浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#88 []



あたしの記憶の隅に
すでに貴方は居て‥

何も語らずとも
あたしの過去を知っていたのは
そういうことだったんだ

あの日
‥貴方はあの場にいた

⏰:10/04/19 20:34 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


#89 []
 
「壱助さん‥どうして今まで」

「此処じゃあ、何です
中へ入りましょう‥か」


間違いない
確かに貴方なんだ

⏰:10/04/19 20:34 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


#90 []



真っ白な肌
綺麗な首筋に艶容な唇
通った鼻筋に長い睫

忘れるはずがない


だけどあたしは今まで
気付きもしなかった
どうして?

⏰:10/04/19 20:35 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


#91 []
 
「さぁ‥
何から、話しやしょうか」

全てを見透かすような瞳は
その通りだった
あたしの全てを知っている


妙な緊張感
独特の静けさに息を飲む

至って冷静で
それでいて自然と把握した

⏰:10/04/19 20:35 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


#92 []
 
「お父さんが殺されるのを
‥見ていましたか?」

まだ脳内で再生される
残酷な映像に目をつむり
静かにそう問った


「えぇ‥確かに」

淡白な答え
真っ赤などろどろした液体が
体中を駆け巡る

⏰:10/04/19 20:36 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


#93 []
 
「まだ‥貴女は幼かったですが
相当な眼力‥
忘れもしませんぜ
あの憎悪や絶望漂う目を、ね」


微かにつり上がった唇
この余裕げな表情に
憎たらしさを覚えたのは
久しぶりだった

⏰:10/04/19 20:36 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


#94 []
 

唇をキツく噛み締めれば
じわり鉄分の生臭い味


「何故‥助けなかったのか、と」


_

⏰:10/04/19 20:37 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


#95 []



あの日
壱助さんはそこに居た

あたしが連れ去られかけ
父に助けを求め
父が代わりに殺されたのを
彼は黙って見ていた

最初から最後まで‥全て

⏰:10/04/19 20:37 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


#96 []
 
赤く染まった傷口を
何を訴えるでもない
そんな目で見つめてた

そして目を細めて
此方にその視線を向けた

かなりの温度差
ぴたりと視線が合った時思った

"どうして助けてくれなかったの"

⏰:10/04/19 20:38 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


#97 []
 
熱い物がこみ上げて
あたしの視線を支配した

威嚇するように睨み付けた
後ろから母の悲鳴が聞こえた


よくわからなかった
物事が急に進んで
頭がついて行かなくて

⏰:10/04/19 20:38 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


#98 []
 
とても絶望的で
地の底に突き落とされたようで

まだ幼かったあたしは
ただただ視線の先にいた
"大人"を睨むしかなかった


それから始まった母からの虐待

⏰:10/04/19 20:39 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


#99 []
 
大した物でもない脳で
必死に状況を理解しようとした


何故父は殺されたのか

何故母はあたしを傷つけるのか


_

⏰:10/04/19 20:39 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


#100 []
 

「実は‥貴女の父上と
面識がありまして、ね」


‥何故大人は身勝手なのか

_

⏰:10/04/19 20:40 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


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