辺をふらついて
変な店を見つけるのが好きだったりする
「ねぇあんちゃん!」
"杏"って名前、
なんとなく可愛らしくて
それも好きだったりする
:10/12/17 15:39
:D905i
:ic0DbgC.
#269 [雪]
「ちょい!」
背後から何かに襲われ
肩を掴まれてやっと気づく
あんちゃんは杏ちゃんじゃない
「あんちゃん、無視よくない!」
あんちゃんは俺を指してた
"そこのあんちゃん"のようで
:10/12/17 15:42
:D905i
:ic0DbgC.
#270 [雪]
「‥」
警戒の目で相手を睨む
その男は不思議な雰囲気だった
「ウチで働かない?」
「いや‥そういうの興味ないんで」
ホストの誘いは何度か受けたけど
みんな派手な長髪でジャラジャラアクセサリー
きつい香水に目が眩んだ
:10/12/17 15:45
:D905i
:ic0DbgC.
#271 [雪]
「え、なんで?」
「え、なんで‥?」
そのくせこのとぼけた奴は
パーマだか天パーだかわからん
寝癖かもしれない黒髪に
放置プレイな髭にひょろい体型
ホームレス?何こいつ
てか、なんで?って何だよ
:10/12/17 15:49
:D905i
:ic0DbgC.
#272 [雪]
アクセサリーと言えば
ポケットからはみ出た
わけのわからん人形のストラップだけ
野暮ったい感じがにじみ出ていた
「何で嫌?何がダメ?」
まるで別れを拒む重い女のように
動揺しながらの質問責め
"あんたが怪しいから"とは
さすがに可哀想で言えなかった
:10/12/17 15:52
:D905i
:ic0DbgC.
#273 [雪]
「何かもうバイトやってんの?」
「まぁ‥パスタ‥」
「パスタ?!」
大学入ってから始めたバイトで
単に給料がいいから始めて
まかないも食えるしうまいし
今はたまに期限切れそうな食材貰って
結に飯作ってもらったり
何かとお得なバイト
:10/12/17 16:01
:D905i
:ic0DbgC.
#274 [雪]
「パスタかぁああ‥」
「パスタです」
うーんと唸る男は
何かぶつぶつと言っていた
‥そろそろ帰りたい
「よし、そこ辞めちゃおう!」
「は?」
あまりにもあっさりすぎて
一瞬頷きそうになっちまった
:10/12/17 16:04
:D905i
:ic0DbgC.
#275 [雪]
実は辞めようかなやんでたとこでもあった
いろんなバイトしてみたいし
最近人間関係に疲れてきたのが本音
だけどいろいろ助かってるし
結のことも考えると
下手に低賃金なのは無理だし
時間とか考えると抜け出せなかった
「‥てか、何の店?」
「セレクトショップ!」
‥無理っぽい
:10/12/17 16:08
:D905i
:ic0DbgC.
#276 [雪]
「雑貨とか服とかーアクセサリーとか
それは1階で、2階はお茶が飲める」
2階建てなんだ‥
だけどやっぱ無理っぽい
「何で俺?」
「イメージにぴったりだから」
「‥」
「特別給料高めにするからさぁ」
現実、世の中は金だと思うわけで
:10/12/17 16:11
:D905i
:ic0DbgC.
#277 [雪]
――‥
「えぇ!いいじゃんいいじゃん!」
真っ白なシーツが宙を舞う
ふわっと膨れて、しぼむ
「お洒落なお店って憧れるなー」
ベッドメイクしてる結は器用にそれをこなす
「給料よくて、お洒落で
店長さんもいい人そうで、うん、いい」
:10/12/17 18:02
:D905i
:ic0DbgC.
#278 [雪]
「いや‥でも食料は貰えねぇよ?」
ちょこまかと動く結を
胡座をかいて眺める俺
「んー‥。」
やっぱり食料は大事だ
こいつは食べ物に目がない
「でも蹴るのは勿体ないよー
試しにやってみたら?」
:10/12/17 18:04
:D905i
:ic0DbgC.
#279 [雪]
「僕もいい加減
ちゃんとした仕事、探そうと思って」
にっと笑う
"ちゃんとした仕事"と言うのはつまり
"ちゃんとしてない仕事"があるのを意味して
結はそれを断ち切ったと取れる
「そっか‥助かる」
できたてのベッドにダイブする
洗剤の香りは妙に落ち着く
:10/12/17 18:09
:D905i
:ic0DbgC.
#280 [雪]
"じゃあ、試しに"と返事をした
先に"合わなかったらすみません"と
断りの言葉も伝えておいた
今のバイトは
少しシフトを減らすとして
あとは、様子見
:10/12/17 18:11
:D905i
:ic0DbgC.
#281 [雪]
「海ー?」
「ん‥」
いつの間にか夢心地で
瞼が重くなり、呼吸もペースを落とす
「デート、断った?」
「ん‥ん」
なんとなく入ってくる声は
ぼやっと輪郭をなくして
受動的に聞くかんじだった
:10/12/17 18:14
:D905i
:ic0DbgC.
#282 [雪]
前に結に聞いた"断り方"のことだ
「どうして?」
「ん‥無理だから」
枕に顔を押し付けて
自分の低い声が少し枕を震えさせる
「どうしても?」
「‥いや、うぅん」
頭がうまく回転しなくて
答えが出てこない
:10/12/17 18:18
:D905i
:ic0DbgC.
#283 [雪]
理由がどうこうじゃなく
体が拒否してた。たぶん
「真由美ちゃん‥」
「‥ん」
休憩中の脳が、その名前に反応した
なんで結が名前知ってんの?
:10/12/17 18:21
:D905i
:ic0DbgC.
#284 [雪]
「知り合い‥だっけ?」
やっとの思いで言葉を引っ張り出す
ちゃんと喋れてない気がした
「え‥あ、
海が、名前言ったんでしょ?」
「‥そっか」
俺が名前出してたんだっけ
妙に納得して、俺の脳は満足したのか
そのまま、また休憩を挟んだ
:10/12/17 18:30
:D905i
:ic0DbgC.
