天使と悪魔の暇潰し
最新 最初 🆕
#66 [匿名]
「なににしますか?」

ターゲットは先程僕が教えた通りまず女性に伺った。

「えっと、あまりお酒は詳しくないのでお任せします。」

女性は簡単でいいなぁと思った。そうですか、とターゲットはメニューに目を戻す。

そうだなぁ、んー、どれがいいかなぁ、うーん、と目をキョロキョロ動かす。

⏰:10/11/04 16:45 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#67 [匿名]
きっとターゲットは僕のアドバイスなど関係なく、女性が決めてくれたドリンクと同じ物を頼もうと思い、伺ったのだろう。

「お客様、本日何かの記念日だったり特別なお日にちでしたら、乾杯はまずシャンパンなどはいかがでしょうか?」

店員が助け船を出してくれた。

「シャンパンは大丈夫ですか?」

ターゲットはここぞとばかりに女性に言う。

「えぇ、大丈夫です。」

「じゃあそれでお願いします。」

ふぅ、と息を吐く。
緊張が少し解かれたみたいだ。

⏰:10/11/04 16:57 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#68 [匿名]
あ、とターゲットは思い出したように呟いた。

「どうかしましたか?」
キョトンとした顔で女性は聞いた。

「いや、今日は記念日でもなんでもなかったなと思いまして。」

恥ずかしそうに下を向きながら頭をかく。

「それなら、二回目のデート記念でいいじゃないですか?」

ニコッと笑った女性を見て、ターゲットは幸せそうに頷いた。

今まで生きてきて女性に微笑まれた事などないような、新鮮な反応だった。

⏰:10/11/04 17:02 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#69 [匿名]
それからターゲットは適度に会話をして、適度に飲んで、食事を楽しんでいた。

お酒が弱いのか、女性を目の前にしているからなのか、徐々に顔が赤くなってきた。


そこで隣にいる彼は舌打ちをし始め、そわそわと動き出した。


「こりゃ悪魔として、放っておく訳にはいかねーよなー?」

⏰:10/11/04 17:07 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#70 [匿名]
同意を求められても僕は天使で、悪魔にはなれないから彼の気持ちは分からない。

「君は悪魔だもんね。」

と質問の答えにはなっていない返事をした。だが僕の答えに彼は納得したみたいだ。

「だよな!そうだよ。俺は生まれてこの方人間の幸せを願った事はねーんだよ。幸せそうな笑顔を見ると虫酸が走る!」

嫌な顔をして彼は肩と顔を震わせた。

⏰:10/11/04 17:12 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#71 [匿名]
その時下では、女性が席を立っていた。きっとトイレだ。

「ってことで行ってくるわ!幸せな時間はここまで」
ニヤッと笑う彼は実に恐ろしい。

お手柔らかに、と彼に言うが、聞く耳は持っていない。

⏰:10/11/04 17:17 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#72 [匿名]
女性トイレ付近で、女性が出て来るのを彼は待っている。

黒いスーツをきて、髪の毛も後ろに流して整えられている。僕達は思い描いた格好に一瞬にして変える事が出来る。


少しして女性は出てきた。
彼の前を通り過ぎようとしたとき、彼は呼び止めた。

「あの、あなたあそこに座ってる男性と一緒に来られた方ですよね?」

いつになく丁寧な喋り方の彼が、後ろ姿のターゲットを指差す。

「えぇ、そうですがなにか?」

いきなり見ず知らずの若者に言われ、警戒をしている。当たり前の事だ。

⏰:10/11/04 17:27 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#73 [匿名]
「これは忠告です。ター…た、多分あなたははめられています。」

何の話ですか?と女性は怒った顔をした。

「簡単に説明します。あの男性は詐欺師です。あの方は結婚していて、その妻と二人で詐欺をしているんです。」

「おっしゃってる意味がよくわかりません。からかっているのなら私ではなく、他を当たって下さい!」

完全に怒ってしまった。彼の口からあんな嘘が出てくるとは思わなかった。

⏰:10/11/04 17:34 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#74 [匿名]
「ちゃんと聞いてください!あの男性は複数の女性と関係を持っています。そう、不倫です。でもそれは本気ではない。お金の為なんです。」

彼の正義感溢れる口振りに、女性は騙され始めた。

「不倫している事が妻にばれたふりをして、妻が不倫相手に慰謝料を請求するという流れになっているんです。だから、あなたも危ないんです!!」

「そんな…まさか!」

恋人を信じたいという気持ちなのだろうか、女性は泣きそうな顔をしている。

⏰:10/11/04 17:42 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#75 [匿名]
「全て本当の話です。実は昨日も一人の女性がお金を払ってしまいました。次のターゲットはあなたなのです。」


「私はどうしたら…」
しばらくの沈黙のあと掠れた声で女性が呟いた。

「逮捕するのは警察の役目です。あなたの身に危険が及ぶ可能性がありますので、あの男性との関係をこの場で終わらせてください。」


「…分かりました。」

⏰:10/11/04 17:48 📱:F06B 🆔:☆☆☆


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194