天使と悪魔の暇潰し
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#269 [匿名]
ただ母親は、睨み付けるだけで何も言わない。
幽霊とは会話をしたくないのか、もしくは会話をする意味はないと思っているのかもしれない。
そしてターゲットは相変わらずびくびくしている。
みっともない。
みっともなくて、見ていて恥ずかしくなる。
:11/01/24 11:17 :F06B :☆☆☆
#270 [我輩は匿名である]
:11/01/24 11:20 :SA001 :wPlWYTqY
#271 [匿名]
だがその時、ターゲットが動いた。
「もう…耐えられない。死ぬ…」
泣いているように見えたが、その目は正気を失っている。
なぜかターゲットの目の前には包丁が転がっていて、それを見つけると、スッと両手で持ち上げた。
きっと彼が用意したんだろう。すぐに死ねるように。
「やめて!!」
母親の叫ぶ声は、ターゲットには届いていない。
:11/01/24 12:54 :F06B :☆☆☆
#272 [匿名]
唇の片方だけを吊り上げて、彼が不気味に微笑む。
これでターゲットが自分自身に包丁を向けて、グサッと刺せばそれで終わってしまう。
包丁がターゲットの心臓の目の前にある。
手が震えている。
:11/01/29 17:03 :F06B :☆☆☆
#273 [匿名]
死ぬ事は怖い。
誰でもきっとそうだ。
それは今まで経験がないからなんだと思う。
死んでしまえば、こんなもんか!もっと早く死んでおけばよかった!と思ってしまうほど、呆気ない。
のかもしれない。僕は死んでないから分からないけど。
ただ神様の列に並んでいる自殺をした人は皆後悔している。
今なら何でも出来る気がする。もう一度生きたい。そう言いながら泣いたりする。
:11/01/30 14:42 :F06B :☆☆☆
#274 [匿名]
もう何を思っても遅いのに。だから僕は出来るだけ人間を生かしておきたい。
後悔するのが目に見えて分かるからだ。
何かに追い込まれて、冷静に物事を考えられなくなると、死ぬ事が最善策だと考えてしまう。何も解決なんてしていないのに、人間は馬鹿だ。
そう考えながら、僕はターゲットの部屋に入った。
ターゲットは自分に向かう包丁を見ていて、僕には気付かない。
彼はチラッと僕を見て、
「遅せぇぞ。もうすぐ死ぬんだから見とけよ!」
と言った。
:11/01/30 14:44 :F06B :☆☆☆
#275 [匿名]
「あなた!」
母親がようやく僕の存在に気が付いた。
「あなた!!助けて!うちの子を止めて!」
この人は何を言っているのだろう?いつもこうして生きてきたのか。
「なぜ僕が?」
僕もターゲットが死んでしまうのは避けたいが、なぜ母親は自分で止めようとしないのだろう。
なぜ必死にならない?
:11/01/30 14:45 :F06B :☆☆☆
#276 [匿名]
「あなたの友達のせいなのよ!責任取りなさいよ!!うちの子が死んだらどーしてくれんのよ!」
「僕の友達は死んだんです。責任取ってもらいたいのは僕の方だ!何でもかんでも人のせい。あなたがそんな人間だから、あなたの息子はこうなったんだ!」
僕は怒鳴った。
母親は唇を噛み締めて、僕をギッと睨み付けている。
「死んでほしくないなら、あなたが説得しろ。僕は赤の他人だ。」
:11/01/30 14:46 :F06B :☆☆☆
#277 [匿名]
母親はターゲットを見た。ターゲットは目を瞑り、震えている。
「死ぬ…死ぬ…死ぬ…」
ターゲットが包丁を振りかざした。勢いをつける。
さっきまでの震えはない。
彼はその様子を見ながら、笑っている。悪魔の笑顔はいつ見ても、不気味だ。
僕の負けか。
やっぱり母親はどうしようもない人間だった。
これもまたありかもしれない。
:11/01/30 14:48 :F06B :☆☆☆
#278 [匿名]
僕の目の前から母親がいなくなるのが分かった。勝利を諦めて、ふと視線を下に落とした瞬間だ。
「っんだよ!」
彼の声が聞こえた。
予想外の事が起き驚いているような、悔しがっているような、苛立ちを抑えられない声だった。
何となく、何が起きたか理解できた。視線をターゲットに向ける。
:11/02/01 15:12 :F06B :☆☆☆
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