クソガキジジイと少年」
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#780 [ザセツポンジュ]
静まり返る体育館。
オロオロとした空気が全体を包んだ。
『ああ。』
校長は短く答えた。
『なぜ却下にしたんですか?』
『資料がうすっぺらだったからだ。』
『いいわけはいいんですよ。なぜ却下にしたのでしょうか?さあお答えください。』
トミーは自分の否を思い切り高い棚に上げ、
ふざけているのかそうでないのか
きわどい感じで
校長にクイズ風で投げかけた。
今ふざけている場合ではないのだ。
:08/06/02 15:51 :PC :OOkjqJBY
#781 [ザセツポンジュ]
『。。。。』
校長はギロっと
トミーを睨んだ。
トミーは、マイクを
校長の鼻の下に持って行った。
『もう一度だけ質問します。なぜ、却下にしたんですか?』
そう言ったトミーは
またもや校長の鼻の下に
マイクを持って行った。
笑いをこらえる生徒もいたが
空気を読んで下を向いて我慢していた。
この男、空気の読まなさも学校1である。
:08/06/02 21:15 :W51CA :qzJ1Dt5o
#782 [ザセツポンジュ]
それでも何も答えない様がこの学校を代表する校長の姿であって、果たして良いのだろうか。
トミーは
見かねてしゃべりだした。
『校長先生は、校長室で何をしているんですか?学校全体を見守っているんですか?そもそも校長先生の仕事は何なんですか?いじめなんてありえないとでも思っているんですか?何のための校長先生なんですか?責任のがれするために何か大きい力を使うつもりなんですか?』
:08/06/02 21:21 :W51CA :qzJ1Dt5o
#783 [ザセツポンジュ]
ジョウは裏で
丸めた大きな1枚のポスターを抱えて
耳をとぎすませていた。
(ボクがトミーの背中を押したんだ。ボクがトミーの話に乗ったんだ。エノシタさんにかっこつけれると思って乗ったんだ。ボクは浅はかだ…浅はかだけれども絶対最後まで成功させなければ。)
:08/06/02 21:25 :W51CA :qzJ1Dt5o
#784 [ザセツポンジュ]
-----------------
トミーの率いる
2年生新生徒会役員と
3年生旧生徒会役員との
確執は深かった。
『おい西田トキムネ。今日こそは口出しするなよ。』
嫌でも生徒会室に集まらなければならなかった新旧生徒会役員。
トミーは
先生達の顔色しか伺わない、旧生徒会会長の
西田トキムネ氏を、
毛嫌いしていた。
それはジョウも
同じだった。
西田はえらそうな態度で
腕を組み、トミーを睨んだ。
『木田。お前いい加減にしろよ。好き勝手やっていると報告するぞ。』
トミーは立ち上がった。
『新生徒会役員、移動します。場所は3階の資料室。西田達はここに残ってグチグチブツブツ勝手にやってろ。先生にでも警察にでもお母さんにでもいいつけていればいい。』
:08/06/02 21:35 :W51CA :qzJ1Dt5o
#785 [ザセツポンジュ]
ジョウはエノシタさんの困った顔を見ていられないほど
複雑な心境だった。
だけど、その時
ジョウは黙って
資料室に向かう事が
エノシタさんのためにできる最善の策だと思い
トミーに従ったのだ。
それから
新生徒会役員計6名の
会議する場所は
生徒会室から3階資料室に変わった。
:08/06/02 22:26 :W51CA :qzJ1Dt5o
#786 [ザセツポンジュ]
