†horror†
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#301 [輪廻◆j6ceQ96kak]
それからは、学校などでデスカメラに関する死の話は一切出なかった。
響歌は拍子抜けしたと同時に安心したと思っていたが―
その翌日、朝学校に来てみると、そこに桐谷蓮の姿はなかった。
いつもは誰よりも早く来ている事が多い彼。
やがて朝の号令のチャイムが鳴る。
結局、蓮が登校してくる様子はなかった。
:11/07/12 23:17 :T004 :r0z5wdWM
#302 [輪廻◆j6ceQ96kak]
そこで心配した蓮の友達の一人が先生に尋ねた。
男子生徒が、桐谷はどうしたのかと聞くと
先生『桐谷はしばらく学校を休む事になった』
先生はそう重い表情で言い、それ以上は口にしなかった。
響歌は直感的に思った。
『蓮に何かあったんだ』
…と。
:11/07/12 23:25 :T004 :r0z5wdWM
#303 [輪廻◆j6ceQ96kak]
それからも蓮の事が気がかりで授業も集中できないでいた。
休み時間―
いてもたってもいられなくなった響歌は急ぎ足で職員室へと向かった。
胸騒ぎがしてならなかったのだ。
響歌『…真島先生はいますか?』
先生『おお、村井。どした? そんな急いで…』
先生はコーヒーカップにコーヒーを注いでいる所だった。
:11/07/12 23:30 :T004 :r0z5wdWM
#304 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『ちょっといいですか?』
先生を廊下に呼び出す。
先生『なんだなんだ? 何か相談事か?』
響歌『蓮…桐谷君に何かあったんですか?』
単刀直入に言うと、途端に先生の表情が曇った。
先生『どうしてそう思うんだ?』
響歌『朝、先生が険しい顔してたから…』
:11/07/12 23:39 :T004 :r0z5wdWM
#305 [輪廻◆j6ceQ96kak]
先生『参ったな…。いやな、言ったら騒ぎになると思って言わなかったんだ』
響歌『やっぱり何かあったんですね!?』
先生『帰りの号令の時に改めて言うよ。だからホラ、教室戻って戻って!』
背中を押されて、仕方なく教室に戻る響歌。
:11/07/12 23:43 :T004 :r0z5wdWM
#306 [輪廻◆j6ceQ96kak]
席に着くと、七瀬とその友達数人が響歌の机の前に集まってきた。
七瀬『ねえ響歌…。キリに何かあったのかなぁ…』
響歌『…さあね。ところで話かけないって言ったのそっちだよね?』
七瀬『ぷっ。ちょっと、そんな怖い顔しないでよ。心配だと思ってさ』
響歌『…心配?』
七瀬はここで思わぬ言葉を発した。
:11/07/12 23:48 :T004 :r0z5wdWM
#307 [輪廻◆j6ceQ96kak]
七瀬『あれ? 響歌ってキリの事が好きなんでしょ?』
響歌『……はっ?』
七瀬『だから心配するかと思ってたんだけど…そうでもなかったね。キリかわいそ〜』
七瀬が笑いながら言うと、他の友達数人も馬鹿にするように笑い出す。
響歌『ちょっと待ってよ、意味不明。誰があんなやつ…』
七瀬『だって二人、最近いつも一緒にいるじゃん』
:11/07/12 23:54 :T004 :r0z5wdWM
#308 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『あれは……』
七瀬『ねえ、響歌。写真撮ったげようか?』
そう言って自分のバッグから取り出したのは、響歌にも見覚えのあるデスカメラだった。
響歌『ちょっと、なに考えてんの?』
七瀬『あれ? 響歌ってデスカメラの事、バカバカしいとか言って信じなかったよね? だから問題ないじゃん?』
七瀬のこの言葉に、響歌は思い知らされる。
『口は災いのもと』
という言葉に…。
:11/07/13 00:00 :T004 :zQgRlO2E
#309 [輪廻◆j6ceQ96kak]
先生『ほらほら授業始まるぞー!』
