その日が来る前に、2
最新 最初 全 
#501 [愛華]
ふん、ざまーみやがれ!!
まぁでも………よかったかな。
誰も傷つかなくていい別れ
なんてものは存在しない。
だからしょうがないんだ。
その傷がなおる日まで。
その日が来る前に、
みんなで笑えたらいいんだ。
:10/12/11 19:41
:840SH
:wGC9P6l.
#502 [愛華]
「……梓ちゃん、帰るの?」
玄関を出たところで、いつ起きたのか誨さんに声をかけられた。
「俺寝てたんだけど……
なんの話してたの?」
「タカ、直純と会うそうです。
まぁへたれなんで、やっとか
って感じなんですけどね」
「そか……やっとか……」
誨さんは言いながら隣に来る。
:10/12/11 19:48
:840SH
:wGC9P6l.
#503 [愛華]
「えと………誨さん?」
「送る。暗いし、危ないよ」
誨さんとあたしはなんなのかな。
わかんなくて不安になる。
あたしだって自分のことを
考えるんだよ。
幸せになりたいんだよ。
帰り道は、なにも話さなかった。
:10/12/11 19:50
:840SH
:wGC9P6l.
#504 [愛華]
「じゃ、はやく寝ろよ」
「ありがとーございました」
家の前まで送ってもらっちゃった
何回送ってもらったかな……
「…………誨さん」
「………ん?なした?」
「あたし多分…………
誨さんのこと好きなんだと思う」
:10/12/11 19:54
:840SH
:wGC9P6l.
#505 [愛華]
「…………はいぃ!?」
あ、赤くなった。
てゆーかなんだよ、その声。
「いや……ジョーダンでしょ?」
「試してみますか?」
「え、どーいう……」
ちゅ。
:10/12/11 20:01
:840SH
:wGC9P6l.
#506 [愛華]
一瞬。ほんとに一瞬。
ほんとはこんなん嫌だったけど。
なんか勝手に………ね?
「………あず……今……」
「ばーか。気づけばーか!!
てか女の子からキスさせんな。
もっかい言おうか?ばーか!!」
:10/12/11 20:07
:840SH
:wGC9P6l.
#507 [愛華]
真っ赤になって言葉になってない誨さんにまくしたてる。
何歳だよ、あんたは。
純情すぎるでしょ。
ってかふつー逆でしょ。
「じゃね、誨さん。そゆことで」
「いやいやいや……おかしい!
流れ的におかしいだろ!?」
:10/12/11 20:15
:840SH
:wGC9P6l.
#508 [愛華]
「おかしくないよーなんも」
「え………?おかしくない?
普通?これ、普通?」
「うん。普通。普通」
誨さんはうーんとうなってる。
「………じゃーね、誨さん」
「え、あ…………」
あたしは誨さんの答えを聞かず
家に入った。
:10/12/11 20:34
:840SH
:wGC9P6l.
#509 [愛華]
答えを聞くのが怖いのもあったし
ちょっとしくじったかなって、
後悔もしてたから。
今じゃなくてもよかったかなって
ちょっと恥ずかしくて。
怖かった。
なんでもないような顔すんのが
精一杯だったんだって
気づかれたくなかった。
:10/12/11 20:37
:840SH
:wGC9P6l.
#510 [愛華]
部屋の窓から誨さんがうずくまってるのが見えた。
困らせちゃったのかな。
あ、そーいえばファーストキス
だったな。今の。
悲しくなった。
勝手に期待して傷ついて。
:10/12/11 20:42
:840SH
:wGC9P6l.
#511 [愛華]
勝手にキスして、困らせて。
自分で自分の気持ちがわかんない
でも、これが、好き。
誨さんが、好き。
好きだから、キスしたの。
:10/12/11 20:44
:840SH
:wGC9P6l.
#512 [愛華]
タカでもなくて、那佑でもない。
今まで大切な人のことばっか
考えてた夜。
でも、今日の夜は。
自分とあなたでいっぱいになった。
胸がきゅうってなった。
:10/12/11 20:48
:840SH
:wGC9P6l.