『生まれ変わっても西田トキムネと言う名前にだけは生まれたくないな。ニもシもダも嫌だ。くそぅ絶対俺の方が西田よりストU強いのに!た〜つまきせんぷうきゃく!た〜つまきせんぷうきゃく!た〜つ…』
『トミー、もう!いい年して何やってんの。早くやろうよ。みんな集まってくれてるのに。』
トミーは
ふざけて
竜巻せんぷうきゃくを
ジョウにおみまいしているが
狭い資料室の方が
会議しやすかっただろう。
気も楽だっただろう。
:08/06/03 00:48 :W51CA :zIUGw8LY
#787 [ザセツポンジュ]
『まず、西田達に渡すダミーの企画書を作る人と、ぶっつけ本番の議題での進行を考える人と、1・5でふたてに別れよう。』
『トミー!もう、おべんちゃらはいいってば。3・3でいいんでしょ。じゃあボクは新企画の方にまわる。』
『じゃあお〜れも!生徒会長だからな!当然よ!あとひとり、入りたい人は勝手に入ってきてみほ。』
こうして
木田、鈴木、
生徒会役員の
公文式に通っている頭の良い佐野くんは
新企画班。
残る3人は
ダミー企画班に回った。
『ダミー企画班。もう、西田達が去年やったやつモロパクりでさっさとすませて、こっちに入って来て一緒に作戦ねろう。』
:08/06/03 00:56 :W51CA :zIUGw8LY
#788 [ザセツポンジュ]
日がたつごとに
テキパキと事を
済ませ、
ダミー企画班が
新企画班にまざった時
ジョウとトミーは
作戦をみんなに伝えた。
そして
エノシタさんの
クーポン雑誌いじめ問題を打ち明けた。
絶対に
外に漏らさないように
ワイロとして
生徒会役員の男子には
人気AV女優の新作を
トミーが贈呈し
生徒会役員の女子には
今までひそかにお世話になっていたエロ本を
ジョウが贈呈した。
『え!鈴木くん、ガラじゃないんだけど!私、遠慮する!』
ウケ狙いの為に
持って来たのに
受け取るどころか
どん引きされてしまい、
ジョウは
この割とブサイクな女子達の冗談の通じなさに
不安を覚えた。
:08/06/03 01:41 :W51CA :zIUGw8LY
#789 [ザセツポンジュ]
:08/06/03 01:45 :W51CA :zIUGw8LY
#790 [ザセツポンジュ]
会議の3分の2は
ストリートファイターネタでふざけ続けた
トミーだったが
残りの3分の1は
ジョウと同じくらい
真剣に取り組み
的確な作戦を公言した。
こういうところは
なぜか隣のじーさん
鈴木ひとしに似ている。
放課後、会議のために
集まる資料室に
最後まで残るのは
変なじーさんを持つ
少年2人で
家に持ち帰ってまでも
どちらかの家で
話し合いをした。
時に7791カフェに
立ち寄ることもあった。
:08/06/03 18:20 :W51CA :zIUGw8LY
#791 [ザセツポンジュ]
『ボクは小夜子ストロベリー。』
ジョウはいつも通り。
トミーもいつも通り。
『俺はちーちゃんとの男女交際。』
『梅昆布茶ね。かしこまりました。』
ちーちゃんは
ガキには目もくれず
いつも通りニコっと笑い
準備をした。
2人はいつも通り
“七夕の席”に座った。
『ちょっと待って。ちーちゃんて何で俺のこと見ないわけ?頭おかしいよね多分。俺?俺の頭は正常だよね。』
『誰としゃべってるの、トミー。あきらめなよ。エノモトさんがいるじゃない。』
『まぁな。エノモトさんヤリマンかもしれないけども可愛いしさ。仕方ないよね、ジョウジロウちゃん。』
『うん。』
:08/06/03 18:28 :W51CA :zIUGw8LY