#285 [雪]
―――‥
"海くんには、この事言わないで"
当たり前だよ
‥言えるはずないんだ
こんな関係がもう何年も続いてること
真由美ちゃんは僕の初恋の人だってこと
真由美ちゃんが僕を救ってくれたこと
:10/12/17 18:45
:D905i
:ic0DbgC.
#286 [雪]
本当はこんな関係断ち切りたいこと
だけど、そんな勇気が僕にはないこと
「‥」
隣で静かに寝息を立てて
無防備に寝てる君が好きってこと
そっと髪に触れて、すぐに手をどけた
:10/12/17 18:47
:D905i
:ic0DbgC.
#287 [雪]
まだ何人かの女の子と連絡を取ってること
お金をもらってること
携帯が鳴ると震えが止まらなくなること
ひとりになると手首を切ってしまうこと
自分がすべてに依存して
すべてに存在価値を見いだすのに必死なこと
たくさん黙ってることがある
たくさんありすぎて、辛い
:10/12/17 18:56
:D905i
:ic0DbgC.
#288 [雪]
"共同生活なんだからさ"
この辛さを分け合ったところで
何もいいことがないのは
バカな僕にでも予想はできる
大切な、たった1人のお兄ちゃん
大切な‥大好きな人
大好きだから、その優しさに甘えられない
だけど‥その優しさがたまらなく嬉しい
:10/12/17 18:59
:D905i
:ic0DbgC.
#289 [雪]
僕は、不良品だ。
海と同じ時に、同じ親から生まれたのに
海は、大学にトップで入って
いろいろ免除されるようなエリートで
僕は、高校にも行ってないようなバカで
海は、真面目にバイトして
僕は、体を売って裏の世界に生きて
どうしてこんなにも違うんだろう
こんな不良品を、愛してくれる人なんて
‥いるはずがないんだ
:10/12/17 19:03
:D905i
:ic0DbgC.
#290 [雪]
自分の片割れがいるって知って
救われた気がした
独りじゃないって‥思った
だけど
本当に片割れなのか疑いたくなるほど
生きてる世界が違くて
触れたいのに、抱きしめたいのに
許されない気がするよ
:10/12/17 19:06
:D905i
:ic0DbgC.
#291 [雪]
「海‥」
こちらに向いた顔をみつめる
目の奥が急に熱くなった
「‥変わりたいよ」
君に見合う人間になりたい
できるなら、女の子に生まれて
たくさんたくさん勉強したいよ‥
「ごめんね」
口元に指を伸ばす
生暖かい空気に触れる
:10/12/17 19:09
:D905i
:ic0DbgC.
#292 [雪]
「‥ごめんね」
こんな弟で‥ごめん
僕は社会に背くことしかできない
この世の"失敗作"だ
:10/12/17 19:11
:D905i
:ic0DbgC.
#293 [雪]
涙が零れて我に帰る
伸ばした指を引っ込める
‥明日が来るのが怖いよ
秒針の音に胸が痛む
いつか僕は、
粉々になって壊れてしまう気がした
:10/12/17 19:14
:D905i
:ic0DbgC.
#294 [雪]
――――‥
「いやー、助かる!」
アンティークチックなその店は
どこか懐かしい香りがした
独特の暖かい雰囲気で
どこから仕入れたのかわからないような
不思議な雑貨が並ぶ
服はどうやら女の子向けがメインのようだ
今までにない魅力を感じた
:10/12/17 20:26
:D905i
:ic0DbgC.
#295 [雪]
「冴島みたいなステキ男子が来れば
客も増えるかなぁーって」
小物をきれいに並べながら
いきなり冴島と呼ぶこの男は
なんとなくこの洗練された空間に
似つかわしくない気もする
「看板息子ってやつ?
ほら、そういうクールキャラって
女の子に人気だし、売上向上の予感♪」
こんなアホみたいなのが
こんなお洒落なものを好むのか‥
:10/12/17 20:33
:D905i
:ic0DbgC.
#296 [雪]
「他に‥スタッフ」
「あ?いないよ?君が初スタッフ」
は。
何もかもが唐突で
この人は俺をどうしてくれるんだ
呑気に鼻歌なんか唄ってるなや
:10/12/17 20:37
:D905i
:ic0DbgC.
#297 [雪]
「まだ始めたばっかでさぁ(笑)
やっと夢叶って、浮かれてんの」
眉を下げて呆れたように笑ってた
なぜかそれで
この人はいい人だと悟った
前髪でよく見えなかった目も
優しそうな雰囲気で
何より目尻にできたシワが
それを物語ってた
:10/12/17 20:41
:D905i
:ic0DbgC.
#298 [雪]
「へぇ‥店長いくつなんですか?」
「店長って、なんか格好良くなーい」
マスターがいいだの、オーナーがいいだの
何やかんやとぼやき、
ついでのように"三十路"と答えた
相応だなとも思うけど
もう少し若そうにも見える
:10/12/17 20:45
:D905i
:ic0DbgC.
#299 [雪]
「こうやって自分の店持って
マイペースに平凡に生きたかったわけ」
"あげる"と手渡されたのは
奇妙なあのストラップだった
「なんなんすか、コレ」
「お揃い♪スタッフの証」
どっかのアイドルみたいにウインクして
一服してくると姿を消した
‥変な奴に捕まった
:10/12/17 20:53
:D905i
:ic0DbgC.
#300 [雪]
「2階‥」
階段の前で立ち止まり、見上げた
なぜか秘密基地に行くような
そんなわくわく感に駆られ
一歩、また一歩と踏み出す
ミシっと小さく音がする
その音にまた、俺は盛り上がる
「お‥」
:10/12/17 21:17
:D905i
:ic0DbgC.
#301 [雪]
下と同じような作りで
小さな丸テーブルが数個
その真ん中にはこれまた小さな花瓶
5、6人が座れるカウンター
その向こうにエスプレッソマシーン
「‥っはぁー」
"アレ"が花‥ねぇ
ギャップってやつか?
あまりにも似合わなすぎて鼻で笑った
「どう?いーだろ?」
「んわっ!」
:10/12/17 21:22
:D905i
:ic0DbgC.
