浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#1 []
「浮き世」とは
辛く儚い世の中または俗世間。

‥他にも意味がありますが、
説明するほどの物でも、

ないでしょう、ね

前スレ
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/11263/
馬鹿でorder拒否にしてしまい
書けなくなってしまったので
立て直しました(´・ω・`)

⏰:10/03/28 23:39 📱:D905i 🆔:YbCY9nv6


#2 []



盆に滴り落ちた茶に
拭うように触れた

温いその液体は
じわり体に染み込んで

「幼、なじみ」

自らに言い聞かせるように
呟いた

⏰:10/03/28 23:40 📱:D905i 🆔:YbCY9nv6


#3 []
 
貴女を独占したい
結局は‥それが為

離したくはなかった
貴女が何処かへ
‥行ってしまいそうで、ね

倫次とやらに会った時の
あの嬉しそうな表情
めったに見れたもんじゃあない

⏰:10/03/28 23:40 📱:D905i 🆔:YbCY9nv6


#4 []
 
「‥やれ、やれ」


月を隠す歪な薄い雲
現れては流れて消えて

夜桜の白い花びらが
儚く散った

⏰:10/03/28 23:41 📱:D905i 🆔:YbCY9nv6


#5 []
 

放っておけない‥と言いますか

貴女が私を
捕らえて離さない、と

言うことですか‥ねぇ

⏰:10/03/28 23:41 📱:D905i 🆔:YbCY9nv6


#6 []



少し冷えた空気に
体が小さく震えた

うっすら息が白く染まる

「‥香夜」

羽織を着た倫次が
振り返り微笑した

あぁ‥羽織、忘れた

⏰:10/03/28 23:42 📱:D905i 🆔:YbCY9nv6


#7 []
 
「ごめん、遅れて」

「いや‥俺もさっき終わったから」

倫次に促され少し先を行く


砂利の上を歩けば
響く独特の音
なんだか懐かしくもあった

⏰:10/03/28 23:42 📱:D905i 🆔:YbCY9nv6


#8 []
 
「倫次‥ずっと働いてるの?」

「働いてる、って言うか
手伝ってるだけだけどね」

照れくさそうに笑った
目尻の皺が変わらない
たくさん笑ってる証拠かな

「‥香夜は?」

躊躇うように問ったその声が
あたしの奥をくすぐる

⏰:10/03/28 23:43 📱:D905i 🆔:YbCY9nv6


#9 []
 
あたしは‥いろいろあった


「あたし?あたしはー‥
うーん、元気だったよ?」

もどかしくてたまらないよ
いろんな事がありすぎて
どこから話たらいいか‥

必死の作り笑い
顔の筋肉がつりそうだ

⏰:10/03/28 23:43 📱:D905i 🆔:YbCY9nv6


#10 []
 
変わってしまっただろうか
倫次から見てあたしは
‥変わっちゃった?

「変わらないな」

「‥え?」

「相変わらず‥作り笑いが下手」

見破られた真実
倫次だけが気づいてしまうから
そのたび恥ずかしくなる

⏰:10/03/28 23:43 📱:D905i 🆔:YbCY9nv6


#11 []
 
この人には嘘がつけない


「元気だったなら、
まぁ‥いいんだけどね」

同い年なのに
どうしてそうも大人で
包み込むように優しいのか

あたしの頭を緩く撫でた手は
だいぶ大きくなっていた

⏰:10/03/28 23:44 📱:D905i 🆔:YbCY9nv6


#12 []
 
どうしよもなく
‥懐かしくて懐かしくて
泣きたくなっちゃうね
何だか救われた

「あの人と一緒に旅してるの?」

「あぁ‥うん
壱助さんは、命の恩人なんだ」

だって壱助さんがあの日
拾ってくれなかったら
今頃‥どうなってたか

⏰:10/03/28 23:44 📱:D905i 🆔:YbCY9nv6


#13 []
 
「そっかぁー‥
いい人そうだよね」

「うん‥見た目は、怖いけど」

「香夜、幸せだな」

「‥幸せ?」

ぽんと出てきた
その聞き慣れない言葉に
すごく違和感をかんじた

幸せ‥幸せかぁ

⏰:10/03/28 23:45 📱:D905i 🆔:YbCY9nv6


#14 []
 