#792 [ザセツポンジュ]
ジョウは
ただただ
小夜子ストロベリーが
来るのを待っていた。
『でさ、ジョウジロウちゃんはエノシタさんが好きだもんね。』
『うん、うん。…うん。』
トミーは
ジョウに顔を近づけてまで
わざとらしく驚いていた。
『えぇえ!!!お前、お前“うん”て3回言うほどエノシタさんが好きなの?』
『お待たせしま…』
『え!え!ちーちゃん!ちーちゃん!うちの隣のジョウジロウちゃんがさ!恋をしちゃったんだって!』
『はい、梅昆布茶。トミーも毎日ジョウくんといるんだから、分かっていたんでしょ。からかうのはやめてよね。』
ちーちゃんは
そんじょそこらの
田舎女子中学生とは
違うのだ。
:08/06/03 18:35 :W51CA :zIUGw8LY
#793 [ザセツポンジュ]
『はぁい。もうしませーん。ちーちゃん怒らないで。で、でさ!そんな恋をしちゃった鈴木くんさ!今回の集会、親達も来る参観日だしさ、絶対的にミスは許されないわけよ。』
トミーは熱そうに
梅昆布茶に口をつけた。
『そうだよね。石崎さんのお母さんも山田さんのお母さんもいるだろうしさ。』
ジョウは小夜子ストロベリーをパクっと食べた。
『なぁ…。そうだよなぁ。どんな感じの親なんだろう。あちち…。嫌な感じな親なのかな。』
『う〜ん。嫌な感じなのかなぁ。』
『ツンケンしててさ、ウチの子に限ってそんなことはしてません的な感じだったらコテンパンにやってやろうぜ。例えばサイコクラッシャーとかでな。』
:08/06/03 18:45 :W51CA :zIUGw8LY
#794 [ザセツポンジュ]
『トミー、最近ストファイネタにもっぱらハマってるね。やりたくなるね。』
『おい、お前。早く食え。ほうばれ。今からウチでストリートファイターごっこだ!』
トミーは猫舌にも
関わらず
無理して急いで飲んだ。
『ごっこ?ごっこなの?せめてスーファミにしてよ。』
ジョウもつられて
パクパクと口に入れた。
せっかく甘いのに
もったいないな。と
思ってはいるのだが。
『ごちそうさま!ばいばいちーちゃん!お釣りはちーちゃんにあげる!』
『フグっ。ファイファイヒーヒャン…』
『2人で500円です。トミー、お釣りありがとう。フフ。』
ちーちゃんはトミーが置いたピッタリ500円玉をレジの中にしまった。
こうして2人は木田家へと急いだのだった。
:08/06/03 18:57 :W51CA :zIUGw8LY
#795 [ザセツポンジュ]
『腹立つなぁ、きーさん。ズルいぞそんなちまちましやがって。』
こちらは木田家。
きーさんの部屋で
老人2人は
将棋のコマで
“コマ崩し大会”を
開催していた。
『すーさん。ほれ、早く。コマをうそつき空ちゃんだと思って。』
『ウヒャヒャ。空ちゃんは可愛い子よの〜。デヘヘ、むぅ…どこにするかのう。う〜ん……ん?』
ガシャグシャ。
すーさんは突然
コマの山をぐしゃぐしゃに崩した。
『おい!お前今うそつき空ちゃんと言ったな!言った!絶対に言ったんじゃ!ワシは昨日確実に耳クソを取った!だから聞こえたことは間違いじゃない!クゥオンノ〜!!!』
すーさんは地道に
ひとつずつコマを
投げて
きーさんに当てつけた。
:08/06/03 19:08 :W51CA :zIUGw8LY
#796 [ザセツポンジュ]
『…飛車…ん?…歩兵…歩兵…これはと…歩兵…角行…桂馬…すーさん、すーさん。こんなんじゃ効かんぞ。もっと強い奴を投げつけて来い。』
すーさんは憎しみを込めて
最後にひとコマ投げつけた。
パシン!