#513 [愛華]
あなたも同じ気持ちかな。
タカ。那佑。直純。
ごめんね。こんな時に
自分のことばっか考えて。
でも、今日だけだから。
ちょっとだけ幸せを願いたい。
女の子をしてたい。
好きな人を想って眠りたい。
:10/12/11 20:55
:840SH
:wGC9P6l.
#514 [愛華]
'
「……………なにこれ?」
「見りゃわかんでしょ、から揚げ
だよ。自然解凍オッケーだよ」
「いやいや………朝学校きて
冷凍からあげ渡されて、どんな
リアクションとればいーの?」
:10/12/12 13:09
:840SH
:Pg1nhX6s
#515 [愛華]
そりゃそーですね。
「昨日、お母さんに直純んとこ
からあげ持ってけって渡されたんだけど忘れちゃったからさ。
腐るといけないから冷凍で。」
「だからって…………え?
ってか…梓の母ちゃん俺の家
知ってんの?」
「全部知ってるよ、今までのこと全部。心配してたよ。また
昔みたいに遊びにおいでってさ」
:10/12/12 13:14
:840SH
:Pg1nhX6s
#516 [愛華]
虐待のことも………全部。
「……なんなら家に住む?」
「絶対やだ。梓の父ちゃん
いびきうるせぇもん」
「あー……確かにね」
昔はよく泊まりあいっこしたな…
…………ガリガリ…
:10/12/12 13:17
:840SH
:Pg1nhX6s
#517 [愛華]
「…梓、お前腹減ってるからって冷凍のまま食べんなよ。」
「いや、これはこれでウマイ。
冷凍からあげ流行るかも」
「流行んねーよバカ」
…んで、あんたも食べるんかい。
二人で並んで冷凍からあげを
食べる。周りから見れば
ひまわりの種でも食べてんのか?って感じだろう。
しかし誰一人つっこまない。
:10/12/12 13:22
:840SH
:Pg1nhX6s
#518 [愛華]
「………あのさぁ梓」
「んー?何?」
「…隆兄のこと、もういーの?」
食べる手を止める。
周りの騒音が一瞬だけ止まった
ような気がした。
:10/12/12 13:26
:840SH
:Pg1nhX6s
#519 [愛華]
「…………や、あのさ………
白石、隆兄と別れて………
梓は隆兄と…………」
直純は言い訳みたいにあたふた
なんか言ってる。
……直純も、那佑が好きなんだ。
「…なーるほど。タカとあたしが
付き合えば、直純にとっては
都合がいいってわけね?」
:10/12/12 13:34
:840SH
:Pg1nhX6s
#520 [愛華]
「や、そーいうわけじゃ……」
「でも、ざーんねんでした。
あたし好きな人いるもーん」
「…………えぇ!?マジで!?
お前あんなに隆兄一筋
だったのに……」
「新しい恋を始めたんですー」
直純はそっかぁーとつぶやいて
半解凍状態のからあげを口に
運んだ。
:10/12/12 13:42
:840SH
:Pg1nhX6s
#521 [愛華]
「………実りそうなの?」
…………どうなんだろう?
昨日自分からキスしちゃったけど
困らせちゃっただろうし……
脈あるかもって思ってたのは
単なる勘違いだったのかな?
………あ、また落ち込んできた。
「…………多分ムリかなぁ…」
:10/12/12 13:59
:840SH
:Pg1nhX6s
#522 [愛華]
「………ふーん………」
なんだろ、これ。
タカの時こんな気持ちに
なったっけ………
期待したぶんだけ辛いのかも。
タカの時は、心のどっかで
諦めてた気がするな。
「……じゃー俺ら一緒かぁ。
実らないって辛いね〜」
:10/12/12 14:45
:840SH
:Pg1nhX6s
#523 [愛華]
実らない…………か。
「……………タカが……」
「…………ん?」
「タカが、あんたに会うって」
「隆兄が…………俺に?」
直純の顔がゆがむ。
びっくりしたのか、予想はしてたのか、読み取れない。
:10/12/12 14:57
:840SH
:Pg1nhX6s
#524 [愛華]
「…………どーするぅ?
那佑を返せって言われたら!」
「絶対いやだ」
…………即答ですか。
まぁなんとなくわかってたけど。
「…………わがままなのかな?」
:10/12/12 15:05
:840SH
:Pg1nhX6s
#525 [愛華]
わがまま?………なにが?