#302 [雪]
ぬっと真横に飛び出してきた髭面
煙草の臭いが鼻につく
「んな驚くことなかろーに」
どこか余裕そうで
羨ましくもあり、憎たらしくもあり
「羨ましいなぁー美男子」
ばふっと頭を掴まれて
ガシガシっと撫でられた
:10/12/17 21:28
:D905i
:ic0DbgC.
#303 [雪]
「んな゙ぁー」
やめろと無理やり手を払いのける
調子よすぎて‥疲れるわ
改めてよく見ると
この人こそ美男子の面影あり
髭と、もさったい髪さえなければ
爽やかな部類なのかもしれない
何となくわざと
それで隠してる気もする
:10/12/17 21:35
:D905i
:ic0DbgC.
#304 [雪]
「客来るんすか?ココ」
目立つようなとこにはなく
駅から近いわけでもなく
この辺を毎日のように歩き回ってるような
マニアックな人間しか気付かなそうな場所
「あぁー‥2、3匹くらい」
手慣れた手つきで紅茶を入れ
レモンかミルクかと問う
「ミルク‥。匹って?」
「ミルクー‥あ、これ客用」
:10/12/20 13:28
:D905i
:jWEZN3BQ
#305 [雪]
浅い皿に入った牛乳
並々と注がれゆらゆらと揺れている
「‥」
ふと窓の外に目をやる
暗い朱色の屋根に黒、白、ミケ
ミケ‥?
「客‥って」
「黒が小豆、白が大福、ミケがランジェロ」
:10/12/20 13:34
:D905i
:jWEZN3BQ
#306 [雪]
突っ込みどころがありすぎて
どこから行くべきか戸惑う
逆に突っ込まなくていいかなとも思う
「ランジェロって何(笑)」
もはや笑うしかない、俺、お疲れ
"ミケ・ランジェロ♪"
案の定な答えが返ってくる
なぜか誇らしげな店長
いわゆる"どや顔"
:10/12/20 13:37
:D905i
:jWEZN3BQ
#307 [雪]
「人は?人」
窓を開けて仕方なく客にミルクを差し出す
まだ奴らはチビで、飲み方がぎこちない
「人もー‥平均2、3」
「それでやっていけんの?」
「無理(笑)
だから美男子を雇ったわけよー」
休日は10人くらい来る
買う人は半分くらいかなーと
その余裕は一体どこから?
:10/12/20 13:42
:D905i
:jWEZN3BQ
#308 [雪]
プレッシャーだ
人が来なきゃ給料だってないだろ
人呼ぶのは俺の役目みたいな雰囲気だし
「宣伝とかすりゃーいいのに」
「宣伝?んー‥副店長に任せる」
「って、」
「冴島に任せる」
なぜか終始幸せそうに笑って
だけどどこか悲しそうな目をしてる
余計なお世話かもしれないけど
病気がちな感じ。痩せてる
:10/12/20 13:47
:D905i
:jWEZN3BQ
#309 [雪]
夢を追い求めたって
くたばったら意味ないだろー‥
「嫁さんとかいないんすか?」
ミルクティはうまかった
猫舌にも丁度良い、飲み頃
「ペケイチ」
両方人差し指をクロスさせて、また笑う
「ペケ?」
口を塞ぐように作られた×を見て
それが"バツイチ"だとわかる
:10/12/20 13:51
:D905i
:jWEZN3BQ
#310 [雪]
「俺の親父も"ペケイチ"っすよ」
「おぉー奇遇だねぇ」
この人なら誰とでも
円満にやっていけそうなのに
「両立なんて、俺には無理
欲張りじゃん。中途半端は嫌いだし」
夢を追うか、嫁さんと幸せに暮らすか
そういうことだと思う
遠くを見つめてふてくされていた
:10/12/20 13:55
:D905i
:jWEZN3BQ
#311 [雪]
「"支える"とか"ついて行く"とか
そんな覚悟ができてたとしても
それはその時だから言える。
やっぱ、生活が苦しいのは辛いさ」
あぁ‥こういうことなんだ
「道連れは、俺が嫌だった
人ひとり養えない男が
"旦那さま"なんて、アホくさいだろ?」
2人も、こういうことなんだ。
「愛の形は、人それぞれ
本当に愛してんなら、時には‥ね」
:10/12/20 14:01
:D905i
:jWEZN3BQ
#312 [雪]
「週何で来ればいいんすか?」
ただもんじゃない。
この人の話には価値がある
金も必要だけど、
それなりの見識も必要か
「んー‥何曜日平気なん?」
髭面は、笑うと魅力的だ
:10/12/20 14:23
:D905i
:jWEZN3BQ
#313 [雪]
――――‥
「いーなぁああぁあ!」
いつからかベッドに2人で座って
その日の反省会をするのが日課になった
「僕もその"てんちょ"に会いたい!」
枕を抱えてだだをこねる
相変わらずガキだ
‥可愛いとかは、口が裂けても言わない
結は絶対、絶対調子にのる
:10/12/20 16:57
:D905i
:jWEZN3BQ
#314 [雪]
「じゃ、暇な時来れば?」
なんとなく
あの人と結は馬が合う気もした
なんとなーく似てる
結は懐くだろうし、あの人は可愛がる
悪くはないけど
こいつを可愛がるのは俺だけで十分
と言う、密かな独占欲
:10/12/20 16:59
:D905i
:jWEZN3BQ
#315 [雪]
「いいの?行く!紹介してくれる?」
目を輝かせて前のめりになる
元気そうでなによりです。
「あ、そーいえばさ」
うん、と雑な返事をして話を変える
少しくらい素っ気ないほうが、結には合う
「離婚の話‥」
:10/12/20 17:03
:D905i
:jWEZN3BQ
#316 [雪]
察したのか、急に落ち着いて
大人びた表情を浮かべる
‥店長の言葉を思い出す
その言葉を脳内に巡らせて