「ちょっと‥悔しいけどな」

「‥どうして?」

夜桜をぼうっと見つめたその目は
凛々しくて眩しくて

「ん?それは‥秘密」

そう言ってはにかんだ顔は
とても大人だった

少しばかり見とれた
ぐるぐる胃の辺りが気持ち悪い

⏰:10/03/28 23:45 📱:D905i 🆔:YbCY9nv6


#15 []
 
気づけばあたしの右手は
躊躇いもなく吸い込まれるように
倫次の着物の裾を掴んで


「秘密とか‥無しだよ」

秘密なんてずるいじゃない
いつの間にそんなに
距離置くようになったのよ

「んー‥」

⏰:10/03/28 23:45 📱:D905i 🆔:YbCY9nv6


#16 []
 
響いた低音
ふわり風が髪を揺らして

「香夜には
‥俺しかいないってさ
馬鹿みたいだけど
そう思ってたから、なんかね」


困ったように笑って
切なそうに抜けてく吐息

⏰:10/03/28 23:46 📱:D905i 🆔:YbCY9nv6


#17 []
 
「あぁ、悔しい悔しい
大失恋‥だわ」

「失恋‥って
まだあたし何も言ってな‥」

「馬鹿」

ぴしゃりと叩かれた額
優しく叱るように

一気に事が進みすぎて
よくわかんない

⏰:10/03/28 23:46 📱:D905i 🆔:YbCY9nv6


#18 []
 
だけど倫次はあたしのこと‥


「香夜は、自分に疎いなぁ」

藍色の羽織を空中に踊らせ
包み込むように
あたしの肩にかけて

「自分と向き合えよ、ちゃんと」

そう言って背を向けた

⏰:10/03/28 23:46 📱:D905i 🆔:YbCY9nv6


#19 []
 

自分と向き合う

あたしが今向き合うべきなのは‥



もう、逃げるのはやめよう

⏰:10/03/28 23:47 📱:D905i 🆔:YbCY9nv6


#20 [笹]
第三五章 【強く、なって】
>>2-19
*。*。*。*。*。*
はい第二段です ^p^
馬鹿で自分をorderしてしまい
書けなくなりましたw
なので立て直しさせて
いただきました(;_;)申し訳ない

だんだん二人が
向かい合ってきましたね !!
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4676/

⏰:10/03/28 23:50 📱:D905i 🆔:YbCY9nv6


#21 []



あたしが
向き合わなきゃいけないのは‥


「壱助さん‥」

「随分と‥
長話で、いらっしゃる」

鋭い視線
何度目をそらしてきただろう

⏰:10/03/29 00:20 📱:D905i 🆔:mvSjpDFg


#22 []
 
敷かれた布団の色が霞む
そこに布団にも入らずに
胡座をかいて

飲みかけのお酒
‥飲みきらないなんて珍しい



「今夜は冷えます、よ
早く床に
‥ついたらどうですかい?」

⏰:10/03/29 00:21 📱:D905i 🆔:mvSjpDFg


#23 []
 
「‥壱助さん
あたしの‥布団は?」

まさか同じ布団だなんて‥

「此処、ですよ」

ひらり捲って隣をぽんと叩く

壱助さんが
あたしを襲うなんてのは
考えられないけれど

⏰:10/03/29 00:21 📱:D905i 🆔:mvSjpDFg


#24 []
 
喰われそう‥

「嫌なら‥其処で」

美しい指が示した固そうな畳
あぁ‥意地悪


渋々隣に潜り込む

ひんやり冷たい感覚が
体を包み込む
どことなく苦しくて

⏰:10/03/29 00:22 📱:D905i 🆔:mvSjpDFg


#25 []
 
隣に寝そべる美しき個体
気を使ってるのか
あたしが嫌なのか
色っぽい背を向けて


冷たい手をさすって
温もりを求めれば
擦れあう音が響き渡る

青白い月の光が胸を締め付けた

⏰:10/03/29 00:22 📱:D905i 🆔:mvSjpDFg


#26 []
 
「壱助さん‥あたし、」

見えない背中に問いかけて
返事のない空間に目を瞑る


向き合わなきゃいけない人

もう逃げちゃいけない
逃げるのはやめだ

⏰:10/03/29 00:23 📱:D905i 🆔:mvSjpDFg


#27 []
 