「白石がまだ隆兄を好きなのは知ってる。それでも側にいてほしい
実るとか実らないとか……
どうでもよくなるくらいに
ただ、側にいてほしいんだ」
切ない横顔は
まるで自分を見てるみたいで。
:10/12/12 15:17
:840SH
:Pg1nhX6s
#526 [愛華]
重ねて見ていた。
自分の姿を。
実らない恋を何年も続けて
新しい恋をしてもまた傷ついて
切なくて、苦しくて。
でも側にいてほしくて。
「…………わがままかな?」
もう一度繰り返した直純の言葉
あたしは答えられなかった。
:10/12/12 15:49
:840SH
:Pg1nhX6s
#527 [愛華]
とりあえず………
「……………クサい」
「はぁ!?なんだそれ!!」
「直純クサい。クサすぎ。
『側にいてほしいんだ』…とか
乙女ちっくなこと言うな」
「おとめ………ちっくぅ?
なんだそりゃ!!俺は自分に
正直に生きてるんだよ!!」
「セリフが似合ってない」
「死ね!!」
:10/12/12 18:00
:840SH
:Pg1nhX6s
#528 [愛華]
「あいにく、まだ死にません〜」
「………ムカつく!!」
低レベルな言い争いをしている
うちに、冷凍からあげがなくなってしまった。
明日、お腹こわさないかな……
…………なんか、疲れたなぁ。
いろいろ頑張りすぎた……。
:10/12/12 18:05
:840SH
:Pg1nhX6s
#529 [愛華]
あたしは机にうずくまった。
急に眠気が襲ってくる。
午後の授業大丈夫かな………
「………なに、眠いの?」
「………てゆか疲れた……
あたしゃねー毎日毎日まーいにちタカや那佑のこと考えてんの」
「………ふーん……」
どうしたらみんなが笑えるのか
そればっか考えて疲れて……
自分のことなんか後回しで。
:10/12/12 20:41
:840SH
:Pg1nhX6s
#530 [愛華]
「…………いんじゃないかな」
「ん?なんか言ったか?梓」
「わがままでも。自分を一番に
思うのはみんな同じだしさ……
応援はしないけど否定もしない。そのままでいんじゃない?」
それは本音だった。
:10/12/12 20:47
:840SH
:Pg1nhX6s
#531 [愛華]
誰かを大切に思う。
その気持ちは間違いじゃない。
自分の幸せを願う。
それもきっと間違いじゃない。
だから、それでいいんだ。
きっとそれが正しいんだ。
例えその先に希望がなくても
自分がわがままになっちゃうのは
止められない欲望。
:10/12/13 23:24
:840SH
:LirqFtQA
#532 [愛華]
「なんの話してるのー?」
「おわ!!白石!!
委員会終わったのかよ!!」
「那佑!!気配を断たないでよ!忍者かおまえは!!」
いつのまにか那佑は後ろにいた。
……どっから話きいてたかな…
「お腹すいた……昼休みに委員会とかひどいよねーほんと」
:10/12/13 23:30
:840SH
:LirqFtQA
#533 [愛華]
那佑はため息をついていすに
ついた。
「なんかからあげのニオイ……
からあげ食べた?」
「あーすげぇ食感いいやつ」
「お風呂あがりにぴったりの」
「……はぁ?なにいってんの」
そんなくだらないことで笑って
る那佑を見ると、安心した。
:10/12/13 23:39
:840SH
:LirqFtQA
#534 [愛華]
那佑。だいすき。
急にそう思った。
ずっと笑っていて。
幸せでいて。
誰を好きになってもいいよ。
でも、笑っていてね。
もう泣かないでね。
いつも笑顔でいてね。
:10/12/13 23:44
:840SH
:LirqFtQA
#535 [愛華]
そういつも願ってた。
でも運命は残酷で。
叶わない想いを募らせていた那佑
毎日潰されそうになりながらも
笑ってた。精一杯。
来るのが怖かった『その日』。
来るなんて信じたくなかった。
『その日』のタイムリミットは
すぐそこに迫っていたんだ。
:10/12/13 23:52
:840SH
:LirqFtQA
#536 [愛華]
-隆則side-
:10/12/15 19:54
:840SH
:4C424oZI
#537 [愛華]
今でも目を閉じれば思い出す。
那佑の笑った顔。怒った顔。
すねた顔。照れてる顔。
でも最後に思い出すのは
やっぱり泣いてる顔で。
あの日別れた日の
那佑の泣いてる顔。
胸に刻まれて消えない記憶。
:10/12/15 19:57
:840SH
:4C424oZI
#538 [愛華]
傷つけて傷ついて。
