クソガキジジイと少年」
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#150 [ザゼツポンジュ]
>>1ー50
>>50ー100

⏰:06/06/15 23:38 📱:P701iD 🆔:R3UK8pLI


#151 [ザゼツポンジュ]
ミスった
>>1-50
>>50-100

⏰:06/06/15 23:42 📱:P701iD 🆔:R3UK8pLI


#152 [ザゼツポンジュ]
    ***
数日後えのしたさんがコンタクトを付着させる日がやってきた。

ピルピルピル
朝6時25分
エノシタさん
─昨日、お母さんとコンタクトを買いに行ってきた★今日からメガネを外そうと思う…(*_*)

きーさんは窓を開けすーさんを呼んだ。
『すーさん、おーい、すーさん!!!!』
カーテンを開け、すーさんが顔を出した
……ステテコ姿、ただのジジイの何者でもない。

⏰:06/06/16 00:24 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#153 [ザゼツポンジュ]
きーさんは窓を開けたすーさんに、耳の横できつねマークをした。
すーさんはウインクができないため、両目をつぶり、OKサインを出した。
これが糸電話のハンドサインだと分かるのが、このジジイ達の素晴らしいところだ。

⏰:06/06/16 00:28 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#154 [ザゼツポンジュ]
『すーさん、エノシタさんが本日、メガネを外して戦場へ向かう模様。早急に支度をして、7時ぴったりには#7791へ到着できるように!!いいか!!?』
『ふわ〜…了解なまこん』
またもや紙コップをつけたままなのが痛恨のミスだが、きーさんの一方的な命令を受けただけてらあるため、差し支えはたかった。

⏰:06/06/16 00:32 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#155 [ザゼツポンジュ]
きーさんもすーさんも、実はオシャレなのだ。
トミーが通う古着屋“ミッシェル”で最高の味方をつけたのだ。
それはピーマンと言う店員である。
絶妙な組み合わせ、バランスを一瞬で頭に浮かべられ、例え老人であろうとも、オシャレな生活を提供できるハンサムな男だ。
ただ、それ以外はトント優れないため、頭が空っぽのピーマンと言うニックネームがついたのだ。

⏰:06/06/16 00:41 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#156 [ザゼツポンジュ]
そんなジジイら二人は62歳のわりにはうんとオシャレな格好で#7791カフェへ出掛けたのである。
『小夜子ストロベリーをふたつ』
『……うーん、まぁいい。今日は晴舞台だ。いたしかたがない。みーちゃん。朝からごめんよ。』
みーちゃんは今日も小さかった。
そして白くてとってもかわいかった。
『いいえ、了解なまこんっっ。』
『かーゎぃッッ、ヒュッッ』
すーさんは両目をつぶった。ウインクのつもりなのだ。

⏰:06/06/16 00:45 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#157 [ザゼツポンジュ]
62歳のジジイらは老人にもかかわらず緊張した。
きーさんなんて
『甘い』
としか口にしていない。いつもの決めゼリフさえもままならない始末だ。               『ままままま、ま、まだか!!?すーさん』
『言語障害か、きーさん!!?がらにもないことは、やめてくれないか』
 5分10分と時が過ぎる。今日は晴天だ。

⏰:06/06/16 00:49 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#158 [ザゼツポンジュ]
エノシタさんをまぢまぢと見れるチャンスだ。
『お、えのしたさんじゃ。今日もやっぱりかわいいのう。』
『……すーさん、その子はエノモトさんだよ。この間も言っただろう?』  
次々と、中学生が通り過ぎる中、先にエノシタさんを見つけたのはきーさんだった。
遠慮もなく変質者並みに窓に張りついているすーさんは、ただの役立たずでしかない。

⏰:06/06/16 00:54 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#159 [ザゼツポンジュ]
エノシタさんはキョロキョロと落ち着きなく、一人で登校していた。
『…すーさん。えのしたさんじゃ。やっぱりメガネを外して正解だったようだな。』
しかし、すーさんはまゆをしかめた。
『あれじゃまだまだだよ、きーさん。髪型がダメだ。自信ねなさそうな顔もダメだ。…悪いが、メガネを洗面所に忘れて来たとしか思われないに決まっている。700%勇気が無駄だあれじゃあ。』

⏰:06/06/16 00:58 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#160 [ザゼツポンジュ]
きーさんは、ホッとした。すーさんの真剣なまなざしがキラキラと輝いている。
『そうだな、すーさん。いったん家へ帰ろう。そして11時になったら、ピーマンに会いに行こう。』
『…あぁ。…ん!!?なぜピーマンに会うんだ!!?』
『なぜって、ピーマンに聞くのが一番早いだろう、どこの床屋がいいだとか。』
『きーさんやめてくれないか。床屋だなんて。美容室と言うんだよ。』

⏰:06/06/16 01:03 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#161 [ザゼツポンジュ]
『おぉ、そうかそうか了解なまこん。』
そして、食べかけの小夜子を口にした。
きーさんはホッとした表情で
『甘いなあ、ワシはこんなにも甘い恋心を抱いた事が、一体何度あっただろうか。』
お見事です。きーさんは忘れてはいませんでした。

⏰:06/06/16 01:06 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#162 [ザゼツポンジュ]
    ***
トミーは学校が大好きだ。
決して大きいとは言えないこの町の、決して多いとは言えない人数の学校で、目立てるという快感が、彼を刺激しているのである。
中学2年生であるが、認知度、人気者度でいくと軍を抜いてナンバーワンだろう。
ただ、他に目立ちたいという奴がいないと言う事実も、見逃せない。