ひとつひとつ、丁寧に解析する
「愛してたから?」
その言葉に結は
一瞬不意をつかれたような顔をして
すぐに満足げに笑った
:10/12/20 17:06
:D905i
:jWEZN3BQ
#317 [雪]
その顔は
"やっとわかったのか"と言いたそう
「一緒にいるだけが愛じゃない‥ってか」
誇らしげに頷く
抱きしめてた枕をこっちに投げつけた
「‥何だよ」
結の手から渡ったそれは
まだ生暖かくて、落ち着いた
「やっとわかったの?」
にっと歯を見せて得意げに笑った
:10/12/20 17:10
:D905i
:jWEZN3BQ
#318 [雪]
母親は元風俗店で働いてたらしい
逆に親父は会社のお偉いさん
社会的な格差が目に見えてる2人が結ばれた
母は結婚して店をやめたけど
すぐに俺たちが生まれて
世間の目は更に冷たくなった
ただでさえ2人は非難を浴びたのに
"親父の子じゃないんじゃないか"
社会は非難が大好きで
人を不幸にし向けるのが得意だ
:10/12/20 17:40
:D905i
:jWEZN3BQ
#319 [雪]
どんな批判を受けようとも
親父が母を選んだ訳はひとつ
"愛してたから"
母は思ったそうだ
"こんな汚らわしい女の中身を
見てくれる人は現れない"
だけど実際現れた
"少数派"は必ずいる
社会に背いたって誰かが認めてくれる
:10/12/20 17:43
:D905i
:jWEZN3BQ
#320 [雪]
それから2人は
人目を忍んで生活してた
そして、親父の会社が倒産
その後の流れはあの人と同じ
別れを切り出したのは親父から
:10/12/20 17:45
:D905i
:jWEZN3BQ
#321 [雪]
親父がまた職を見つけて
敗者復活戦に勝ち残ったら
母を迎えにいく約束だった
2人の愛の期限は10年
10年後、まだ想い合っていて
親父が成功していたなら
また‥という話
俺と結が離されたのは
2人がまた結ばれるようにと言う訳らしい
:10/12/20 17:48
:D905i
:jWEZN3BQ
#322 [雪]
「僕らは、
2人の身勝手で離れた訳じゃないよ」
優しく笑った
母はこんな顔をしてたんだろうか
「大丈夫。2人はまた結ばれる」
「‥結」
:10/12/20 17:49
:D905i
:jWEZN3BQ
#323 [雪]
結は何でも知ってる
時々見透かしたかのように笑う
すべてを受け入れるように笑う
「結、おいで」
「‥ん、どしたの?」
無理やり細い腕を引いて抱き寄せる
急に愛おしくなった
:10/12/20 17:53
:D905i
:jWEZN3BQ
#324 [雪]
「‥海?」
バランスを崩して倒れ込む体は
小さくて、細い
白い首筋と耳たぶは、
風呂上がりでまだ火照って赤い
「結‥もう、いい」
:10/12/20 17:55
:D905i
:jWEZN3BQ
#325 [雪]
「もう‥離れる必要はないよな?」
声が震えてたかもしれない
目の奥が熱くなった
「‥ないよ。もう離れない」
あやすように結の手が背中に伸びる
「僕らは兄弟だ。血の繋がった。
2人の愛の証」
:10/12/20 17:58
:D905i
:jWEZN3BQ
#326 [雪]
そう言い終わる前に、力強く抱きしめた
自分の中にいっそ、取り込んでしまおうか
そんなことさえ思うほど
溜まってた想いが折り重なって溢れて
「海‥苦しいよ」
耳元で聞こえた弱々しい声が
妙に懐かしくて、愛おしい
:10/12/20 18:01
:D905i
:jWEZN3BQ
#327 [雪]
無意識に、衝動的に
結の顔に左手を添える
こんなの許されるか?
結の潤んだ大きな瞳がこっちを捕らえる
こんなの受け入れるか?
やり場のない感情をそのままに
:10/12/20 18:10
:D905i
:jWEZN3BQ
#328 [雪]
我に返って漏れるのは、溜め息
「‥寝るか」
目をそらして体を離す
まだ歯止めがきく
まだ‥大丈夫
「ねぇ海‥」
:10/12/20 18:13
:D905i
:jWEZN3BQ
#329 [雪]
壊していいのか?
「ごめんね‥」
もう後戻りはできないぞ?
「僕‥」
なぁ、俺は正しいか?
「海が好きだよ」
俺は‥間違ってないのか?
:10/12/20 18:15
:D905i
:jWEZN3BQ
#330 [雪]
一瞬時が止まったように
呼吸が止まって、苦しくなる
受け入れてくれるのか?
俺のこの、認められない感情を‥
「‥っ」
思い切り抱きしめてた
そして、口付けた
:10/12/20 18:18
:D905i
:jWEZN3BQ
#331 [ちー]
素晴らしい(´ω`)続き気になる…邪魔っぽいコメントごめんなさいけど頑張って下さいっ!楽しみにしとります(*^□^*)
:10/12/21 05:05
:N706i
:cUsRx9jc
#332 [雪]
>>331
素晴らしいだなんて><
ありがたいです!嬉しい ^^*
思いつきで書いてるので
話にまとまりがないかもですが
頑張って書くのでこれからもよろしくです!
よかったら総合のほうに感想板あるので
そちらにもいらしてください*
:10/12/21 16:47
:D905i
:saprTyuA
#333 [雪]
―――――‥
別に男に興味があるだとか、
そういうことじゃない
ひとりの人間として
弟としてはもちろんだけど‥
だけど、受け入れられたとなれば
これからの俺たちの行方は?
俺たちは兄弟じゃなくなるのか?
