その日が来る前に、2
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#501 [愛華]
ふん、ざまーみやがれ!!


まぁでも………よかったかな。
誰も傷つかなくていい別れ
なんてものは存在しない。


だからしょうがないんだ。

その傷がなおる日まで。

その日が来る前に、


みんなで笑えたらいいんだ。

⏰:10/12/11 19:41 📱:840SH 🆔:wGC9P6l.


#502 [愛華]
「……梓ちゃん、帰るの?」

玄関を出たところで、いつ起きたのか誨さんに声をかけられた。


「俺寝てたんだけど……
なんの話してたの?」

「タカ、直純と会うそうです。
まぁへたれなんで、やっとか
って感じなんですけどね」

「そか……やっとか……」

誨さんは言いながら隣に来る。

⏰:10/12/11 19:48 📱:840SH 🆔:wGC9P6l.


#503 [愛華]
「えと………誨さん?」

「送る。暗いし、危ないよ」



誨さんとあたしはなんなのかな。
わかんなくて不安になる。
あたしだって自分のことを
考えるんだよ。
幸せになりたいんだよ。



帰り道は、なにも話さなかった。

⏰:10/12/11 19:50 📱:840SH 🆔:wGC9P6l.


#504 [愛華]
「じゃ、はやく寝ろよ」

「ありがとーございました」


家の前まで送ってもらっちゃった
何回送ってもらったかな……



「…………誨さん」

「………ん?なした?」

「あたし多分…………


誨さんのこと好きなんだと思う」

⏰:10/12/11 19:54 📱:840SH 🆔:wGC9P6l.


#505 [愛華]
「…………はいぃ!?」


あ、赤くなった。
てゆーかなんだよ、その声。



「いや……ジョーダンでしょ?」

「試してみますか?」

「え、どーいう……」





ちゅ。

⏰:10/12/11 20:01 📱:840SH 🆔:wGC9P6l.


#506 [愛華]
一瞬。ほんとに一瞬。


ほんとはこんなん嫌だったけど。
なんか勝手に………ね?




「………あず……今……」

「ばーか。気づけばーか!!
てか女の子からキスさせんな。
もっかい言おうか?ばーか!!」

⏰:10/12/11 20:07 📱:840SH 🆔:wGC9P6l.


#507 [愛華]
真っ赤になって言葉になってない誨さんにまくしたてる。


何歳だよ、あんたは。
純情すぎるでしょ。
ってかふつー逆でしょ。



「じゃね、誨さん。そゆことで」

「いやいやいや……おかしい!
流れ的におかしいだろ!?」

⏰:10/12/11 20:15 📱:840SH 🆔:wGC9P6l.


#508 [愛華]
「おかしくないよーなんも」

「え………?おかしくない?
普通?これ、普通?」

「うん。普通。普通」


誨さんはうーんとうなってる。



「………じゃーね、誨さん」

「え、あ…………」


あたしは誨さんの答えを聞かず
家に入った。

⏰:10/12/11 20:34 📱:840SH 🆔:wGC9P6l.


#509 [愛華]
答えを聞くのが怖いのもあったし
ちょっとしくじったかなって、
後悔もしてたから。


今じゃなくてもよかったかなって
ちょっと恥ずかしくて。


怖かった。
なんでもないような顔すんのが
精一杯だったんだって

気づかれたくなかった。

⏰:10/12/11 20:37 📱:840SH 🆔:wGC9P6l.


#510 [愛華]
部屋の窓から誨さんがうずくまってるのが見えた。

困らせちゃったのかな。


あ、そーいえばファーストキス
だったな。今の。




悲しくなった。


勝手に期待して傷ついて。

⏰:10/12/11 20:42 📱:840SH 🆔:wGC9P6l.


#511 [愛華]
勝手にキスして、困らせて。


自分で自分の気持ちがわかんない



でも、これが、好き。



誨さんが、好き。


好きだから、キスしたの。

⏰:10/12/11 20:44 📱:840SH 🆔:wGC9P6l.


#512 [愛華]
タカでもなくて、那佑でもない。


今まで大切な人のことばっか
考えてた夜。


でも、今日の夜は。



自分とあなたでいっぱいになった。


胸がきゅうってなった。

⏰:10/12/11 20:48 📱:840SH 🆔:wGC9P6l.


#513 [愛華]
あなたも同じ気持ちかな。


タカ。那佑。直純。

ごめんね。こんな時に
自分のことばっか考えて。


でも、今日だけだから。


ちょっとだけ幸せを願いたい。

女の子をしてたい。


好きな人を想って眠りたい。

⏰:10/12/11 20:55 📱:840SH 🆔:wGC9P6l.