助け舟が出されたのは、七瀬がカメラのレンズを響歌に向けた時だった。
響歌『……』
顔では余裕な表情を見せていた響歌だが、内心では動揺を通り越していた。
七瀬は慌ててカメラを素早くバッグにしまい、席に着いた。
この日を境に、響歌は七瀬に恐怖心を抱くようになる―
:11/07/13 00:11 :T004 :zQgRlO2E
#310 [輪廻◆j6ceQ96kak]
七瀬の言うことに少しでも反論すると、写真を撮られる―
そんな無言の圧力のような状態が続いた。
そして帰りの号令。
日直の生徒二人が席に戻ると、先生は重い口を開いた。
先生『桐谷の事なんだけどな。あいつのお兄さんが、昨日事故にあったんだ』
先生の言葉に、クラスは一瞬にしてざわめき始めた。
:11/07/13 00:24 :T004 :zQgRlO2E
#311 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『うそー!』
『マジで!?』
『蓮が事故ったのかと思った…』
様々な発言があちこちで飛び交う。
先生『静かに! 話はまだ終わってないぞ!』
そう言うと、今度は教室内が一瞬にして静寂に包まれた。
先生『桐谷の方も昨夜、突然原因不明の高熱で倒れたそうだ』
響歌『…蓮が…』
先生『お見舞いに行ってやってくれな。あと、お兄さんの容態については…命に別状はないとの事だ』
:11/07/13 00:31 :T004 :zQgRlO2E
#312 [輪廻◆j6ceQ96kak]
先生の言葉に響歌は安心したと同時に不安も感じ始めた。
『デスカメラに写された者は1週間以内に死ぬ』
蓮の兄の事故、そして蓮自身の原因不明の高熱。
『デスカメラの呪い』
こんな言葉が脳裏をよぎった。
:11/07/14 22:43 :T004 :W1BRf24k
#313 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌の不安をよそに、七瀬が一人手を挙げた。
先生『ん? …どうした井本?』
七瀬『桐谷君のお見舞いは誰か一人が代表して行けばいいと思います』
先生『…ああ。それもそうだが…ここは桐谷と仲良くしてるやつ皆で行った方が桐谷も喜ぶんじゃないか?』
七瀬の発言。
響歌は少し嫌な予感がした。
そしてそれはすぐに的中する―
:11/07/14 22:49 :T004 :W1BRf24k
#314 [輪廻◆j6ceQ96kak]
七瀬『あたしは代表に村井響歌さんを推薦します』
響歌『…ちょ、ちょっと!?』
止める間もなく、七瀬の友達も揃いに揃って
『賛成!』
と大喝采の渦。
先生『村井、行ってくれるか?』
響歌『な、なんで私が…』
七瀬がニヤリと響歌を見つめる。
:11/07/14 22:59 :T004 :W1BRf24k
#315 [輪廻◆j6ceQ96kak]
先生『じゃあ頼むな…村井』
響歌『ちょっ…!』
結局何も言えず、蓮のお見舞いの代表に選ばれた。
下校時間―
玄関で靴を履く響歌の前に七瀬と、その友達が現れた。
七瀬『じゃあ響歌、キリによろしく言っといてね』
響歌『さっきの…どういうつもりなの?』
七瀬を睨みつけながら問う。
:11/07/14 23:05 :T004 :W1BRf24k
#316 [輪廻◆j6ceQ96kak]
七瀬『だって響歌、キリと二人きりになりたいかな、と思って…』
響歌『勝手な事しないでよ! 誰がそんな事頼んだ? 大体、蓮の事なんか別に好きじゃないし!』
七瀬『そんなムキにならないでよ。あたしは響歌の恋を応援してるだけで…』
響歌『…は? 応援? 縁切られた人に応援なんてされる義理なんてないし!』
どこか、からかっているような七瀬の言葉に腹が立った響歌は、靴箱に上履きを乱暴に入れてその場から走り去った。
:11/07/14 23:13 :T004 :W1BRf24k
#317 [輪廻◆j6ceQ96kak]
自分の家に向かう途中、蓮の住むアパートの前を横切った。
響歌『……』
その場で足を止め、後ろを振り返る。
響歌『お見舞い…だもんね』