『ん?…金…。フハハ。“金”?金たま鈴木。』
すーさんは怒り狂ってきーさんを殴ったが、年のせいか
なぜ、一体なぜ怒り狂っているのかは忘れてしまっていた。
バタバタバタバタ
ガチャ。
『じーちゃんただいま!』
『きーさん、おじゃまします!』
:08/06/03 19:30 :W51CA :zIUGw8LY
#797 [ザセツポンジュ]
少年達2人のご帰宅だ。
『おや!ジョウジロウちゃん!よく来たねぇいらっしゃい。』
バタン。
2人はストリートファイターのために
挨拶もそこそこ
トミーの部屋へと急いだ。
そこですーさんの怒りは
さらにヒートアップした。
『おい、見たか!きーさん!ワシに挨拶もナシじゃ!ジョウジロウのやつめ!ワシにおじゃましますくらい言え!』
『すーさん、ここはワシの家だ。それにジョウジロウちゃんはあんたの孫だよ。』
『いや!もうそんなこたぁどうでもいい!トミオちゃんですらワシに声もかけん!いかん!いかんです!』
『町内みなすーさんと話せば性病になると思っとるんじゃよ。』
きーさんは
将棋のコマを一個一個拾った。
:08/06/03 19:35 :W51CA :zIUGw8LY
#798 [ザセツポンジュ]
『はぁ!!!?なんたる不謹慎!きーさん!トミオちゃんの部屋へ突入じゃ!』
バタン。
すーさんは足の裏に
将棋のコマを
2つ3つ踏んづけたまま
トミーの部屋へ移動した。
きーさんは
片付けもそこそこに
好き勝手やられちゃ
困ると、あとを追いかけた。
:08/06/03 19:39 :W51CA :zIUGw8LY
#799 [ザセツポンジュ]
『ヤァ!ヤァヤァヤァヤァヤァ!ヤヤヤヤヤ!』
『もうトミーったら、チュンリー使ったらひゃくれつキックしかやらないんだもんな!うぅ…』
『ヤヤヤヤヤ!ヤァヤァ』
『いちいち声に出さなくてもいいよ、トミー』
『ヤァヤァヤァヤァヤァ!』
ガチャ!
『ヤァ……ヤァヤァヤァヤァヤァ!!』
トミーは
部屋に入って来たすーさんを2度見して、プレイを続けた。
ジョウは見向きもしなかった。
『ヤァ!じゃないわ、クソガキどもめ!』
すーさんは足の裏に
貼りついた将棋のコマを
2人に思いくそ投げつけてテレビを消した。
『いて!』
『いてて!じーちゃん何してんの?付けてよテレビ!』
:08/06/03 19:46 :W51CA :zIUGw8LY
#800 [ザセツポンジュ]
すーさんは少年達から
コントローラーを取り上げた。
『まずは、ジョウジロウ。きさま、ワシに挨拶もなしにインベーダーゲームか!』
ジョウジロウの胸ぐらをつかみ鼻息を荒くさせた老人。
『違うよ、ストリートファイターだよ。ボクはエドモンド本田。トミーはチュンリー…』
『パキスタン塩田でもトミーフェブラリーでもどっちゃでもいいわい!』
ゴツン。
『うぅ…。やりやがったな木田シゲル…』
理不尽なすーさんは
きーさんからゲンコツをくらった。
きーさんのゲンコツは
痛いのだ。
:08/06/03 20:33 :W51CA :zIUGw8LY
#801 [ザセツポンジュ]
『そんなことより、トミオもジョウジロウちゃんも最近帰りが遅いじゃないか。部活か?』
きーさんの問いかけに
2人とも首を横に振った。
『女か?』
再び首を横に振った。
ゲンコツのダメージから、なんとか起き上がったすーさんは
きーさんにもたれかかった。
『ジョウジロウが女なワケないじゃろ。どうせ古本屋でエロ本の立ち読みでもしとるんじゃよ?このいかれぽんち!変態!』
弱ったすーさんを
平気な顔で再びどつき
きーさんは2人の顔を見た。
『おや?隠しごとかい?』
少年2人は顔を見合わせて笑って首を横に振った。
:08/06/03 20:39 :W51CA :zIUGw8LY
#802 [ザセツポンジュ]
『会議だよ。今度学校の参観日に集会があるんだ。それの話し合い。』
そう言ってトミーは
テレビを付けて
ゲームをセットした。
『ほお!ジョウジロウちゃんもその話し合いか!変態ではないんだな!』
ジョウはうなずき
トミーの横に座って
ツーコンを握った。
『きーさん、見に行こう!まだギリギリきれいなお母さんも何人かはいるだろう!』
『それはどうでもいいが、孫の晴れ舞台に家でワイドショーを見ているわけにはいかんからな!』
トミーとジョウは