#514 [愛華]
'






「……………なにこれ?」

「見りゃわかんでしょ、から揚げ
だよ。自然解凍オッケーだよ」

「いやいや………朝学校きて
冷凍からあげ渡されて、どんな
リアクションとればいーの?」

⏰:10/12/12 13:09 📱:840SH 🆔:Pg1nhX6s


#515 [愛華]
そりゃそーですね。


「昨日、お母さんに直純んとこ
からあげ持ってけって渡されたんだけど忘れちゃったからさ。
腐るといけないから冷凍で。」

「だからって…………え?
ってか…梓の母ちゃん俺の家
知ってんの?」

「全部知ってるよ、今までのこと全部。心配してたよ。また
昔みたいに遊びにおいでってさ」

⏰:10/12/12 13:14 📱:840SH 🆔:Pg1nhX6s


#516 [愛華]
虐待のことも………全部。


「……なんなら家に住む?」

「絶対やだ。梓の父ちゃん
いびきうるせぇもん」

「あー……確かにね」


昔はよく泊まりあいっこしたな…


…………ガリガリ…

⏰:10/12/12 13:17 📱:840SH 🆔:Pg1nhX6s


#517 [愛華]
「…梓、お前腹減ってるからって冷凍のまま食べんなよ。」

「いや、これはこれでウマイ。
冷凍からあげ流行るかも」

「流行んねーよバカ」



…んで、あんたも食べるんかい。

二人で並んで冷凍からあげを
食べる。周りから見れば
ひまわりの種でも食べてんのか?って感じだろう。

しかし誰一人つっこまない。

⏰:10/12/12 13:22 📱:840SH 🆔:Pg1nhX6s


#518 [愛華]
「………あのさぁ梓」

「んー?何?」




「…隆兄のこと、もういーの?」


食べる手を止める。

周りの騒音が一瞬だけ止まった
ような気がした。

⏰:10/12/12 13:26 📱:840SH 🆔:Pg1nhX6s


#519 [愛華]
「…………や、あのさ………
白石、隆兄と別れて………
梓は隆兄と…………」

直純は言い訳みたいにあたふた
なんか言ってる。


……直純も、那佑が好きなんだ。



「…なーるほど。タカとあたしが
付き合えば、直純にとっては
都合がいいってわけね?」

⏰:10/12/12 13:34 📱:840SH 🆔:Pg1nhX6s


#520 [愛華]
「や、そーいうわけじゃ……」

「でも、ざーんねんでした。
あたし好きな人いるもーん」


「…………えぇ!?マジで!?
お前あんなに隆兄一筋
だったのに……」

「新しい恋を始めたんですー」


直純はそっかぁーとつぶやいて
半解凍状態のからあげを口に
運んだ。

⏰:10/12/12 13:42 📱:840SH 🆔:Pg1nhX6s


#521 [愛華]
「………実りそうなの?」


…………どうなんだろう?
昨日自分からキスしちゃったけど
困らせちゃっただろうし……
脈あるかもって思ってたのは
単なる勘違いだったのかな?


………あ、また落ち込んできた。


「…………多分ムリかなぁ…」

⏰:10/12/12 13:59 📱:840SH 🆔:Pg1nhX6s


#522 [愛華]
「………ふーん………」



なんだろ、これ。
タカの時こんな気持ちに
なったっけ………


期待したぶんだけ辛いのかも。
タカの時は、心のどっかで
諦めてた気がするな。


「……じゃー俺ら一緒かぁ。
実らないって辛いね〜」

⏰:10/12/12 14:45 📱:840SH 🆔:Pg1nhX6s


#523 [愛華]
実らない…………か。



「……………タカが……」

「…………ん?」


「タカが、あんたに会うって」


「隆兄が…………俺に?」

直純の顔がゆがむ。
びっくりしたのか、予想はしてたのか、読み取れない。

⏰:10/12/12 14:57 📱:840SH 🆔:Pg1nhX6s


#524 [愛華]
「…………どーするぅ?
那佑を返せって言われたら!」

「絶対いやだ」


…………即答ですか。


まぁなんとなくわかってたけど。




「…………わがままなのかな?」

⏰:10/12/12 15:05 📱:840SH 🆔:Pg1nhX6s


#525 [愛華]
わがまま?………なにが?



