亡き君に告ぐ
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#29 [不発花火]
見間違えるはずもない。
毎日見て、恋焦がれた美しい少女のドレスだ。
ドレスの横には木箱のオルゴールが落ちていた。
オルゴールを開くと、イザベラのためのレクイエムが流れた。
「あぁ、君がイザベラだったんだね」
青年は白骨死体となったイザベラを撫でる。
「まさか僕が恋した相手が亡者だとは思わなかったよ」
:10/12/18 10:24
:SH04B
:Agq75nzI
#30 [不発花火]
愛しのイザベラ。
白骨死体になっても美しい君に魅入られた僕は二度とここから出られないだろう。
―永遠に私の傍にいて。
青年の耳に美しいイザベラの声が響いた。
END
:10/12/18 10:25
:SH04B
:Agq75nzI
#31 [不発花火]
:10/12/18 10:42
:SH04B
:Agq75nzI
#32 [不発花火]
「私の演奏人形。今夜は何を弾いてくれるのかしら」
―演奏人形―
:10/12/18 12:05
:SH04B
:Agq75nzI
#33 [不発花火]
少年は人形だった。
生まれた時から人形だったし、今更人間になりたいとも思わなかった。
少年はオルガンを弾くことしかできなかった。
少年はいつだって少女に作られた人形だった。
「私の演奏人形。今日はシューベルトが聴きたいわ」
―かしこまりました。
人形は今日も少女の為にオルガンを弾く。
:10/12/18 12:06
:SH04B
:Agq75nzI
#34 [不発花火]
少女は貪欲だった。
少女の醜い容姿は、少女の人格を歪ませる環境を作るのに充分過ぎた。
人が寄り付かない淋しさを乗り越える為に、少女はたくさんの人形を作った。
掃除をする人形、買い物をする人形、少女を愛する為の人形、そして演奏人形。
どれも美しい少年の姿をしていたが、皆少女の貪欲に耐え切れず壊れていった。
―もっと綺麗に掃除しなさい。塵一つ残さずに。
―もっと私を愛しなさい。愛さない場所などないくらいに。
まるで少女を嫌がるかのように人形達は壊れていった。
演奏人形を除いて。
:10/12/18 12:06
:SH04B
:Agq75nzI
#35 [不発花火]
「あなたはずっと私の傍で音楽を奏でてくれるわよね?」
―もちろんです。レディ。
今日も美しいオルガンが少女の済む建物に響き渡る。
人形は少女を愛していたのだ。
「さあ、今日も美しい音色を奏でて頂戴。私の演奏人形」
醜く淋しがり屋の少女を、人形は愛していた。
「今日はバッハがいいわ」
ならば少女は演奏をしない自分を愛してくれるのだろうか。
「どうしたの。さっさとオルガンを弾きなさい」
人形である自分を、人間として愛してはくれるだろうか。
「役立たずな人形ね。また作り直さなくちゃならないわね」
:10/12/18 12:06
:SH04B
:Agq75nzI
#36 [不発花火]
人形は自分に向かって振り下ろされる金づちを見ながら、少女の幸せを願った。
それから、少女が生み出す人形は少女の願いを一度聞き入れると壊れてしまうものばかりだった。
演奏人形のように、長く少女の傍で動く人形はいなかった。
少女は人形に愛されていたことすら気づかないでいる。
END
:10/12/18 12:07
:SH04B
:Agq75nzI
#37 [我輩は匿名である]
:10/12/18 16:08
:SH004
:G9EnQzMk
#38 [みくや]
このお話スキです
頑張ってください
:10/12/18 17:23
:P01A
:3khtU/d6
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