†horror†
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#651 []
↑お前が書くな
:11/11/11 16:26 :P08A3 :GlPGJ8us
#652 [輪廻]
蓮『俺が引っ越してった後にそんな事があったのか…』
響歌『それからその人に会う事はなかったけど…まさか5年経った今になって会うなんて…』
蓮はそれ以上何も言う事ができず、うつむく響歌を黙って見ていた。
そんな中、蓮の父親がソファから立ち上がり
『飯でも食べにいくか』
と座る2人を見下ろして言う。
:11/11/15 23:13 :Android :5LHHuenk
#653 [輪廻]
蓮『村井、腹減ってるよな? 近くに美味いラーメン屋あんだけど気晴らしに行くか?』
響歌『…そうだね、食べたい』
蓮『じゃあ決まりだな』
彼なりの気遣いと優しさが響歌の心に大きく響いた。
蓮『近いから歩いてくぞ』
蓮とその父親は行く準備を始め、響歌もソファから立ち上がる。
:11/11/15 23:16 :Android :5LHHuenk
#654 [輪廻]
ラーメン屋は家から5分ほど歩いた所にあり、店内も時間帯が時間帯なので大盛況していた。
とりあえず奥の空いてる席に3人座る。
座るなり蓮がはしゃぐように言う。
蓮『ここのとんこつラーメンは絶品なんだよ』
響歌『あ、私とんこつは無理かも』
蓮『…マジ? もったいねえな』
明るく振る舞う蓮に、さっきまで悲しみでいっぱいだった響歌の表情にも自然と笑みがこぼれてくる。
:11/11/15 23:18 :Android :5LHHuenk
#655 [輪廻]
唯一の気がかりは蓮と蓮の父親の距離感。
ラーメン屋へ向かう途中も2人は距離を置いて歩いていた。
目を合わせようともしない。
蓮の本当の父親ではないので色々と複雑なのだろうけど、響歌はそんな2人といるのが気まずくてしょうがなかった。
いつかわかり合え、本当の親子になれる日が来る事を祈るばかりだ。
:11/11/15 23:20 :Android :5LHHuenk
#656 [輪廻]
3人それぞれ別の味のラーメンを注文し、響歌はそれをじっくりと味わった。
『2人共、ちょっと聞いてほしい』
ラーメンを早々と食べ終え、コップに入った残りの水を飲み干してから蓮の父が真顔で言った。
蓮は反応せずにただラーメンをすすり、響歌は割り箸を持ったまま父親の方に目をやる。
:11/11/15 23:23 :Android :5LHHuenk
#657 [輪廻]
『明日、私は1日だけ仕事の休みを貰って警察に行ってこようと思う。剛史を殺したという人にも面会しておきたい。だから蓮、村井さん…君達は気晴らしにこれでも観に行きなさい』
そう言ってポケットから取り出したのは二枚の紙。
響歌が顔を近づけてそれを見てみると、紙には映画と思われるタイトル。
つまり映画のチケットだった。
:11/11/15 23:33 :Android :5LHHuenk
#658 [輪廻]
そして再び蓮の父親の方に目をやると、彼は優しい表情をしていた。
響歌『あ、ありがとうございます…』
そのチケットを一枚受け取り、そっとポケットにしまうと、溢れそうな涙をこらえながら残りの麺をすすった。
響歌には、一瞬だけまるで自分の本当のお父さんのように思えたのだ。
その夜は温かいラーメンと蓮達の暖かい優しさに響歌の心も暖まり、安らかに眠る事ができた―
:11/11/15 23:36 :Android :5LHHuenk
#659 [輪廻]
そのせいか、例の夢を見る事はなく翌日の朝を迎える。
麗奈がいない麗奈の部屋。
明るく話しかけてくれる彼女はもうこの世にはいない。
部屋を出て階段を下りリビングへ向かうと、キッチン側テーブルには椅子に座り脚を組みながら新聞を読む蓮の父親の姿。
リビングのソファには誰もいない。
蓮はまだ寝ているようだ。
:11/11/19 13:16 :Android :ImaFCg1E
#660 [輪廻]
響歌『おはようございます』
今できる精一杯の笑顔で蓮の父親に明るく言うと
『おはよう、村井さん』
と向こうもニッコリと返した。
時計の針は午前7時30分を指した所だ。
ソファに座って、しばらくの間電源のついていない暗いテレビ画面を見つめていると、階段を下りてくる音がした。
:11/11/19 13:20 :Android :ImaFCg1E
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