後悔して、苦しくて。
でもいつか笑える。
また会える。
それは今じゃないけれど。
そして思った。
直純に、会いたい。
:10/12/15 20:09
:840SH
:4C424oZI
#539 [愛華]
笑えているだろうか。
もう傷ついていないかな。
あんなことで許されるなんて
思ってなんかないけど。
あの日の続きを。
あの日、伝えたかったこと。
遅いかもしれない。
でも、それでも、伝える。
なぁ。 直純。
:10/12/15 20:15
:840SH
:4C424oZI
#540 [愛華]
-直純side-
:10/12/15 23:45
:840SH
:4C424oZI
#541 [愛華]
隆兄に、会いに行く。
これはあの日の続きなんだ。
何を言うつもりなんだろうか。
隆兄は……何を俺に……
でも、笑って話せたらいい。
それは白石の望みでもある。
白石は俺と隆兄の和解を誰より
願っていたから。
:10/12/15 23:48
:840SH
:4C424oZI
#542 [愛華]
それは叶わないだろうか。
白石が俺の側にいること。
それは隆兄が白石に頼んだんだ。
でも俺は『ありがとう』なんて
言うつもりなんてない。
『ごめん』も。言わない。
俺は…自分の力で白石を振り向かせたい。誰の力も借りない。
俺が白石を笑顔にしたい。
:10/12/15 23:52
:840SH
:4C424oZI
#543 [愛華]
白石は渡さない。
手放したのは………隆兄だから。
後悔したって遅い。
大事なものは
いつなくなっちまうかなんて
誰も予想できないんだから。
だから、白石は渡さない。
絶対に、渡してたまるか。
:10/12/15 23:56
:840SH
:4C424oZI
#544 [愛華]
'
「久しぶりだな。元気か?」
それが隆兄にかけられた
最初の言葉だった。
学園祭以来なんだ。隆兄と会うの
:10/12/17 20:27
:840SH
:JGd1mE7k
#545 [愛華]
隆兄は、笑っていた。
だから俺も笑った。
「……俺は学園祭以来だけどさ
隆兄は違うよな?」
「……え?」
「見舞い……来てくれたろ?
事故った時………」
「……はは。一回だけな」
:10/12/17 21:15
:840SH
:JGd1mE7k
#546 [愛華]
隆兄は笑いながら、ベンチに
座った。
あの日と同じ公園なのに
違うように見えるんだ。
「………那佑から聞いた。
虐待とかのこと。全部」
「そっか。あ、でも今はなんも
ないからな?あのジジイに恩
なんかこれっぽっちも感じて
ないから」
:10/12/17 21:28
:840SH
:JGd1mE7k
#547 [愛華]
「話聞いた時、殴りに行こうか
とか思ったけどさ」
「はは、マジで?」
「……まぁそんな権利ないし」
『権利がない』
隆兄は自分を責めてたんだ。
この6年間…………ずっと。
知らなかった俺はなんて
幼かったんだろう。
:10/12/17 21:48
:840SH
:JGd1mE7k
#548 [愛華]
「………学園祭じゃないよ?」
「ん?なにが?」
隆兄は不思議そうに俺を見た。
そう。6年振りに会ったのは…
学園祭じゃない。
「ほんとはクリスマスん時に
会ってるんだよ?俺ら」
「……………えぇ!?」
:10/12/17 21:52
:840SH
:JGd1mE7k
#549 [愛華]
「隆兄、なんか知らんけど
すっげ酔ってたから………」
「ぜ………全然覚えてねぇ…」
だろうな。
「……俺、隆兄を憎んでるわけ
じゃないから。もう違うよ」
「え……なにそれ。憎めよ」
「憎まない。俺は………
隆兄がうらやましかった」
:10/12/18 00:04
:840SH
:AYlUKGrk
#550 [愛華]
俺の欲しいものを持ってる。
うらやましくて、うらやましくて
仕方なかったんだ。
「………ひとつ聞いていい?」
「なに?那佑のこと?」
「…白石と別れたのは俺の為?」
:10/12/18 00:08
:840SH
:AYlUKGrk
#551 [愛華]
答えは知ってる。
でも確かめたい。
隆兄は……嘘をつくだろうか。
「………違うよ」
「嘘つくなよ」
「嘘じゃない」
いや、嘘だろーが。
思い切り未練たらたらのくせに。
:10/12/18 00:15
:840SH
:AYlUKGrk
#552 [愛華]
「……なぁ、直純」
「なんだよ?」
「那佑の、側にいてやってな」
胸が、痛んだ。
針で刺されたみたいに。
でも隆兄は……
もっと痛かっただろ?
