― 短編箱 ―
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#277 [栢]
「それって‥」
「アメリカに引っ越すんです。
父の仕事の関係で‥
とても急な話で、私も驚きました。
最近、大学を休んでいたのは‥
そういうわけで、」
だんだんと小さくなる声を
拾うように目を閉じた。
振られた気がした。
もう会えなくなる‥。
君の笑った顔も丁寧な言葉遣いも
もうこれっきり
:09/11/14 20:41 :D905i :lSHpUp5E
#278 [栢]
「‥そうなんだ‥。そっか‥」
自らに納得させるように
何度も呟いた。
笑顔で見送ろうとしたけど
僕はそんなにできた人間じゃなくて‥
「それで‥、ずっと‥」
君の手に力が入ったのがわかった。
「橘くんを‥もう‥
見ていられないと思うと‥
胸が‥苦しくなりました。」
小さく小さく君が震えるから
泣いた顔なんて見たことなかったから‥
:09/11/14 20:47 :D905i :lSHpUp5E
#279 [栢]
言葉が出ない僕をよそに
声を絞り出して‥
「少し‥遅すぎました、
どうせなら‥気付かなければ‥
私‥橘くんが‥好きでした。」
月明かりに照らされた君は
まるで天使のようで
その涙も愛おしく思えるほどに‥
口を不格好に開いて
支えるのがやっとなほどに
体の力が抜けていった。
:09/11/14 20:51 :D905i :lSHpUp5E
#280 [栢]
「瑞希‥ちゃん‥、
それ‥本当‥?」
冷静そうなその声に
君は大きく頷いた。
「‥先に言わせてよ‥。
瑞希ちゃんが、好きだよ
‥もう、夢でもいい‥。」
ぎゅっと小さな体を抱きしめた
温もりをかんじた。
たった一時の夢でも
僕は君に近づけた。
:09/11/14 20:57 :D905i :lSHpUp5E
#281 [栢]
いつもは大人びた君も
ぐしゃぐしゃに泣いて
子供のように僕に抱きついた。
「知らなかった‥
釣り合わないと思ってたから‥
本当に‥本当に」
「‥私も、
叶わないと思ってました‥」
不安定な声が耳の中をくすぐる
「ありがとう‥大好きだよ」
もう離したくないさ‥
どこにも行かせたくない‥。
君は僕をわがままにさせた
:09/11/14 21:01 :D905i :lSHpUp5E
#282 [栢]
たった一時の幸せに
浸ることなんて嫌いだった。
あとに残る虚しさに
僕は勝てるほど強くなかったから
だけど今は、君だけは‥
僕を一番強くした。
「ずっと‥ずっと見てました。」
涙を拭いて恥ずかしそうに顔をあげて
こんなに小さかったんだ‥
初めてこんなに近づけた。
:09/11/14 21:05 :D905i :lSHpUp5E
#283 [栢]
「ずっと‥って、
高校の時から‥?」
「ええ‥その前から、」
目を細めて僕を真っ直ぐに見つめた
長い睫が涙に濡れていた。
「前って‥中学?」
「もちろんです‥。
姿を見れるだけで、幸せでした」
はっきりと言ったその声に
僕は顔を赤く染めた。
:09/11/14 21:10 :D905i :lSHpUp5E
#284 [栢]
「もっと‥
早く言えばよかったね、
そしたらもっと‥。」
君の傍にいれたのに‥
「気持ちが伝われば
私はそれで、十分でしたから‥
今こうしていられるだけで‥」
僕は優しく口付けた。
君の温もりが伝わる。
時が止まればいいと願ったのは
これが初めてだった‥。
:09/11/14 21:13 :D905i :lSHpUp5E
#285 [栢]
>>258-284
純愛一途物語(´・ω・`)笑
最初は切なく終わるつもりでしたが
書いてるうちに
この2人には結ばれて欲しい!
と思いましてくっつけました←
終わりかた微妙ですが
感想などいただけたら
うれしいです^^
:09/11/14 21:17 :D905i :lSHpUp5E
#286 [み]
毎回楽しみにしています
感動とドキドキがあって、更新が待ち遠しいです
これからも頑張って下さい
:09/11/14 21:53 :SH903i :wubq7iT2
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