⏰:06/06/16 01:14 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#163 [ザゼツポンジュ]
トミーは器用だった。
どれもこれも極めれてはいないし、ホントは中途半端ではあるのだが、14歳のクソガキどもからすれば、器用にこなしているように見えるのだろう。
サッカーもバスケも野球も、人気者という名の錯覚作用で、全てうまくこなしているように見せる魔法を味方につけていた。

⏰:06/06/16 01:18 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#164 [ザゼツポンジュ]
ランキングにこだわり、はやりの物を身の回りに置き、金のなさをカバーできるように安くても、最強のオシャレでいられるようピーマンにおまかせだ。
ミッシェルに友達を連れて行くと、みんなオシャレになってしまうんじゃないかと言う恐怖から、内緒にしていた。
通っているのは、クソガキジジイ二人と、トミーとジョウだ。ジョウに関しては付いてくるだけの事が多かった。

⏰:06/06/16 01:23 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#165 [ザゼツポンジュ]
『あ、トミーおはよう!!』女子達は、トミーを見つけるなりフル笑顔で手を振っていた。毎日の事だ。
『やぁやぁ、おはよう。』と、手を上げたトミーから、ランキング1位の香水の香りがあたりに漂う。

トミーは誰かを従えて自分が一番でいるのがむしろ好きだ。むしろ、そうしないと気がすまない。
トミーの周りにはいつも人が集まった。

⏰:06/06/16 01:28 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#166 [ザゼツポンジュ]
家では、卑劣なことを言うが、実際学校ではブスとも話していた。
いかにも暗く、いつも一人でマンガばかり描いている、ゆみちゃんには
『ゆみちゃん、この子なんて言う名前つけたの?』
『…え、ミユキ…』
『ハハっ!!どうしてミユキなの!!?』
と、必要以上に近づいてしゃべったりもしていた。
ゆみちゃんには、誰も近づかなかった。いつも一人でいた。

⏰:06/06/16 01:34 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#167 [ザゼツポンジュ]
一方ジョウは、歴史だけが大好きだった。
トミーとは、正反対の性格なのだが、別に頭がいいわけではない。
世界史の時間だけは、誰にも邪魔はされたくない時間なのだ。
だが、この貴重な時間を邪魔される事があった。
ランキング一位の香水の香りを振りまく木田トミオのせいだ。

⏰:06/06/16 01:39 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#168 [ザゼツポンジュ]
何の授業にも、特に興味はなく、馬鹿をやって目立ちたいだけのトミーは、いつもいつもうるさかった。
『静かにしてください。』以外にも注意するのは、学級委員を努めるジョウからだった。
一瞬シーンとするのだが、、トミーはくじけない。

⏰:06/06/16 01:42 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#169 [ザゼツポンジュ]
スプレーを出す音を演出するのだ。
『プス───────。プス、プス───。』
『……効果音もやめてください』
ジョウはみんなから押しつけられてしまうタイプであり、しかたなく学級委員を努めている。
別にいじめられているわけではない。

⏰:06/06/16 01:45 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#170 [ザゼツポンジュ]
歴史以外の時はもっぱら窓の外を見ていた。
そして、周りの人間の事を考え、その中で自分をどう確立させていくかをよく考えていた。
自分と言うものついていろいろと模索している最中なのだ。
自分の意見をはっきりと言え、こだわりを持って生きていきたい、ジョウジロウ。出席番号9番。

⏰:06/06/16 01:50 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#171 [ザゼツポンジュ]
『憧れる人はたくさんいるし、羨ましい人もたくさんいる。だけど、尊敬できる人って言うのは、みんな死んでしまった人なんだ。ボクもきっと死んでしまった時に価値が決まる。人間、いくらいい人に見えたっていつどうなってしまうか分からない。ひょんなことでシャブ中になってしまうかもしれない。』

⏰:06/06/16 01:54 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#172 [ザゼツポンジュ]
歴史が好きなのも理由はその辺にある。
愛読している本は、隣に住むきーさんからもらった、太宰治の─人間失格─だ。
ジョウジロウは着る物も、置く物もこだわっていた。古着をバカみたいに買う事はなかった。
好きなところの服を高くても気に入れば購入した。

⏰:06/06/16 01:57 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#173 [ザゼツポンジュ]
トミーのように、ランキングには流されたくなかった。
来年になっても、絶対着るだろうと言う本気で気に入った服しかなるべく買わないようにしていた。
多種多様の物や、偽物、来年になれば興味がなくなってしまう物、すぐ飽きて捨ててしまうような物…
これら全てをジョウは嫌った。
古くてもみんなは気に入らなくても、自分にとっては、ひどく大切なんだと言う物をできるだけ長く傍に置いておきたいと、そう考えている。

⏰:06/06/16 02:02 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#174 [ザゼツポンジュ]
>>100-150

⏰:06/06/16 02:04 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#175 [ザゼツポンジュ]
『それでは、生徒副会長エノシタさんからみなさんにお知らせがあります。』
みんなダルそうな雰囲気は見せず、テキパキと体育館入りをする。
トミーは、全校生徒が一列に並ぶと言うのが苦痛でたまらなくなり、前の子をカンチョーしたくなる衝動にかられてしまうため、こういう無駄な朝会が大嫌いだった。
一年生の誰かの靴の中に画ビョウが入っていたとかで、急遽、体育館に全校生徒は集められてしまったのである。