自分にそう言い聞かせ、アパートの階段を上って蓮の住む部屋へ向かった。
インターホンを押してしばらく待っていると、蓮の母親が姿を現した。
『…あら、村井さんの』
笑顔でそう言って部屋に響歌を招き入れた。
:11/07/14 23:20 :T004 :W1BRf24k
#318 [輪廻◆j6ceQ96kak]
中に入ると、奥の布団で蓮が寝ているのが見えた。
響歌『あの…桐谷君、大丈夫ですか?』
響歌の問いに
『熱がなかなか下がらなくて…』
…と重い表情で母親は答えた。
:11/07/14 23:24 :T004 :W1BRf24k
#319 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『あの、お兄さんの方は…?』
深追いをするつもりはなかったが、この時はなぜか口が勝手に動いた。
『剛史も、左足を骨折しちゃってね…』
響歌『そうなんですか…』
これ以上かける言葉が見つからなかった。
しばらくの重い沈黙が続いた後、蓮がゆっくりと布団から起き上がった。
:11/07/14 23:31 :T004 :W1BRf24k
#320 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『蓮、具合はどう?』
母親が心配そうに言う。
蓮『まあまあ…かな』
熱で弱っているせいか、いつもの学校での元気な態度とのギャップを感じた響歌。
蓮『村井…やっぱり村井の声だったか…』
響歌『大丈夫…?』
蓮『まあな…。バカは風邪ひかないって言うけど、あれは嘘なんだな』
響歌『…ばーか』
冗談混じりに笑い合いながら言った。
:11/07/14 23:37 :T004 :W1BRf24k
#321 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『村井さん、来てくれてありがとうね』
母親が優しい目で響歌を見ながら言う。
響歌『あ、いえ…どういたしまして…』
『蓮、よくあなたの話をするのよ』
蓮『おい! 勝手な事ベラベラ喋んなよ!』
顔を赤らめながら言う蓮に、響歌は一瞬だけキュンとした。
:11/07/14 23:43 :T004 :W1BRf24k
#322 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『あと少しの間だけど…蓮と仲良くしてあげてね』
母親は、思わず聞き返したくなるような意味ありげな言葉を発した。
響歌『あの…あと少しって…?』
『剛史の脚がだいぶよくなったら、私達引っ越すのよ』
響歌『え…引っ越し…』
響歌にとってはショック以外の何物でもなかった。
:11/07/14 23:51 :T004 :W1BRf24k
#323 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『それまだ隠しとくつもりだったんだけどな…』
響歌『どこに引っ越すんですか?』
『私の知り合いが旅館をやっててね。結構な田舎なんだけど』
響歌『そんな…』
響歌の目から一粒の涙がこぼれ落ちた。
:11/07/14 23:56 :T004 :W1BRf24k
#324 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『でも引っ越すってもさ…今の中学を卒業してからだし、当分の間はいれるぜ』
響歌『…それは…そうなんだろうけど…』
蓮『お、おい村井! 泣くなって…!』
涙が止まらなかった。
必死に腕をこすりつけても溢れ出てくる涙。
それからは目の回りが赤くなるまで泣き続けた。
蓮とその母親はそんな響歌をただ、黙って見ていた―
:11/07/15 00:01 :T004 :YEuL6JbI
#325 [輪廻◆j6ceQ96kak]
それから1週間後―
蓮は元気になって学校に登校してきた。
蓮『よお村井、久しぶり!』
響歌『おはよ…』
蓮『俺の兄ちゃんも脚よくなってきたよ。…やっぱりあのデスカメラってやつ、結局は都市伝説だったんだよな』
響歌『…だね』
