黒蝶・蜜乙女
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#131 [向日葵]
夕闇が迫る校内をカツカツ音を立てながら進む。
馬鹿みたい。
セツナに会えるかもって思っただけで気持ちがはやってしまう。
ワクワクしてしまう。
いつも通り、屋上まで足を運ぶ。
戸の前で一旦立ち止まる。
いる訳……ないって……。
それでもいいかと思い、恐る恐る戸の開く。
カチャ キィィィィ
油切れの戸が、音を立てて開く。
:07/07/11 17:41 :SO903i :cziG/xIA
#132 [向日葵]
寒い風が、隙間からサァと流れてくる。
蜜「さ、むー……い。」
そこには、夕暮れで妖しくも綺麗に照らされているセツナがいた。
柵にもたれて寝ている。
寒くないのかな……。
ゆっくりと近づく。
蜜「セツナ。起きて下さい…。」
セツナの体を揺さぶるけどセツナは起きない。
凍死したかしら……。
蜜「セツナ。セツナったら。」
:07/07/11 17:52 :SO903i :cziG/xIA
#133 [向日葵]
――――
――――
一旦キリます
:07/07/11 17:53 :SO903i :cziG/xIA
#134 [向日葵]
なんとなく顔を包みこんでみると
蜜「冷たっ。」
どれくらい此処にいたんだろう。
するとセツナの手が、顔を包んでいる私の手にゆっくり伸びてきた。
セツナ「……ん…。蜜……?」
蜜「蜜じゃありませんよ。こんな寒いところで何してるんですかっ。」
セツナ「お前の手……温かい。」
蜜「当たり前です。こんなトコにいたんですから。」
:07/07/11 18:48 :SO903i :cziG/xIA
#135 [向日葵]
なんだか寝ぼけているみたい……。
目半開きだし…。
蜜「帰りますよ。しゃんとして下さい!」
セツナ「んー……。」
そう言うと私に手を回してきて抱き寄せた。
蜜「ちょ、セツナ!」
セツナ「寒いからちょっと温めさせてくれ…。」
蜜「だから先に帰ったら良かったんですよ…。」
まったく。なんでよりによってこんなトコで寝てられるのか…。
:07/07/11 18:51 :SO903i :cziG/xIA
#136 [向日葵]
セツナは力を少し入れた。
セツナ「お前は俺の気持ちが分からんか。だから馬鹿なんだ。」
プチッ
もうすでに「馬鹿」が口癖になってしまってる。
あんまり嬉しくないな。
蜜「馬鹿だから分かりませんよっ。」
セツナ「お前と少しでも一緒にいたいからに決まってるだろう。」
そこで私は反論出来なくなった。
さらりとそんなクサイことよく言えるよ。
:07/07/11 18:55 :SO903i :cziG/xIA
#137 [向日葵]
蜜「それなら…っもう少しマシなトコにいて下さいよ。」
セツナ「一目散にここに来た癖に。」
耳元でククッとセツナが笑う。それがなんだか心地いい。
あーハイハイ。私が負けで結構です。
……だから
蜜「こんな寒いトコ、早く去りましょう。私も寒くなります!」
セツナ「ならあっためてやるよ。」
蜜「え……?」
セツナは私の耳元に唇を近付けた。
:07/07/11 18:59 :SO903i :cziG/xIA
#138 [向日葵]
セツナ「好きだ。」
吐息と魅惑の声が私の耳を突き抜ける。
一気に体温上昇。熱をぶり返しそう。
セツナは体を離してその効果を見てみる。
見なくても分かるだろうに……。
私の体を支える力が一気に無くなった。
蜜「み、耳…っ、耳元で……囁かないで下さいよっ……!!」
セツナ「クククク…。でも体は温まっただろ?ならいいだろ。」
「それに」とセツナは続けた。
セツナ「お前はからかうと可愛いからな。」
:07/07/11 19:14 :SO903i :cziG/xIA
#139 [向日葵]
―――!!!
頼むからもう止めて……。
蜜「体……温まったんですから帰りますよ……っ!」
セツナ「クスクス。ハイハイ。じゃあ、空中散歩は如何かな?花嫁殿。」
蜜「寒いのに余計寒くしてどうするんですかっ。」
セツナの背中辺りが微かに光を放つ。
セツナ「心配ない。また、温めればいいだけの話だ。」
そしてその魔法にまんまとかかるのがこの私。
……なんか不公平な気がする。
:07/07/11 19:29 :SO903i :cziG/xIA
#140 [向日葵]
セツナに抱きかかえられ、私は宙へと舞っていく。
あ。
蜜「セツナ降ろして!靴履き替えてない!!」
セツナ「気にするな。俺が明日向かえに来てやる。」
えー。
すっかり夜になった街並みは、光が点々としていた。
蜜「綺麗……。」
セツナ「嬉しいか。」
蜜「すごく。」
:07/07/11 19:34 :SO903i :cziG/xIA
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