⏰:06/06/16 02:27 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#176 [ザゼツポンジュ]
『みなさんおはようございます……えー、今日、画ビョウ入りの靴を発見したと…』
ジョウは気付いた。エノシタさんが、メガネを外したという事に。
背が高くもないのに、後ろの方で、みんなよりはるかに間を取ってあぐらをかいているトミーを見つけた。
ジョウは地味に地道にお尻をすべらしながら、後ろまでスルスルと下がって行き、トミーに近づいていく。

⏰:06/06/16 02:31 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#177 [ザゼツポンジュ]
『なんだ、ジョウ。小便か、立て』
トミーは近づいて来たジョウのえりを後ろからつかみ、立ち上がり、腰を曲げさせた。
そしてトミーに抱えられ、クルっと後ろを向き、トイレの方向へと連行させられた。
『この子具合悪いみたいっす、オレがトイレ連れて行くっす』
小声でペコペコとおじぎしながら、トイレへの移動を成功させた。

⏰:06/06/16 02:36 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#178 [ザゼツポンジュ]
『トミー、やめてくれよ。これじゃまるでボクがゲリしたみたいだ。』
大きく深呼吸をするトミー。重苦しい空間からやっと抜け出せた喜び。
『お前便所じゃないのか!!?じゃあなんで………おい、ジョウジロウちゃん、まさかオレの事が好きだとか言うんじゃないだろうな、やめてくれ、オレは女が好きだ、女好きだ、ただのチャラ男にみられているだけの人間だ。』

⏰:06/06/16 02:39 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#179 [ザゼツポンジュ]
呆れてトミーを見たジョウジロウちゃん。
『……しゃべってもいいか…』          『…ああどうぞ。』
朝からちょっとしつこすぎたと反省したトミー。
『エノシタさん、メガネ外していたの見たか!!?』
『お前、もしやそれが言いたかったのか!!?』
『そうだよ。』

⏰:06/06/16 02:42 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#180 [ザゼツポンジュ]
『あきれるよ。オレはこういう空間が大嫌いなんだ。入学式、卒業式、朝会、エトセトラ!!シーンとしすぎて頭が痛くなる。しかもそんな大嫌いな空間に、あんなど真ん中でえらそうにしゃべる副会長を、オレが見るとでも思うのか!!ええ!!?』
ジョウはトミーの肩をポンポンと叩いた。
『……そんなに興奮しないでくれよ。ボクが悪かったよ…。でもちよっとだけ、見てくれよ。』
トミーの背中を押し、トイレの扉を少しだけ開いて、全校生徒の前でマイクを持ってしゃべる、エノシタさんを見てもらった。

⏰:06/06/16 02:48 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#181 [ザゼツポンジュ]
『………メガネ忘れて来たんじゃないのか?洗面所とかに……』
『そんな事はいいんだよ。やっぱり外すと、ちょっとかわいくないか!!?』
『……お前、たいがい趣味悪いぞ!!あれじゃあ、勃ちもしない、おどろく段階ではない!!もっと…なんだろうな髪型も、陰気臭いところも、もっぱらダメだ!!』

⏰:06/06/16 02:51 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#182 [ザゼツポンジュ]
トミーも特にエノシタさんなんかに興味はなかったのだが、この日はちゃんとエノシタさんを見てみたのである。
『じゃあ、賭けをしようか』
ジョウは、トミーに賭けをしかけた。
『どんな賭けだ、いいだろう。童貞をもらってくれる女子を紹介しろとかはナシにしてくれよ。』

『ないよ…700%。そうだなぁ、エリアカフェで、トミーはボクに小夜子ストロベリーをオゴるってのは、どう!!?ボクが負けたらトミーは好きな物をいくらでも頼んでいいよ。場合によっちゃ、貯金もおろすつもりでいるよ。』

⏰:06/06/16 03:00 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#183 [ザゼツポンジュ]
『お前大きく出たな、ホントにメニューのいちから隅まで全て頼むぞ、それでもいいんだな!!?そして、全部食べおわるまで家にも帰れないぞ、それでもいいんだな!!?…ついでに、一日オレ様のパシリだ。移動教室ではオレの分も持ち、音楽の時間はオレの代わりにリコーダーを披露し、完全に合格のハンコをもらってもらう!!…で、一体何の賭けだ!!?』
ジョウは上を向いてしばし考え、3度くらいうなずいた。
『洗面所にメガネを忘れてきたのか、はたまた、コンタクトにしたか…だ。ボクはもちろんコンタクトに賭けるよ。』

⏰:06/06/16 03:07 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#184 [ザゼツポンジュ]
『了解なまこん。』

自信満々なのはジョウの方だった。それは真ん中に立ってしゃべるエノシタさんの表情にハニカミが見られたからだ。
いつもはキリっとした表情で、全校生徒を見渡している。なのに今日は左右をキョロキョロし、少し頬を赤らめているのをジョウ見逃していなかった。
トミーには根拠のない自信がまとわりついているため、理由など何もない。ただオレが正しいとしか思っていないのだ。

⏰:06/06/16 03:14 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#185 [ザゼツポンジュ]
『それでは、全校朝会を終わります、きりつ。』
朝会が終わる号令がかけられた。
ザワザワし、一年生から、体育館を退場し、教室へと戻って行く姿を、トイレのドアの隙間から二人は見ていた。
『生徒会の奴らは最後の最後だ。オレらは生徒会の後ろを歩こう。』
と、トミー。
1年生……2年生……三年生……そして、最後、生徒会員達が体育館を出ようするところで、トイレから出た二人。