辛くてもいい
苦しくてもいいんだ

自分に素直になれば
怖くなんかないよね、倫次


呼吸を整える
何度も何度も息を吸って
握りしめた手に力を込める

⏰:10/03/29 00:23 📱:D905i 🆔:mvSjpDFg


#28 []
 
「壱助さん‥
もう、寝ちゃいましたか?」

返事がなければ明日にしよう


「香夜さん‥」

いつもの調子の低い声が
此方に向いて
背後から染み渡る温もり

⏰:10/03/29 00:24 📱:D905i 🆔:mvSjpDFg


#29 []
 
ぎゅうっと背中を抱きしめられて
結局壱助さんには適わない

また、踊らされて終わってしまう


「‥どうしたんですか?」

「いえ‥冷えるもんで、ね」

⏰:10/03/29 00:24 📱:D905i 🆔:mvSjpDFg


#30 []
 
期待なんかしちゃいないのに
心のどこかで残念がって

どこまでもあたしは情けない

だけど幸せ
‥素直になったら軽くなった


「香夜さん‥」

今になって気づく
気持ちの大きさ

⏰:10/03/29 00:24 📱:D905i 🆔:mvSjpDFg


#31 []
 
‥急に溢れ出した涙
伝えたら崩れてしまう?
それなら仕舞っておきたい

こうして触れられる事も
なくなっちゃうのかな


どこまでもどこまでも逃げて
甘い嘘を受け入れたい

⏰:10/03/29 00:25 📱:D905i 🆔:mvSjpDFg


#32 []
 
「寝ましょう、か」

そっと覆ったしなやかな手が
目の前を遮って
くだらない恐怖を取り除く

貴方の手に触れた滴
染みていく

零れた涙の後を
辿るように指が頬を這った

⏰:10/03/29 00:26 📱:D905i 🆔:mvSjpDFg


#33 []
 

言葉にしてほしい
貴方が何を考えているのか
貴方がどう思っているのか


それだけが気になって

あたしの心を奪うから‥

⏰:10/03/29 00:26 📱:D905i 🆔:mvSjpDFg


#34 [笹]
第三六章 【触れて、恋心】
>>21-33
*。*。*。*。*
香夜ちゃん遂に
気づきました恋心(゚_゚)←
長かったここまでの道のりw

暗闇かつ背を向けてるのに
泣いてるのがわかっちゃう
壱助さんは超能力者 ^p^え
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4676/

⏰:10/03/29 00:29 📱:D905i 🆔:mvSjpDFg


#35 [笹]
【本編アンカー/35〜】

>>2-19
>>21-33

⏰:10/03/29 00:38 📱:D905i 🆔:mvSjpDFg


#36 []



放り出された藍色の羽織り
手に取ればずしり重く感じた

泣き出すとは‥ねぇ
何を言われたの、か

それを丁寧に畳めば
途中で手が止まる
彼女に世話を焼きたくなるのは
私だけではないのかと
‥思うのですが

⏰:10/04/02 22:15 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#37 []
 
小さく四角くなったそれを
彼女の枕元にそっと置いた


「妬いてしまうんですが、ね
どう、したら‥」

まだ閉じたままの瞳
あどけない額を撫でれば
長い睫が少しばかり揺れる

⏰:10/04/02 22:16 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#38 []
 
愛嬌も良ければ
懐きやすい、ときた
ちょいと目を離したら
貴女は‥何処へ

"一生傍にいる"なんざぁ
私の言い分に過ぎないのか‥


どうも近頃
満足いかないんですが、ね

⏰:10/04/02 22:17 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#39 []
 
月明かりに照らされた桜
はらはら散って終わりを告げる


「花は盛りに‥か」

⏰:10/04/02 22:17 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#40 []



「おえぇええっっ!!!」

いきなり催す吐き気
腹部に走った激痛が
胃の中を駆け巡って
口の中から漏れそうだった

「いち‥ゴホッ
何でお腹‥おえぇ」

「大袈裟、ですね」

⏰:10/04/02 22:18 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#41 []
 