「白石がまだ隆兄を好きなのは知ってる。それでも側にいてほしい
実るとか実らないとか……



どうでもよくなるくらいに
ただ、側にいてほしいんだ」


切ない横顔は

まるで自分を見てるみたいで。

⏰:10/12/12 15:17 📱:840SH 🆔:Pg1nhX6s


#526 [愛華]
重ねて見ていた。
自分の姿を。


実らない恋を何年も続けて
新しい恋をしてもまた傷ついて

切なくて、苦しくて。
でも側にいてほしくて。




「…………わがままかな?」

もう一度繰り返した直純の言葉
あたしは答えられなかった。

⏰:10/12/12 15:49 📱:840SH 🆔:Pg1nhX6s


#527 [愛華]
とりあえず………


「……………クサい」

「はぁ!?なんだそれ!!」

「直純クサい。クサすぎ。
『側にいてほしいんだ』…とか
乙女ちっくなこと言うな」

「おとめ………ちっくぅ?
なんだそりゃ!!俺は自分に
正直に生きてるんだよ!!」

「セリフが似合ってない」

「死ね!!」

⏰:10/12/12 18:00 📱:840SH 🆔:Pg1nhX6s


#528 [愛華]
「あいにく、まだ死にません〜」

「………ムカつく!!」


低レベルな言い争いをしている
うちに、冷凍からあげがなくなってしまった。
明日、お腹こわさないかな……



…………なんか、疲れたなぁ。
いろいろ頑張りすぎた……。

⏰:10/12/12 18:05 📱:840SH 🆔:Pg1nhX6s


#529 [愛華]
あたしは机にうずくまった。
急に眠気が襲ってくる。
午後の授業大丈夫かな………



「………なに、眠いの?」

「………てゆか疲れた……
あたしゃねー毎日毎日まーいにちタカや那佑のこと考えてんの」

「………ふーん……」

どうしたらみんなが笑えるのか
そればっか考えて疲れて……
自分のことなんか後回しで。

⏰:10/12/12 20:41 📱:840SH 🆔:Pg1nhX6s


#530 [愛華]
「…………いんじゃないかな」



「ん?なんか言ったか?梓」



「わがままでも。自分を一番に
思うのはみんな同じだしさ……


応援はしないけど否定もしない。そのままでいんじゃない?」


それは本音だった。

⏰:10/12/12 20:47 📱:840SH 🆔:Pg1nhX6s


#531 [愛華]
誰かを大切に思う。
その気持ちは間違いじゃない。

自分の幸せを願う。
それもきっと間違いじゃない。


だから、それでいいんだ。

きっとそれが正しいんだ。


例えその先に希望がなくても
自分がわがままになっちゃうのは

止められない欲望。

⏰:10/12/13 23:24 📱:840SH 🆔:LirqFtQA


#532 [愛華]
「なんの話してるのー?」

「おわ!!白石!!
委員会終わったのかよ!!」

「那佑!!気配を断たないでよ!忍者かおまえは!!」


いつのまにか那佑は後ろにいた。

……どっから話きいてたかな…


「お腹すいた……昼休みに委員会とかひどいよねーほんと」

⏰:10/12/13 23:30 📱:840SH 🆔:LirqFtQA


#533 [愛華]
那佑はため息をついていすに
ついた。


「なんかからあげのニオイ……
からあげ食べた?」

「あーすげぇ食感いいやつ」

「お風呂あがりにぴったりの」

「……はぁ?なにいってんの」


