†horror†
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#251 [輪廻◆j6ceQ96kak]
そのまま震えた手で引き金に指をかけた。


その時―


女性『響歌ちゃん! 撃っちゃダメ! その人を撃ったら…どうなるかわかってるよね!』


響歌『……!!』

女性の言葉で、ふっと我に帰り、自身の手にしていた銃を見てそれをとっさに落とす。


この時、響歌の意思とは関係なく銃を手にしていた事に気がついた。

⏰:11/07/06 10:48 📱:T004 🆔:poCJnCg.


#252 [輪廻◆j6ceQ96kak]
男『そろそろ楽にさせてあげるよ!』

先ほどまで歩いていた男が、響歌が銃を落としたタイミングを見計らってか、走り出してきた。


女性『響歌ちゃん逃げて!』

またしても頭で考えるより先に足が動いた。


まるで誰かに操られているかのような感覚だった。


響歌はその足で森の中へと駆け抜ける。

⏰:11/07/06 10:53 📱:T004 🆔:poCJnCg.


#253 [輪廻◆j6ceQ96kak]
夢中だった。


体が響歌の思うように動かない。


足が勝手に動いていた。


だが男が追ってくる気配は背後からちゃんと感じられた。


男『なんで逃げるのさぁ!』

響歌は半泣き状態になりつつも、全速力で男を振り切ようと走り続ける。

⏰:11/07/06 10:56 📱:T004 🆔:poCJnCg.


#254 [輪廻◆j6ceQ96kak]
しばらくして、追ってくる気配が消えた。


走り続けた結果、ふと見るとあの車が見える。


しっかりとさっきの場所へと戻っていたのだ。


どこをどう走っていたのかわからない響歌だった。


まるで見えない誰かに導かれていたようだった。

⏰:11/07/06 11:01 📱:T004 🆔:poCJnCg.


#255 [輪廻◆j6ceQ96kak]
すぐに車へと向かう。


響歌『お姉さん!!』


女性『…響歌ちゃん! 無事だったんだね!』

片手にずっと握りしめていた血がついた車の鍵を女性に渡し、響歌も助手席に乗った時。


警察のパトカーのサイレンが聞こえてきた。


女性『来たみたい…よかったね』


響歌『もうダメかと思いました…』

車から降りて向こうから来るパトカーに向かって手を振る。

⏰:11/07/06 11:05 📱:T004 🆔:poCJnCg.


#256 [輪廻◆j6ceQ96kak]
それから響歌と女性で事情を話した。


女性といた男性を刺した男はすぐに捜索隊によって発見。


殺人や銃刀法違反などの容疑で逮捕となった。


パトカーに乗せられる時、男は響歌達を見てニヤっと小さく笑った。


その後、響歌の証言であの旅館にも捜査が入る。

⏰:11/07/06 11:11 📱:T004 🆔:poCJnCg.


#257 [輪廻◆j6ceQ96kak]
あの男が言っていた通り、あの旅館は半年前に経営不振により女将の池崎が、他の従業員を焼却炉で焼き殺してから、最後に自身をも入れて焼身自殺を図ったという。


それから取り調べ室で響歌は、女将の事を話すも、信じてもらえなかった。


響歌の先輩、吉田優斗は現在も行方不明。


あの男が殺したという、松下雪乃の死体も未だ見つかっていない。

⏰:11/07/06 11:20 📱:T004 🆔:poCJnCg.


#258 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌にはただ一つ思う所がある。


あの時、道を導いてくれたのは雪乃だったのかもしれない、と。


雪乃が助けてくれたのだろうと、信じる事にした。

⏰:11/07/06 11:22 📱:T004 🆔:poCJnCg.


#259 [輪廻◆j6ceQ96kak]
数日後―


女性『今日、剛史のお葬式なんだ』


響歌『そうなんですか…』


女性『ねえ…あの男の人、どうなると思う?』


響歌『あの男は…私の友達も殺したと言ってました。私は一生許す気にはなれないです』


女性『そうだよね…ウチも同じ。ねえ響歌ちゃん…復讐したいと思わない?』

女性の言葉に、響歌は一瞬戸惑った。

⏰:11/07/06 11:26 📱:T004 🆔:poCJnCg.


