†horror†
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#451 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮に聞きたい事が沢山あるが、思うように聞けないでいた。


中学の頃はお互い気さくに話しかけ合ったりしていたのに、今は昔の彼の面影はなかった。


麗奈『響歌ちゃん、今日うちに泊まってかない?』

ミラー越しに響歌の顔を見て問う。


響歌『い、いえ…大丈夫です』

やんわりと断ると、彼女は残念そうな顔を見せて視線を前に戻した。

⏰:11/07/31 19:15 📱:T004 🆔:U7g8LGbo


#452 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌のアパート近くに車は到着し、降りてお礼を言うと車は帰っていった。


部屋に帰ろうとしてふとアパートの方を見ると、数人の警官とパトカーが目に入る。


近くにいた警官を捕まえて響歌は尋ねた。


響歌『あの…何かあったんですか?』

響歌は警官に衝撃的な事実を聞かされる。



『このアパートの管理人が強盗殺人にあったんです。君はここの住人?』

⏰:11/07/31 19:28 📱:T004 🆔:U7g8LGbo


#453 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌は身体が凍りついたまま首を縦にゆっくりと振った。


『とにかく…君はすぐに部屋に戻って戸締まりをするようお願いします。犯人はまだ見つかっておりませんので。十分警戒してください』

固まっていた足を一歩一歩と動かしながら部屋に戻った。


テレビをつけると、丁度その事件が報道されていた。


管理人が殺されたという時間は今日の午後1時頃。


先ほど響歌がアパートに帰ってくる30分前の事だった。

⏰:11/07/31 19:37 📱:T004 🆔:U7g8LGbo


#454 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌の周りで次々と不幸が訪れる人々―


ただの偶然なのだろうか。



響歌はすぐに麗奈に連絡をした。

彼女は驚いた様子で『やっぱりうち泊まっていきなよ』と言うと、響歌は一言…


『お願いします』

と呟くように言った。

⏰:11/07/31 19:44 📱:T004 🆔:U7g8LGbo


#455 [輪廻◆j6ceQ96kak]
数分後、車のエンジンの音に気づいて外を出る。


麗奈の車である事を確認し、大きな鞄を持って早々と乗り込んだ。


麗奈『大丈夫?』


響歌『はい…お願いします』

車は麗奈と蓮の家へ向けて発車した。

⏰:11/07/31 19:49 📱:T004 🆔:U7g8LGbo


#456 [輪廻◆j6ceQ96kak]
車内では響歌と麗奈の会話に蓮が入ってくる事は一度もなく、彼はただ黙って窓の外を見ているだけだった。



1時間後―


彼女らの家に車が停車すると、エンジン音に気づいたのか玄関から蓮の父親が姿を現した。


『蓮、降りろ』

蓮は大きな舌打ちしてからドアを開ける。

⏰:11/08/01 10:07 📱:T004 🆔:bJ4AUl8A


#457 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『なんだよ?』

二人の間になんとも言えない空気が漂う中、父親は思わぬ事を言い始める。


『今さっき警察から電話があった。お前が面会に行った男についてだ…』


蓮『…!!』

蓮の表情が一瞬変わったのを響歌は見逃さなかった。


『剛史を殺した男なんだってな。どうしてそれを今まで黙っていた?』

父親は怒鳴る寸前だ。

⏰:11/08/01 10:18 📱:T004 🆔:bJ4AUl8A


#458 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『どうだっていいだろ。テメェは俺らの…』

ここまで言うと、父親は蓮の頬を拳で殴りつけた。


勢いでその場に倒れそうになった瞬間でとっさに胸ぐらを掴む。


麗奈が二人を止めにかかるのを見て響歌も駆け寄る。


麗奈『やめてください! 蓮ちゃんもほら…』

蓮は再び舌打ちをし、家に戻っていった。

⏰:11/08/01 10:26 📱:T004 🆔:bJ4AUl8A


#459 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『あ、あの…私やっぱり帰った方が…』


麗奈『気にしないで。いつもの事なんだ…』


響歌『あの、蓮に何があったのか聞かせてくれませんか?』

麗奈はコクリと頷いて、家に響歌を招き入れた。


2階の麗奈の部屋に案内されると、お茶とお菓子を出されすぐに話を始めた。

⏰:11/08/01 10:32 📱:T004 🆔:bJ4AUl8A


#460 [輪廻◆j6ceQ96kak]
麗奈『蓮ちゃんと初めて会ったのは、剛史と付き合い始めてからだから…もう何年も前かな。その時はこの家じゃなくて田舎の家だったのね』