そんなくだらないことで笑って
る那佑を見ると、安心した。

⏰:10/12/13 23:39 📱:840SH 🆔:LirqFtQA


#534 [愛華]
那佑。だいすき。


急にそう思った。


ずっと笑っていて。
幸せでいて。

誰を好きになってもいいよ。


でも、笑っていてね。
もう泣かないでね。


いつも笑顔でいてね。

⏰:10/12/13 23:44 📱:840SH 🆔:LirqFtQA


#535 [愛華]
そういつも願ってた。


でも運命は残酷で。


叶わない想いを募らせていた那佑
毎日潰されそうになりながらも
笑ってた。精一杯。


来るのが怖かった『その日』。
来るなんて信じたくなかった。


『その日』のタイムリミットは
すぐそこに迫っていたんだ。

⏰:10/12/13 23:52 📱:840SH 🆔:LirqFtQA


#536 [愛華]
-隆則side-

⏰:10/12/15 19:54 📱:840SH 🆔:4C424oZI


#537 [愛華]
今でも目を閉じれば思い出す。


那佑の笑った顔。怒った顔。
すねた顔。照れてる顔。


でも最後に思い出すのは
やっぱり泣いてる顔で。


あの日別れた日の
那佑の泣いてる顔。


胸に刻まれて消えない記憶。

⏰:10/12/15 19:57 📱:840SH 🆔:4C424oZI


#538 [愛華]
傷つけて傷ついて。
後悔して、苦しくて。



でもいつか笑える。
また会える。


それは今じゃないけれど。


そして思った。




直純に、会いたい。

⏰:10/12/15 20:09 📱:840SH 🆔:4C424oZI


#539 [愛華]
笑えているだろうか。
もう傷ついていないかな。

あんなことで許されるなんて
思ってなんかないけど。



あの日の続きを。



あの日、伝えたかったこと。
遅いかもしれない。
でも、それでも、伝える。


なぁ。 直純。

⏰:10/12/15 20:15 📱:840SH 🆔:4C424oZI


#540 [愛華]
-直純side-

⏰:10/12/15 23:45 📱:840SH 🆔:4C424oZI


#541 [愛華]
隆兄に、会いに行く。


これはあの日の続きなんだ。



何を言うつもりなんだろうか。
隆兄は……何を俺に……



でも、笑って話せたらいい。


それは白石の望みでもある。

白石は俺と隆兄の和解を誰より
願っていたから。

⏰:10/12/15 23:48 📱:840SH 🆔:4C424oZI


#542 [愛華]
それは叶わないだろうか。


白石が俺の側にいること。
それは隆兄が白石に頼んだんだ。


でも俺は『ありがとう』なんて
言うつもりなんてない。
『ごめん』も。言わない。


俺は…自分の力で白石を振り向かせたい。誰の力も借りない。


俺が白石を笑顔にしたい。

⏰:10/12/15 23:52 📱:840SH 🆔:4C424oZI


#543 [愛華]
白石は渡さない。
手放したのは………隆兄だから。
後悔したって遅い。



大事なものは
いつなくなっちまうかなんて
誰も予想できないんだから。



だから、白石は渡さない。

絶対に、渡してたまるか。

⏰:10/12/15 23:56 📱:840SH 🆔:4C424oZI


#544 [愛華]
'








