天使と悪魔の暇潰し
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#279 [匿名]
ターゲットは包丁を刺した。自分に向かって振りかざした包丁を真っ直ぐ胸辺り目掛けてふった。
うっという声が漏れる。
その声に気付き、ターゲットは目を開けた。ターゲットの目の前には抱きつくように、ターゲットと包丁の間に立つ母親がいる。そして、自分に向けたはずの包丁が、自分自身に刺さっていない事に気付いた。
:11/02/01 15:20 :F06B :☆☆☆
#280 [匿名]
目の前の母親の背中には、ターゲットに刺さるはずだった包丁が刺さっている。ターゲットは震え出した。
膝から崩れる様に母親が倒れた瞬間、ターゲットは悲痛な表情を浮かべ後退りした。
「うわあああ!」
彼を殺しても、あの男を殺しても動じなかったターゲットが、母親を刺したらこの有り様だ。
:11/02/06 13:53 :F06B :☆☆☆
#281 [匿名]
「…ごめんね」
倒れた母親が声を絞り出す。
「あなたは…生きてなきゃ駄目よ。何度でもやり直せるんだから…」
母親は目に涙を浮かべ、ターゲットを諭した。初めて見た、まともな母親の顔だ。
ターゲットはガタガタと震え、泣いている。
「何で…どうして…僕は…」
:11/02/07 00:22 :F06B :☆☆☆
#282 [匿名]
「悪いのは全部、お母さんなのよ。…大丈夫。…ごめんね、間違えてたみたい。お母さんがした事は、全部あなたの為にはなってなかったみたいね。」
ターゲットが膝をつき、母親の手を握る。こんなにも親子という関係は素晴らしいのに、どうして今まで上手く行かなかったのだろう。
この歪みがなくなった今、母親は死んだ。
:11/02/07 00:29 :F06B :☆☆☆
#283 [匿名]
ターゲットは暫く方針状態で、僕が声をかけても反応しなかった。一言も話さないまま僕たちの二時間は過ぎてしまい、その場を離れなければならなくなった。
この二時間が過ぎたので、これからどうなろうと僕の勝ちが決まった。
「またおめぇの勝ちかよ。気に食わねぇな!」
彼は僕より先に上に戻っていて、僕が戻るとすぐにこう言った。
:11/02/07 00:35 :F06B :☆☆☆
#284 [匿名]
「でももしかしたら今日中にターゲットは自殺するかもよ。ずっとあの調子だし。」
僕は彼の機嫌を取ろうとした訳ではなく、本当にそう思ったから言った。だけど彼は、僕が気を使ったと思ったらしい。
「もう暇潰しは終わったんだ。これからあいつがどーなろうと、俺の負けが勝ちになるわけじゃねぇんだよ。…次だな!次!」
彼はここ最近成長した。大人になった。僕はそれが少し嬉しくて笑ってしまった。
:11/02/07 00:42 :F06B :☆☆☆
#285 [匿名]
そしてターゲットは、次の日自首をした。
自殺をするか、もしかしたら逃げるかもしれないと考えていたので、正直嬉しかった。最後の母親の言葉が効いたのかもしれない。
僕はいつの間にか笑っていた。隣にいるターゲットの母親が、嬉しそうに泣くからだ。
:11/02/07 00:48 :F06B :☆☆☆
#286 [匿名]
>>283×方針状態
放心状態
誤字ばかりですみません(x_x;)
:11/02/08 02:05 :F06B :☆☆☆
#287 [匿名]
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今日は暇潰し最終日。
今回のターゲットは、妻子ある者を愛してしまった、愚かな女。
男の言う「愛している」という言葉を信じ、奥さんと離婚する事を願っている女。
年齢は二十代前半。相手の男は三十代半ば。
当たり前かもしれないが、男は本気ではなく、ただ若い女と体の関係を持ちたいと思っているだけの、どこにでもいる最低な男だ。
:11/02/08 22:19 :F06B :☆☆☆
#288 [匿名]
ターゲットは昨日、自殺をしようとした。その男に遊ばれていたとやっと気がつき、ショックが大きかったみたいだ。自分の命を捨てる程、あの男に魅力があるとは思えない。
ターゲットはビルの屋上にあがり、飛び降りようとした。だが、良いタイミングで僕が現れた。
「死んだらダメだ。僕は君が死んだら悲しい。」というような事を、一生懸命感情を込めて、ターゲットの目をずっと見つめながら言う。
突然現れた男にそのような事を言われたターゲットは、驚く程簡単に自殺をやめた。
:11/02/11 19:40 :F06B :☆☆☆
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