響歌『田舎の…家…』


麗奈『中学一緒だったなら…蓮ちゃんが中学卒業してから引っ越したのは覚えてる?』


響歌『はい、覚えてます』


麗奈『そしてお兄さんの剛史がウチの学校に転校してきて、付き合ってから挨拶で行った剛史の家で蓮ちゃんと会ったんだよ』

⏰:11/08/01 10:44 📱:T004 🆔:bJ4AUl8A


#461 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『そうなんですか…。ちなみにその時はお父さんはいたんでしょうか…?』


麗奈『本当のお父さん? うんいたよ。でもある日、仕事の帰りに事故にあって死んだの。思えばその時からかも…蓮ちゃんが変わっていったのって』


響歌『今のお父さんは…蓮の本当のお父さんじゃないんですよね?』


麗奈『今のお父さんとはお母さんが勤めてた仕事場で出会ったんだよ。どっかの旅館だって聞いたけど…』


旅館―

このキーワードにピンときた響歌。

⏰:11/08/01 10:53 📱:T004 🆔:bJ4AUl8A


#462 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『池崎旅館…』


麗奈『…え?』

響歌のつぶやきに反応する麗奈。


響歌『池崎旅館…。あの日、私達がいった場所…』


麗奈『響歌ちゃん?』


響歌『あ、あの! ちなみにお母さんはどうなったんですか?』

身を乗り出して目の色を変えた響歌が尋ねる。

⏰:11/08/01 10:57 📱:T004 🆔:bJ4AUl8A


#463 [輪廻◆j6ceQ96kak]
麗奈『剛史と蓮ちゃんのお母さんは…実は今のお父さんと再婚してから…自殺したって…』

麗奈の一言で部屋の中に薄暗い雰囲気が漂い始める。


響歌『麗奈さん…一ついいですか?』


麗奈『ん? どうしたの?』

響歌は眉をしかめて麗奈を見つめる。

⏰:11/08/01 11:01 📱:T004 🆔:bJ4AUl8A


#464 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『麗奈さん達…あの日、もしかしてその旅館に行こうとしてたんじゃないですか?』