恋人?‥よくわからん
:10/12/21 16:50
:D905i
:saprTyuA
#334 [雪]
なるようになると言えばそれまで‥
そんなことを言ったら結は怒るだろうか
大学も、いつの間に設置したのか
でっかいツリーやら電飾で彩られて
すっかりクリスマスムード
本場のクリスマスは家族と過ごすらしい
キリスト教でもないくせに
好きなようにあれこれ取り込めるこの国は
ある意味めでたいお国だ
:10/12/21 16:54
:D905i
:saprTyuA
#335 [雪]
世間で言われる勝ち組は
"クリスマスどこ行く?"などと浮かれ
反対に負け組は
もはや先を行くニューイヤーネタ
そんな浮き沈みすることないのに
去年は友梨と過ごしたけど
ケーキを食べたくらいだったな
「‥海くん」
「ん?」
:10/12/21 16:58
:D905i
:saprTyuA
#336 [雪]
"うわ‥"とか言ったら失礼だけど
苦手な子はとことん苦手だから‥
引きつる顔を無理やり笑顔に変える
まさしく"営業スマイル"と同等
「真由美ちゃん‥久しぶりー」
冷たい空気が指先に絡む
彼女の真っ赤な手袋が目立つ
「久しぶり♪‥ちょっといい?」
:10/12/21 17:01
:D905i
:saprTyuA
#337 [雪]
落ち葉を踏む
あんなに鮮やかだった色もあせて
みんな同じように折り重なってた
「あぁ‥えっとさ」
頭を下げる真由美ちゃんを見つめる
中途半端にいい奴でいようとする
人間なんて都合がいいだけの生き物だ
:10/12/21 17:10
:D905i
:saprTyuA
#338 [雪]
「お願い!一日中とは言わないから」
あんなに生意気っぽくて
図々しくて、と言ったら悪口だけど
人に頭なんか下げないような子が
こんな凡人に頭を下げている
「俺‥あんま話すの得意じゃないし」
「大丈夫!ちょっとでいいの!」
:10/12/21 17:12
:D905i
:saprTyuA
#339 [雪]
しぶとい‥
まじで勘弁してくれ
今の俺に女の子は無理‥
「一回でいい!そしたらもう
‥こんな風に誘ったりしないから」
どこか弱々しくもある声は
確かに俺の耳に届く
「なんでそんな‥俺に」
「忘れさせてほしいの」
:10/12/21 17:15
:D905i
:saprTyuA
#340 [雪]
その声は
悲劇のヒロインぶるでもない
しっかりとした口調で
ただ事じゃないと察した俺は
「じゃあ‥少しだけ、一回だけ」
そう返事をした
やっと頭を上げた彼女の目は
少しばかり潤んで見えた
:10/12/21 17:18
:D905i
:saprTyuA
#341 [雪]
―――――‥
扉を開けるとベルが鳴る
その音を聞いて、店長は顔を上げ笑う
「‥なんすかソレ」
彼の頭の上に乗った
赤いとんがりを指差した
「サンタさん」
「黒ひげの?」
「そ、黒ひげのサンタさん」
:10/12/21 17:39
:D905i
:saprTyuA
#342 [雪]
今日も暇そうだ
平日だからまぁ、仕方ないのか
「冴島はどっちにするー?」
差し出されたのは"お揃い"か"角"
「いや、遠慮しときます」
「お揃いにすっか?」
‥聞いちゃいない脳天気
:10/12/21 17:41
:D905i
:saprTyuA
#343 [雪]
「‥だから遠慮し」
「店長命令!」
都合の良いときにソレ使うのずるい‥
しぶしぶ同じのを受け取り
じっと眺めてから手で弄ぶ
店長の視線は離れない
珍しい物見たさのように目が促す
「被りゃいいんでしょ、被りゃ」
:10/12/21 17:44
:D905i
:saprTyuA
#344 [雪]
「お、似合う!
やっぱ作りがいいと何でも似合うな♪」
その時の俺と言えば
かなりの酷い顔をしてたに違いない
こんなの人生で一度も被った記憶がない‥
だけど憎めない、黒ひげサンタ
:10/12/21 17:47
:D905i
:saprTyuA
#345 [雪]
「冴島サンタ、クリスマスはー?」
次の店長命令、"店内の装飾"
ちまちまとツリーに飾り付けながら
ひげ(もう面倒だからひげでいい)は
呑気につぶやく
「ひ‥てんちょは?」
別に"ひげ"と呼んだところで
この人は笑って受け入れるだけだろう
:10/12/21 17:51
:D905i
:saprTyuA
#346 [雪]
「聞き返すってことは‥
まさかのまさかのー?」
ばっと振り返って
にやにやした顔がこちらに向いた
ノリは俺より若い
"少年の心"と言えばよく聞こえるけど
「そのまさかのまさか、です」
:10/12/21 17:54
:D905i
:saprTyuA
#347 [雪]
「おー、奇遇だねぇ!」
キラキラと輝かせた目は
期待に満ちている気がした
正直‥めんどくせっ
「てかさ、仏教じゃん?俺ら
え、クリスマス?キリスト?十字架?
俺らは仏壇派だろ?なぁ?
そもそもサンタなんてーのはさ‥」
きっちりサンタの格好したお前が言うな
説得力にかけるわ(笑)
:10/12/21 17:58
:D905i
:saprTyuA
#348 [雪]
別にイルミネーションとか
ツリーとかリースとか、嫌いじゃない
綺麗だと思うし、日本にはない習慣だし
「俺らは日本人らしく鍋でも食おうぜぃ」
‥確かに言ったな
聞き間違いでなければ
「俺ら?って?」
答えなんかわかっちゃいる
いや、念のため確認
当たり前のように受け入れてる雰囲気じゃ
俺もさすがに気にくわない‥
:10/12/21 18:01
:D905i
:saprTyuA
#349 [雪]
案の定人差し指を行ったり来たりさせ
俺と自分の間を結ばれた
「‥なんで」
頭をくしゃくしゃっと掻く
嫌なわけじゃないけど、
想像したら絵面が奇妙すぎた
「いーじゃんかー。
タダで鍋食えるんだぜ?な?」
この人、犬みたい
:10/12/22 12:01
:D905i
:POguP90A
#350 [雪]
「別にいいけど、2人だ‥」
‥チリンチリーン
扉が開いた
2人のサンタが反射的にそっちを見る
あ‥
「結‥」
:10/12/22 12:03
:D905i
:POguP90A
#351 [雪]
「まだ、準備中だった?」
扉から顔だけ出し、きょろきょろ
「いや、一応平気‥だけど」
店長を見る。
豆鉄砲を食らった鳩だ。
目も口もついでになぜか鼻の穴も
ぽかーんと開いてる
まぁ、それが普通かもなー‥
いや、この人は大げさだけど
:10/12/22 12:07
:D905i
:POguP90A
#352 [雪]
「あ、この人が店長」
噂の店長が酷いアホ面だったのか
結は笑いをこらえてるようだった
「冴島‥どしたのお前」
なんかすっげーもの見ちゃったって顔して
こっちを見つめてくる
「ああー‥。別に陰分身とか
ドッペルゲンガーとかじゃないから」
俺も最初会ったときは
ドッペルゲンガーかと思ったけど
:10/12/22 12:11
:D905i
:POguP90A
#353 [雪]
少し勿体ぶって、様子を見る
あまりにも混乱してるので
仕方なく口を開く
「兄弟、俺の弟」
「おと‥あぁ」
納得したように大きく頷いた
そして更に俺の説明を求めるように
口をもごもごさせながら
視線を行ったり来たりさせていた
「‥双子の」
:10/12/22 18:53
:D905i
:POguP90A
#354 [雪]
するとなぜか安心したように
大きく大きく頷いて
"だろーと思った"とか何とか
なぜそこで強がる(笑)
そんなことは、まぁよしとして
「弟の、結」
一応軽く紹介する
にこにこと結が頭を下げる
つられて店長も同じようにする
:10/12/22 18:55
:D905i
:POguP90A
#355 [雪]
「なんだー、双子なら早く言えよー
ったく、水臭いなぁ(笑)」
別にわざわざ言う必要ないだろ
水臭いってそんな俺ら親しかったか?