大袈裟じゃない!!
ほんとに痛いって言うか
は‥吐く

まだ顔面叩かれた方がましかも‥


「ちょいと‥
鍛えたらどうですか?」

「は?」

⏰:10/04/02 22:18 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#42 []
 
壱助さんの背後から射す
朝日の眩しさに目を細め
上から降り注ぐ視線の先を
目で丁寧に追えば‥

「随分と‥柔い」

クスッと鼻であしらわれた
あたしのお腹

蹴り飛ばしといて笑うとは‥
何か‥恥ずかしい

⏰:10/04/02 22:19 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#43 []
 
「女の子は‥
これ位が丁度いいんですぅ!」

「女の子‥ねぇ」

そう吐き捨て腰を下ろし
茶を啜った


昨日はお茶飲まなかったのに‥自分で煎れたのかな?

⏰:10/04/02 22:19 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#44 []
 
って言うかあたし
やっぱり女の子に見られてない?
普通蹴飛ばさないよね‥

「んん‥」

ぼうっと腹部をさすり
壱助さんの背中を見つめる

痛かったはずなのに
今は忘れてしまうくらい
心が痛いです

⏰:10/04/02 22:20 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#45 []
 
ふと枕元目をやれば
綺麗に畳まれた倫次の羽織り
そして予想される相手へ目配せ

‥世話好きだなぁ、やっぱり

あたしは子供なのかな?


やっぱり気づかなきゃよかった
気分が上がらないや‥

⏰:10/04/02 22:20 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#46 []
 
「香夜さん‥」

「‥はい?」

「午前中には出ます、よ」

呆気なく終わる一泊二日の二人旅

まぁいつもと変わりないよね
布団が一枚だったのと
壱助さんが‥

⏰:10/04/02 22:21 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#47 []
 
―‥やきもち?


まさかね、
こんな冷酷な大人すぎる人間が
あたしみたいな餓鬼に
妬くわけがない


ただの世話好き、そうだ

⏰:10/04/02 22:22 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#48 []



何だか来たときより
荷物が重く感じた

気持ちの問題かな
‥すっきりしたはずなのに


「壱助さんっ!!」

ゆるり振り返り着物が揺れた
相変わらずの仏頂面
もう‥慣れたけど

⏰:10/04/02 22:22 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#49 []
 
「倫次に羽織り‥返してきます」

荷物を石畳の上に置き
羽織りだけを抱えた

壱助さんを待たせるなんて
‥挑戦者だあたし


反応を見るのを恐れて
急ぎ足で向きを変えて向かえば
後ろから声がかかる

⏰:10/04/02 22:23 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#50 []
 

「‥香夜」


思わず振り返った
それはもう小動物のように機敏に

だって今‥呼び捨て

ばちりと合ったその目は
鋭くも柔らかくて驚いた

⏰:10/04/02 22:23 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#51 []
 
春風に揺られ
花びらが壱助さんの周りを舞う

なんだかその瞬間
周りの音が消えた気がした


艶容な唇が緩くつり上がり
ゆっくり少しだけ動いた
そして何かを告げた

⏰:10/04/02 22:24 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#52 []
 
「え?今なんて?」

何故か胸が張り裂けそう


「いえ‥早くしないと
置いて行きます、よ」

「え‥あぁはい!!」

⏰:10/04/02 22:24 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#53 []
 
今までにない顔で
あぁもう‥だめだ
忙しなく鳴る鼓動がやまない


熱くなる頬
思い切り息を吸い込んで
熱を無理やり追い出した

⏰:10/04/02 22:24 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#54 []



「倫次‥ありがと」

懐かしき幼なじみに手渡した
あっさりとした別れ

「いえいえ」

にっこり笑ったその顔は
少しばかり寂しそうに見えた

⏰:10/04/02 22:25 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#55 []
 
「それと‥ありがと」

「‥何が?」

「気持ち、嬉しかった」

大切な人に
そう思われてるなんてね
すごくあたしは幸せ者だと思う

⏰:10/04/02 22:26 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#56 []
 
だけどね‥気付いた

「だけど‥
心に決めた人がいるから」


倫次のおかげで気付けたよ
やっと向き合えた

辛くても、うまく行かなくても
投げ出すのだけは
やめようと思うよ

⏰:10/04/02 22:26 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#57 []
 