時間を忘れて色々な話をしていると、副担任が教室にやって来た。
:11/07/15 00:54 :T004 :YEuL6JbI
#326 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『皆さん、ちょっと座ってください。大事なお話があります!』
小柄な女の副担任がそう言って皆を席に座らせる。
そして皆の視線は副担任に一点に集中した。
『…担任の真島先生が、昨夜亡くなりました…』
その衝撃的な言葉に、クラス内は一斉にざわめいた。
:11/07/15 12:41 :T004 :YEuL6JbI
#327 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『お静かに!』
しかし一向におさまる気配はない。
『どういう事ですか!?』
『詳しく聞かせてください!』
一人一人が副担任に問い詰める。
『いいから静かになさい!』
副担任の今までにない大声で、騒ぎはピタリと止んだ。
:11/07/15 12:47 :T004 :YEuL6JbI
#328 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『真島先生は昨夜…車の運転中に事故に遭いました。打ち所が悪かったようで病院に運ばれましたが、数時間後に息を引き取りました』
再びざわめき始める。
響歌『先生……』
響歌は立て続けに起きる不慮の事故に、ただの偶然とは思えなくなった。
『この後、体育館で全校集会を行います。皆さん準備をしてください』
そう言って副担任は教室を出て行った。
:11/07/15 12:54 :T004 :YEuL6JbI
#329 [輪廻◆j6ceQ96kak]
午前9時―
1年生から3年生まで全校生徒が体育館に集合し、集会が始まった。
ステージの上に重苦しい表情をした校長先生が上ってくる。
校長『えー、皆さんもお聞きの事と思いますが…2年A組の担任をしています真島啄也先生が昨夜、事故により落命しました』
所々でガヤガヤとざわめきが起こる。
校長『昨夜車を運転中に、別の軽自動車と衝突し致命傷を受け病院に運ばれましたが、しばらくして病院で息を引き取りました』
:11/07/15 13:12 :T004 :YEuL6JbI
#330 [輪廻◆j6ceQ96kak]
それだけ言うと、校長先生はステージを降りた。
続いて校長とすれ違いに上がってきたのは教頭先生。
教頭『…教育委員会にはすでに事情をお話ししました。皆さんも、できるだけこの事実を口外しないようお願いします。少し早いですが、これで全校集会を終わります』
教頭の合図で、それぞれの学年のクラスの担任が動く。
:11/07/15 13:23 :T004 :YEuL6JbI
#331 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『1年生から順番に教室に戻ります』
担任の誘導で、ぞろぞろと退場する。
『2年A組、戻ります』
響歌のクラスが、副担任の誘導で教室へと戻った。
教室へ向かう途中、泣いている女子生徒が多かった。
:11/07/15 13:29 :T004 :YEuL6JbI
#332 [輪廻◆j6ceQ96kak]
皆が席につき、副担任が重い口を開く。
『皆、悲しいよね…』
生徒のほとんどが無言でコクリと頷いた。
『実を言うと私も悲しいです。真島先生には研修の時、かなりお世話になりました』
それからしばらくの間、沈黙が続いた―
:11/07/15 13:35 :T004 :YEuL6JbI
#333 [輪廻◆j6ceQ96kak]
この後の授業も、皆おとなしく受けていた。
時間はあっという間に過ぎ、下校時間を迎える―
いつもなら皆が騒いでいる時間帯だが、今日はシーンとしていた。
教室を出て帰ろうとする響歌の元に七瀬がやってきた。
七瀬『響歌、一緒に帰ろ?』
響歌『……』
無視して歩き続ける響歌に、後ろから七瀬が衝撃的な言葉を投げかける。
:11/07/15 22:25 :T004 :YEuL6JbI