「結くん、いくつー?」
「いや、だから双子なんだってば」
天然なのか、ただのあほなのか
芸人にとったら突っ込みやすい
ありがたい人間かもしれない
:10/12/22 18:59
:D905i
:POguP90A
#356 [雪]
「あ、結くん何鍋すき?」
結まで巻き込むパターンか‥
俺が初めて来た時と同じように
レモンかミルクか尋ねていた
「んー‥今はキムチが食べたいです!」
素直に答える姿は結らしい
なんの疑いもなく答える
それにくらべりゃ
俺はかなりひねくれてるな‥
:10/12/22 19:03
:D905i
:POguP90A
#357 [雪]
店長はそれに満足げに微笑む
目尻のシワはそのたび深くなる
時々見せる柔らかな表情は
どこか懐かしくて、憎めない
「じゃあキムチねー」
その答えに首を傾げる結
今日の紅茶は少し熱かったようだ
カップを口に近づけてすぐに
結の肩がびくっと跳ね上がった
:10/12/22 19:07
:D905i
:POguP90A
#358 [雪]
「クリスマス、結予定は?」
必死に冷まそうと息を吹きかける結を
横目で俺は見つめた
「クリスマス‥うーんと」
視線を上にあげ、ぶつぶつ呟く
頭の中に手帳があるらしく
紙の手帳は持ち歩かないタイプだ
「夜の8時くらいまでは
ちょっと予定あるんだよねぇー‥」
:10/12/22 19:10
:D905i
:POguP90A
#359 [雪]
眉を下げて困ったように笑う
なんとなく予想がついてしまった
別に結を信用してないわけじゃないけど
‥なんとなく、そんな気がした
「うわー‥結くんリア充なんだぁ
おい、弟に負けてんぞ?」
肘でわき腹を小突かれる
この人がいるから冷静でいられるけど
いなかったら、問い詰めてただろう
:10/12/22 19:14
:D905i
:POguP90A
#360 [雪]
「んじゃ、予定済んだらきなよー
負け組の鍋パーティー(笑)」
いきなり肩を抱き寄せられにっと笑う
俺は今相当無愛想に違いない
煙草の染み付いた臭いがした
親父もこんな臭いだった気がする
そういえば、どこで何やってんだろ‥
「行く行く行く!
店長さん面白いから絶対行くーっ」
その言葉に気分をよくする姿は
単純そのものだった
:10/12/22 19:18
:D905i
:POguP90A
#361 [雪]
「ちなみに2人ともイブは?」
「別に何も」
「僕もイブはないです!」
にやり、髭サンタが笑う
‥いやな予感。
「じゃあ2人で客の呼び込みな♪
結くんはこれ付けて、お前はそれで」
やっぱり俺‥と言わせる隙もなく
"はい、けってーい"と締め切られた
:10/12/22 19:28
:D905i
:POguP90A
#362 [雪]
「楽しそー♪」
「だろ?絶対2人で呼び込めば客来るよ!
コイツ1人じゃ無愛想すぎて(笑)」
あんだけ最初は"美男子"だなんだと
ワッショイワッショイしてたのに‥
まぁ、否定はしないけど
案の定、髭サンタとトナカイは意気投合
それを見守る、俺
あっという間に謎の人間関係が生まれる
人の繋がりなんて、案外あっさりしてるもの
:10/12/22 19:31
:D905i
:POguP90A
#363 [雪]
―――――‥
サンタとトナカイがやってきた!
って書いてある手作りのボード
いや、そんな報告いらんだろーに
「寒いねぇー♪人いっぱいだねぇ♪」
世間様は冬休みに突入
イブともなれば昼間っからでも
カップルが絶え間なく視界に入る
そんな中、俺はノリノリトナカイを連れ
駅前で‥宣伝。
:10/12/24 09:35
:D905i
:pHbkbPM2
#364 [雪]
「お店やってまーす♪
クリスマス雑貨もありまーす♪
ペア物もありますよー♪」
一応店員の俺より
何十倍も使えるトナカイ改め結
寒すぎて口が開かねぇ‥
張り切る結をよそ目に俺は
首からぶら下げたボードに任せる
「"来てね(ハート)"」
‥学園祭じゃあるまいし
:10/12/24 09:39
:D905i
:pHbkbPM2
#365 [雪]
"冴島はコレ持って立ってろ!
世の中ギャップで何とかなるもんだ"
と、言われて渡されたわけだが
やたらと丸い可愛らしい文字の周りに
これでもかと言わんばかりのハートが
「海ー、顔怖いよー?