「久しぶりだな。元気か?」


それが隆兄にかけられた
最初の言葉だった。

学園祭以来なんだ。隆兄と会うの

⏰:10/12/17 20:27 📱:840SH 🆔:JGd1mE7k


#545 [愛華]
隆兄は、笑っていた。

だから俺も笑った。





「……俺は学園祭以来だけどさ
隆兄は違うよな?」

「……え?」

「見舞い……来てくれたろ?
事故った時………」

「……はは。一回だけな」

⏰:10/12/17 21:15 📱:840SH 🆔:JGd1mE7k


#546 [愛華]
隆兄は笑いながら、ベンチに
座った。

あの日と同じ公園なのに
違うように見えるんだ。




「………那佑から聞いた。
虐待とかのこと。全部」

「そっか。あ、でも今はなんも
ないからな?あのジジイに恩
なんかこれっぽっちも感じて
ないから」

⏰:10/12/17 21:28 📱:840SH 🆔:JGd1mE7k


#547 [愛華]
「話聞いた時、殴りに行こうか
とか思ったけどさ」

「はは、マジで?」

「……まぁそんな権利ないし」



『権利がない』


隆兄は自分を責めてたんだ。
この6年間…………ずっと。

知らなかった俺はなんて
幼かったんだろう。

⏰:10/12/17 21:48 📱:840SH 🆔:JGd1mE7k


#548 [愛華]
「………学園祭じゃないよ?」

「ん?なにが?」

隆兄は不思議そうに俺を見た。


そう。6年振りに会ったのは…
学園祭じゃない。



「ほんとはクリスマスん時に
会ってるんだよ?俺ら」


「……………えぇ!?」

⏰:10/12/17 21:52 📱:840SH 🆔:JGd1mE7k


#549 [愛華]
「隆兄、なんか知らんけど
すっげ酔ってたから………」

「ぜ………全然覚えてねぇ…」

だろうな。



「……俺、隆兄を憎んでるわけ
じゃないから。もう違うよ」

「え……なにそれ。憎めよ」

「憎まない。俺は………

隆兄がうらやましかった」

⏰:10/12/18 00:04 📱:840SH 🆔:AYlUKGrk


#550 [愛華]
俺の欲しいものを持ってる。

うらやましくて、うらやましくて
仕方なかったんだ。




「………ひとつ聞いていい?」

「なに?那佑のこと?」


「…白石と別れたのは俺の為?」

⏰:10/12/18 00:08 📱:840SH 🆔:AYlUKGrk


#551 [愛華]
答えは知ってる。
でも確かめたい。

隆兄は……嘘をつくだろうか。




「………違うよ」

「嘘つくなよ」

「嘘じゃない」


いや、嘘だろーが。
思い切り未練たらたらのくせに。

⏰:10/12/18 00:15 📱:840SH 🆔:AYlUKGrk


#552 [愛華]
「……なぁ、直純」

「なんだよ?」



「那佑の、側にいてやってな」


胸が、痛んだ。




針で刺されたみたいに。


でも隆兄は……
もっと痛かっただろ?

⏰:10/12/18 00:19 📱:840SH 🆔:AYlUKGrk


#553 [愛華]
「……俺も白石の側にいたい」

「そか?そんならよかった。
那佑はさみしがりやだけど…

お前が思ってるより強いから。」


うん。でなければきっと
隆兄との別れは乗り越えられ
なかっただろう。


「那佑と………いつかまた会う」

⏰:10/12/18 00:26 📱:840SH 🆔:AYlUKGrk


#554 [愛華]
その言葉は、隆兄自身が自分に
言い聞かせてるみたいだった。


「那佑の病気のことは?」

「梓から聞いた」

「ん。なら安心」

安心って…………
ほんと、最後まで俺と白石の
心配しかしてねーじゃん。



「話は、それで終わり」

⏰:10/12/18 00:29 📱:840SH 🆔:AYlUKGrk


#555 [愛華]
「終わり?」



「直純が1番好きなやつと
絶対に幸せになれ。絶対に」


隆兄の瞳は強くて、鋭くて。



「当たり前だろ。隆兄もな」


だから俺も、それに応えるように
強く、強く答えた。

⏰:10/12/18 00:33 📱:840SH 🆔:AYlUKGrk


#556 [愛華]
ひどいことをしてるかもしれない

好きあってる二人を引き離して


それでもいい、と思う。


隆兄の願いを無駄にしたくない。

なんてのはきれいごとかも
しれないけれど。

梓は「そのままでいい」と
言ってくれたから。

わがままでいよう。

⏰:10/12/18 00:36 📱:840SH 🆔:AYlUKGrk


#557 [愛華]
「………遊びに来いよ」

「うん。金なくなったら行く。
隆兄今、なにやってんの?」

「大学行きながらバイト」

「そっか……」


近いうちに、また会いたい。





隆兄は、俺の兄さんだから。

⏰:10/12/18 00:40 📱:840SH 🆔:AYlUKGrk


#558 [愛華]
'









隆兄と別れたあとも考えてた。



幸せって………なんだろ…?