「そっか、
いつもの香夜らしくいれば
‥大丈夫さ」

くしゃっと頭を撫でられて
鼻の奥がつんとした


「香夜‥あの人、いい人だよ」

「‥?」

⏰:10/04/02 22:27 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#58 []
 
「あの人には‥負ける」

「え‥?何が?」

「ほら、あんまり待たされると
‥置いて行かれる」

背中を押した手
暖かくて力強くて

あたしもいつかそんな風に
誰かの背中を押せるような
強い人になりたいな

⏰:10/04/02 22:27 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#59 []
 
「ありがと倫次!!
また‥また来るから!!」

振り返り叫べば
大きく手を振って見送られた


あぁ‥何だか切ないよ
わかんないけど
あたし‥幸せだ、本当に

⏰:10/04/02 22:28 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#60 []



追いかければもう門には居らず

「‥置いて行かれた」

肩を落として
うなだれて門を出れば


「ぎゃあっ!!」

門の隅に寄りかかった貴方

⏰:10/04/02 22:28 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#61 []
 
「‥遅い」

なんだ‥待っててくれたんだ

じわじわと地面から
柔らかい感情が湧き出して

「ご‥ごめんなさい」

鋭い視線に突かれたって
痛くも痒くもない

⏰:10/04/02 22:29 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#62 []
 
ふと思い出す先程の貴方

緩む口元に力を込めて
先を行く背中を追った

「あ‥壱助さん!!
倫次とお話したんですか?」

「何、故」

「さっき倫次が
そんなような言い方してたから」

⏰:10/04/02 22:30 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#63 []
 
「‥」

「何で黙るんですか?」


「さぁ、ね」

そして、遠くを見つめて‥


横顔が舞う桜に溶けて行く

⏰:10/04/02 22:30 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#64 []
第三七章 【花は、盛りに】
>>36-63
*。*。*。*。*
二人旅終了〜\(^O^)/
香夜ちゃんは恋心に
壱助さんは独占欲に
気付いたっぽいです ww

呼び捨てそして口ぱく
倫次との秘密のお話w
全く理由は考えてなi ^q^ ←
後に番外編にでも
書きたいと思います **
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4676/

⏰:10/04/02 22:37 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#65 [笹]
【本編アンカー/35〜】

>>2-19
>>21-33
>>36-63

⏰:10/04/02 22:38 📱:D905i 🆔:fWI6nvOI


#66 []



桜色から覗く鮮やかな若葉色
春もとうとう過ぎ去って
やってくるは爽やかな季節

白くひらひらした蝶が
菜の花に停まる
愛らしい姿に目を細める
寄り添った二匹が
追いかけっこをしてるみたいに
宙に舞って消えた

⏰:10/04/15 21:24 📱:D905i 🆔:pJU1XkOc


#67 []
 
「壱助さん‥あたし」

「ちょいと、気分転換にでも‥」


あれから良い機会などなくて
なかなか言い出せず

言い出そうとすればこんな感じ
話を上手く逸らされて
どうしようもない

⏰:10/04/15 21:24 📱:D905i 🆔:pJU1XkOc


#68 []
 
気付いてるんだろうか
何かまずいことでもあるのかな

「ねぇ壱助さんってば!!」

悔しくてたまらない
悲しいよりも先に
そんな感情が先に出る

もどかしくて、
訳もなく恥ずかしい

⏰:10/04/15 21:25 📱:D905i 🆔:pJU1XkOc


#69 []
 
張り出した声
潤んだ瞳に歪む背中

できるならこんな感情
棄ててしまいたいのに


「‥」

何も言わずに立ち止まった
真っ白な首筋が冷たく見えた

⏰:10/04/15 21:25 📱:D905i 🆔:pJU1XkOc


#70 []
 
「ちゃんと‥聞いてください」


「私が何故、香夜さんの傍に居るか
‥ご存知で?」

より一層低い声が
足の裏からじわり侵入して
ぎゅうっと胸が苦しくなる

⏰:10/04/15 21:26 📱:D905i 🆔:pJU1XkOc


#71 []
 
そんなこと知らない
期待できるような理由じゃない

何故だかそんな気がして
知りたいのに、知りたくない


ゆっくり振り向き
横目で此方を見下げ
鋭い視線に殺されそうだった

⏰:10/04/15 21:26 📱:D905i 🆔:pJU1XkOc


#72 []
 