:10/12/18 00:19
:840SH
:AYlUKGrk
#553 [愛華]
「……俺も白石の側にいたい」
「そか?そんならよかった。
那佑はさみしがりやだけど…
お前が思ってるより強いから。」
うん。でなければきっと
隆兄との別れは乗り越えられ
なかっただろう。
「那佑と………いつかまた会う」
:10/12/18 00:26
:840SH
:AYlUKGrk
#554 [愛華]
その言葉は、隆兄自身が自分に
言い聞かせてるみたいだった。
「那佑の病気のことは?」
「梓から聞いた」
「ん。なら安心」
安心って…………
ほんと、最後まで俺と白石の
心配しかしてねーじゃん。
「話は、それで終わり」
:10/12/18 00:29
:840SH
:AYlUKGrk
#555 [愛華]
「終わり?」
「直純が1番好きなやつと
絶対に幸せになれ。絶対に」
隆兄の瞳は強くて、鋭くて。
「当たり前だろ。隆兄もな」
だから俺も、それに応えるように
強く、強く答えた。
:10/12/18 00:33
:840SH
:AYlUKGrk
#556 [愛華]
ひどいことをしてるかもしれない
好きあってる二人を引き離して
それでもいい、と思う。
隆兄の願いを無駄にしたくない。
なんてのはきれいごとかも
しれないけれど。
梓は「そのままでいい」と
言ってくれたから。
わがままでいよう。
:10/12/18 00:36
:840SH
:AYlUKGrk
#557 [愛華]
「………遊びに来いよ」
「うん。金なくなったら行く。
隆兄今、なにやってんの?」
「大学行きながらバイト」
「そっか……」
近いうちに、また会いたい。
隆兄は、俺の兄さんだから。
:10/12/18 00:40
:840SH
:AYlUKGrk
#558 [愛華]
'
隆兄と別れたあとも考えてた。
幸せって………なんだろ…?
:10/12/18 00:41
:840SH
:AYlUKGrk
#559 [愛華]
「幸せになれ」
「幸せになるなら側にいる」
隆兄も、白石もそう言った。
でも今はわかんないんだ。
俺の幸せがなんなのか。
ただ、白石の側にいたい。
笑った顔が見たい。
そう思うんだ。
:10/12/18 00:43
:840SH
:AYlUKGrk
#560 [愛華]
桜が咲き乱れる道を歩いてた。
………もう春も終わりかぁ…
すぐに夏が来る。
秋が来て……冬が来て……
また春が来る。
時間は待ってはくれない。
いつもおいてかれる。
ひとり、残される。
:10/12/18 00:46
:840SH
:AYlUKGrk
#561 [愛華]
「…………あれ、直純くん?」
その季節の中に、君がいること。
「白石?なんでここに……」
「や、ケーキつくったからさ
直純くんにも分けてあげよーと
思って来たんだけど………
直純くん家にいなくってさ」
「ずっと待ってたのか?ここで」
:10/12/18 00:50
:840SH
:AYlUKGrk
#562 [愛華]
「あ、うん。すぐ帰るから!」
「帰るな」
「へ?いや………」
気づいたら抱きしめてた。
いつか、白石がそうしたように。
「な…………おずみくん」
:10/12/18 00:53
:840SH
:AYlUKGrk
#563 [愛華]
「……ん、ちょっとこのままで」
「なんか………あった?」
白石は小さく尋ねた。
見なくても心配そうな顔を
しているのがわかってしまう。
「………なんでもない」
「そっか……」
「な、白石」
:10/12/18 00:56
:840SH
:AYlUKGrk
#564 [愛華]
「なに?」
「キスしていい?」
そう言った瞬間、体が
引きはがされた。
そりゃもう、思いっ切り。
「いいわけあるか!!ってか
最初からそれが狙いだったの?