#260 [輪廻◆j6ceQ96kak]
女性『だって、元々悪いのはあの男でしょ? あの時のバカにしたような笑い顔…今でも忘れない』


響歌『私もですけど…やっぱり罪に関しては警察に任せようと思ってます』


女性『そう…響歌ちゃんはそれでいいんだね?』


響歌『……はい』

二人は握手をしてから、別れた。

⏰:11/07/06 11:30 📱:T004 🆔:poCJnCg.


#261 [輪廻◆j6ceQ96kak]
もう彼女に会う事はない。


そう思っていた。


少なくとも今の段階では―



第2話 怪奇なる旅路【完】

⏰:11/07/06 11:31 📱:T004 🆔:poCJnCg.


#262 [輪廻◆j6ceQ96kak]
第3話【消失なる射影】



このカメラで撮影された者は1週間以内に必ず死ぬ。



その名も


『デスカメラ』


これは数年前、村井響歌が中学生の時の話である―

⏰:11/07/06 11:42 📱:T004 🆔:poCJnCg.


#263 [輪廻◆j6ceQ96kak]
中学2年生の夏、響歌の中学校ではよからぬ噂が広まっていた。


生徒A『ねえ、デスカメラって知ってる?』


生徒B『もち! そのカメラで写された人は1週間以内に死ぬんだよね』


生徒C『そのカメラ、普通じゃ手に入れられないんだって。闇市場っていう携帯サイトで頼めるらしいよ』


響歌『くだらない』

そんな噂で持ちきりの中、響歌は興味なさそうな顔で教室の椅子に座っていた。

⏰:11/07/06 11:48 📱:T004 🆔:poCJnCg.


#264 [輪廻◆j6ceQ96kak]
くだらない話ほど、みんな真面目に聞きたがる。


授業ではいつもふざけて先生の話を聞かないくせに、といつも心の声を発していた。


響歌の親友、井本七瀬もその話の虜であった。


七瀬『ねえ響歌! 響歌!』

気づくと机の前に七瀬の顔。


響歌『なに?』

どうせ例のカメラの話だろうと、そっけない表情で返事をした。

⏰:11/07/06 11:58 📱:T004 🆔:poCJnCg.


#265 [輪廻◆j6ceQ96kak]
七瀬『デスカメラ…』

七瀬がここまで言うと


響歌『はいはい、私そういうの興味ないから』


七瀬『なにさー! まだ何も言ってないじゃん!』

言ってなくても、周りが話しているのを散々聞いている響歌には、今から七瀬が言う事を全て把握していた。


響歌『そういうの馬鹿らしくない?』

容赦ない響歌の言葉に、七瀬の顔は不機嫌な表情に一瞬にして変わった。

⏰:11/07/06 12:07 📱:T004 🆔:poCJnCg.


#266 [輪廻◆j6ceQ96kak]
七瀬『とかいって…響歌、ホントは怖いんじゃないの?』


響歌『…は? なんでそうなるの?』

ここで二人の険悪ムードに割って入ってきたのは…


蓮『お前ら怖い顔してるけど、どうかしたの?』

クラス一の明るい男、桐谷蓮だった。


七瀬『あ、キリ。聞いて聞いて! 響歌ね、デスカメラが怖いんだって』

⏰:11/07/07 20:45 📱:T004 🆔:sszp4/nU


#267 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『デスカメラ…ああ! 今流行ってる都市伝説だろ?』