#334 [輪廻◆j6ceQ96kak]
七瀬『あたし、あのカメラで真島先生を写したの』
響歌『……えっ?』
思わず七瀬の方を振り返る。
七瀬『でも響歌は信じてないんだよね? あんなカメラの事…』
響歌『……』
何と言えばいいのか、言葉が思いつかなかった。
:11/07/15 22:30 :T004 :YEuL6JbI
#335 [輪廻◆j6ceQ96kak]
七瀬『でも仕方ないじゃん! 真島先生と副担が二人で会ってるのを見たから、あたし…』
響歌『だから…それを撮ったの?』
七瀬『写したらカメラのシャッターの音に二人が気づいて…現像された写真、真島先生に取り上げられた』
響歌『…馬鹿じゃないの…七瀬』
帰り道、二人は下を向きながら歩いた。
:11/07/15 22:38 :T004 :YEuL6JbI
#336 [輪廻◆j6ceQ96kak]
七瀬『響歌…怒ってる?』
響歌の顔色を伺うように言う。
響歌『…当たり前じゃん。今更謝られても許す気ないよ』
七瀬『キリの事は嫌がらせした訳じゃないよ。キリが休みって聞かされた時、あたしも心配になっちゃって…お昼にキリの家に電話してみたの。そしたら熱があるって』
響歌『…だから気をきかしたって訳?』
七瀬『響歌…本当にごめん! あたし、あのカメラの事を響歌に否定されて、ちょっとだけムカッときたの…だからつい』
:11/07/15 22:49 :T004 :YEuL6JbI
#337 [輪廻◆j6ceQ96kak]
七瀬はそのまま黙り込んでしまった。
響歌も正直戸惑っていた。
響歌『真島先生が死んだのはあのカメラのせい…私も今ならそう思える気がする』
七瀬『……え?』
響歌『蓮のお兄さんがあのカメラを買って自分を写して事故…それに蓮までもが原因不明の熱。蓮が風邪引いて熱出たなんて事、私が知る限り一度もない』
:11/07/15 22:57 :T004 :YEuL6JbI
#338 [輪廻◆j6ceQ96kak]
七瀬『…そう…だね』
響歌『私はあのカメラの事、色々と調べてみる。七瀬は…とにかくあのカメラをもう持ち歩かない事…いい?』
七瀬『…うん、わかったよ。あたしもさすがに怖い。自分のした事に…』
響歌『もう一度言っておくけど…私、まだ七瀬の事許した訳じゃないから』
七瀬『うん…わかってる』
そして二人は別れた。
:11/07/15 23:04 :T004 :YEuL6JbI
#339 [輪廻◆j6ceQ96kak]
家に着いた響歌は、制服を着たままで鞄をベッドに投げ机に向かった。
携帯電話を取り出し、ネット検索を行う。
『デスカメラ 真相』
検索。
検索結果の一番上から順にクリックしていく。
その中で
『デスカメラを使ってみた』
という掲示板のスレッドが表示された。
:11/07/15 23:12 :T004 :YEuL6JbI
#340 [輪廻◆j6ceQ96kak]
――――――――――
1:名無しさん
今話題のデスカメラを闇市で買った。
届いてからとりあえずこっそり妹を撮ってみた。
それから3日後くらいかな
妹が自転車との衝突事故にあった。
結果死ななかったんだが、1週間以内になんらかの事故が起こるっていうのがわかった気がする。
――――――――――
という内容だった。
:11/07/15 23:18 :T004 :YEuL6JbI
#341 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『やっぱりあのカメラの…』
偶然にしては出来過ぎている話に、ついにカメラを疑う他なくなった。
そのスレッドにきたコメントをゆっくりとスクロールして見る。
――――――――――
2:名無しさん
そんなん信じてんの?w
アホくさくて見てられんわ
――――――――――
3:名無しさん
噂では、その写真に写ってる人だけじゃなく、その人の身の回りの人にも不幸がくるらしいとの事。
妹さんの事を他人事みたいに言ってるけど、主さんも気をつけなね。
――――――――――
:11/07/16 00:39 :T004 :d7rYdsw.
