クソガキジジイと少年」
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#841 [ザセツポンジュ]
こんな奇妙な家の中にいるのに、エノシタさんは、なんだか楽しそうに笑っていた。

きーさんは
自分の理不尽さは
棚に上げ、キッチンからジョウを追い払った。

首をかしげながら
コタツに入ったジョウは
何気なく座っている自分にハッとした。

エノシタさんの隣。

(あ…足とかあたったら…どうしよう…)

『エ…エノシタさん、なんかオープニングからこんな感じでごめんね。じーちゃん達いつもあんな調子でさ。』


申し訳なさそうな顔のジョウとは打って変わって、建て前ナシの笑顔で首を横に振るエノシタさん。

『いいなぁ。にぎやかで。面白いのね、おじいちゃん達。』


キッチンでなにやら
男の作戦会議を開始している老人2人を、エノシタさんは微笑ましく眺めていた。

⏰:08/06/18 00:31 📱:W51CA 🆔:vSgbzwek


#842 [ザセツポンジュ]
>>841

⏰:08/06/18 00:33 📱:W51CA 🆔:vSgbzwek


#843 [ザセツポンジュ]
(エノシタさん、いつもひとりなのかな…)

ジョウは、エノシタさんを見つめながら、少し寂しい気持ちになった。


『すーさん、すーさん、大丈夫。大丈夫。バレてない、バレてないよ。かえってこんな態度の方が怪しいじゃろ!平然とするんじゃ。何事も無かったかの様に!』

『そ、そうじゃな。もう、随分前の話よ。』

完全に殺人を犯してしまった2人組の会話である。

『はいは〜い。みなさ〜ん。今宵クリスマス、未成年飲酒でもしてね、今日は盛り上がりましょうね〜』


きーさんは不自然なほどの笑顔で、しきり直そうとコタツへ潜入してきた。

⏰:08/06/18 00:44 📱:W51CA 🆔:vSgbzwek


#844 [ザセツポンジュ]
『ジョウジロウ!お前、ポケっとしてないで、ワシに、もう一回梅昆布茶を入れて来い!きーさんにはカウパーカルピス!エノシタさんは?何飲むんじゃ?』


きーさんに続いて、コタツに腰を下ろしたすーさん。

『カウパーカルピスって新しいの?』

エノシタさんの質問に、すーさんは、気を良くした。

『最新のカルピスだが、絶対に外部には漏らさないこと。』


きーさんのフォローにもジョウは呆れ返って、みんなの分のジュースを用意しに、キッチンへ移動した。

⏰:08/06/18 00:52 📱:W51CA 🆔:vSgbzwek


#845 [ザセツポンジュ]
(台っっっっ無しだよ。エノシタさん、もう遊んでくれないよ…)

『はい、梅昆布茶!きーさんの最新のカルピス!エノシタさんの100%オレンジジュース!』

(そしてボクも…エノシタさんと同じオレンジジュース…うぅ…)

すーさんは梅昆布茶を
ふぅふぅと冷ましていたが突然ある事に気づいた。


『あっ!おい!ジョウジロウ!シンイチロウも呼んで来い!いいか!?今日はあの屋根裏から何が何でも引きずり出せ!』


ジョウはオレンジジュースをゴクリと飲み、ため息をついた。


『も〜。コキばっかり使わないでよね!』

⏰:08/06/18 01:02 📱:W51CA 🆔:vSgbzwek


#846 [ザセツポンジュ]
ジョウは膨れっ面で階段を上がり、2階の上のそのまた上の、屋根裏部屋のドアを叩いた。

コンコンコン。

『に〜ちゃん!……に、にぃいちゃん!』

ジョウは少し待って、
耳を澄まし、ドアノブに手をかけた。

ガチャー。

相変わらずゴチャゴチャしている部屋。

画材に雑誌に、本にソフト。付けっぱなしのパソコンに…


『…あれ?にーちゃん、いないや。』

⏰:08/06/18 01:09 📱:W51CA 🆔:vSgbzwek


#847 [ザセツポンジュ]
>>836-840
>>841
>>843-846
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/357/

⏰:08/06/18 01:13 📱:W51CA 🆔:vSgbzwek


#848 [ザセツポンジュ]
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『おつかれさまで〜す。』

オレが店の戸を開けたと同時に
バイトの人とおぼしき若い女が店を出て行った。

『六さんの店、久しぶりだな。』

席に案内され、座敷に座るなり
目の前にいる中年男は
おしぼりで顔を拭きだした。

『そうだね。父さんと会うのもだいぶ久しぶりだけども。』

そう。そのだいぶ前に
出て行った父さんの顔を拭く姿を見て

老けたな〜と感じ、メニューを開いた。

『隣のおじいちゃんは元気か?あの説教くさいおじいちゃん。』

父さんはおしぼりを置いた。

『ん?元気に決まってるだろ。トミーも元気だよ。。。あと、ジョウジロウも元気。』

⏰:08/06/18 13:24 📱:PC 🆔:Qvr/oogU


#849 [ザセツポンジュ]
家族の事よりも先に
きーさんの事を聞いて来るあたり、
よほどに目の敵にしているに違いない。

『元気か。ジョウジロウ、中2か。荒れてないか?』

寂しそうな顔でメニューを覗き込む父さん。
“松コース”を指差した。

『いいの?無理してない?』

『無理してるに決まってるだろ。いいから頼みなさい。』

えらそうにメニューを閉じた父さんだが、
無理してるとはっきり言われると、返ってスッキリするもんだ。

『すいませ〜ん。』

⏰:08/06/18 13:25 📱:PC 🆔:Qvr/oogU


#850 [ザセツポンジュ]
ヒョイっと顔を出した六さんは、
オレ達の顔を見て、ニッコリ微笑み
テーブルに手をかけた。
六さんの、なんとも言えない優しい顔に
オレはホっとした。

『シンイチロっちゃん。お父さんと、珍しいな。アンタ、元気だったかい?』

ポンと、父さんの肩を叩いた六さん。
父さんは、笑った。

『あぁ。それなりにな。』

一番高い“松コース”を頼んだ後
料理を来るまでの間、黙っていることは
できなかった。

『ジョウジロウ、荒れたりしてないよ。年頃の割りにはいい子だと思うよ。鈴木の姓にも、もういい加減慣れたみたいだしさ。』

父さんは何度も頷いていた。
“それならよかった”と。

⏰:08/06/18 13:26 📱:PC 🆔:Qvr/oogU


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