⏰:06/06/16 03:20 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#186 [ザゼツポンジュ]
トミーは、ツカツカと生徒会員の後ろにベタづけした。ジョウもぴたりとトミーの後ろにつける。

そしてトミーはエノシタさんの肩に手を回した。  『エノシタさん。』
エノシタさんはびっくりして、ガチガチになり、右手と右足が同時に出て、運動会で緊張した小1男子の図のようになった。
『今日メガネどうしたの?かわいいじゃん。』
トミーはエノシタさんの顔を至近距離で覗きこんだ。エノシタさんは顔を真っ赤にして
『コンタクトにしたの』
と言って走って逃げてしまった。

⏰:06/06/16 03:26 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#187 [ザゼツポンジュ]
トミーはくるっと後ろを振り返り、
『おい、ジョウジロウちゃん、やっぱ洗面所に置いてきたそうだ。』
両手でジョウの肩に手をかけた。
フワっといつもの香水の匂いがした。
ジョウもトミーの肩に手をかけ、
『無償で、耳かきをプレゼントするよ。』
と、勝利を飾ったのは、2年2組の学級委員、出席番号9番の、鈴木ジョウジロウだった。

⏰:06/06/16 03:31 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#188 [ザゼツポンジュ]
>>150-187

⏰:06/06/16 03:33 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#189 [ザゼツポンジュ]
○ーさん

jpg 30KB
⏰:06/06/16 05:04 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#190 [我輩は匿名である]
>>100-150

⏰:06/06/16 10:29 📱:P901i 🆔:8Q/VrG0E


#191 [クロ]
まぢおもしろいこんなにおもしろい小説初めて

⏰:06/06/16 18:37 📱:P901i 🆔:MemWjUcA


#192 [ザセツポンジュ]
─午前11時
老人二人は街へ繰り出していた。
街なかにあるアーケードの、分かりにくい路地裏に、ひっそりと、だけど堂々と、構えられた古着屋があった。
『おはよう。諸君。入ってもいいかね!!?』
オープンぴったりの時間にずうずうしく押し掛けたジジイ達
『あっ!!きーさんすーさんいらっしゃい!!』
準備中のピーマンは、キャップを取り、笑顔で一例した。
『おぃおぃ、つなげて呼ぶのはやめてくれないか。仲がいいと思われるだろう』
1個人として受け入れて欲しいきーさんだった。

⏰:06/06/16 22:28 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#193 [ザセツポンジュ]
『きーさんと、すーさんに着て欲しい服があるさね。』
ピーマンの想像力は豊かだ。
62歳のジジイであろうとも、どれだけファンキーに生きられるか、それをプロデュースするのを楽しみに生きている、ホントに服の大好きな青年だった。
九州の人で、ところどころ方言が出てしまうのが人気なところでもある。
顔も日本人離れしていて、西洋風のイケてるメンずだった。

⏰:06/06/16 22:32 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#194 [ザセツポンジュ]
『しかし、ピーマンは今で言うイケメンだな。』
すーさんは、ピーマンを、かわいがっていた。
『ん!!?イケメン!!?イケてるメン類か!!?』
『そうそう、ラーメンきし麺、うどん……って、きーさん!!イケメンも知らないのか!!?』
『はて。はて。』
『イケてるメンずって意味だ。』
『ほぉ!!!じゃあすーさんもイケメンだな。』
『ん…まぁ、当然だろう。』 
まんざらでもなさそうに、少し気色悪く照れていた。

⏰:06/06/16 22:39 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#195 [ザセツポンジュ]
『イケてないメンず』
きーさんは、か細い声で言った。
『……最近耳をほってないからなぁ…』
すーさんも、か細い声で言った。
『ところでピーマン。今日は相談も兼ねてココへやってきたのだ。おすすめの服なら買ってやるが、その後ワシの話も聞いてくれ。』
きーさんが本題を切り出した。
『了解す。』
『なまこんがぬけておるぞ。』
『…了解なまこん』
なかば強制的だが、きーさんにとっては永遠の流行語なのだ。

⏰:06/06/16 22:45 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#196 [ザセツポンジュ]
きーさんは、服屋に来ているのに自分の身の上話だけして帰るのは気が引ける性分だ。
付き合いでごはんにさそわれた時、自分はお腹がすいてなくても断れず、何か小さいものでも頼んでしまうのである。
すーさんはと言うと、あまりその辺に関しては無頓着で無神経だ。自分の好きなように生きている。
あまり信念というものもない。
だけどいつだって前向きで、深く考えず、いつだって歓楽的生きて行ける都合のいい性格をしていた。

⏰:06/06/16 22:55 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#197 [ザセツポンジュ]
ピーマンは、二人のジジイに今日もかっこいい服をコーディネートした。

そしてきーさんにはキャップを、すーさんにはニット帽をプレゼントした。ピーマンオリジナルの自信作だ。
これで、キャバクラに行ってもバカにされないジジイ二人が完成されて行く。
『いつもありがとうございます。』
『いゃいや。いいんだよ。ピーマンに質問だが…』
きーさんが美容室と言うことばを知らなかったのを思い出し、すーさんが説明を勝手出た。

