天使と悪魔の暇潰し
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#268 [匿名]
ただ母親というのは強い。

もう今じゃ、彼を睨み付ける程だ。落ち着いてるようには見えないが、どこか余裕がある。

お前が死ねばいい、死ね、殺す。と怒りを言葉にする目の前の幽霊から、どう息子を救おうかと考えているみたいだ。


さすがだな、と思ってしまう。


とりあえずあと一時間母親に頑張ってもらえれば、僕の勝ちは近付く。

⏰:11/01/24 11:16 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#269 [匿名]
ただ母親は、睨み付けるだけで何も言わない。

幽霊とは会話をしたくないのか、もしくは会話をする意味はないと思っているのかもしれない。


そしてターゲットは相変わらずびくびくしている。

みっともない。


みっともなくて、見ていて恥ずかしくなる。

⏰:11/01/24 11:17 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#270 [我輩は匿名である]
>>1-100
>>101-200
>>201-280

⏰:11/01/24 11:20 📱:SA001 🆔:wPlWYTqY


#271 [匿名]
だがその時、ターゲットが動いた。

「もう…耐えられない。死ぬ…」

泣いているように見えたが、その目は正気を失っている。

なぜかターゲットの目の前には包丁が転がっていて、それを見つけると、スッと両手で持ち上げた。

きっと彼が用意したんだろう。すぐに死ねるように。

「やめて!!」

母親の叫ぶ声は、ターゲットには届いていない。

⏰:11/01/24 12:54 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#272 [匿名]
唇の片方だけを吊り上げて、彼が不気味に微笑む。

これでターゲットが自分自身に包丁を向けて、グサッと刺せばそれで終わってしまう。

包丁がターゲットの心臓の目の前にある。

手が震えている。

⏰:11/01/29 17:03 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#273 [匿名]
死ぬ事は怖い。

誰でもきっとそうだ。
それは今まで経験がないからなんだと思う。

死んでしまえば、こんなもんか!もっと早く死んでおけばよかった!と思ってしまうほど、呆気ない。

のかもしれない。僕は死んでないから分からないけど。

ただ神様の列に並んでいる自殺をした人は皆後悔している。

今なら何でも出来る気がする。もう一度生きたい。そう言いながら泣いたりする。

⏰:11/01/30 14:42 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#274 [匿名]
もう何を思っても遅いのに。だから僕は出来るだけ人間を生かしておきたい。

後悔するのが目に見えて分かるからだ。

何かに追い込まれて、冷静に物事を考えられなくなると、死ぬ事が最善策だと考えてしまう。何も解決なんてしていないのに、人間は馬鹿だ。



そう考えながら、僕はターゲットの部屋に入った。

ターゲットは自分に向かう包丁を見ていて、僕には気付かない。

彼はチラッと僕を見て、
「遅せぇぞ。もうすぐ死ぬんだから見とけよ!」
と言った。

⏰:11/01/30 14:44 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#275 [匿名]
「あなた!」

母親がようやく僕の存在に気が付いた。


「あなた!!助けて!うちの子を止めて!」

この人は何を言っているのだろう?いつもこうして生きてきたのか。

「なぜ僕が?」

僕もターゲットが死んでしまうのは避けたいが、なぜ母親は自分で止めようとしないのだろう。

なぜ必死にならない?

⏰:11/01/30 14:45 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#276 [匿名]
「あなたの友達のせいなのよ!責任取りなさいよ!!うちの子が死んだらどーしてくれんのよ!」

「僕の友達は死んだんです。責任取ってもらいたいのは僕の方だ!何でもかんでも人のせい。あなたがそんな人間だから、あなたの息子はこうなったんだ!」

僕は怒鳴った。

母親は唇を噛み締めて、僕をギッと睨み付けている。

「死んでほしくないなら、あなたが説得しろ。僕は赤の他人だ。」

⏰:11/01/30 14:46 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#277 [匿名]
母親はターゲットを見た。ターゲットは目を瞑り、震えている。

「死ぬ…死ぬ…死ぬ…」


ターゲットが包丁を振りかざした。勢いをつける。

さっきまでの震えはない。

彼はその様子を見ながら、笑っている。悪魔の笑顔はいつ見ても、不気味だ。


僕の負けか。
やっぱり母親はどうしようもない人間だった。

これもまたありかもしれない。

⏰:11/01/30 14:48 📱:F06B 🆔:☆☆☆


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