<<来栖>>
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#161 [nanoka]
何度目かに店に来た市原さんを見送った後、蒼井さんはそう呟いた。
「まだ憑いてるんですか?」
その日は他にお客さんもいなかったので、俺は訊いた。
:09/10/22 17:07
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:TiXHFAh.
#162 [nanoka]
「無視していれば他に行くケースもあるんですけど、市原さんには執着があるみたいですね」
蒼井さんの口調から市原さんを心配していることが伝わってきた。
俺はずっと気になっていた質問を蒼井さんにした。
:09/10/22 17:10
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#163 [nanoka]
「あの霊が喋っていることが声として認識できなくて耳鳴りに聞こえるって言ってましたよね?」
「えぇ。大まかに言えばそんな感じです」
「何て…言ってるんですか?あの霊」
:09/10/22 17:12
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#164 [nanoka]
俺の質問に蒼井さんは少し考えてから、口を開いた。
「一緒に行こう。一緒に行こう。一緒に行こう。一緒に行こう。一緒に行こう。一緒に…」
ほんの一瞬だけど蒼井さんの声に女の人の声が重なって聞こえた気がして、俺は反射的に耳を塞いだ。
:09/10/22 17:15
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#165 [nanoka]
「あ。すいません。怖がらせてしまいましたね」
そう言って微笑んだ時にはいつもの優しい蒼井さんの声だった。
でもビビりな俺は、それ以来その女の人について訊くのをやめた。
:09/10/22 17:17
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#166 [nanoka]
市原さんがどうしてるかと言うと、いまだにお祓いには行かず、でも元気に店に通ってくれている。
もともと陽気な性格なのが幸いしたのか、悪い影響は出ていないようだった。
:09/10/22 17:20
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#167 [nanoka]
むしろ影響が出たのは俺の方かもしれない。
蒼井さんの話を聞いてから耳鳴りがする度に辺りを確認せずにはいられなくなった。
突然誰もいないはずの辺りを確認する俺は、何も知らない人から見たらちょっとおかしい子に見えるかもしれない。
:09/10/22 17:32
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#168 [nanoka]
:09/10/22 17:41
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#169 [nanoka]
蒼井さんはじゃんけんが強い。
というよりも俺は蒼井さんが負けてるところを一度も見たことがない。
うちの店は基本的に常連さんが多く、滅多にお酒の味や料金に文句を言ったり…というような揉め事はない。
:09/10/22 17:43
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#170 [nanoka]
でもバーという店の性質上たまに酔っ払って、そういうことを言い出すお客さんもいる。
そんな時、蒼井さんはいつもじゃんけんをする。
「では僕とじゃんけんしませんか?」
:09/10/22 17:45
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