⏰:06/06/16 23:01 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#198 [ザセツポンジュ]
『ピーマン、髪は一体どこでやってるんだ!!?……そして、……お前日本人なのか!!?』
すーさんは必要以上にピーマンに詰め寄り尋ねた。
『……ち、近いんすけど。ウチの上に美容室があるけんが、そこでやってもらいよぉとです。……、日本…人、……佐賀生まれす。』正直、62歳と言う圧力と気持ちの悪さに戸惑うピーマン。
『変えたい女子が一人いるんだが…ボサボサのキチキチのグジュグジュだ。いくらかかるんだ!!?』

⏰:06/06/16 23:26 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#199 [ザセツポンジュ]
『…そういや、カットモデル探しよったな。その子かわいいとですか!!?』
今まで鏡で自分の姿を眺めていたきーさんが、ピーマンの肩を持ち詰め寄った。
『モデルでも、実験台でもかまわん。必ずかわいくなるに違いない』
二人の最強ジジイに詰め寄られたピーマンに、逃げる事はできず、非協力的な言葉を出せるはずもなかった
『……ちょっと上行って、聞いてきます』

⏰:06/06/16 23:33 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#200 [ザセツポンジュ]
   ****
『トミー。今日女子と帰るのか!!?』
『オレがお前との約束を忘れたとでも言いたいのか!!?帰りに寄ってくぞ』
『了解……なまこん』
放課後、二人は#7791へと向かうのだった。
あたり一面オレンジ色になり、夕方という少し淋しいような切ないような空気が二人を包んだ 
『お前さ、エノシタ、エノシタって、エノシタさんが好きなのか!!?』
トミーは、ジョウより少し前を歩いた。
『…そんなこと考えたこともないよ。』
ジョウはまた、本当の甘いカルピスを知らない

⏰:06/06/16 23:41 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#201 [ザセツポンジュ]
くるっと後ろを振り返り、トミーはジョウに尋ねた
『じゃあ、どうして毎日毎日エノシタと言うフレーズが出てくるんだ。正直ウザイぞ』
ジョウは立ち止まった 
『…毎日は言ってないと思うんだけど。最悪ボクが間違っているのかもしれない。』
そして、トミーは、ジョウの肩を持ち、無駄に小さい声で言った
『オレはエノモトさんと付き合うから、お前はエノシタさんと付き合えよ』
バカにしたように、言ってきたトミーに少し腹を立てた

⏰:06/06/16 23:48 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#202 [ザセツポンジュ]
『トミーは、トミーの好きにすればいい。ボクは、ボクの好きなようにするよ。勝手にボクの道を作らないでくれ。だいたいボクは表面だけがすぐれている人間は嫌いだ。例えば外装だけはキレイなおうちがあったとしても、中に入ればキッチンも風呂もない。そんな家には帰れないだろう!!?多少古い外装でも、ちゃんとしたキッチンでおいしいものを作れて、あったまる風呂に入れたほうが、帰ろうと思うだろう!!?とにかくボクは、ランキングや見かけのものだけに左右されたくないんだよ。不愉快だから、バカにさたように笑うのはやめてくれないか』

⏰:06/06/16 23:55 📱:P701iD 🆔:LtWl5Ezk


#203 [ザセツポンジュ]
いつになく、真剣なジョウだった。
『…どうした、お前カウンセリングうけた方がいいんじゃないのか!!?オレはホントに心配だ。そんなに真剣になるなよ。生きていけないぞ。』
『ボクは、確かにトミーみたいにモテないよ。今までもらったチョコもすべてトミーのおこぼれだった。ボクは、チョコは好きだ。女子を好きになった事なんか、ないんだ。でも、一つ言えるのは、人気者になれなくてもいい。将来好きな人ができたら、その子だけのスーパースターでいれたら、ボクはそれでいいよ。』

⏰:06/06/17 00:03 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#204 [ザセツポンジュ]
トミーはジョウの顔を不安そうに覗きこんだ。
『…ジョウジロウちゃん、どうして今日はよくしゃべるんだ。具合悪のか!!?』
『いたって普通だ。すまないね、心配をかけて』
『頼むよ、いつものお前に戻ってくれ。魔女の宅急便の恋をしたジジの逆バージョンみたいだ。』

不思議な空気に包まれたまんま、二人は#7791へと足を運ぶのだった…

⏰:06/06/17 00:08 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#205 [ザセツポンジュ]
きーさん(ジョウ)

エノシタさん、やっぱ絶対コンタクトの方がいいよ!!ところで、今週の土曜日カットモデルとして髪を切ってみないか!!?料金はタダなんだけど…というか勝手にもう予約入れといたから、必ず行ってね★
場所はわかんないと思うから、0×0ー△○○×に、TELしてお店の人に聞いてね(o^o^o)夜の7時で少し遅いけど、閉店後貸し切ってするみたいだからよろしく!!必ずだよ☆彡アディオス☆            ─送信

⏰:06/06/17 01:16 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#206 [ザセツポンジュ]
──ちょっとブレイク!!
きーさんとすーさん、キャバクラへ行く──の巻

すーさんには、お気に入りの女子がいた。名前は空ちゃん。
実は空ちゃん、重度の虚言癖なのだが、まんまとだまされてしまっている哀れなジジイなのだ。
きーさんは、いつも空ちゃんのウソツキっぷりを観察していた。

空ちゃんの虚言癖ぶりを紹介しよう。

⏰:06/06/17 01:25 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#207 [ザセツポンジュ]
『あたしぃ、実家は、東京の二子玉ってとこでぇ親は医者なんですぅ。それで、あたし今ぁ、こっち来て大学で看護科に通ってるんですぅ』
(そんな都会の子がわざわざこんな田舎に来るわけないだろ。)
『へぇ、だから空ちゃんはかわぃぃんだねぇ。頭もいいんだねぇ。いいとこ育ちなんだねぇ』
(……きーさんのバカ。ろくでなし。)