弱ってるふりして!!」
「あ、バレタ」
:10/12/18 01:00
:840SH
:AYlUKGrk
#565 [愛華]
道の真ん中なのも忘れて叫ぶ
白石を笑ってごまかす。
弱ってなんかないよ。
抱きしめたかったから
抱きしめたんだよ。
なんて言えないけどさ。
「……叫んだらお腹すいた」
「なに、ご飯食べてないの?」
「いや、食べたけど………」
:10/12/18 01:04
:840SH
:AYlUKGrk
#566 [愛華]
白石はじーっとケーキを見つめる
「………食べる?」
「食べる!!」
いや、俺にくれたんだろ……
まぁ、いっか。
ゆっくり、好きになってもらおう
:10/12/18 01:06
:840SH
:AYlUKGrk
#567 [愛華]
今は、白石の笑顔だけでいい。
あ、そっか。
「じゃー家で食うか」
「食う!!」
これが、『幸せ』なんだ。
:10/12/18 01:07
:840SH
:AYlUKGrk
#568 [愛華]
:10/12/18 01:22
:840SH
:AYlUKGrk
#569 [愛華]
-那佑side-
:10/12/18 16:04
:840SH
:AYlUKGrk
#570 [愛華]
'
「心機能が低下してきてます。
以前より早いペースで、病状が
悪化してきています」
………嘘だよ。
ちょっと具合が悪いだけ。
息苦しいだけ。
:10/12/18 16:08
:840SH
:AYlUKGrk
#571 [愛華]
なにも変わらないよ。
ねぇ、そうでしょう。
わたしまだげんきだよ。
お願い、気づかせないで。
見て見ぬふりでいいから。
このままでいさせてよ。
神様。お願いです。
わたしは…………
まだ、生きたいんです。
:10/12/18 20:28
:840SH
:AYlUKGrk
#572 [愛華]
'
「おーい!!白石!!」
「んぁー??あ、直純くんだぁ」
「寝ぼけてんのかお前?次
体育だから行かなきゃだぞ?」
「……いーよ。べつに。
どーせ見学だし。つまんないし」
:10/12/19 11:33
:840SH
:zGGkPD26
#573 [愛華]
「見学はいつものことだろ?」
………行きたくない。
元気に動いてるみんなの姿を
見たら………今のあたしは
何を言ってしまうかわからない。
「………ごめん、具合悪くて。」
「え、マジで!?大丈夫か!?
薬………飲んだのか!?」
:10/12/19 11:36
:840SH
:zGGkPD26
#574 [愛華]
「うん。大丈夫だから。
行ってきていーよ??」
一人きりの教室。
黙って薬を飲む。
以前とは比べものにならないほど増えた薬の量。
……こんな量の薬見せらんない
っての。
ゆっくりと記憶を掘り返す。
認めたくなかった………事実。
:10/12/19 11:40
:840SH
:zGGkPD26
#575 [愛華]
'
『………先生。那佑は……』
『今のままなら恐らく………
20歳まで心臓がもたない確率が
非常に高いです』
どうして?25歳までって……
言ってたじゃん。ねぇ?
ねえ…………ねぇ?
:10/12/19 11:45
:840SH
:zGGkPD26
#576 [愛華]
『…………嘘つき!!!
先生の嘘つき!!!』
あたしは気づいたら叫んでた。
恐怖。不安。絶望。
いやだ。いやだよ…………
止まることなく、溢れる涙。
『………手術するという手も
あります』
:10/12/19 11:47
:840SH
:zGGkPD26
#577 [愛華]
『手術をすれば………那佑の
病気は治るんですか?』
お母さんは泣いていなかった。
お父さんも………。
『………なんとも言えませんが
今の段階では手術はできません。
というのも、この手術のリスク
が高すぎるからです』
リスク…………危険性?