#342 [輪廻◆j6ceQ96kak]
それ以降の書き込みを見たが、スレッドを立てた本人の書き込みはなかった。
掲示板の最後に
――――――――――
500:名無しさん
500なら主は既に死亡
――――――――――
と書き込みされて終了されている。
:11/07/20 23:29 :T004 :NYqv5DJI
#343 [輪廻◆j6ceQ96kak]
結局、真相がわからないまま響歌は携帯電話を閉じた。
翌日―
教室に入るなり、先に来ていた七瀬が友達の元から響歌の方へと走ってきた。
七瀬『響歌…あのカメラについて何かわかった?』
響歌『…わからない。七瀬はあれからカメラ触ったりしてないよね?』
七瀬『うん、大丈夫。箱に入れて机の引き出しの中にしまったよ』
それを聞いてとりあえず安心して席に座った。
:11/07/20 23:36 :T004 :NYqv5DJI
#344 [輪廻◆j6ceQ96kak]
しばらくして登校してきた蓮も鞄を置いて響歌と七瀬の元にやってきた。
蓮『よっ! お、久しぶりに見る光景。お前ら仲直りしたんだな』
響歌『…ばーか』
七瀬『…ははは』
一瞬、なんとも言えない空気が漂う。
蓮『…そうだ。昨日、兄ちゃんの部屋に兄ちゃんの撮った写真あったから持ってきたよ』
さりげなく言った蓮の言葉に、二人の目の色が一瞬にして変わった。
:11/07/20 23:46 :T004 :NYqv5DJI
#345 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『ほんと!? 見せて!』
七瀬『キリ! 早く!』
蓮『な、なんだよお前らその変わり様は…』
言われるがまま、蓮は自分の鞄から二枚の写真を取り出した。
響歌は差し出された写真を素早く取り上げて七瀬と恐る恐る見る。
一枚目には蓮の兄が写っている。
そして二枚目を見た二人は、一瞬にして言葉を失った。
:11/07/20 23:52 :T004 :NYqv5DJI
#346 [輪廻◆j6ceQ96kak]
七瀬『これ…キリだよね?』
暗い部屋で寝ている蓮が撮られている。
蓮『俺もそれ見つけた時はびっくりしてさ…』
響歌『これって、いつ撮られたの?』
蓮『俺が風邪にやられる前じゃない? だから多分、兄ちゃんがカメラ買った夜だと思う』
七瀬『これでバカなキリが風邪ひいたのも納得できる…のかな?』
蓮『おい、一言多いぞ井本!』
:11/07/21 00:00 :T004 :XtjzSh4A
#347 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『とにかくこの写真、焼いて捨てようよ』
蓮『…いいのか? こういう場合はまずお祓いしに行くもんじゃないの?』
響歌『お金かかるでしょ。引っ越しだってするんだし…』
七瀬『え? え? どういう事?』
二人の間に七瀬が割って入ってきた。
:11/07/21 00:05 :T004 :XtjzSh4A
#348 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『まあまあ、いいから! じゃあその写真の始末は村井に任せるわ。はいじゃあこの話は終わり! またな!』
そそくさと自分の席に戻っていく蓮を見送った七瀬は、視線を響歌に向けた。
七瀬『響歌…キリ、引っ越すの?』
響歌『…うん。卒業まではいるみたいだけどね』
七瀬『そうなんだ…』
七瀬の切ない表情から、何かを悟った響歌。
:11/07/21 00:11 :T004 :XtjzSh4A
#349 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『七瀬ってさ…』
七瀬『ん? なに?』
響歌『…なんでもない。そろそろチャイム鳴るから席戻りなよ』
そう言って、写真を鞄の中にそっとしまった。
:11/07/21 00:19 :T004 :XtjzSh4A
#350 [輪廻◆j6ceQ96kak]
下校時間―
蓮『村井! 写真の事、頼んだからな』
響歌『うん、わかってる』
七瀬も写真の始末に同行したいと言ってきたが、断った。
一旦家に帰り、マッチを持ち出して近くの河原へ向かう。
夕暮れ時の河原。
周りには小学生数人が野球をしている。
:11/07/21 00:24 :T004 :XtjzSh4A
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