そんな顔してたらお客さん来ないよー」
「さみぃ」
:10/12/24 09:43
:D905i
:pHbkbPM2
#366 [雪]
「だから言ったでしょ
カイロを介の字貼りすると
温かいんだよってー」
なんでそんなにカイロを
背中の一部に集中させんだよって話
昼間とはいえ空気は冷たい
それをいいことにくっつくカップル
幸せそうで結構、結構
:10/12/24 09:46
:D905i
:pHbkbPM2
#367 [雪]
「みんな幸せそうだね」
目を細めて結が笑った
こいつは、他人の幸せも
自分のことのように素直に喜べる
同じように年を取ったはずなのに
こんなに真っ直ぐに育つとは‥
遠くに目をやる
行き交う人は、肩がぶつかろうが
鞄がぶつかろうが気にしてないようだ
それはみんなが心が広くて
受け入れてる証拠なのか
はたまた他人には無関心なだけなのか‥
:10/12/24 09:52
:D905i
:pHbkbPM2
#368 [雪]
「あ‥海、見て!」
袖口を下に引かれ気付く
一度結のほうを見て、その視線を追う
「泣いてる‥?」
視線の先にはひとりの男の子
まだ幼稚園生くらいの
背丈なんて行く人々の腰にも満たない
「迷子かな?」
顔をぐしゃぐしゃにして泣いていた
:10/12/26 19:58
:D905i
:iCiVA47U
#369 [雪]
「‥かなぁ」
道行く人は一度振り返りはするものの
迷子か可哀相だなどと言うだけで
誰も手を差し伸べようとはしない
やっぱり無関心なんだと、確信
「ちょっと、」
急にボードを手渡され
結はその少年の方へ駆け出した
:10/12/26 20:01
:D905i
:iCiVA47U
#370 [雪]
俺はただそれを見つめるばかり
俺も同じ。
落胆したこの冷え切った人々と同じ
本来人は
結みたいに、暖かかったはずなのに
胸の奥が苦しくなった
いつか人は人じゃなくなるんじゃないかと
不安になったりもした
:10/12/26 20:02
:D905i
:iCiVA47U
#371 [雪]
一生懸命助けを求める小さな体を
俺より一回りも小さい体が抱きしめた
包むようにして抱きかかえ
少しだけあやすように揺すって
「ママはー?」
暖かい笑顔を向ける
まるで本物の母親みたいに笑った
少年は大きく首を横に振ると
湧き上がったように涙をこぼした
:10/12/26 20:06
:D905i
:iCiVA47U
#372 [雪]
「じゃあ、ママ探そっか♪
飴舐める?何味がいい?」
普段の甘えたな結の姿はなくて
頼れるお兄ちゃんだった
不安にさせないように
声の速さをゆっくりにして
ずっと目尻にしわをよせたまま
子供ってほんと素直で
すぐに反応してくれるもんだ
少年はすぐに笑顔を見せた
:10/12/26 20:10
:D905i
:iCiVA47U
#373 [雪]
結は早速声をあげ母親探しをした
するとすぐさま人ごみの中から
子供みたいに今にも泣き出しそうな女性が
こちらに駆けつけた
"よかった、よかった"と
絞り出すような声で少年を抱きしめた
その様子に俺らは自然と笑顔になった
:10/12/26 20:14
:D905i
:iCiVA47U
#374 [雪]
そしてその後父親らしき男性が
その少年と瓜二つの少年を抱え
抱き合う2人に寄り添った
結と俺は思わず目を合わせ
「同じだ」と呟いた
2人の少年は抱き合った
そして、離れないように手を繋いだ
「もう離れちゃだめだよ?」
結は少年たちに言った
:10/12/26 20:17
:D905i
:iCiVA47U
#375 [雪]
暖かい家族を羨ましく思う
父親がいて母親がいて兄弟がいて‥
それが世の中では当たり前だけど
俺らはそうじゃなかったから
時々、苦しくなる
それでも今幸せだと思えるのは
隣にいる‥
「結‥?」
お前のおかげなんだと思う
:10/12/26 20:20
:D905i
:iCiVA47U
#376 [雪]
「そろそろ、帰るかっ」
自分の問いかけに
笑顔で答えてくれる奴が側にいる
普通と言えば普通だけど
俺にとっては特別。
「そーだね♪」
兄弟だからとかじゃなくて
結は特別なんだと思う
:10/12/26 20:23
:D905i
:iCiVA47U
#377 [雪]
―――――‥
「っあー寒かったぁあ」
寒すぎて廊下を駆け抜けた
エレベーター降りてすぐダッシュ
結は案外すばしっこいようで
「寒かったねーっ(笑)
早くお風呂入って寝よっかぁ」
コートを脱ぎ捨て、マフラーを外す
部屋ん中もくっそさみぃ‥
:10/12/26 20:31
:D905i
:iCiVA47U
#378 [雪]
「さみぃいいいぃーっ」
寒いと人肌欲すってあるよね
「んわっ‥ちょ、海」
抱きついても許されるよね
「さみぃのまじ勘弁」
キャラ変わったとか言わないで
「珍しいね(笑)」
寒いの6割、くっつきたいの4割
キャラじゃないから
寒いの10割ってことにしとく
:10/12/26 20:34
:D905i
:iCiVA47U
#379 [雪]
カイロとか、暖かい肌着とか
そんなんよりも断然
人肌は暖かいし心地良い
「お風呂入って寝ようよー(笑)」
勢い余って押し倒して、全身が触れて
「あったけぇ‥も少し」
金かかんないし、エコだし
人肌っていいななんて今更
:10/12/26 20:38
:D905i
:iCiVA47U
#380 [雪]
「結ー‥」
こっぱずかしいけど
結はちゃんと言ってくれたから
「声眠そうだよ?(笑)」
ちゃんと言わなきゃ
不公平だよなー‥うん
「‥き」
顔が焼けるように熱いのは
結の暖かさのせい、のはず
:10/12/26 21:24
:D905i
:iCiVA47U
#381 [雪]
「ん?‥何?」
結が声を出すたびに
振動が頬にじわっと伝わる
何で2回も言わなきゃいけないんだよ
「好きだって言ってんの!