黙って首を振れば
また前を向いてため息

「なら‥その内」

「その内?その内って何ですか?」

思わず立ち上がり
ぶつかりそうな所で体が止まる

壱助さんはずるい
いつもそうやって秘密を作る

⏰:10/04/15 21:26 📱:D905i 🆔:pJU1XkOc


#73 []
 
「まぁ‥いいじゃあ、ないですか」

きっとまた
その艶容な口が笑ってる
対等になろうなんて思わないけど
悔しくてたまらないよ


「ちょっと‥!!
逃げないでくださいよ
そうやって‥
いつもはぐらかして!!」

逃げ出す背中を追う
足が重たい

⏰:10/04/15 21:27 📱:D905i 🆔:pJU1XkOc


#74 []
 
自分の気持ちに気づいてから
体が重い気がする

「逃げる、か」

「そうです!!
ちゃんとあたしと向き‥」


あれ‥ちょっと待って

⏰:10/04/15 21:27 📱:D905i 🆔:pJU1XkOc


#75 []
 
此方を向いた壱助さん
腕を組んで
眉間にしわを寄せて‥


「いた‥っ」

頭に走る激痛
刃物で一突きされたような
鋭い痛みが吐き気を催す

⏰:10/04/15 21:28 📱:D905i 🆔:pJU1XkOc


#76 []
 
『助けて‥!!』

乱れる呼吸
崩れた体が悲鳴をあげる

『‥お父さん!!』

だめ‥違う、違うの
そうじゃない

『香夜‥!!』

⏰:10/04/15 21:28 📱:D905i 🆔:pJU1XkOc


#77 []
 
視界が揺れた
走馬灯のようにあの日の記憶だけ
丁寧に繰り返される


壱助さんが見下ろす
歯を食いしばって険しい顔で

⏰:10/04/15 21:29 📱:D905i 🆔:pJU1XkOc


#78 []
 
『お父さあぁあん!!』


潰れかかった自分の悲鳴が
脳裏にへばりついて
雨のように降ってきた
血液の匂いが蘇って
鼻の奥をくすぐった


嘘‥どうして?

壱助さん‥

⏰:10/04/15 21:29 📱:D905i 🆔:pJU1XkOc


#79 []
 
「や‥いやぁ‥」

冷ややかな地面の砂が
はだけた着物の隙間から
蝕むように侵入してくる

「どう‥して
何で、何で壱助さん‥」

隠しきれない動揺が渦を巻いて
気づかぬ内に頬を濡らした

⏰:10/04/15 21:30 📱:D905i 🆔:pJU1XkOc


#80 []
 
「そろそろ‥ですか、ね」

目を細めてそう呟いた声
その姿をあの日、あの時‥


壱助さん
あたしを拾ったのには
訳があるのでしょう?

⏰:10/04/15 21:30 📱:D905i 🆔:pJU1XkOc


#81 []
 
例えば、
あたしたちの出会いが
もっとずっと前の事で‥

_

⏰:10/04/15 21:32 📱:D905i 🆔:pJU1XkOc


#82 []
第三八章 【崩れて、記憶】
>>66-81
*。*。*。*。*
久々の更新が‥
内容暗すぎる(゚-゚)
ヒステリック香夜 ←
ってか会話少ないwww

何回も書き直したり
スランプだったんですが
思い切って急カーブをかけてみた
最近2人のギャグ並みの絡みが
ないのでそのうち ←
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4676/

⏰:10/04/15 21:36 📱:D905i 🆔:pJU1XkOc


#83 [笹]
【本編アンカー/35〜】

>>2-19
>>21-33
>>36-63
>>66-81

⏰:10/04/15 21:37 📱:D905i 🆔:pJU1XkOc


#84 []
*゚・。*

「壱助さーん」

「‥」

「んぅ‥壱助さんってばぁ」

「かわゆい」

「‥は?」

「いえ‥
此方の話です、よ」

⏰:10/04/15 21:59 📱:D905i 🆔:pJU1XkOc


#85 []
 
「かわゆいって‥
何が?どこが?誰が?」

「まぁ、まぁ」

「またはぐらかしてー‥むぅ」

「香夜さん‥」

「んぅ」

⏰:10/04/15 21:59 📱:D905i 🆔:pJU1XkOc


#86 []
 