⏰:06/06/17 01:29 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#208 [ザセツポンジュ]
きーさんは空ちゃんに質問した。
『なあ、空ちゃん。ワシ東京行った時に二子玉ら辺に行ったんだが…二子玉の次の駅は何だったか思い出せんのだ。なんだったかな!!?』
『……えーと…ねぇ』
『三軒茶屋だったか…』
『っっそぉそぉ、三茶、三茶!!!!ねぇねぇすーさんあたしね…』

(このあせりぶり尋常じゃないな…)
二子玉の次の駅は用賀である。三茶なんて四つも向こうだ。
きーさんは、事前に調べていたのである。
空ちゃんのうそを見破った瞬間、きーさんの体はエクスタシーでいっぱいだった。

⏰:06/06/17 01:37 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#209 [ザセツポンジュ]
きーさんは、気付かないすーさんに対してではなく、それを言えない自分を責めていた。
(…きーさんのロクデナシ!!バカバカ、ここで今言うのじゃワシ!!木田シゲル!!62歳!!ぅー…よし)
『すーさん…』
『きーさん、飲めよワシがおごるから今日は』
『そうか、悪いな、うぃーっす!!』
またもや、言えないままのきーさんだった。
そしてまた自分を責めるのだ。
(……きーさんのバカバカ)

⏰:06/06/17 01:47 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#210 [ザセツポンジュ]
『あたしのお父さんは、食品会社の社長なのぉ。コンビニとかにもだしてて、誰でも分かるから、言えないんだけどぉ。』
(…こないだ、医者と言っていたような気がしたんだが…この店、耳かきをオーダーするといくらだろう、えーっと…)
『やっぱり空ちゃんはかわいいねぇ。パパもえらい人なんだねぇ。』
(…すーさんは風呂場で脳みそまでキレイに洗った方がよさそうだな)

⏰:06/06/17 01:53 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#211 [ザセツポンジュ]
『うちのママは、税理士なのっっ。』
(じゃあ、一体誰が医者なんだ。)
『セレブなんだね、空ちゃん、かわいいねぇ。ウヒヒ…ぅーひっく。』
『あ、あたしのママ若いんですよぉ。36歳なんです、まだ。』
『空ちゃんは、21だから、17歳の時の子ということかな!!!!?』
『そぉなのぉ。』
(…絶対15だ!!すーさんも空ちゃんも小2レベルで脳が止まっているぞ!!いいのか!!)
『すいません!!ボーイさん、電卓ください!!』
たまらず、きーさんはボーイを呼んでしまった事もある。

⏰:06/06/17 02:01 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#212 [ザセツポンジュ]
『あたし、おにいちゃんが6人いるんですよぉ。でも、みんな前の奥さんの子供なんですけどぉ。でも仲良しですっ』
『おにいちゃんだらけだな!!一番上のおにいちゃんは、いくつかな?』
『25ですっっ。』
(……おい!!どう考えてもふたりあまるぞ!!)

⏰:06/06/17 02:06 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#213 [ザセツポンジュ]
『あたしの親戚みんな警察官なんですよぉ。』

『あたし、DJやってるんですぅ。ハウスって言うジャンルなんですけどぉ。その世界であたし知らない人はもぐりですよぉ。』

『あたし実はなでしこジャパンに在籍中なんですよぉ。たまに会長から戻れって電話かかってくるんですけどぉ。腰のガンっぽくてぇ、ボール蹴れないんですぅ』

⏰:06/06/17 02:09 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#214 [ザセツポンジュ]
『サッカーの大久保○人とも仲良しですしぃ、奥さんとも仲良しでぇ、スペインでは家族席で見てきましたぁ。』
『あたし実は双子でぇ、男と女の双子なんですけど、陸と空って言うんですよぉ。オシャレでしょう〜』

⏰:06/06/17 02:13 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#215 [ザセツポンジュ]
『あたしフランスとスペインのクォーターなんで、小学校あがるまで家の中は英語でした。』
そんな空ちゃんだが、カラオケで英語の部分が出てきた時は、哀れにも完全にカタカナ発音であり、音痴であった。だが
『あたしCDデビューした事あるんですよぉ。』
『うちのおばちゃんは、芸能プロダクション経営してるんですぅ。』
『あたし、降○けんじのモトカノなんです。元カレはみんな芸能人でした』

と、快調に飛ばしまくり…

⏰:06/06/17 02:19 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#216 [ザセツポンジュ]
『来月ストリート雑誌に載るんですよぉ。あたし専属モデルなんですぅ。』

その後何ヵ月たっても空ちゃんらしき人すら出てこず
(……一年も先取りして、撮影しなくちゃならないのか…デルモとは大変だな…って、おーい!!!!)
きーさんは、証拠をつかむためコンビニでくまなく雑誌と言う雑誌を物色していた。
空ちゃんは一生あらわれはしなかった。

⏰:06/06/17 02:25 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#217 [ザセツポンジュ]
『あたしのおばあちゃんは銀座のオーナーなんですよぉ。』
『あたしのおにいちゃんはカフェバーをいくつも経営してるんですぅ。』
『あたし幼稚園からお茶の水エスカレーター式でしたよ?』


ここで、まとめて空ちゃんの家族紹介をしよう。

⏰:06/06/17 02:29 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#218 [ザセツポンジュ]
実家は、美容整形外科。
サッカーコートがあるくらいの豪邸が田園調布にあるらしい。
二子玉説もある。
そして、空ちゃんを15歳の時に産んだ36歳のママは、現在税理士に君臨しており、パパは超有名な食品会社の社長らしい。

おばあちゃんは銀座のオーナーをしており、
おばちゃんは芸能プロダクションの社長らしい。
そしておにいちゃん達はカフェバーを経営する。
と、言うことはだ。
残すところおじいちゃんが、美容整形外科の院長さんなのか!!?

