俺とコウの物語
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#312 []
「やかましいわ!!」

姫菜をうちわで仰いでいたコウが、驚いた表情で俺を見る。

なんでうちわ持ってんねんこいつは。

「なんですか志乃くん大きな声出さないで下さい」

「ベタベタすんなや!暑苦しい!!」

⏰:08/02/03 01:20 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#313 []
俺とコウが火花を散らしていると、困ったような表情の幸子が、

「電車、きたんちゃう?」

と指差した。

「あ、来ましたね。乗りましょう。志乃くん早く席取ってください」

「俺が!?」

「あなた以外誰が?」

お前じゃ!!

⏰:08/02/03 01:23 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#314 []
やはりいつものようにコウに使われやすい俺は、真っ先に四人用の席を取った。

「志乃くんもやればできるじゃないですか」

棒読みでコウが言い、席に座る。

礼くらい言わんかい!

⏰:08/02/04 03:20 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#315 []
伊豆までの電車内は
それはそれは地獄だった。コウの姫菜へのサービスはエンドレスで、見ている幸子はずっと苦笑い。
俺?俺はもちろんコウにやかましいオーラを出しまくった。まぁ完璧無視を決め込まれたけど。

ようやく地獄から伊豆へ到着した。

「やっと地獄から脱出!」

⏰:08/02/04 03:24 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#316 []
電車から降りるなり、でかい声で叫んだ俺を、コウは怪訝な顔つきで見る。

「地獄とは?」

「あ〜別に気にすんな」

イヤミったらしく言うてやった。

「そうですか」

気にせえや!!

⏰:08/02/04 03:26 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#317 []
イライラしながら別荘までの道のりを歩いていると、前方から幼い少女が歩いてきた。

「おや、あの子は…」

コウが少女を見ながら呟いた。

「知り合いか?」

「いえ、彼女、幼いながらお美しいです」

お前はロリコンか!

⏰:08/02/04 03:30 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#318 []
コウを不審者に思いながらも、俺も少女が気になった。

見る感じ小学5〜6年といったところか。

サラサラの長い髪に白い肌。伏せている目は、長いまつげにおおわれている。

美少女、といったところか。

でも俺はその美少女にそぐわない、あるものが気になっていた。

そう、彼女の右目には

眼帯がつけられていた。

⏰:08/02/04 03:35 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#319 []
「眼帯…」

「怪我でもされているのでしょうか」

綺麗な瞳がもったいない、とコウは言いながらも気にする様子もなく少女とすれ違った。

すれ違いざま、チラリと少女を見ると、彼女は眼帯をしていない左目で俺達を見、足早に歩いていった。

⏰:08/02/06 04:13 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#320 []
 
「やっと着いた〜」

長い道のりの果てにようやく別荘にたどり着いた。

「久しぶりですね」

久々に来た別荘相手に(?)コウは懐かしむように話しかけた。

不気味すぎる。

「コウ、懐かしむとこ悪いが、部屋割りはどーすんねん?」

⏰:08/02/06 04:17 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#321 []
もちろん俺と幸子が一部屋。コウと姫菜が一緒だろうが別々だろうがどーでもいい。幸子と一緒の部屋にしてくれ。

「そうですね…志乃くんの考え通りにしましょう」

よし!コウ!お前の株が上がっ…

「僕と志乃くん、幸子さんと姫菜さんでいいでしょうか?」

「はあ!?」

⏰:08/02/06 04:20 📱:P904i 🆔:☆☆☆


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