亡き君に告ぐ
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#33 [不発花火]
少年は人形だった。
生まれた時から人形だったし、今更人間になりたいとも思わなかった。
少年はオルガンを弾くことしかできなかった。
少年はいつだって少女に作られた人形だった。
「私の演奏人形。今日はシューベルトが聴きたいわ」
―かしこまりました。
人形は今日も少女の為にオルガンを弾く。
:10/12/18 12:06
:SH04B
:Agq75nzI
#34 [不発花火]
少女は貪欲だった。
少女の醜い容姿は、少女の人格を歪ませる環境を作るのに充分過ぎた。
人が寄り付かない淋しさを乗り越える為に、少女はたくさんの人形を作った。
掃除をする人形、買い物をする人形、少女を愛する為の人形、そして演奏人形。
どれも美しい少年の姿をしていたが、皆少女の貪欲に耐え切れず壊れていった。
―もっと綺麗に掃除しなさい。塵一つ残さずに。
―もっと私を愛しなさい。愛さない場所などないくらいに。
まるで少女を嫌がるかのように人形達は壊れていった。
演奏人形を除いて。
:10/12/18 12:06
:SH04B
:Agq75nzI
#35 [不発花火]
「あなたはずっと私の傍で音楽を奏でてくれるわよね?」
―もちろんです。レディ。
今日も美しいオルガンが少女の済む建物に響き渡る。
人形は少女を愛していたのだ。
「さあ、今日も美しい音色を奏でて頂戴。私の演奏人形」
醜く淋しがり屋の少女を、人形は愛していた。
「今日はバッハがいいわ」
ならば少女は演奏をしない自分を愛してくれるのだろうか。
「どうしたの。さっさとオルガンを弾きなさい」
人形である自分を、人間として愛してはくれるだろうか。
「役立たずな人形ね。また作り直さなくちゃならないわね」
:10/12/18 12:06
:SH04B
:Agq75nzI
#36 [不発花火]
人形は自分に向かって振り下ろされる金づちを見ながら、少女の幸せを願った。
それから、少女が生み出す人形は少女の願いを一度聞き入れると壊れてしまうものばかりだった。
演奏人形のように、長く少女の傍で動く人形はいなかった。
少女は人形に愛されていたことすら気づかないでいる。
END
:10/12/18 12:07
:SH04B
:Agq75nzI
#37 [我輩は匿名である]
:10/12/18 16:08
:SH004
:G9EnQzMk
#38 [みくや]
このお話スキです
頑張ってください
:10/12/18 17:23
:P01A
:3khtU/d6
#39 [不発花火]
どうして僕はこんな底辺にも程がありすぎる高校に入学してしまったんだろう。
入学して3年が経とうとしている今でも毎日のように中学生だった自分をボコボコに殴って「楽なんかしないでもっと勉強して普通の底辺高校に行け」と言ってやりたい衝動に駆られる。(あくまで底辺なのは僕は勉強が苦手だからだ)
―性春ハイスクール―
:10/12/18 20:53
:SH04B
:Agq75nzI
#40 [不発花火]
この高校は、名前を出せばどんな就職先にだって就くことができると有名だった。
ただしAV女優や男優、そういう大人の娯楽関係の会社のみだ。
隣の席の可愛いハルカちゃんだって卒業したら「誤背ハルカ」という名前でAV女優デビューが決まっているし、前の席の向井くんは「キャラメル向井」という名前でAV男優のデビューが決まっている。
:10/12/18 20:53
:SH04B
:Agq75nzI
#41 [不発花火]
輝かしい(?)未来のために皆今日も一生懸命性の勉強をしている。
「お前いい加減進路決めたらどうだ?男優が嫌ならAV制作会社やポルノ雑誌の編集社なんかもあるぞ?」
「結構です」
母さん、父さん。
僕に社会人としての春は訪れそうにありません。
「何が嫌なんだ?」
「全てが嫌です」
:10/12/18 20:54
:SH04B
:Agq75nzI
#42 [不発花火]
「じゃあどうしてこの高校を希望したんだ」
そりゃもう。
入試が「子供はどうやってできるか。3文字の英単語で説明せよ」のみでしたし。
家から徒歩10分でしたし。
ろくにどんな学校かを調べずに入った僕も悪いですけども。
「馬鹿だったからです」
言って酷く虚しくなるのを感じたが、それ以外の回答が思い付かなかった。
:10/12/18 20:54
:SH04B
:Agq75nzI
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