⏰:10/12/18 00:41 📱:840SH 🆔:AYlUKGrk


#559 [愛華]
「幸せになれ」

「幸せになるなら側にいる」


隆兄も、白石もそう言った。


でも今はわかんないんだ。

俺の幸せがなんなのか。


ただ、白石の側にいたい。
笑った顔が見たい。

そう思うんだ。

⏰:10/12/18 00:43 📱:840SH 🆔:AYlUKGrk


#560 [愛華]
桜が咲き乱れる道を歩いてた。


………もう春も終わりかぁ…

すぐに夏が来る。
秋が来て……冬が来て……

また春が来る。


時間は待ってはくれない。

いつもおいてかれる。


ひとり、残される。

⏰:10/12/18 00:46 📱:840SH 🆔:AYlUKGrk


#561 [愛華]
「…………あれ、直純くん?」


その季節の中に、君がいること。



「白石?なんでここに……」

「や、ケーキつくったからさ
直純くんにも分けてあげよーと
思って来たんだけど………
直純くん家にいなくってさ」

「ずっと待ってたのか?ここで」

⏰:10/12/18 00:50 📱:840SH 🆔:AYlUKGrk


#562 [愛華]
「あ、うん。すぐ帰るから!」

「帰るな」

「へ?いや………」






気づいたら抱きしめてた。
いつか、白石がそうしたように。


「な…………おずみくん」

⏰:10/12/18 00:53 📱:840SH 🆔:AYlUKGrk


#563 [愛華]
「……ん、ちょっとこのままで」

「なんか………あった?」

白石は小さく尋ねた。
見なくても心配そうな顔を
しているのがわかってしまう。



「………なんでもない」

「そっか……」

「な、白石」

⏰:10/12/18 00:56 📱:840SH 🆔:AYlUKGrk


#564 [愛華]
「なに?」

「キスしていい?」


そう言った瞬間、体が
引きはがされた。

そりゃもう、思いっ切り。



「いいわけあるか!!ってか
最初からそれが狙いだったの?
弱ってるふりして!!」

「あ、バレタ」

⏰:10/12/18 01:00 📱:840SH 🆔:AYlUKGrk


#565 [愛華]
道の真ん中なのも忘れて叫ぶ
白石を笑ってごまかす。


弱ってなんかないよ。
抱きしめたかったから
抱きしめたんだよ。

なんて言えないけどさ。



「……叫んだらお腹すいた」

「なに、ご飯食べてないの?」

「いや、食べたけど………」

⏰:10/12/18 01:04 📱:840SH 🆔:AYlUKGrk


#566 [愛華]
白石はじーっとケーキを見つめる


「………食べる?」

「食べる!!」

いや、俺にくれたんだろ……


まぁ、いっか。



ゆっくり、好きになってもらおう

⏰:10/12/18 01:06 📱:840SH 🆔:AYlUKGrk


#567 [愛華]
今は、白石の笑顔だけでいい。




あ、そっか。




「じゃー家で食うか」

「食う!!」



これが、『幸せ』なんだ。

⏰:10/12/18 01:07 📱:840SH 🆔:AYlUKGrk


#568 [愛華]
>>545
×学園祭
〇送別祭

>>554
×梓から聞いた
〇本人から聞いた


ミスばかりすいません……


今日の更新分
>>544-567

⏰:10/12/18 01:22 📱:840SH 🆔:AYlUKGrk


#569 [愛華]
-那佑side-

⏰:10/12/18 16:04 📱:840SH 🆔:AYlUKGrk


#570 [愛華]
'








「心機能が低下してきてます。
以前より早いペースで、病状が
悪化してきています」



………嘘だよ。
ちょっと具合が悪いだけ。
息苦しいだけ。

⏰:10/12/18 16:08 📱:840SH 🆔:AYlUKGrk


#571 [愛華]
なにも変わらないよ。
ねぇ、そうでしょう。
わたしまだげんきだよ。


お願い、気づかせないで。
見て見ぬふりでいいから。
このままでいさせてよ。




神様。お願いです。
わたしは…………




まだ、生きたいんです。

⏰:10/12/18 20:28 📱:840SH 🆔:AYlUKGrk


#572 [愛華]
'





「おーい!!白石!!」


「んぁー??あ、直純くんだぁ」

「寝ぼけてんのかお前?次
体育だから行かなきゃだぞ?」

「……いーよ。べつに。
どーせ見学だし。つまんないし」

⏰:10/12/19 11:33 📱:840SH 🆔:zGGkPD26


#573 [愛華]
「見学はいつものことだろ?」


………行きたくない。
元気に動いてるみんなの姿を
見たら………今のあたしは
何を言ってしまうかわからない。


「………ごめん、具合悪くて。」

「え、マジで!?大丈夫か!?
薬………飲んだのか!?」

⏰:10/12/19 11:36 📱:840SH 🆔:zGGkPD26


#574 [愛華]
「うん。大丈夫だから。
行ってきていーよ??」



一人きりの教室。
黙って薬を飲む。
以前とは比べものにならないほど増えた薬の量。


……こんな量の薬見せらんない
っての。



ゆっくりと記憶を掘り返す。
認めたくなかった………事実。

⏰:10/12/19 11:40 📱:840SH 🆔:zGGkPD26


#575 [愛華]
'




『………先生。那佑は……』

『今のままなら恐らく………
20歳まで心臓がもたない確率が
非常に高いです』


どうして?25歳までって……
言ってたじゃん。ねぇ?
ねえ…………ねぇ?

⏰:10/12/19 11:45 📱:840SH 🆔:zGGkPD26


#576 [愛華]
『…………嘘つき!!!
先生の嘘つき!!!』


あたしは気づいたら叫んでた。

恐怖。不安。絶望。


いやだ。いやだよ…………
止まることなく、溢れる涙。



『………手術するという手も
あります』

⏰:10/12/19 11:47 📱:840SH 🆔:zGGkPD26


#577 [愛華]
『手術をすれば………那佑の
病気は治るんですか?』

お母さんは泣いていなかった。
お父さんも………。


『………なんとも言えませんが
今の段階では手術はできません。
というのも、この手術のリスク
が高すぎるからです』


リスク…………危険性?

