浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#92 []
 
壱助さんの言葉が頭をよぎる
悔しい‥情けない。

唇を思い切り噛み締めて
一軒の遊女屋に足を踏み入れた


絶対‥ぜぇぇぇぇったい!!
稼いで、見返してやるんだから!!

⏰:10/01/28 14:41 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#93 []




団子の串を静かに皿に置いて
"ご馳走様でした"と手を合わせる

「でも、壱助さんよぉ‥
心配してなそうな素振りだけど
本当は
居ても立っても居られなくて
出てきたんじゃないのかい?」

ニヤニヤしながら
伊代は壱助の脇腹を肘で小突いた

⏰:10/01/28 14:45 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#94 []
 
「まさか、
心配するも何も‥
"産毛ばかりの捨て猫"ですから
誰でも良いって訳じゃ
ないでしょうから、ね」

すっと腰を上げて下駄を履く

「男の力にゃ、勝てないよぉ?
可愛い子なんだろうから‥
すぐに客が‥」

そう言い終わる前に
軽く頭を下げて去っていった

⏰:10/01/28 14:50 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#95 []
 
「意地っ張りなのは‥




"おあいこ"なんじゃないかねぇ」



伊代は、壱助の背中を見つめ
"やれやれ"と緩く微笑んだ

⏰:10/01/28 14:53 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#96 []




「で、あんた‥
経験はあるのかい?」

梅の花のような香りがする部屋で
此処の遊女屋を取り仕切る
"京さん"は煙管を蒸かして言う

「え?!あぁ‥えっとぉ」

全身にどっと汗をかき
後ろに隠した手が忙しなくなる

⏰:10/01/28 15:05 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#97 []
 
「‥悪いけど、生娘は雇えないよ」

冷たく言い放つ声の後ろで
男女の色がましい声が聞こえる

やっぱり‥
あたしの来る所じゃないかも

「ささ、産毛の子猫ちゃんは
お家に帰って
"おまんま"でも喰ってな」

煙を顔に吹きかけられて
しかも子供扱いされて‥

⏰:10/01/28 15:11 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#98 []
 
引き下がってたまるか‥!!



「経験‥あります!!」


色がましい声をかき消すように
顔にかかった煙を吹き飛ばす様に


大声で言ってしまった

⏰:10/01/28 15:13 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#99 []
 
"ほぉう"と言って
目を細めて赤い唇を吊り上げた

「それなら‥
今晩から早速、仕事だよ」




げ‥いきなり今晩から?

辺りはもう急かすかのように
夕日色に染まっていた

⏰:10/01/28 15:17 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#100 []




「んふ‥もう‥、
あぁん‥まだ駄目よぉ」

「まだ駄目なのかい?
此処はこんなに‥」



‥‥‥早くも、


消 え た い !!

⏰:10/01/28 15:20 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#101 []
 
襖の向こうから聞こえる声
耳を塞いでも聞こえてくる

「声で・か・す・ぎ!!」

小声なりに強めに
襖に向かって叫んでみた

「えーっと‥
まずは、お客さんにお酒注いで
それからー‥笑顔を忘れない
初めてのお客さんには
積極的に詰め寄る‥

って、
あたしも初めてなんだけど」

⏰:10/01/28 15:24 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


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