記憶を売る本屋 2
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#502 [我輩は匿名である]
「…何かに力入れてみろって言ったじゃん?
だから、ちょうどいいかな、と思って…」
「偉いっ!!」
直人は満面の笑みで飛鳥の肩を叩く。
「やったじゃん!今日は胸張って弟に嫌みかましてやれよな!」
「………うん」
飛鳥は嬉しそうに小さく笑って頷いた。
まるで自分の事のように喜びながら、直人は教室に向かって歩きだす。
「(………やっぱり)」
彼の姿を見ながら、飛鳥は心の中で呟く。
:10/10/31 08:46
:N08A3
:eAY8INGU
#503 [我輩は匿名である]
「(あたし、あいつの事好きだな…)」
今まで曖昧に思っていた事。
それが今、改めてはっきりとわかった。
「神崎?どうかしたか?」
直人がこっちを向く。
「…ううん、何にも」
飛鳥は答えて、一緒に教室に向かった。
:10/10/31 08:46
:N08A3
:eAY8INGU
#504 [我輩は匿名である]
放課後。
家の前で、飛鳥は少し緊張していた。
隣に響子はもういない。
自分が頑張って7位をとった事を言うと、彼らは何と言うだろう。
もしも、「そうですか」で終わらされたら…。
そう思うと、なかなか踏み出せずにいるのだ。
「邪魔だよ、そこ」
ドアの前でボーッとしていると、背後から巧の声がした。
:10/11/05 15:44
:N08A3
:IxG8QTDI
#505 [我輩は匿名である]
振り向くと、偉そうに腕を組んで、巧がこっちを睨んでいる。
「何してたの?家に入るの嫌になった?
だよねー。出来損ないは相手にされないもんね」
巧はバカにするような顔で笑う。
飛鳥はムッとして巧に言い返す。
「あんた、バカにするのもいい加減にしなさいよ」
「はっ、何?なんか自慢出来るような事でも出来た?
良かったねー。僕なんか今日テストで1位とったけどね」
巧は含み笑いのまま言った。
:10/11/05 15:45
:N08A3
:IxG8QTDI
#506 [我輩は匿名である]
『1位』という言葉を聞いて、飛鳥は茫然とする。
「はははっ、何?もしかして、成績で僕に勝ったとか思った?
無理に決まってんじゃん、僕に勝とうだなんて。
わかったらさっさとそこどいてくれる?」
巧はため息を吐いて、無理矢理飛鳥をどかせて家に入っていった。
飛鳥は黙ってそこに立ち尽くす。
:10/11/05 15:45
:N08A3
:IxG8QTDI
#507 [我輩は匿名である]
やっと、認めてもらえると思っていた。
この家は学力しか見ていない。
母親も、父親も、弟も。
なら良い成績を取らなきゃいけない。その一心でここまできたのに。
あれだけ頑張って、あの成績を取ったのに、また弟に劣るのか。
飛鳥は拳を握りしめ、しばらく下を向いていた。
:10/11/05 15:49
:N08A3
:IxG8QTDI
#508 [ゆず]
一気に読んでめっちゃ

はまりました

気になる

毎回チェックします

がんばっちくりん

:10/11/06 23:23
:P03A
:DOyPQ5PU
#509 [☆]
:10/11/07 15:14
:SH05B
:☆☆☆
#510 [我輩は匿名である]
>>ゆずサン
>>☆サン
はじめまして

感想ありがとうございます

嬉しいのですが、感想が入ると見辛いというご意見がありましたため、よろしけば小説総合板にある感想板にお願いします


アンカーして下さるのは助かります

:10/11/09 21:55
:N08A3
:elepWMVo
#511 [我輩は匿名である]
次の日。
直人はじーっと、何かを考え込む薫をじっと見つめる。
「……何考えてんだ?」
「来週クリスマスだろ?響子に何やろうかと思って」
薫は腕を組んだまま答える。
そういえばあったな、そんなイベント。
直人もそう思いながら「あー」と声を漏らす。
:10/11/09 21:56
:N08A3
:elepWMVo
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