⏰:10/12/19 11:52 📱:840SH 🆔:zGGkPD26


#578 [愛華]
『確率だけでいえば、成功する
確率は良くて40%。
術後もいつ容態が急変するか
わかりません。

手術によるメリットよりも
リスクのほうが圧倒的に高い』


………成功すれば、治る。
失敗すれば………死ぬ。



遠いところにあった未来。
今はこんなに近くに見える。

⏰:10/12/19 11:58 📱:840SH 🆔:zGGkPD26


#579 [愛華]
『今の那佑さんの心臓では手術
には耐えられないでしょう。
薬で心臓の具合が少しでも
良くなってこれば…………
手術を受けることはできます』


お父さんもお母さんも…あたしも
何もいえなくて。
頭の中が真っ白で。




…………でも。

⏰:10/12/19 12:06 📱:840SH 🆔:zGGkPD26


#580 [愛華]
『………手術は受けません。
心臓の具合が良くなっても』


『………!?那佑!?
どうして………』

『心臓の具合が良くなったって
手術を「受けられる」だけなん
でしょう?成功する保障なんて
どこにもない。なら受けない』




お父さん、お母さんの視線が
刺さる。二人も同じくらい
辛いはずなのに………。

⏰:10/12/19 12:15 📱:840SH 🆔:zGGkPD26


#581 [愛華]
ほんとは怖かっただけなんだ。
手術に失敗して………



大切な人たちに会えなくなる。
隆則とだって。いつか笑って
会うって決めていたのに。



あたし、まだなんにもしてない。
まだやりたいことがたくさん
あったのに………

⏰:10/12/19 12:19 📱:840SH 🆔:zGGkPD26


#582 [愛華]
苦しい。辛いよ。


心が黒い闇に覆われていく。





その夜は、ベッドで涙が枯れる
まで泣いた。


1階から、お父さんとお母さん
の泣いている声が聞こえた。

あたしのせいで。あたしの……

⏰:10/12/19 12:23 📱:840SH 🆔:zGGkPD26


#583 [愛華]
こんな時。やっぱり浮かぶのは。




『……………隆則………』




あなたなんだ。
やっぱりあなたなんだよ。
頭を撫でて。抱きしめて。
「大丈夫だよ。ここにいるよ」
って笑ってみせてよ……

⏰:10/12/19 12:31 📱:840SH 🆔:zGGkPD26


#584 [愛華]
あなたのぬくもりが欲しい。
他にはなにもいらないから。
一瞬だけでもいいから。
側にいてほしい。




でも、いないんだ。

1番側にいてほしい時に

あなたはもういない。



もう、抱きしめてはくれない。

もう……………戻ってはこない。

⏰:10/12/19 12:40 📱:840SH 🆔:zGGkPD26


#585 [愛華]
'