⏰:06/06/17 02:36 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#219 [ザセツポンジュ]
『あたしのおじいちゃんは、東京で超有名な高級車のディーラーなんですう』 
一体全体どこの誰が美容整形外科を守っているのだろうか。
ちなみにそんなおじいちゃんは、ブラックカードの上のスケルトンカードを所持しているらしく、それを持っているのは世界に5人だけらしい。

⏰:06/06/17 02:40 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#220 [ザセツポンジュ]
空ちゃんの経歴も実に素晴らしい。

スペイン人で、銀座のクラブのオーナーをするおばあちゃんと、
フランス人で、高級車のディーラーをしていてスケルトンカード所持のおじいちゃん
との、間に生まれた   超有名食品会社を経営するお父さんと、
犯罪並みに若かった、現在税理士のママとの間に、
双子として生まれてきた。

⏰:06/06/17 02:46 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#221 [ザセツポンジュ]
そして、
御茶ノ水幼稚園、
御茶ノ水小学校、
御茶ノ水中学校、
御茶ノ水高等学校
と、空ちゃんいわくエスカレーター式できたらしく、東京のハンバーガー屋でアルバイトをしていた時、ミススマイル賞に輝き時給が1500円まで上がったらしい。
そんなお嬢様が、こんな田舎町で、現在大学の看護科に通い、なでしこジャパンに在籍中でもあり、でも腰のガンらしく、夜は有名DJもこなし、だが毎日フル出勤でキャバクラにも勤めている。         
地球始まって以来の最強さだ。

⏰:06/06/17 02:53 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#222 [ザセツポンジュ]
きーさんは、キャバクラから帰ると、ノートに向かった。
『えーつと…今日は…と。リフティング3000回の日本記録を今だ破られていない、空ちゃん…と』
箇条書きにすると、
もう100行くらいしたためてしまった、空ちゃんの嘘をまたひとつ、またひとつと増やし、空ちゃんマイレージを貯めて行った。
あまりにも頭に来たら、店の中で、マイクを使い、発表してやろうと考えているのだ。

⏰:06/06/17 02:59 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#223 [ザセツポンジュ]
『ありゃ、きーさん、今日は一番のりじゃな。貸し切りだ!!』
月曜日で雨の降る早い時間なら、どこもたいてい暇に決まっている。
『いらっしゃいませ、こちらの席へどうぞ。』
すーさん達は、ガラ空きのためか、広い席に案内された。
『ご指名の方はござ…』
『空ちゃん。』
すーさんは大好きな空ちゃんを指名した。
『…キララちゃん』
きーさんは、キララちゃんを気に入ってはいるのだが、別に誰でもいい。女の子がコロコロ変わって、何才ですか、何型ですか、何件目ですかと1から話すのがめんどくさいのだ。

⏰:06/06/17 03:06 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#224 [ザセツポンジュ]
『ボトルの方はございましたでしょうか。』
すーさんは、うれしそうに『黒霧で、すーさんと空ちゃんの唾液。と書いてるヤツな。』
『…お前、恥ずかしくないのか、リハビリうけた方がいいんじゃないのかね。』きーさんはそう言いながらおしぼりで顔をふいた。

⏰:06/06/17 03:11 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#225 [ザセツポンジュ]
『しつれいしまぁっす。』空ちゃんとキララちゃんが登場した。
『きーさん、おはよう』
キララちゃんは、隣へ座り、きーさん達のお酒を作っていた。
『キララちゃん、好きなもの頼んでいいからね。』
そしてきーさんは小声で
『空ちゃんには、けんちん汁でもオーダーしとけ。』キララちゃんは、笑って
『恐れおおくてできません。』
なかなか正直者である。

⏰:06/06/17 03:17 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#226 [ザセツポンジュ]
空ちゃんは今日はおなかがすいていたらしい。
『ねぇねぇ、すーさぁん。あたしお腹すいたぁ。からあげが食べたぁい。』
と、すーさんにピトっとくっついた。
『ん、頼もう!!頼もう!!ボーイさん!!出前のチラシ、カモン!!』
すーさんは、女子にはいい顔をしたいがために多めに頼む。
女ならこんな都合のいいジジイが客ならバンバンザイだろう。すーさんは携帯を持っていないと言うのが弱点だが、あんたの顔など見たくもないわと言うほど強烈キャラなので、たまに来るくらいがちょうどいいのだ。

⏰:06/06/17 03:23 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#227 [ザセツポンジュ]
すーさんは、何人家族だと言うほどのからあげを頼んでいた。からあげが到着しても、なお店はガラガラだったために、待機中の女子達にも、おすそわけすることにした。ただハーレム状態になりたいだけなのだろう。
キャバ嬢達を、両手に抱えみんなでからあげを食べた。すーさん達は、常連のため、店の子みんな顔見知りだった。そして店の子も、老人と思ってすーさん達には優しくしてくれた。
『じゃあ、じゃあー。この中で誰と結婚したいか、せぇので指さしゲーム!!』 『すーさん、はりきっているが二人しかいないよ。男子は。』