麗奈『えっ…』


響歌『あの時、どこに向かうつもりだったんですか?』

麗奈は黙り込んだままで、響歌は話を続ける。


響歌『麗奈さん達は今の蓮のお父さんから旅館の名前を聞いてあの旅館に向かっていたんじゃないですか?』

⏰:11/08/02 14:37 📱:T004 🆔:b3cETUus


#465 [輪廻◆j6ceQ96kak]
麗奈『…すごいね、響歌ちゃん』

そう言って小さなため息をついた。


麗奈『蓮ちゃんの為にも旅館に行って調べてみようって事になったの』


響歌『そこで私と会った訳ですか…』


麗奈『車の中で響歌ちゃんが旅館って言ったから、その時に剛史と顔を見合わせて確信したの。私達が探してる旅館はそこだろうって』

そこまで言うと目に涙が溢れ、やがてこぼれ落ちていった―

⏰:11/08/02 14:45 📱:T004 🆔:b3cETUus


#466 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『麗奈さん…』


麗奈『ごめ…』

かける言葉も見つからなかった。


そのまま夜を迎える―


麗奈『ちょっと見てもらいたいものがあるの』

落ち着きを取り戻した麗奈は棚の引き出しから黒い携帯電話を取り出してきた。

⏰:11/08/02 14:51 📱:T004 🆔:b3cETUus


#467 [輪廻◆j6ceQ96kak]
麗奈『これ剛史の携帯。あの日の一週間前くらいに変な電話とかメールが来たの』


響歌『えっ?』

響歌は目の色を変えた。

自分にも覚えのある出来事だったからだ。


麗奈『前にも言ったけど…多分、出会い系殺人ネットって所からだと思う…』


響歌『ちょっと見せてください』

彼にきた受信メールを読む。

⏰:11/08/02 14:57 📱:T004 🆔:b3cETUus


#468 [輪廻◆j6ceQ96kak]
――――――――――
Frm:DEATH net
Sb:おめでとうございます

tsuyoshi kiritani 様

おめでとうございます。

あなたはこの度、138人目のターゲットに選ばれました。

近々、あなたの元へ会員の皆様がお伺いします。

栄光を称え、ポイントを進呈致します。

進呈ポイント:500P
――――――――――


響歌『これって…』


麗奈『何か知ってるの?』

響歌はすべてを麗奈に話した。

⏰:11/08/02 15:01 📱:T004 🆔:b3cETUus


#469 [輪廻◆j6ceQ96kak]
麗奈『そんな…響歌ちゃんにもこのメールが…』


響歌『その会員が私の所にきた時、隣に住んでる武田さんに通報してもらってなかったら…私どうなっていたんだろうって考えると怖くなります…』


麗奈『そう…だね。…ところでお腹減ったよね? 何か作ってくるから待ってて』

時計を見ると午後19時を過ぎていた。

⏰:11/08/02 15:06 📱:T004 🆔:b3cETUus


#470 [輪廻◆j6ceQ96kak]
その日の夜食はスパゲティをいただき、麗奈の部屋で寝る事になった。



深夜の2時を回った頃―


響歌はふと目を覚ました。


隣にはスースーと静かに寝息をたてた麗奈の姿。


枕元に置いてあった携帯電話を開くと、一件のメールがきていた。

⏰:11/08/02 15:16 📱:T004 🆔:b3cETUus


#471 [輪廻◆j6ceQ96kak]
――――――――――
Frm:DEATH net
Sb:ペナルティー

kyouka murai 様

DEATH net事務局です。

あなたはこの度、会員に罪を問わせ、自らターゲットを辞退されたという事でペナルティーを与えさせて頂きます。


近々、あなたの元へ事務局の局員らがお伺いします。


現在のポイント 1000P

マイナスポイント -1000

累計ポイント 0P
――――――――――

⏰:11/08/02 15:28 📱:T004 🆔:b3cETUus


#472 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『いやっ!』

その文章を見た響歌はたまらず携帯電話を壁に投げつけた。


その音に麗奈の体が反応して起き上がる。


麗奈『響歌ちゃん…?』


響歌『あ…ご、ごめんなさい…』

すぐに投げた携帯電話を拾いにいった。

⏰:11/08/02 15:31 📱:T004 🆔:b3cETUus


#473 [輪廻◆j6ceQ96kak]
麗奈『何かあったの?』


響歌『い、いえ…なんでもないんです。ちょっと怖い話を見てて』

余計な心配をかけまいと、そうごまかした。


麗奈『そう…ならいいけど。でもほどほどにね』


響歌『…はい』

すぐにメールを削除し、寝て忘れる事にした。

⏰:11/08/02 15:40 📱:T004 🆔:b3cETUus


#474 [輪廻◆j6ceQ96kak]
気がつくと朝を迎えていた。


朝の日差しが照りつける。


麗奈『おはよう。あれからよく寝れた?』


響歌『はい、なんとか…』


麗奈『今、朝ご飯作るね。下でみんなで食べようか』

麗奈に蓮を起こすよう言われ、朝食を作っている間、響歌は麗奈の部屋の隣にある蓮の部屋のドアをノックしていた。

⏰:11/08/02 15:46 📱:T004 🆔:b3cETUus


#475 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『誰?』

返事は意外にも早く返ってきた。

響歌は緊張した面もちでドアの向こうに話しかける。


響歌『あ、蓮? 今から朝ご飯だから麗奈さんが下りてこいって』


蓮『…ああ、すぐ行く』

いつもの声にちょっとだけ安心し、階段を下りてリビングへ向かった。

⏰:11/08/02 15:53 📱:T004 🆔:b3cETUus