キーンコーンカーンコーン……


気がついたら、授業の終わりを
告げるチャイムが鳴っていた。


………やば……また寝てた…

⏰:10/12/19 19:34 📱:840SH 🆔:zGGkPD26


#586 [愛華]
「あぁーいってぇー!!」

「ったく……あとで保健室
行きなよね。運動オンチ!」


1番に教室に入ってきたのは
直純くんと梓だった。


「えー?直純くんどうしたの?」

「梓のやろーが足ひっかけた!」

「ひっかかるほうが悪い」

⏰:10/12/19 19:41 📱:840SH 🆔:zGGkPD26


#587 [愛華]
「あはは、一理あるね!!」

大丈夫かな。
ちゃんと笑えてるかな。


「あーぁ、喉かわいちゃった。
飲み物買ってくるよー」

「梓、俺と白石コーラな!」

「ほいほい」


梓は教室からだるそうに
でていった。
他のクラスメートたちも少しずつ教室に戻ってきて、騒がしい。

⏰:10/12/19 19:45 📱:840SH 🆔:zGGkPD26


#588 [愛華]
その騒がしさが心地好かった。



……あれ、なんか視線が………



「………な、直純くん?なんで
そんなに見るの?」

直純くんはあたしをじーっと
見つめる。……は、恥ずかしい。


「………目、赤いなぁ……」

⏰:10/12/19 19:50 📱:840SH 🆔:zGGkPD26


#589 [愛華]
直純くんがポソッと呟いた。


……最近寝れてないからな…



「……なんかあったろ?白石」

「なんかって………なにが?」

「俺に言えないよーなこと?
目赤くするくらい寝ないで…
それぐらい悩んでること?」


全部………お見通しなんだね。

⏰:10/12/19 19:56 📱:840SH 🆔:zGGkPD26


#590 [愛華]
「最近疲れてるだけだよ。
心配しなくてい………」




まぶたに優しいぬくもりが宿る。
それは直純くんの唇から伝わって
ぬくもりは熱となり、あたしの
体をかけめぐっていった。


優しくて、あたたかくて。

すごく、切なくなった。

⏰:10/12/19 20:03 📱:840SH 🆔:zGGkPD26


#591 [愛華]
「直純くん……今、目にキス…」

「よく寝れるようにおまじない。
なんかあったら言えな?」

そういって直純くんはいつものようにニヒッと笑った。



切ない。苦しい。
胸の奥から感情が溢れてくる。


それは涙となって現れた。

⏰:10/12/19 20:08 📱:840SH 🆔:zGGkPD26


#592 [愛華]
「…………白石!?」

「あれ、あたし……」


止まらない。次から次へ溢れる。
涙ってどうやって止めるの?


「おぃー!品野が白石泣かせてんぞー!女たらしー!」

「るせー!!見せもんじゃねぇ!散れ散れ!!」

⏰:10/12/19 20:16 📱:840SH 🆔:zGGkPD26


#593 [愛華]
直純くんがクラスの男子たちに
怒鳴りながら、一生懸命涙を
ぬぐってくれる。
でも、涙は止まらない。



だって、あったかかった。
あたしが求めていたぬくもり。




くれたのは隆則じゃなくって…
直純くんだった。

⏰:10/12/19 20:24 📱:840SH 🆔:zGGkPD26


#594 [愛華]
何度も思ったんだ。

こんなにあたしを大事にしてくれる直純くんを好きになれたら。

幸せになれるんだろうかって。



でもあたしが求めるのは
あなたではないひとなんだ。


切なくて、申し訳なくて。

ぬくもりは、涙となった。

⏰:10/12/19 20:36 📱:840SH 🆔:zGGkPD26


#595 [愛華]
直純くん。ごめんなさい。



あたしはひどいひとです。
隆則がいない苦しさを
あなたの優しさで埋めてる。

優しさに、甘えてる。


それでも側にいてくれますか。
友達でいてくれますか。


こんなあたしを許してください。

⏰:10/12/19 20:53 📱:840SH 🆔:zGGkPD26


#596 [愛華]
話さなくちゃいけない。


あたしのタイムリミットは
すぐそこまできている、と。


その日が来るまで、笑顔で。
側にいたいんだ、と。


そう言ったらあなたは


なんて言うだろうか。

笑って「当たり前だ」と言って
くれたら………嬉しいな。

⏰:10/12/19 21:00 📱:840SH 🆔:zGGkPD26


#597 [愛華]
-直純side-

⏰:10/12/20 23:44 📱:840SH 🆔:LC4fKTpw


#598 [愛華]
'







昨日まで当たり前のように
笑っていた白石の姿。


今はこんなにも遠い。


離れていくなよ。なぁ。
神様がいるのなら俺は。

一生恨み続けてやる。

⏰:10/12/20 23:46 📱:840SH 🆔:LC4fKTpw


#599 [愛華]
『………20歳まで生きられないかもしれない』



1番辛いのは白石だったはず。
だから、なにも言わなかった。
言えなかった。



俺はベッドに寝転んだまま
白石の言葉を頭の中で何度も
リピートさせていた。


……風邪をひいたみたいに
頭が重くて、ぼーっとする。

⏰:10/12/20 23:49 📱:840SH 🆔:LC4fKTpw


#600 [愛華]
ブーッブーッ……



マナーモードにしていた携帯が
電話がきたことを知らせた。


画面には『梓』の文字。



「………はーい。直純ですよー」

「ん。あたし。今平気?」

⏰:10/12/21 17:15 📱:840SH 🆔:yAxc/byQ


#601 [愛華]
「うん。なんか用?」

「そーゆーわけじゃないけど…
直純、大丈夫かなって」


大丈夫なわけないだろ。
あんなこと聞かされて……
でも、それは梓も同じか。
親友の死が身近に迫ってる。
平気なわけないよな。


「………びっくりしたよ。
いつかはこんな日が来るだろうって思ってたけど……今なんてな」

⏰:10/12/21 17:19 📱:840SH 🆔:yAxc/byQ


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