ちゃんと耳掃除してんのか?コラァ」
投げやりになって、ムキになって
体を離して見つめて、少し怒鳴るように
:10/12/26 21:30
:D905i
:iCiVA47U
#382 [雪]
少しの沈黙。
‥冷静になって急に恥ずかしくなる
目が泳ぐ。心臓が爆発しそうだ
結の表情が緩む、崩れる
「ホント?」
大きく頷いて、
"何回も言わすな"って緩く睨みつける
:10/12/26 21:35
:D905i
:iCiVA47U
#383 [雪]
子供のようにくしゃっと笑う
可愛くて、憎らしくて、壊したい
「‥ありがと、」
そう言い終わる前に
体は勝手に動いてるもんで
ぎゅっと抱きしめる
細い体は砕けそうで
砕けてしまえばこっちのもんだとか
変なことを思う
好きで好きで、たまんないらしい
:10/12/26 21:39
:D905i
:iCiVA47U
#384 [我輩は匿名である]
:10/12/31 22:58
:N04A
:☆☆☆
#385 [雪]
>>384
アンカーありがとです!
だいぶ遅れましたが、また更新します^^
:11/01/02 14:40
:D905i
:WkQ/cWi2
#386 [雪]
「さぁて‥風呂入って寝るかー」
恥ずかしさのあまりすぐさま体を離す
暖かさの余韻に浸る
幸せとか言う経験は少ない、たぶん
だけどこれが、幸せだと思う
「寝よ寝よーっ」
:11/01/02 14:47
:D905i
:WkQ/cWi2
#387 [雪]
「‥はぁ。」
ばしゃんと音を立てる
浸かった部分が当たり前のように歪む
なんか1日長かったな‥
売上はどうやら過去最高だったらしい
まぁ、レベルの低い最高だろうけど
:11/01/02 14:51
:D905i
:WkQ/cWi2
#388 [雪]
「かぁあーいぃいいーっ!」
癒やしの時間を潰されちゃいけねぇ
「ねぇ!かいぃいい!!きぃいつぇあぁ!」
声がでかすぎて何て言ってるのか‥
よくわからん。
:11/01/02 14:55
:D905i
:WkQ/cWi2
#389 [雪]
「ったく‥」
渋々腰を上げる
お湯の反発で腰が重く感じた
湯気で白くなった浴室を抜け
扉に手をかける
「かいぃいい‥」
脱衣場で腰を抜かしてる結
てか、何でここにいるんだって話
そんで何で半裸なんだって‥話
:11/01/02 15:01
:D905i
:WkQ/cWi2
#390 [雪]
「虫‥むし、ほら!僕のシャツの‥」
白いシャツの背中の所に
黒いものが、ぽつり
「んな、虫くらいで喚くな‥よ」
こいつ、俺をバカにしてんのか?
シャツを手に取り、"虫"を摘む
体冷えるっての‥さむ
:11/01/02 15:42
:D905i
:WkQ/cWi2
#391 [雪]
「‥毛玉」
ただの黒いもじゃもじゃ。
何故か憎たらしく見えた
「毛 玉 !!」
結の怯える顔に近づけて、声を張る
きょとんとした顔と潤んだ瞳は不釣り合い
:11/01/02 15:46
:D905i
:WkQ/cWi2
#392 [雪]
「なーんだぁー(笑)びっくりしたぁ」
「どんだけ虫嫌いだっての」
「コンタクト取っちゃったから
よく見えないんだよー。」
目を擦り、立ち上がる
露わになった上半身は白く
手首の無数の筋の赤が余計に目立っていた
:11/01/02 15:49
:D905i
:WkQ/cWi2
#393 [我輩は匿名である]
あげます!
:11/01/06 23:42
:SH02A
:gvoRZ/A6
#394 [雪]
>>393
あげありがとうございます!
不定期更新ですみません(´;ω;`)
クリスマスネタまだ引っ張りますが
ご了承くださいませ><
:11/01/10 11:32
:D905i
:JT5NwcAk
#395 [雪]
「で?」
結を見下ろす目は
思いの外冷ややかだったかもしれない
てか、体冷える
「何で脱いでんの」
「‥お風呂入るから」
「俺まだ、入ったばっかなんだけど」
:11/01/10 11:36
:D905i
:JT5NwcAk
#396 [雪]
雑に巻いたタオルが
腰から逃げ出しそうだった
「一緒に入れば一石二鳥♪」
にっと歯を見せて笑い
自らのベルトに手をかける
「‥」
良いとも悪いとも言わず
俺は黙って浴室に戻る
白い湯気は、少し息苦しくなる
:11/01/10 11:40
:D905i
:JT5NwcAk
#397 [雪]
嫌ならちゃっちゃと俺が出ればいい
‥嫌じゃないのが問題で
そもそも俺は長風呂派で
浴槽はさほど広くもなくて
男2人じゃ結構‥うん
「海!こっち見ないでね!」
自分から一緒に入るって言ったくせに
見るなとは、何事だ
:11/01/10 11:45
:D905i
:JT5NwcAk
#398 [雪]
可愛い子とか、好きな子とかに
意地悪したくなるのは
俺だけじゃなく、男の性だと思う
曇りガラスの向こうの肌色に目を向け
"同じ造りだろ"と、呆れた
:11/01/10 11:48
:D905i
:JT5NwcAk
#399 [雪]
白くぼやけた結の体は
構造的には俺と変わらない
華奢ではあるけど‥
ふくよかな胸の代わりに
下に"物"を備えてる
タオルの下に隠された胸の代用
自分と同じ物に、興味を持ってしまうのは
何でだろう。あほらしい。
「見ないでよーっ!
てか海!海の"海"隠して!」
:11/01/10 11:52
:D905i
:JT5NwcAk
#400 [雪]
透明に歪んだ"海"
海の海って新しい表現だな、と関心
「自分で一緒に入りたいー言ったのに
いちいち、文句言うな」
目がよくて良かった
結の赤く染まった顔がよく見えた
眺めがいい。いや、ホントに
:11/01/10 11:56
:D905i
:JT5NwcAk
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