⏰:06/06/17 03:31 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#228 [ザセツポンジュ]
『やかましいわ!!これは、ワシとお前の勝負じゃ!!』すーさんは眉間にシワを寄せた。
そして、8人くらいのキャバ嬢たちは、どっちと結婚したいか選択せざるをえないためすーさんときーさんの顔を交互に見ていた。
『せーのっっ。』

⏰:06/06/17 03:35 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#229 [ザセツポンジュ]
『はい、全員撤収!!』
すーさんはそう叫んだ。空ちゃんを含む、全員きーさんを指さしたのだ。
『空ちゃん、いくらなんでも君はすーさんを指差すべきだ。気持ち悪いのはわかるが、指をさしたところで死にはいたらんよ。』
空ちゃんはあわてて
『いやぁ、ハラハラさせてくれるプレイボーイってモテるじゃないですかぁ。だからそんなすーさんと結婚したらぁ、あたし不安でたまらないなぁと思ってぇ。』
さすが、ザ水商売である。

⏰:06/06/17 03:41 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#230 [ザセツポンジュ]
気をよくしたすーさんは、『じゃあじゃあ〜、恋人ならどっちがいいか、せぇので指さしゲーム!!』

『せーのっっ』

『はい!!全員カンチョー!!ケツだせ、オラ!!

『すーさんはぁ、オシャレだし、モテるから、あたしなんか相手にされなさそうでぇ。ってか、その前にかっこよすぎて近付けないなぁと思ってぇ。』
(何のために、さえないジジイがお前を指名してると思ってんだ。)
『ウッフフーン。空ちゃん今日もかわいいねぇ。はい次ー。』

⏰:06/06/17 03:46 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#231 [ザセツポンジュ]
『顔見知りくらいがちょうどいいかなぁと思うのはどっちか、せぇので指さしゲーム』

『せーのっっ』
みんなの指がすーさんに向いているのに気をよくしたが、自分が言ったことをよく思い出してみた。
『…チェックしてくれ!!からあげも、お前ら返せ、はけ!!!!コラ!!』
空ちゃんは、意気奮闘する、すーさんをなだめた。

⏰:06/06/17 03:52 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#232 [ザセツポンジュ]
『すーさん、顔見知りの度合いがわかんないよぉ。質問が難しすぎたんだよ。だってぇ、すーさん有名だからぁ、あたしも知ってるあたしも知ってるぅって言いたいのかもしんないしぃ。』
………苦しすぎるが、すーさんは気をよくした。

そして、
『じゃあ、じゃあ次はー、どっちのDNAが欲しいか、せぇ…』
『すーさん!!頼むからDNAの領域に手を出すくらいにまで人間落とさないでくれ!!』          さすがにきーさんも、この男にアセりが出てきたんだと感じた。

⏰:06/06/17 03:58 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#233 [ザセツポンジュ]
帰りのタクシーで、酔っ払ったすーさんはいつも語っていた。
『ワシはなぁ、きーさんよりうんとモテたぞ、昔はワシの方に女の子がうじゃうじゃ寄ってきていた…』

『あぁ、知ってるよ。すーさんは人気者だった。よくモテたなぁ。月、水、金の彼女と、火、木、土の彼女と、日曜日専門の彼女、祝日専門の彼女、と、まぁわんさかいたもんだ。』

⏰:06/06/17 04:05 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#234 [ザセツポンジュ]
『そうだったなあ、月曜日は、サトちゃんを自転車で向かえに行って海を散歩して、それから火曜日はユリちゃんがウチへ来てハレンチ極まりないことを、楽しくして…へへ…へへへ…そいで水曜日はサトちゃ…』
『あ、ここで止まってください、じゃあなすーさん。気をつけてな。』
『はいはい。おやすみよ。』
きーさんは、タクシーのおじさんに、すーさんと家が隣ですよとは決して言わない。
すーさんも酔っ払っているためか、久々に会った友達と飲んでいたと言うことに設定してしまっている。

⏰:06/06/17 04:12 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#235 [ザセツポンジュ]
そしてすーさんは、タクシーの運転手に右だ左だと言いつつ、散々、昔の女自慢をして、きーさんをおろした場所にしばらくしてから再び止まる
『ヒック……ぅん、ココだよ。ソープ、ストーーップ、(そこストップ)ランパーーブ』
そして多めに払い、
『パイパイ、おやすみよ。』
きーさんはすでに、眠った後にすーさんは帰宅するのであった…。

⏰:06/06/17 04:19 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#236 [ザセツポンジュ]
>>150-237

⏰:06/06/17 04:22 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


#237 [ザセツポンジュ]
──決戦の土曜日がやって来た。

きーさんとすーさんは美容室の控え室で待機をしていた。仕事を終えたピーマンもかけつけた。
美容室の店長がピーマンの知り合いと言う事もあり、無理に無理を言ってインカム(無線)とカメラを設置する事に成功した。
ちょっとした番組のコーナー気分を味わいたいだけなのだろう。
7時、店は閉店した。
片付け係が3人ほど残り、他はみな帰って行った。
『まだか、きーさん。』
すーさんは貧乏ゆすりが止まらなかった。

⏰:06/06/17 04:53 📱:P701iD 🆔:10FaedBg


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