#476 [輪廻◆j6ceQ96kak]
キッチン側のテーブルではスーツを着た蓮の父親がコーヒーカップを片手に新聞を読んでいた。


これだけ見れば、なんの変哲もない平和な日常だと思いながら父親に軽く頭を下げ、テレビのある居間のソファーに座る。


やがて二階から蓮が下りてきた。


あれから父親とは話をしていないのだろうか、父親のいるテーブルを避けて響歌のいるソファーに座った。

⏰:11/08/02 16:02 📱:T004 🆔:b3cETUus


#477 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『おはよう村井』


響歌『あ、うん…おはよ』


蓮『昨日何かあったの?』


響歌『え…何かって?』


蓮『何かぶつけてたろ。俺の部屋の壁に響いてたから』


響歌『ごめん…ちょっとね』

そこにいるのは、あの中学時代明るくおちゃらけていた桐谷蓮のはずなのに、なぜか別人のような感じがした。

⏰:11/08/02 16:07 📱:T004 🆔:b3cETUus


#478 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『まあいいや…』


麗奈『蓮ちゃん、響歌ちゃん。ご飯できたよ』


蓮『こっち持ってきて』


響歌『ちょっと蓮…』

麗奈はすぐに二人分の朝食を運んできた。


響『あ、ありがとうございます』

目玉焼きや味噌汁など、いかにも一般的な朝食。


実家の事を少し懐かしく思いながら、朝食に手をつけた。

⏰:11/08/02 16:31 📱:T004 🆔:b3cETUus


#479 [輪廻◆j6ceQ96kak]
麗奈『ウチ、今日午前中からバイトなんだけど響歌ちゃん達はどうする?』


響歌『あ、私は帰ります』


麗奈『今日もとりあえずゆっくりしていったら? まだ強盗犯がうろついてるかもしれないし…』


響歌『いいんでしょうか…』


『いいじゃないか。もう少しいなさいよ』

恐縮する響歌に、奥のテーブルに座っている蓮の父親が笑いながら言った。

⏰:11/08/05 12:08 📱:T004 🆔:tlZw1/iQ


#480 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『じゃ、じゃあ…お言葉に甘えて…』


『女の子が多いと蓮の奴も嬉しいだろう』

まるで蓮を挑発するかのような発言に、一瞬ヒヤっとした響歌だったが、蓮は黙ってご飯を口にしていた。


もはや反発する気もなかったのだろうか。


『じゃあ行ってくる。村井さんだったかな? こんな所でもよかったらいつでも遊びにきていいぞ』

にこやかにそう言って家を後にしていった。

⏰:11/08/05 12:09 📱:T004 🆔:tlZw1/iQ


#481 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『村井さ…』


響歌『ん? なに?』


蓮『兄ちゃんが死んだ時って村井もそこにいたんだよな?』


響歌『…うん。あの光景、今でも忘れられない…』


蓮『麗奈から聞いたけど、村井の親友も殺されたんだよな?』

響歌はコクリと頷いた。

⏰:11/08/05 12:10 📱:T004 🆔:tlZw1/iQ


#482 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『その親友ってもしかして井本のこと?』


響歌『…ナナ…?』

数年ぶりにその名前を聞く事になった。


蓮『ふと気になっただけ。今でも連絡とか取ってんの?』


響歌『ナナ…か。高校も別だったし、メールとかはちょくちょくしてたけど、いきなり連絡取れなくなっちゃったんだよね』


蓮『そっか。元気にしてんのかね』

この感覚に当時の懐かしさを覚えた。

これこそが響歌の知っているいつもの蓮だと。

⏰:11/08/05 12:11 📱:T004 🆔:tlZw1/iQ


#483 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『私、ナナに未だにちょっとだけ許せない事があるんだよね』


蓮『…ん?』


響歌『デスカメラだよ。もしかしたら私の実家の個人情報が売られたりしてるかもしれないんだよね』


蓮『それと井本と何の関係があんの?』

響歌は、中学時代に話す事ができなかった事をすべて話した。

⏰:11/08/05 12:11 📱:T004 🆔:tlZw1/iQ


#484 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮はかなり驚いた様子だった。


蓮『人の住所勝手に使うとか、確かに許せないな』


響歌『まあ、別に何か起こったりはしてないからいいんだけど…』


蓮『闇市場だっけ…まだそのサイトあんのかな』


響歌『ううん…わからないけど、あるんじゃない?』

その時、麗奈が二人の間に割り込んだ。

⏰:11/08/05 12:13 📱:T004 🆔:tlZw1/iQ


#485 [輪廻◆j6ceQ96kak]
麗奈『響歌ちゃん。今の話ってホントなの?』


響歌『はい、まあ…』

なぜか嫌な予感がした。


麗奈『その子、最低じゃない? 警察には言ったの?』


響歌『言ってませんけど…』


麗奈『そういうのは被害届を出すべきなんだよ。親友といってもやってる事は犯罪じゃない?』

彼女は正論だが、当時の響歌には個人情報売買が行われているとは知らなかった為、何もできなかったのだ。

⏰:11/08/05 12:14 📱:T004 🆔:tlZw1/iQ


#486 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『麗奈、身乗り出しすぎ。ガキじゃないんだから』