いったんゲームを止め
くるっと振り返り
お互い、我が祖父を見つめ、声を揃えて言った。
『絶対に来ないでね。』
:08/06/03 20:47 :W51CA :zIUGw8LY
#803 [ザセツポンジュ]
------------------
(あぁ、とんでもないことをボクはしているんじゃないだろうか…今さら逃げられない…)
『。。。。』
校長は黙ったまま
次第に少し焦りだしていた。
トミーは
校長の焦りを見逃さなかった。
『では、これを見てくれたら校長も何か分かると思います。ジョウジロウちゃん!!アレ持って来て!』
(き…来た…。)
トミーの少し大きな声に生徒達も2階の父兄達にも緊張感が漂った。
:08/06/03 20:52 :W51CA :zIUGw8LY
#804 [ザセツポンジュ]
ジョウは
丸まった紙を抱えて
立ち上がった。
そして
近くにいる
エノシタさんを見た。
心臓もバクバク鳴る中
暗いステージ裏で
エノシタさんは
ジョウの肩にふれた。
『いってらっしゃい。』
こくん。と頷いた
14歳の少年。
ジョウの
心臓の高鳴りを
エノシタさんと
半分こできたなら。
(ボクはエノシタさんのことが好きなんだよ。とても好きなんだよ。)
:08/06/03 21:01 :W51CA :zIUGw8LY
#805 [ザセツポンジュ]
ジョウは
エノシタさんの目を
しっかり見つめたあと
歩き出した。
体育館中の視線が
ジョウに向けられている。
ラストボス。
校長とトミーの
目の前に立ち、
生徒達に背を向けた。
(ジョウジロウちゃん、お疲れ様。)
トミーはジョウを
見守った。
そしてゆっくりゆっくり丸めていた紙、大きなポスターを
広げて行った。
:08/06/03 21:09 :W51CA :zIUGw8LY
#806 [ザセツポンジュ]
『え?何?』
『何が書いてあるの?』
『な〜に〜??』
覗こうとしても
見られないポスターに
生徒達はもどかしさを
あらわにした。
皆がザワつくなか
ポスターで顔の隠れた校長。
目をひんむいて
口をガクガクさせていた。
トミーとジョウは
しっかりと見たのだ。
ラスボスを倒す瞬間を。
:08/06/03 21:13 :W51CA :zIUGw8LY
#807 [ザセツポンジュ]
『これを、いじめととらえますか!アートととらえますか!』
ジョウの声が
最後のとどめをさした。
:08/06/03 21:15 :W51CA :zIUGw8LY
#808 [ザセツポンジュ]
-------------------
オレが作ったこの
ポスターは
エノシタさんが
100人いる。
ジョウジロウが、オレの屋根裏部屋を尋ねて来たんだ。
たった1人の弟だ。
いつもと様子が違うのは察しがついた。
その時俺は
アンディーウォーホルの作品集を見て浸っているところだった。
:08/06/03 21:20 :W51CA :zIUGw8LY
#809 [ザセツポンジュ]
『…にーちゃん…ちょっと頼みがあるんだ。』
オレの弟は
優しい奴なんだ。
だけど少し内気で
不器用なだけなんだな。
14歳の少年は
ビニール袋に集めた紙くずを、ひっくり返してきた。
オレはその紙くずを
ひとつひとつ手にとって
見てみたんだ。
クーポン雑誌で
美容室の広告塔になったエノシタさん。
卑猥な言葉を書き殴られたエノシタさんもいれば、ビリビリに破られているエノシタさんもいて、落書きされているエノシタさんもいた。
:08/06/03 21:29 :W51CA :zIUGw8LY
#810 [ザセツポンジュ]
『ボクね、自分でやりたかったんだけど、うまい使い方を思いつかなくって。』
ショボンと肩を落とすジョウジロウだったが
ちょうど見ていた
アンディーウォーホルの作品集のこともあり
必ず素敵な
1枚のポスターにすることをオレは約束した。
『充分だよ。こんだけ回収したんだもの。よくやったよお前。』
毎日毎日
気づかれないように
ゴミ箱を一個一個
見回ったのだろうか。
そして初めて好きな子ができたことも思春期の少年には打ち明けにくかったのではないだろうか。
:08/06/03 21:35 :W51CA :zIUGw8LY
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