七瀬『都市伝説じゃないよ! 実際そのカメラ売ってるらしいし』


蓮『へー。どこに売ってんの?』


七瀬『闇市場っていうサイト。あたし携帯もパソコンもないから、そのサイト見た事ないんだよねー』

すっかり二人の世界になってしまった。


響歌は勢いよく席を立って、教室を出た。

⏰:11/07/07 20:49 📱:T004 🆔:sszp4/nU


#268 [輪廻◆j6ceQ96kak]
向かったのは屋上。


休み時間などに一人になりたい時は必ずここへ来る。


響歌にとっては最高の息抜き場所だった。


響歌『デスカメラかぁ…』

雲を見上げてポツリとつぶやく。


写された者は死ぬ―

この言葉が頭を駆け巡る。


響歌『やっぱ馬鹿らし…』

再び雲に向かって言った。

⏰:11/07/07 20:54 📱:T004 🆔:sszp4/nU


#269 [輪廻◆j6ceQ96kak]
学校が終わり、いつも一緒に帰っている七瀬に声をかけた。


響歌『ああ終わったー! 今日も眠かったよね』


七瀬『……』


響歌『ナナ? 聞いてる?』


七瀬『もう話しかけないでくれない?』


響歌『…え?』

衝撃的な発言に、一瞬聞き間違えたのかと思った。

⏰:11/07/07 21:02 📱:T004 🆔:sszp4/nU


#270 [輪廻◆j6ceQ96kak]
七瀬『そういう事だから。悪いけど今日から一人で帰って』

七瀬の裏を返したような態度に、響歌はそれ以上何も言えなかった。


帰り道、響歌はずっと七瀬の事を考えていた。


出会ったのは小学校5年の時。


それから3年間、かけがえのない親友としてやってきた七瀬の突然の絶交宣言。

⏰:11/07/07 21:09 📱:T004 🆔:sszp4/nU


#271 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『ナナ…私が悪いの? 私が、あの噂を否定したから?』

自分のあの時の発言に後悔した。


それからしばらくの間、学校はデスカメラに関する噂で持ちきりだった。


もちろん七瀬とはそれから全く口を聞いていない。


ちょくちょく話しかけたりもしたが、向こうは完全無視を続けた。

⏰:11/07/07 21:14 📱:T004 🆔:sszp4/nU


#272 [輪廻◆j6ceQ96kak]
休日は部屋に閉じこもるようになった響歌。


七瀬が携帯電話を持つようになったが、連絡先は教えてくれず、謝罪のメールを送ろうにも送れない状態が続く。


ある日、学校の休み時間にて七瀬達の話を偶然耳にした。


七瀬『ねえ! 闇市場ってサイト発見しちゃったさー!』


生徒A『マジで? 見して見して!』

⏰:11/07/07 21:25 📱:T004 🆔:sszp4/nU


#273 [輪廻◆j6ceQ96kak]
七瀬『もう見つけるのに苦労したよ! おかげで寝不足〜』


生徒B『でさ…デスカメラはあったの?』


七瀬『あったんだけどさ…なんか注文が殺到してるみたいで品切れだったの…まじショック!』


生徒B『あらら…残念。でもさ、注文殺到してるって事はウチの学校でも頼んでる人多いのかな?』

⏰:11/07/07 21:29 📱:T004 🆔:sszp4/nU


#274 [輪廻◆j6ceQ96kak]
七瀬『だとしたら危ないよね! 盗撮とかされたら洒落にならないよ〜』


生徒B『写されないように気をつけないとね!』

…と、冗談混じりの笑い声で話す七瀬達を見た響歌は、一瞬だけ悪魔のような発想をした。


響歌『写された人が死ぬ…』

響歌の視線の先には七瀬。


響歌『…って何考えてんだろ私…』

⏰:11/07/07 21:35 📱:T004 🆔:sszp4/nU


#275 [輪廻◆j6ceQ96kak]
絶交しているとはいえ、少し前までは親友だった七瀬。


さすがに死までくると洒落にならないと思った響歌は、デスカメラの事を忘れる事にした。


しかし、学校では毎日のようにデスカメラの話題があがる為、忘れようにも忘れられないでいた。


休み時間、桐谷蓮が響歌に話しかけてきた。

⏰:11/07/07 21:39 📱:T004 🆔:sszp4/nU


#276 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『お前、最近井本とつるまないのな。喧嘩でもしたの?』