麗奈『いや、ウチ汚い事するやつ大嫌いだからさ…。なんかごめんね響歌ちゃん』

そう言って苦笑いしながら階段を上がっていった。


蓮『なあ村井。井本に電話してみね?』


響歌『…ナナに?』

彼の予想外の提案に一瞬戸惑う。


蓮『あいつがデスカメラで中学ん時の先生を撮ったって言ってたよな? で、結局その先生も事故って死んだじゃん』

⏰:11/08/05 12:28 📱:T004 🆔:tlZw1/iQ


#487 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『真島先生…』


蓮『引っ越す前の日にあいつから家と携帯の番号教えてもらってたから、かけてみる?』


響歌『…出るかな』

蓮はすぐに棚から紙と、テーブルに置かれた電話の子機を手に取る。


090…

蓮は紙に書かれた番号を見ながらボタンを押している中、響歌は心臓が高鳴っていた。

⏰:11/08/05 12:43 📱:T004 🆔:tlZw1/iQ


#488 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『……あれ?』


響歌『ど、どうしたの? 繋がったの?』


蓮『この番号は現在使われてないってさ…』


響歌『携帯変えたのかもね…。ねえ、もうやめない?』

止めようとするも、蓮はすでに家の電話番号を押し始めていた。


蓮『………あ、もしもし?』

響歌の期待を裏切るかのように七瀬の家へ繋がった。

⏰:11/08/05 12:50 📱:T004 🆔:tlZw1/iQ


#489 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『えーと……井本さんのお宅さんですか?』

繋がった途端、突然緊張しだす蓮。


慣れていないのか、敬語が不自然だった。


蓮『七瀬さんはいらっしゃいますか? 俺、中学の時同級生だった桐谷といいます』

それから通話は数分続いた。


電話の向こうから聞こえる声は、低い男性のもので響歌にも聞き覚えのある声。

⏰:11/08/05 13:05 📱:T004 🆔:tlZw1/iQ


#490 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮は電話に向かって頭を下げながらハイハイ言って頷いている。


そして最後に『失礼しました』と言って通話を切った。


通話を終えた蓮から思わぬ言葉が飛び出す。


蓮『井本、高校中退してから家出ていったんだってさ』


響歌『え? な、なんでなの?』


蓮『わかんね…それ以上は教えてくれなかった。それから一度も連絡来てないってさ』

かつての親友に対して不安を抱いた。

⏰:11/08/05 13:14 📱:T004 🆔:tlZw1/iQ


#491 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『村井、どうかした?』


響歌『ナナ、もしかしたら…』


蓮『…?』


響歌『ナナは…もう死んでるかもしれない…』


蓮『…へっ?』

響歌の予想外の発言に蓮は拍子抜けしたような表情を見せる。

⏰:11/08/07 00:12 📱:T004 🆔:lEByWk0Q


#492 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『あのカメラ…写された人だけじゃなくて写した本人にもなんらかの不幸がくる…そんな感じがするんだよね』


