漆黒の夜に君と。V[BL]
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#64 [ちか]
「な…んで、」

なんで居るの?
そう聞く前に抱き締められた。

「2日に帰るんじゃ…」

頭が混乱すると同時に、目頭に熱いものがこみ上げてくる。

恭弥が強く抱き締められ抱き締めるから。

その温度があまりにも心地良いから。

俺はその締め付けに応えるように、その広い背中に両手を回した。


「ただいま。」


その声を聞いた瞬間、こみ上げていたものが一気に溢れた。

⏰:11/10/13 00:33 📱:Android 🆔:iMqIqKtk


#65 [ちか]
「泣かないでよ。」

「な゛、な゛い゛て゛ね゛え゛よ゛〜…」

涙声では何を言っても同じだと分かってはいるが、否定してしまうのはいつものクセだ。


そんな俺の頭を恭弥は優しく撫でる。
暫くそうして落ち着いたあと、

「今年は一番最初に冥に会えた。」

なんて、そんなことを甘い声で言うもんだから、心臓が出そうになるくらいドキドキとした。

⏰:11/10/13 00:38 📱:Android 🆔:iMqIqKtk


#66 [ちか]
この密着では心臓の音が聞こえてしまいそうで、思わず距離をとった。

そんな俺を恭弥は不安げな顔で覗きこむ。

「怒ってる?」

「べつに、そんなんじゃねーよ…」

「じゃあなんで目そらすの。」

顔見たらまたドキドキしそうだから
なんて言えるわけもなく。

俺は俯いたまま口を開いた。


「そんなことよりさ、初詣行きたい」

⏰:11/10/13 00:41 📱:Android 🆔:iMqIqKtk


#67 [ちか]
「初詣…、僕行ったことないんだよね」

「えぇぇ?!?!?」


日本人らしからぬ爆弾発言を聞いた俺は思わず顔を上げた。

目の前にはキョトンとした恭弥の顔。

「え…これってそんなに驚くことなの?」

驚くもなにも…

「日本人の正月は初詣と甘酒だって!!!!」

そう宣言して、
俺は強引に恭弥の手を掴み立ち上がった。

「行こ、初詣!」

そう言って無理矢理連れ出した外は一面雪景色だった。

⏰:11/10/13 00:48 📱:Android 🆔:iMqIqKtk


#68 [ちか]
「……これが初詣……。」

恭弥はカルチャーショックでも受けたかのように神社の前で立ち尽くしている。

「なにびっくりしてんの。まったく、これだから金持ちは。はい、甘酒。」

あきれ口調で差し出した甘酒も初見なのか受け取ったあと、まじまじと見つめ、恭弥は一口煽った。


「……甘い。」

「当たり前じゃん!甘酒なんだから!」

天然過ぎるそれにツッコミを入れて、俺たちは参拝の行列に並んだ。

その時、

⏰:11/10/13 00:52 📱:Android 🆔:iMqIqKtk


#69 [ちか]
「あれ?冥?」

聞き覚えのある声。
振り返ると、居たのは

「あ、透!」

相変わらずマフラーに顔を深く埋めた透が立っていた。
その後ろにはおじさんやおばさんも居る。

冬休みに入ってから、
あまり会っていなかったもんだからついついテンションは上がった。

「あけおめ!」

「おー、あけおめ。お前、誰と初詣…。」

あけおめ、と言いながら大きな手で俺の頭をくしゃくしゃと撫でる透。
透も機嫌が良いみたい。

が、
恭弥と目が合った瞬間、空気が凍った。

⏰:11/10/13 00:58 📱:Android 🆔:iMqIqKtk


#70 [ちか]
「あ、先輩。居たんですか。全然気づかなかった。」

「僕も気づかなかったよ、冥と話してたから。」


あのー…
不穏な匂いがするのは俺だけでしょうか…


笑顔で皮肉を言い合う姿は、できれば年始から見たいものではない。

なんとか間に割って入り、場は収まった。


が、

「あら!恭くん!」

また聞き覚えのある声。

⏰:11/10/13 01:05 📱:Android 🆔:iMqIqKtk


#71 [ちか]
前方からやってきたのは、神楽さんだった。


「か、神楽も初詣に?」

明らかに笑顔はひきつり、声も上ずっているが恭弥は平常心を装っている。

「はい!たまには良いかと思いまして!それにしてもこんなところで会えるなんて、偶然ですね!」

神楽さんは本当に嬉しそうに笑った。
そして、勢いで恭弥の腕を組む。

「い、痛い!離せ!」

「もう恭くんったら!照れなくてもいいんですよ?」

「微塵も照れてない!お前、少しは自分の力の強さを自覚しろ!」

「恭くんの照れ屋さん♪」

そんなコメディチックなやり取りは眺めるにはいい。
おもしろ半分でその様子を見ていると、恭弥が訴えかけるような目で見てくるから、タイミングを見て仕方なく仲裁に入った。

⏰:11/10/13 08:15 📱:Android 🆔:iMqIqKtk


#72 [ちか]
「か、神楽さん、あの人たぶん神楽さんのこと探してますよ」

恭弥に夢中になっていた神楽さんは長い栗色の髪を靡かせ振り向く。

「あら、本当…。残念ですが、恭くん、私もう行きますね。」

名残惜しそうに神楽さんはその腕の締め付けを強めた。

恭弥も最後だからと必死で笑顔を作る。

「そ、そうだね。残念だけど、早く行った方が良いんじゃない?」

どう見ても不自然だけど。

そんな恭弥に特に気づく様子もなく、神楽さんはペコリと頭を下げてから去っていった。

隣でため息が漏れる。

「おつかれ。」

あまりにも疲れ果てた顔を見ていたら、思わずそんな言葉が零れた。

⏰:11/10/13 08:29 📱:Android 🆔:iMqIqKtk


#73 [ちか]
そうしているうちにも長蛇の列はゆっくりと動いている。


もうすぐ賽銭箱が見えてきそうだ。

「まだかなー。」


待ちくたびれた俺はそう言って前の方を覗き混んだ。
すると、目の前から見覚えのある二人組が歩いてくる。

あれは、

「凌さんとめぐさん!」

顔がはっきりと認識できた途端、思わず大声をあげてしまった。

⏰:11/10/13 10:48 📱:Android 🆔:iMqIqKtk


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