2年A組
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#237 [我輩は匿名である]
>>236サン
コメントありがとうございます!
感想板もありますので、そちらもご利用ください♪

⏰:11/12/02 20:22 📱:PC/0 🆔:YUwrgdBc


#238 [我輩は匿名である]
美穂は南里に貸してもらった毛布を肩にかけて、病院のベンチに座ってじっとする。

龍也の最期の言葉が頭から離れず、何度も繰り返し響く。

⏰:11/12/02 20:23 📱:PC/0 🆔:YUwrgdBc


#239 [我輩は匿名である]
土谷たちと葛城が対峙している間、龍也は美穂の声にじっと耳を傾けていた。

『きっと救急車も呼んでくれるよ!だからもうちょっと頑張って!ね!?』

『…救急車が来ても…これじゃ…助からない…だろ…』

『どうして?わからないじゃない!』

『…わかるよ…』

龍也は言いながら、地面に広がる自分の血の跡に目をやる。

⏰:11/12/02 20:23 📱:PC/0 🆔:YUwrgdBc


#240 [我輩は匿名である]
下腹部を刺された時も出血は多かったが、胸部の出血量は、明らかにそれを上回っていた。

この出血量では、きっと助からない。万が一助かっても、脳死状態や麻痺が残る可能性がある。

龍也はそう思って、もう一度美穂を見る。

『…ごめん…。明日からは…送ってあげられそうにねぇわ…。…気を付けて帰れよ…』

『寺田くん…』

ぼろぼろと涙を流す美穂を見て、龍也は小さく笑みを浮かべる。

⏰:11/12/02 20:24 📱:PC/0 🆔:YUwrgdBc


#241 [我輩は匿名である]
『あーあ…俺…今超幸せかも…。…好きな子が…自分の為に泣いてくれて…好きな子に抱かれて…死ねるんだから…』

龍也は満足そうに言って、目を閉じる。

その言葉を聞いて初めて、美穂は気が付いた。

皐がやたらと恋愛話で意味深な笑みを浮かべていたのも、その時にちょっと心の中が変な気分になったのも、
龍也にグローブを貸してもらったり、「送ってやる」と言われてとても嬉しかったのも…みんな、

龍也の事が好きだったからだ。

⏰:11/12/02 20:24 📱:PC/0 🆔:YUwrgdBc


#242 [我輩は匿名である]
『寺田くん!』

眠ろうとする龍也の手を掴み、美穂が呼びかける。

『今まで気が付かなくてごめんね。私も…私も寺田くんの事、大好きだよ!』

すると、龍也は少しだけ目を開け、嬉しそうに笑った。

『…サンキュ』

あの時の手の感触は、今でも残っている。

龍也の最期の笑顔も、温かさも、全部覚えている。

美穂はしばらくじっと自分の手を見つめた後、毛布をその場において、ひっそりと夜の闇に消えた。

⏰:11/12/02 20:24 📱:PC/0 🆔:YUwrgdBc


#243 [我輩は匿名である]
次の日の放課後。

彩が掃除当番をやっている間、誠は1人、屋上でぼーっと外の景色を眺めていた。

龍也が亡くなった事は、すでに彩や誠、皐たちに伝わっている。

数少ない理解者である龍也が死に、犯人であると思っていた葛城も死んだ。「犯人はまだいる」。そう言い残して。

置いてあるベンチに座り、誠はため息をつきながら頭を抱える。

少し遠くでドアが開く音がした。

⏰:11/12/02 20:26 📱:PC/0 🆔:YUwrgdBc


#244 [我輩は匿名である]
「…内村?」

聞き覚えのある声が自分の名前を呼ぶが、振り返る気にもならない。

誠が返事をしないからか、声の主が誠に近づいてくる。

「…こんなところで何してんの?」

誠の視界の端に、皐の顔が映る。

「…別に」

目も向けず、短く答える。機嫌が悪い時や誰とも話したくない時は、こうするのが1番。今までよく使ってきた手だ。

⏰:11/12/02 20:26 📱:PC/0 🆔:YUwrgdBc


#245 [我輩は匿名である]
しかし、誠の思惑とは反対に、皐はその場から立ち去ろうとしない。

「…寺田たちの事、考えてるの?」

傍に立ったまま、再度問いかけてきた。

誠は、今度は目だけを皐に向ける。

「…俺に何か用?」

「…用があるわけじゃないけど…」

「じゃあほっといてくれないか。今は誰とも話したくない」

誠に突き放され、皐はショックを受けた表情を見せる。

⏰:11/12/02 20:27 📱:PC/0 🆔:YUwrgdBc


#246 [我輩は匿名である]
さっさと行ってくれ。誠はそう思いながら視線をそらす。

「…相手が彩でも、同じ事言うの?」

皐は、今度は声のトーンを落として言う。なぜか不機嫌そうな態度の皐に、誠はまた目をやる。

「…は?」

「私が彩でも、今みたいに『ほっといてくれ』って言えるの?」

皐と誠は、お互い苛立ったような顔で見つめ合う。

「…しょうもない事聞いてくんじゃねぇよ」

誠はうっとうしそうに、顔ごとそっぽを向く。

彼のあからさまな態度に、皐もムッとした表情で何か言い返そうと口を開く。

⏰:11/12/02 20:27 📱:PC/0 🆔:YUwrgdBc


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