2年A組
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#91 [我輩は匿名である]
「ちょっと、小っちゃい時の事とか思い出して」

「どんな事?」

「普通にしてるだけなのに女子から怖がられる誠の事とか」

「…余計なこと思い出すなよ」

「バレンタインデーで、一応顔はまぁまぁだからチョコもらいかけたけど、超怖い誠の顔を見て、渡した子がすぐにチョコ取り返して走って行った事とか」

⏰:11/10/29 22:25 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#92 [我輩は匿名である]
「あ、あれは、全然知らない奴からもらったから『誰?この子』と思ってたら、勝手に『やっぱりいいです!』って、もらったチョコ持って行かれて…。っていうか、何で知ってんだよ」

「だって見てたもん。『うっちー、よかったねぇ』と思いながら」

「母親かお前は」

「へへへ」

「笑うな」

思えば、こうして2人だけで帰るのは久しぶりだ。何だか嬉しくなって、彩は帰るまでずっと笑顔でいた。

⏰:11/10/29 22:25 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#93 [我輩は匿名である]
「よう、そこのエリートお姉さん」

土谷に呼び止められて、南里は足を止める。

「何か?土谷警部」

「容疑者は絞り込めたのかい?今日の“元2年A組”生徒全員の事情聴取」

土谷は腕を組み、南里に問いかける。

南里は振り返り、一息ついてから口を開く。

「まだ何も。とりあえず、事件の日のアリバイと利き腕くらいは」

「利き腕…あ〜あ」

土谷は頭をかきながら南里に近づく。

⏰:11/10/29 22:26 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#94 [我輩は匿名である]
「そういえば最初に殺された事件の容疑者、鑑識から『左利きの可能性が高い』って言われてたな。それも、身長は170〜175cm前後」

「えぇ。元2年A組の女子生徒の身長は、最高でも…167cm。学校から収集した4月の健康診断のデータなので、今も大差ないでしょう。

よって、最初の殺人はこの中の女子生徒によるものではないでしょうね。そして、男子生徒の中で左利きの生徒は」

南里は言いながら、手に持っていた捜査資料の1枚を土谷に見せる。

「内村誠、ただ1人」

そこには、誠の顔写真と彼の詳細な情報が記載されていた。

どこかで聞いた名前だ。土谷は思いながらそれを手に取る。

⏰:11/10/29 22:27 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#95 [我輩は匿名である]
誠の身長は173,2cm。利き腕も左。そこまでは鑑識によって提示された犯人の条件と合致している。

「…こいつのアリバイは?」

「『自宅で寝ていた』との事です」

「22時に就寝か。今のガキにしてはえらく健康的じゃねぇか」

土谷は鼻で笑う。

「次の事件の時も、『自宅にいた』そうです」

「へぇ。それほどあてにならないアリバイはねぇな?南里警視」

「そうですね」

⏰:11/10/29 22:27 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#96 [我輩は匿名である]
南里は少し笑う。

「それと…3つ目の事件。どう思われます?」

「あ?あぁ、ピストルでやられてたやつか?あれは右利きらしいな。さっき鑑識の奴から聞いた」

「えぇ」

「複数犯…だろうな。今回は今までみたいにナイフ使ってないところ見ると、気が小さい奴がやったんじゃねぇの」

「なぜそう思われます?」

「ナイフじゃ相手の死ぬ感触が手に残る。それに、何発も撃っといて大した場所に当たってなかった。ありゃ殺しに慣れた奴の手口じゃない」

⏰:11/10/29 22:29 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#97 [我輩は匿名である]
「最初の容疑者は、手慣れていると?」

「ま、そういうことになるわな。その内村ってガキがどんな奴なのかは知らんが」

「ごく普通の男の子でしたよ。ちょっと無愛想な真面目男子って感じの。まぁ…まだ外部の人間の可能性もありますし、先入観を持ちすぎるにはまだ早すぎますね」

「へっ、確かにな」

おどけたように笑う土谷を、南里は真剣な目で見つめる。

「…土谷警部。あなたにお願いがあります」

「あん?エリート警視がこんなしょぼいおっさんに何のお願いが?」

⏰:11/10/29 22:29 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#98 [我輩は匿名である]
「私と手を組んでいただきたいんです」

南里の思いもよらない申し出に、土谷は思わずきょとんとする。

「…何でまた?」

「私たちはこの近辺の事に詳しくありません。所轄と警視庁で手を組んだ方が、より動きやすく、容疑者に近づけると思うんです」

「…あんた、変わってるな。警視庁のお偉いさんは皆、所轄を馬鹿にしてる頑固おやじばっかだと思ってたのによ」

⏰:11/10/29 22:30 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#99 [我輩は匿名である]
「…まぁ、そういう人間が多いのは事実ですが」

南里は残念そうに苦笑する。

「いいぜ!その話、乗ってやろう。どこまでもあんたの足になりますよ、お嬢さん」

「ふふっ、足だなんてやめてください。…では、改めてよろしくお願いします」

「こちらこそ」

2人は笑いあい、固く握手した。

⏰:11/10/29 22:30 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#100 [我輩は匿名である]
土曜日。彩はしとしとと雨が降る窓の外を見ながら、携帯電話を片手に話し込んでいた。

「私の所にも来たよ!」

電話からは、春香の元気な声が聞こえてくる。

「『あの日は何していましたか?』とか、そんなのしか聞かれなかったけど」

「やっぱり元2Aはみんな警察に呼ばれたんだね。…あの中に犯人がいるなんて思いたくないけど」

「っていうか、人殺せるような子いなかったよね」

「うーん…」

彩は頷きながら、窓の外の風景に目を止めた。

⏰:11/11/04 16:21 📱:PC/0 🆔:EdsrP/zo


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