響歌『…別に』


蓮『女同士って色々あって怖ェよな』


響歌『何か用?』


蓮『昨日オレの兄ちゃんがさ、デスカメラだっけ…それを注文したんだってよ』


響歌『…えっ!!』

思わず大きい声を出して席を立った瞬間、周りの視線が一斉に響歌に集中する。

⏰:11/07/07 21:45 📱:T004 🆔:sszp4/nU


#277 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『おい、どした?』


響歌『…ちょっと来て!』

そう言って顔を赤くしながら教室を出た。


蓮『おいどこまで行くんだよ?』

屋上へと蓮を呼んだ。


響歌『さっきの話…ホントなの?』


蓮『さっきの話って?』


響歌『だから…デスカメラ』


蓮『ああ。兄ちゃんの学校でも有名になってんだってさ』

⏰:11/07/07 21:48 📱:T004 🆔:sszp4/nU


#278 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『それ、もう届いたの? ていうかそもそもお金ってかかるの?』


蓮『なんでお前がそんな事気にすんだよ? お前、ただの噂だって興味なさそうに言ってたじゃん』


響歌『そ、そうだけど…』

先ほどの七瀬達の話を聞いた限り、噂では片付けられないだろうと内心感じつつあった。

⏰:11/07/07 21:53 📱:T004 🆔:sszp4/nU


#279 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『えーと…確か金はかからなかったって言ってたな』