:10/12/19 11:52
:840SH
:zGGkPD26
#578 [愛華]
『確率だけでいえば、成功する
確率は良くて40%。
術後もいつ容態が急変するか
わかりません。
手術によるメリットよりも
リスクのほうが圧倒的に高い』
………成功すれば、治る。
失敗すれば………死ぬ。
遠いところにあった未来。
今はこんなに近くに見える。
:10/12/19 11:58
:840SH
:zGGkPD26
#579 [愛華]
『今の那佑さんの心臓では手術
には耐えられないでしょう。
薬で心臓の具合が少しでも
良くなってこれば…………
手術を受けることはできます』
お父さんもお母さんも…あたしも
何もいえなくて。
頭の中が真っ白で。
…………でも。
:10/12/19 12:06
:840SH
:zGGkPD26
#580 [愛華]
『………手術は受けません。
心臓の具合が良くなっても』
『………!?那佑!?
どうして………』
『心臓の具合が良くなったって
手術を「受けられる」だけなん
でしょう?成功する保障なんて
どこにもない。なら受けない』
お父さん、お母さんの視線が
刺さる。二人も同じくらい
辛いはずなのに………。
:10/12/19 12:15
:840SH
:zGGkPD26
#581 [愛華]
ほんとは怖かっただけなんだ。
手術に失敗して………
大切な人たちに会えなくなる。
隆則とだって。いつか笑って
会うって決めていたのに。
あたし、まだなんにもしてない。
まだやりたいことがたくさん
あったのに………
:10/12/19 12:19
:840SH
:zGGkPD26
#582 [愛華]
苦しい。辛いよ。
心が黒い闇に覆われていく。
その夜は、ベッドで涙が枯れる
まで泣いた。
1階から、お父さんとお母さん
の泣いている声が聞こえた。
あたしのせいで。あたしの……
:10/12/19 12:23
:840SH
:zGGkPD26
#583 [愛華]
こんな時。やっぱり浮かぶのは。
『……………隆則………』
あなたなんだ。
やっぱりあなたなんだよ。
頭を撫でて。抱きしめて。
「大丈夫だよ。ここにいるよ」
って笑ってみせてよ……
:10/12/19 12:31
:840SH
:zGGkPD26
#584 [愛華]
あなたのぬくもりが欲しい。
他にはなにもいらないから。
一瞬だけでもいいから。
側にいてほしい。
でも、いないんだ。
1番側にいてほしい時に
あなたはもういない。
もう、抱きしめてはくれない。
もう……………戻ってはこない。
:10/12/19 12:40
:840SH
:zGGkPD26
#585 [愛華]
'
キーンコーンカーンコーン……
気がついたら、授業の終わりを
告げるチャイムが鳴っていた。
………やば……また寝てた…
:10/12/19 19:34
:840SH
:zGGkPD26
#586 [愛華]
「あぁーいってぇー!!」
「ったく……あとで保健室
行きなよね。運動オンチ!」
1番に教室に入ってきたのは
直純くんと梓だった。
「えー?直純くんどうしたの?」
「梓のやろーが足ひっかけた!」
「ひっかかるほうが悪い」
:10/12/19 19:41
:840SH
:zGGkPD26
#587 [愛華]
「あはは、一理あるね!!」
大丈夫かな。
ちゃんと笑えてるかな。
「あーぁ、喉かわいちゃった。
飲み物買ってくるよー」
「梓、俺と白石コーラな!」
「ほいほい」
梓は教室からだるそうに
でていった。
他のクラスメートたちも少しずつ教室に戻ってきて、騒がしい。
:10/12/19 19:45
:840SH
:zGGkPD26
#588 [愛華]
その騒がしさが心地好かった。
……あれ、なんか視線が………
「………な、直純くん?なんで
そんなに見るの?」
直純くんはあたしをじーっと
見つめる。……は、恥ずかしい。
「………目、赤いなぁ……」
:10/12/19 19:50
:840SH
:zGGkPD26
#589 [愛華]
直純くんがポソッと呟いた。
……最近寝れてないからな…
「……なんかあったろ?白石」
「なんかって………なにが?」
「俺に言えないよーなこと?