蓮『それ本気で言ってんの?』


響歌『だって蓮のお兄さんだってあの時…』


蓮『それは…なんていうか…』

言葉に詰まる蓮。


響歌『それにお兄さんの携帯にきたメールも…』


蓮『あんなのふざけたイタズラに決まってるだろ。俺は信じないね』

そう自信満々に言い放った。

⏰:11/08/07 00:19 📱:T004 🆔:lEByWk0Q


#493 [輪廻◆j6ceQ96kak]
一方、響歌は納得できない表情をしていた。


響歌『…蓮には言っておいた方がいいかな』

そう言ってポケットから携帯電話を取り出すと、メール画面を蓮につきつけた。


蓮『な、なんだよこれ…』


響歌『私にもきたの。昨日の夜…』


蓮『い、イタズラじゃねーの?』

まだ言うかと思わんばかりの往生際の悪さに我慢できなくなった響歌は昨日身に起きた体験も話した。

⏰:11/08/07 00:26 📱:T004 🆔:lEByWk0Q


#494 [輪廻◆j6ceQ96kak]
その話を聞き終えた蓮は黙ってしまった。


響歌『デスカメラとデスネット…蓮のお兄さんに起きた事はこの二つがものすごく関係してると思う』


蓮『で、でも…デスネットなんてサイト、兄ちゃんが入会してるなんて聞いた事ないよ』


響歌『私だってそんなのに入った覚えはないよ。でもこうしてメールは来てるんだよ!』

少し強気に言うと、蓮はなぜか小さく微笑んだ。

⏰:11/08/07 00:32 📱:T004 🆔:lEByWk0Q


#495 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『やっぱお前変わってないや』


響歌『なんでこんな時に笑ってるの?』


蓮『お前だってなんだよその真剣な顔。ガラじゃねえって』


響歌『なっ…』


蓮『よし、肩の力抜けたとこでお前の所に来るっていうデスネットの局員について調べようぜ』

一番辛いのは彼のはずなのに、なぜこんな呑気に笑っていられるのか?


いや、それが響歌の知っている桐谷蓮だったからだ。

⏰:11/08/07 00:39 📱:T004 🆔:lEByWk0Q


#496 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『じゃあお前の携帯で調べてくんない?』


響歌『…私が…?』


蓮『俺、携帯もパソコンもないし』

響歌は小さくため息をついてから、ネットへ繋いだ。


『デスネット 局員』

検索。


あっという間にページが何個か現れた。


一番上から順にページを閲覧していく。

⏰:11/08/07 00:46 📱:T004 🆔:lEByWk0Q


#497 [輪廻◆j6ceQ96kak]
とある掲示板が表示され、スクロールしていく。


――――――――――
1:名無しさん

登録した覚えのないデスネットというサイトからポイントが0になりました、みたいな感じで局員がお伺いしますってメールがきたんですけどこれって本当にきたりするんですか?

親はイタズラだろうと言いましたが、内心怖いです…。
――――――――――


この書き込みをした者と同じく内心ドキっとなった響歌はゆっくりとページをスクロールした。

⏰:11/08/07 01:02 📱:T004 🆔:lEByWk0Q


#498 [輪廻◆j6ceQ96kak]
――――――――――
2:名無しさん

当然だけどメールアドレスだけで住所までは特定できない。

放っておけば大丈夫。

しつこく来るようならアドレス変更。

架空請求みたいなもんだよ。
――――――――――
3:名無しさん

↑デスネットは別だよ。

主は闇サイトで闇商品買ったりした事ある?

買う時に名前とか住所書く所あるから、そこから情報が色んな所に漏れるよ。
――――――――――


響歌『これだ…』

画面に向かって一人で頷いた。

⏰:11/08/07 01:11 📱:T004 🆔:lEByWk0Q


#499 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『なんかわかった?』


響歌『ナナがデスカメラ買った時に私の名前とか住所使ってた…。だから今になってこのメールが…』


蓮『え…でもおかしくね? お前って中学の時、井本が携帯買ってから連絡先は交換してなかったんだよな? ならなんでアドレスとか番号とかわかんの?』

蓮の言うとおりだった。


それだけが不可解だった。

⏰:11/08/07 01:18 📱:T004 🆔:lEByWk0Q


#500 [輪廻◆j6ceQ96kak]
そんな中、一人の男の顔が思い浮かぶ。


響歌『あの男…』


蓮『…どした?』


響歌『私が山の中で会ったあの男なら…』


蓮『…!!』

響歌の中で何かが繋がりはじめていた―


すべてを知る為には、響歌はもう一度あの男に会わなければならないのかもしれない―


その日の夜、またしてもあの夢を見た。


身動きができない状態。


そして暗闇から段々と近づいてくる見えない人物。


それは響歌のすぐ目の前まで迫っていた―


第4話 共鳴なる戦慄【完】

⏰:11/08/07 01:27 📱:T004 🆔:lEByWk0Q


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