響歌『もしかして、そんな殺人カメラがタダで売ってるって事…?』


蓮『悪いな。そこらへんの事オレもよくわからねえんだ。自分で調べてくれ。な?』


蓮は小さく手を振って屋上を後にした。


その時、好奇心が響歌の心をくすぐった。

⏰:11/07/07 21:59 📱:T004 🆔:sszp4/nU


#280 [輪廻◆j6ceQ96kak]
その夜、家で携帯電話を片手に机に向かった響歌は普段はあまり見ないネットを繋いだ。


『闇市場』

で検索。


何件もの検索結果が見つかった。


しかし次々にクリックするも、どれも閉鎖しているらしくページが見つからない状態が続いた。


1時間…


諦めかけた時、一つのページが突如現れた。

⏰:11/07/07 22:06 📱:T004 🆔:sszp4/nU


#281 [輪廻◆j6ceQ96kak]
闇市場


あなたにとってお得な物、売ります―


入会費用、商品購入における金利などは一切頂きません―


ただし、注文いただきましたお客様の個人情報は当サイトの方でお預かりさせていただきます―


また、当サイトの事は内密にお願いします―


お約束が守れない場合は購入履歴から個人情報を特定し第三者に提供させていただきます―


購入はあくまで自己責任でお願いします―

⏰:11/07/09 02:53 📱:T004 🆔:C7bXKdJM


#282 [輪廻◆j6ceQ96kak]
注意


商品のキャンセル、商品に対するクレームなどは一切承りません。


購入された商品で万が一、何かトラブルが起こった場合も当サイトは一切の責任を負いません。



…と書かれていた。


響歌はその場で引き返そうとしたが好奇心が抑えられず、気がつくと商品リストのページを開いていた。

⏰:11/07/09 02:57 📱:T004 🆔:C7bXKdJM


#283 [輪廻◆j6ceQ96kak]
その中で今、学校中で話題になっているデスカメラの名前を発見する。


しかし


『品切れ中。入荷日未定』

との表示。


他の商品もほとんどが品切れ状態。


響歌『ふう…』

小さなため息をつき、電源ボタンを押して携帯電話を閉じた。

⏰:11/07/09 03:06 📱:T004 🆔:C7bXKdJM


#284 [輪廻◆j6ceQ96kak]
数日後の休日―


『ピンポーン』


家に鳴ったインターホンが全ての始まりとなる―

⏰:11/07/09 03:09 📱:T004 🆔:C7bXKdJM


#285 [輪廻◆j6ceQ96kak]
母『…響歌、アンタに何か届いてるよ』

響歌の母親が小さな箱を抱えて部屋に入ってきた。


響歌『…なにそれ』


母『知らないよ。アンタが頼んだんでしょ?』

母親はそう言うが、響歌には全く見に覚えがなかった。


首をかしげながらも手渡されたダンボールを開ける。


響歌『…え? これって…』

それは黒い奇抜なデザインのインスタントカメラだった。

⏰:11/07/09 03:18 📱:T004 🆔:C7bXKdJM


#286 [輪廻◆j6ceQ96kak]
箱の中の隅には、予備と思われるフィルムも1つ同梱されていた。


響歌『なんで…? 私、こんなの頼んでなんか…』

ふと箱の底に、二つ折りにされた紙が目に入った。


ゆっくり開くと…

⏰:11/07/09 03:25 📱:T004 🆔:C7bXKdJM


#287 [輪廻◆j6ceQ96kak]
村井響歌 様


今回は当サイトをご利用、商品をご注文いただきまして誠にありがとうございます。


ご注文いただいた内容は以下の通りです。

商品名:デスカメラ

注文日:8月22日(月)

商品No:42219


尚、商品のキャンセルは承っておりませんのでご了承ください。

詳しくは当サイトの注意事項をご覧ください。


闇市場.com

⏰:11/07/09 03:36 📱:T004 🆔:C7bXKdJM


#288 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『は…? 嘘…』

注文したはずがないのに注文した事になっている。


そして実際に商品が届いた。


響歌『なんで、なんで、なんで…!?』

頭の中でパニックを起こしかけていた。


電話で問い合わせしようにも、電話番号が書かれていない。


サイトへ繋ごうにも、ページをブックマークしていなかった為、再び探すのには時間がかかる。


そもそもまた見つかるという保証もない。

⏰:11/07/09 03:45 📱:T004 🆔:C7bXKdJM


#289 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『そ、そうだよ…捨てちゃえばいいんだよね…』


このカメラで写された者は死ぬ―


この言葉が頭から離れない。


好奇心と罪悪感が響歌の心を揺るがす。


響歌『し、死ぬなんて嘘に決まってるよね…』

自分に言い聞かせる。


結局捨てられないまま机の引き出しの中にカメラをしまい、翌日を迎えた。

⏰:11/07/09 03:50 📱:T004 🆔:C7bXKdJM


#290 [輪廻◆j6ceQ96kak]
学校では、相変わらずデスカメラに関する話題。


休み時間を知らせるチャイムが鳴ってからすぐに桐谷蓮が響歌の席に近づいてきた。


蓮『よっ。そういえばデスカメラ、昨日家に届いたぜ』


響歌『ほ、ホントに!?』

思わず身を乗り出す。


蓮『でさ、兄ちゃんの奴、自分を撮っちゃって…』

⏰:11/07/09 03:54 📱:T004 🆔:C7bXKdJM


#291 [輪廻◆j6ceQ96kak]
その時、蓮の言葉を聞いた七瀬とその友達数人がバタバタとこっちに向かってきた。


七瀬『キリ! 今の話、ホント!?』


蓮『…うわびっくりした! ああホントだけど』

七瀬は目の色をとことん輝かせている。


七瀬『やばいんじゃないの〜? キリのお兄さん』


蓮『大丈夫だと思うよ。カメラで写されたくらいで死ぬなら、とっくに事件になってサイトも閉鎖されてるって言ってたし』

⏰:11/07/10 15:58 📱:T004 🆔:AwgsUca.


#292 [輪廻◆j6ceQ96kak]
七瀬『あ、それなんだけど…サイトっていくつもあったらしいよ。ほとんどが摘発されて運営者も逮捕されたって』


蓮『でもそのカメラで人が死んだってニュース聞いた事ないだろ?』


七瀬『そ、それはそうだけどさ…』

反論できない七瀬を見て響歌は少しだけ、いい気味だなと思った。

⏰:11/07/10 16:12 📱:T004 🆔:AwgsUca.