目赤くするくらい寝ないで…
それぐらい悩んでること?」
全部………お見通しなんだね。
:10/12/19 19:56
:840SH
:zGGkPD26
#590 [愛華]
「最近疲れてるだけだよ。
心配しなくてい………」
まぶたに優しいぬくもりが宿る。
それは直純くんの唇から伝わって
ぬくもりは熱となり、あたしの
体をかけめぐっていった。
優しくて、あたたかくて。
すごく、切なくなった。
:10/12/19 20:03
:840SH
:zGGkPD26
#591 [愛華]
「直純くん……今、目にキス…」
「よく寝れるようにおまじない。
なんかあったら言えな?」
そういって直純くんはいつものようにニヒッと笑った。
切ない。苦しい。
胸の奥から感情が溢れてくる。
それは涙となって現れた。
:10/12/19 20:08
:840SH
:zGGkPD26
#592 [愛華]
「…………白石!?」
「あれ、あたし……」
止まらない。次から次へ溢れる。
涙ってどうやって止めるの?
「おぃー!品野が白石泣かせてんぞー!女たらしー!」
「るせー!!見せもんじゃねぇ!散れ散れ!!」
:10/12/19 20:16
:840SH
:zGGkPD26
#593 [愛華]
直純くんがクラスの男子たちに
怒鳴りながら、一生懸命涙を
ぬぐってくれる。
でも、涙は止まらない。
だって、あったかかった。
あたしが求めていたぬくもり。
くれたのは隆則じゃなくって…
直純くんだった。
:10/12/19 20:24
:840SH
:zGGkPD26
#594 [愛華]
何度も思ったんだ。
こんなにあたしを大事にしてくれる直純くんを好きになれたら。
幸せになれるんだろうかって。
でもあたしが求めるのは
あなたではないひとなんだ。
切なくて、申し訳なくて。
ぬくもりは、涙となった。
:10/12/19 20:36
:840SH
:zGGkPD26
#595 [愛華]
直純くん。ごめんなさい。
あたしはひどいひとです。
隆則がいない苦しさを
あなたの優しさで埋めてる。
優しさに、甘えてる。
それでも側にいてくれますか。
友達でいてくれますか。
こんなあたしを許してください。
:10/12/19 20:53
:840SH
:zGGkPD26
#596 [愛華]
話さなくちゃいけない。
あたしのタイムリミットは
すぐそこまできている、と。
その日が来るまで、笑顔で。
側にいたいんだ、と。
そう言ったらあなたは
なんて言うだろうか。
笑って「当たり前だ」と言って
くれたら………嬉しいな。
:10/12/19 21:00
:840SH
:zGGkPD26
#597 [愛華]
-直純side-
:10/12/20 23:44
:840SH
:LC4fKTpw
#598 [愛華]
'
昨日まで当たり前のように
笑っていた白石の姿。
今はこんなにも遠い。
離れていくなよ。なぁ。
神様がいるのなら俺は。
一生恨み続けてやる。
:10/12/20 23:46
:840SH
:LC4fKTpw
#599 [愛華]
『………20歳まで生きられないかもしれない』
1番辛いのは白石だったはず。
だから、なにも言わなかった。
言えなかった。
俺はベッドに寝転んだまま
白石の言葉を頭の中で何度も
リピートさせていた。
……風邪をひいたみたいに
頭が重くて、ぼーっとする。
:10/12/20 23:49
:840SH
:LC4fKTpw
#600 [愛華]
ブーッブーッ……
マナーモードにしていた携帯が
電話がきたことを知らせた。
画面には『梓』の文字。
「………はーい。直純ですよー」
「ん。あたし。今平気?」
:10/12/21 17:15
:840SH
:yAxc/byQ
#601 [愛華]
「うん。なんか用?」
「そーゆーわけじゃないけど…
直純、大丈夫かなって」
大丈夫なわけないだろ。
あんなこと聞かされて……
でも、それは梓も同じか。
親友の死が身近に迫ってる。
平気なわけないよな。
「………びっくりしたよ。
いつかはこんな日が来るだろうって思ってたけど……今なんてな」
:10/12/21 17:19
:840SH
:yAxc/byQ
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194