「―――――‥」

「え‥な‥、ななな」

「‥です、よ」

「何な、何言ってるんですかぁ?
も‥やだなぁ、あはっあは」

「かわ、ゆい」

「‥ばか」

「はい、はい」

⏰:10/04/15 22:00 📱:D905i 🆔:pJU1XkOc


#87 []
番外編 【かわゆい戯れ事】
>>84-86
*。*。*。*。*
まさかの3ページww
しかも会話おんりーww

あまりにも
本編が暗っちいので
ふざけてみました ←

壱助さんに
かわゆいって言わせたかっただけ
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4676/

⏰:10/04/15 22:03 📱:D905i 🆔:pJU1XkOc


#88 []



あたしの記憶の隅に
すでに貴方は居て‥

何も語らずとも
あたしの過去を知っていたのは
そういうことだったんだ

あの日
‥貴方はあの場にいた

⏰:10/04/19 20:34 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


#89 []
 
「壱助さん‥どうして今まで」

「此処じゃあ、何です
中へ入りましょう‥か」


間違いない
確かに貴方なんだ

⏰:10/04/19 20:34 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


#90 []



真っ白な肌
綺麗な首筋に艶容な唇
通った鼻筋に長い睫

忘れるはずがない


だけどあたしは今まで
気付きもしなかった
どうして?

⏰:10/04/19 20:35 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


#91 []
 
「さぁ‥
何から、話しやしょうか」

全てを見透かすような瞳は
その通りだった
あたしの全てを知っている


妙な緊張感
独特の静けさに息を飲む

至って冷静で
それでいて自然と把握した

⏰:10/04/19 20:35 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


#92 []
 
「お父さんが殺されるのを
‥見ていましたか?」

まだ脳内で再生される
残酷な映像に目をつむり
静かにそう問った


「えぇ‥確かに」

淡白な答え
真っ赤などろどろした液体が
体中を駆け巡る

⏰:10/04/19 20:36 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


#93 []
 
「まだ‥貴女は幼かったですが
相当な眼力‥
忘れもしませんぜ
あの憎悪や絶望漂う目を、ね」


微かにつり上がった唇
この余裕げな表情に
憎たらしさを覚えたのは
久しぶりだった

⏰:10/04/19 20:36 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


#94 []
 

唇をキツく噛み締めれば
じわり鉄分の生臭い味


「何故‥助けなかったのか、と」


_

⏰:10/04/19 20:37 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


#95 []



あの日
壱助さんはそこに居た

あたしが連れ去られかけ
父に助けを求め
父が代わりに殺されたのを
彼は黙って見ていた

最初から最後まで‥全て

⏰:10/04/19 20:37 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


#96 []
 
赤く染まった傷口を
何を訴えるでもない
そんな目で見つめてた

そして目を細めて
此方にその視線を向けた

かなりの温度差
ぴたりと視線が合った時思った

"どうして助けてくれなかったの"

⏰:10/04/19 20:38 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


#97 []
 
熱い物がこみ上げて
あたしの視線を支配した

威嚇するように睨み付けた
後ろから母の悲鳴が聞こえた


よくわからなかった
物事が急に進んで
頭がついて行かなくて

⏰:10/04/19 20:38 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


#98 []
 
とても絶望的で
地の底に突き落とされたようで

まだ幼かったあたしは
ただただ視線の先にいた
"大人"を睨むしかなかった


それから始まった母からの虐待

⏰:10/04/19 20:39 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


#99 []
 
大した物でもない脳で
必死に状況を理解しようとした


何故父は殺されたのか

何故母はあたしを傷つけるのか


_

⏰:10/04/19 20:39 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


#100 []
 

「実は‥貴女の父上と
面識がありまして、ね」


‥何故大人は身勝手なのか

_

⏰:10/04/19 20:40 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


#101 []
第三九章 【秘密、現れて】
>>88-100
*。*。*。*。*
謎の急展開
お互い探り合い←
恋愛模様は一旦中止w
奥深い話が書きたいです ^q^

あぁ早く
絡まってほしいのにw
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4676/

⏰:10/04/19 20:43 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


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