#293 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『そんなもんだよ、都市伝説ってさ』

同時にあっけらかんとした蓮の表情を見て安心もした。


七瀬『とにかく! お兄さんに何かあったら教えてね』

そう言って友達を引き連れて教室を出ていった。

⏰:11/07/10 16:16 📱:T004 🆔:AwgsUca.


#294 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『あいつの目、やばかったな』


響歌『自分を見失わなきゃいいけど』


蓮『明日カメラ持ってこようかな。借りれたらだけどな』


響歌『やめときなよ。また七瀬がうるさいよ』


蓮『…だな!』

顔を見合わせて笑いながら言った。

⏰:11/07/10 16:21 📱:T004 🆔:AwgsUca.


#295 [輪廻◆j6ceQ96kak]
この流れで響歌の家に届いたカメラの事を言おうとしたが、タイミングが掴めずに結局言えなかった。



下校時間―


帰ろうとした矢先、元親友の七瀬が久しぶりに響歌に話しかけた。


七瀬『響歌、ちょっといい?』


響歌『……もう私とは話さないんじゃなかったの?』

⏰:11/07/10 16:26 📱:T004 🆔:AwgsUca.


#296 [輪廻◆j6ceQ96kak]
帰り道、しばらくの沈黙が続いた後、七瀬が口を開いた。


七瀬『…カメラ届いた?』


響歌『……は? どういう事?』


七瀬『ごめん! 悪いとは思ったんだけどさ…。あのデスカメラ一つだけあって、配送先に思わず響歌の名前と家の住所使っちゃったんだよね』


響歌『…………え?』

突然の告白に、理解するのにしばらく時間がかかった。

⏰:11/07/10 16:34 📱:T004 🆔:AwgsUca.


#297 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『な、なんで! 馬鹿じゃないの!?』

やっと理解した響歌は道の真ん中で七瀬に怒鳴る。


しかし七瀬の表情からは反省している様子は感じられない。


七瀬『別にいいじゃん。どっちに届いても同じ事だよ』


響歌『ちょっと! 何、開き直ってんの!?』


七瀬『うるさいなぁ…そんな大きい声出したら、なんか恥ずかしいじゃん』

響歌は七瀬の態度と言葉に、怒りが頂点に達した。

⏰:11/07/10 16:42 📱:T004 🆔:AwgsUca.


#298 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『あり得ない! アンタに縁切ってもらえてせいせいしたわ!』


七瀬『響歌、落ち着きなよ〜。ごめんね?』


響歌『もう話しかけないで! 最低!』

走り去ろうとする響歌の腕を七瀬の手が素早く掴んだ。


七瀬『ちょっと待ってよ。響歌の家にデスカメラ取りに行くからさ』

⏰:11/07/10 16:46 📱:T004 🆔:AwgsUca.


#299 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『勝手にすれば!』

気まずい雰囲気の中、響歌は七瀬の一歩前を歩いて家に向かった。


七瀬『お邪魔しま〜す』


響歌『取りに行ってくるからそこにいて』

七瀬を玄関で待たせ、響歌は部屋にカメラを取りに行った。


入っていたダンボールに全部戻し、箱の口にガムテープを貼って元通りにし、それを七瀬に渡した。

⏰:11/07/10 16:53 📱:T004 🆔:AwgsUca.


#300 [輪廻◆j6ceQ96kak]
七瀬『…ありがと。もう話しかけないから安心して。でも本当に悪いと思ってるから』


響歌『……早く帰ってよ』

再び部屋に戻るなり、制服も脱がずにベッドにうつ伏せになって寝転んだ。


響歌『悪いと思ってるなら最初からすんなよ。ばーか』

やがて眠気がやってきて、そのまま眠りについていた―

⏰:11/07/10 16:58 📱:T004 🆔:AwgsUca.


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