浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#676 [笹]
少しの人情
少しの気の迷い
たった其れだけでも
"月夜に釜を抜かれる"事がある
いつ何時も
油断しては成らぬと言うのに‥
ねぇ、香夜さん‥
:10/02/17 23:52 :D905i :fmvw49TU
#677 [笹]
:
:
誘拐されました。
自分でも
よくまだ理解できてません
とりあえず
暗いっ!怖いっ!!
壱助さぁぁあんっ!!
:10/02/17 23:53 :D905i :fmvw49TU
#678 [笹]
:
:
ついさっきのこと。
壱助さんのお茶を買うため
いつも通り街に出ました
「あーあ‥
本当に毎回毎回
なくなるのが早くなる
もう一週間で飲み切って‥
ありえない、あの人」
ぶつぶつ言いながら
大量に買った
お茶の袋を抱えて帰る途中
:10/02/17 23:53 :D905i :fmvw49TU
#679 [笹]
目の前にうずくまった女の人
「大丈夫ですか?」
声をかけて顔を覗き込めば
それはそれは美しい方で
「少々‥立ち眩みがして」
頭を抑えて眉間に皺を寄せていた
:10/02/17 23:54 :D905i :fmvw49TU
#680 [笹]
あまりに辛そうで
放っておけるわけもなく
‥普通は放っておかないか
「あの‥立てますか?
此処じゃ危ないので何処か‥」
誰だって油断するでしょう
誰だって心配するでしょう
:10/02/17 23:54 :D905i :fmvw49TU
#681 [笹]
肩を貸して立たせてあげた瞬間
「‥?!」
腹部に走った激痛
よく覚えてないけど
多分殴られたんだと思います
:10/02/17 23:55 :D905i :fmvw49TU
#682 [笹]
:
:
そこから全く記憶がなく
気付いたら真っ暗闇で
しかも
手足縛られ‥口塞がれ
‥此処どこなのよぉーっ!!
って叫びたくても叫べない
‥辛いです
:10/02/17 23:56 :D905i :fmvw49TU
#683 [笹]
「お律様、
あの男がもうそろそろ此方へ‥」
微かに男の低い声が
向こう側から聞こえた
「そうかい‥
相当此の娘気に入ってるのかい」
次に聞こえたのは女の‥
ん‥?
:10/02/17 23:56 :D905i :fmvw49TU
#684 [笹]
―‥もしかして
『少々‥立ち眩みが』
‥あぁあああ!!
さっきの女の人の声だ
「‥憎たらしい娘だねぇ」
チッと舌打ちが聞こえた
さっきの雰囲気とは大違い
:10/02/17 23:57 :D905i :fmvw49TU
#685 [笹]
話の内容的には
憎たらしい娘があたしで
あの男が壱助さん‥かな?
ってことは
壱助さんが助けに来てくれるっ!!
その瞬間
一気に体の力が抜けて
楽になった
なぁーんだ
すぐ帰れるじゃなぁい!
:10/02/17 23:57 :D905i :fmvw49TU
#686 [笹]
何て‥調子に乗れば
「それで、あの娘は?」
「へいっ」
‥ろくなは事ない
:10/02/17 23:58 :D905i :fmvw49TU
#687 [笹]
―‥バン!!
一瞬で光が差し込み
真っ白になった世界に目を細めた
びくんと心臓が飛び跳ね
目の前に急に現れた
柄の悪い男に驚く
「おいお前!!」
:10/02/17 23:58 :D905i :fmvw49TU
#688 [笹]
塞がれた口を
塞がれてるなりに
ぱくぱくと開け
最早‥涙目
こんなごっつい男の人
久しぶりに見たよ‥
壱助さんしか見てないから
余計に驚いた
「暴れたら‥
只じゃ、おかねぇからな!!!」
「‥んっ、んぐ」
:10/02/17 23:59 :D905i :fmvw49TU
#689 [笹]
これ以上はないと言うくらいに
思い切り縦に首を振った
‥これは本当に殺される。
_
:10/02/18 00:00 :D905i :4LI2ZH.E
#690 [笹]
バン!!
その男は思い切り襖を閉め
また一人暗闇に放り出された
もう怖すぎて‥
体の震えが止まらないよ
壱助さん早く助けてぇ‥
:10/02/18 00:00 :D905i :4LI2ZH.E
#691 [笹]
:
:
「あら、いらっしゃい」
「ご無沙汰しておりました、ね
‥お姉様」
‥!!
壱助さんだっ!
その声を聞いて
ほっと胸をなで下ろした
:10/02/18 00:01 :D905i :4LI2ZH.E
#692 [笹]
「‥此処へは、あれから
来てないそうじゃない?」
「えぇ‥まぁ」
男が思い切り閉めた弾みで
少しだけ出来た隙間に
思い切り目を押し当てた
派手な着物を着崩したあの女の人
その傍にお猪口を手にした
壱助さん
:10/02/18 00:01 :D905i :4LI2ZH.E
#693 [笹]
その横に大きめの布団
この独特の香り
もしかして此処‥遊女屋?
「相変わらず‥お綺麗で」
艶容な唇をうっすら釣り上げて
あたしには見せない優しい笑み
:10/02/18 00:02 :D905i :4LI2ZH.E
#694 [笹]
「まぁ‥
あの子と重ねてるのかい?」
あの子‥?
それにさっき壱助さん
"お姉様"って‥
やっぱり常連なのかな
信じたくないけど
考え出したら止まらないたち
‥何だか悔しいよ。
:10/02/18 00:02 :D905i :4LI2ZH.E
#695 [笹]
「いえ、いえ
‥確かにそっくりですが、ね」
「双子だもの、当たり前さ」
女の人の赤く染まった爪が
壱助さんの真っ白な頬を撫でた
それに応えるように
壱助さんが片方の手を握った
:10/02/18 00:04 :D905i :4LI2ZH.E
#696 [笹]
‥やだ。
あたしの前で?
壱助さん、
あたしに気付かないの?
暴れてみても
余計に縄が食い込み痛むだけ
声を上げても
周りの色がましい声に消される
:10/02/18 00:04 :D905i :4LI2ZH.E
#697 [笹]
ねぇ‥やめて
壱助さんに触らないでよ‥
壱助さん‥壱助さんっ!!
_
:10/02/18 00:05 :D905i :4LI2ZH.E
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