「好き」と言いたい。
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#200 [あんみつ]
200達成
今日わ以上にします
感想板作ったんで、読んでくれた方わ一言でもコメントくれたら嬉しぃです

⏰:07/08/14 12:53 📱:N901iC 🆔:ygQ9hxEg


#201 [あんみつ]
感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2685/

⏰:07/08/14 13:05 📱:N901iC 🆔:ygQ9hxEg


#202 [我輩は匿名である]
 


 

⏰:07/08/14 13:09 📱:N903i 🆔:kKpIHO.w


#203 [あんみつ]
匿名さん
ん(゜∀。?)
よかったら読んでみて下さぃね

⏰:07/08/15 06:15 📱:N901iC 🆔:x81TabjI


#204 [あんみつ]
09、友達

――――――――
7/31 19:27
To 木原奈津美
Sub 無題

明日、暇??
話したい事あるよ。
――――――――
――――――――
7/31 19:35
From 木原奈津美
Sub Re:

暇だよー☆
じゃあ、うちにでも来る??
――――――――

⏰:07/08/17 08:32 📱:N901iC 🆔:3H5O1myQ


#205 [あんみつ]
――――――――
7/31 19:42
To 木原奈津美
Sub Re:Re:

そうするー!!
何時頃行けばいい??
――――――――
――――――――
7/31 19:45
From 木原奈津美
Sub Re2:Re:

いつでもいいよ。
来る前にメールしてね!!
――――――――

⏰:07/08/17 08:34 📱:N901iC 🆔:3H5O1myQ


#206 [あんみつ]
 
カチカチッ
「りょうかい・・・っと」
メールを送信して、私はベットに寝転がった。

奈津美に、全部話そう。
話したい、聞いてほしい。
健二の事も、あの子の事も、洋平君の事も。
私の気持ちも。
けど、上手く言葉にできるかな。

ピピーピーピー♪
携帯が鳴った。
私は、ベット脇の机の上に置いていた携帯を、寝たまま手を伸ばして取った。

⏰:07/08/17 08:36 📱:N901iC 🆔:3H5O1myQ


#207 [あんみつ]
――――――――
7/31 19:53
From 田村洋平
Sub Re:Re2:Re2:Re2:Re:

ねこちゃんって、猫飼ってんだ(笑)
今度、写メ見して!!
俺ん家は犬飼ってるよ。
――――――――
昨日、あれから洋平君とは、たわいもないメールのやり取りが続いている。
少しずつでも、知っていこうと思って。
 

⏰:07/08/17 08:37 📱:N901iC 🆔:3H5O1myQ


#208 [あんみつ]
――――――――
7/31 19:58
To 田村洋平
Sub Re2:Re2:Re2:Re2:Re:

いいよー☆
洋平君も、犬見してね!!
――――――――
今は、こんな何気ないメールのやり取りでも、何だか新鮮で、楽しい。
相手の事を知っていけるのが、何だか嬉しい。

・・・私、進めてるよね。
 

⏰:07/08/17 08:38 📱:N901iC 🆔:3H5O1myQ


#209 [あんみつ]
――――――――

ピーンポーン
お昼過ぎ、私は、奈津美の家のチャイムを鳴らした。
ガチャッ
ドアが開いて、奈津美が顔を出した。
「いらっしゃい!!入って入って」
そう言って、私を手招きする。
「おじゃましまーす!!」
私は玄関に入って、サンダルを脱いだ。
「飲み物持ってくから、先部屋行ってて」
「分かったー」
 

⏰:07/08/17 08:40 📱:N901iC 🆔:3H5O1myQ


#210 [あんみつ]
 
階段を上がっていって、奈津美の部屋のドアを開ける。
ぬいぐるみがいっぱい飾ってあって、女の子って感じの可愛らしい部屋。
(・・・何か久しぶりかも)
部屋を見渡していると、棚に飾ってある写真立てが目についた。
(あ・・・これ)
飾ってある写真は、1年の文化祭の時に撮った、奈津美と私が一緒に映っているやつ。

⏰:07/08/17 08:41 📱:N901iC 🆔:3H5O1myQ


#211 [あんみつ]
「おまたせー。オレンジジュースでいい??」
奈津美が、両手にオレンジジュースを持って入ってきた。
「うん、ありがと」
部屋の真ん中の丸テーブルに、奈津美と向かい合って座る。
私は、ジュースを1口飲んだ。

⏰:07/08/17 08:43 📱:N901iC 🆔:3H5O1myQ


#212 [あんみつ]
「何か、ねこがうち来るの久しぶりじゃない??」
奈津美も1口飲んで、言った。
「そう、私もさっき思った」
(前来たときは、写真飾ってなかったし)
私は、横目であの写真を見た。
自分と映っている写真が飾られているのは、少し照れ臭いけど、すごく嬉しい。
 

⏰:07/08/17 08:44 📱:N901iC 🆔:3H5O1myQ


#213 [あんみつ]
 
時間が経って、だいぶ暑さも落ち着いてきた。
奈津美は、自分からは話を切り出そうとしない。
私が、話し始めるのを待ってるんだ。

「・・・奈津美」
私は、ジュースを置いて口を開いた。
「うん??」
奈津美が、私の顔を見る。

⏰:07/08/17 08:46 📱:N901iC 🆔:3H5O1myQ


#214 [あんみつ]
「私、健二の事・・・」
私は、テーブルに置いた自分の手を見ながら続ける。
「・・・もうどうにもならないの。私、健二と喧嘩しちゃったし。健二は、佐古さんと付き合ってるし」
「うん・・・」
健二が佐古さんと一緒にいるのを、見た事があるのだろう。
奈津美は驚かなかった。
私はそこで、ジュースを飲んだ。

⏰:07/08/17 08:48 📱:N901iC 🆔:3H5O1myQ


#215 [あんみつ]
「・・・私・・・洋平君に告白されたの」
そして、一息ついた後に言った。
「・・・え??」
奈津美が、驚きの声を出す。
「・・・前に進みたいの。洋平君の事、好きになりたいの。だから・・・洋平君の事、もっと知りたいって、好きになりたいって。洋平君にもそう言った」
私は、自分の気持ちを言葉にするのに、必死だった。
奈津美は、何も言わない。

⏰:07/08/17 08:49 📱:N901iC 🆔:3H5O1myQ


#216 [あんみつ]
「健二の事以上に、洋平君の事、好きになれる気がするの。健二とは、・・・普通の幼なじみに戻れたらいいなって思う」
私は、言葉にできる限り、自分の気持ちを話した。
「・・・洋平君と付き合うの??」
私が話し終え、少しの沈黙の後、奈津美がやっと口を開いた。

⏰:07/08/17 08:50 📱:N901iC 🆔:3H5O1myQ


#217 [あんみつ]
「・・・前向きに考えるって、言ったから」
私の言葉に、奈津美は静かに「そっか」と言って、私の肩を叩いた。
「ねこが決めたなら・・・応援するよ!!」
そう言った奈津美の顔を見ると、笑顔だった。
だけど、どこかいつもと違う笑顔。
「ありがとう」
それを深く気に留めなかった私は、笑顔で言った。
 

⏰:07/08/17 08:52 📱:N901iC 🆔:3H5O1myQ


#218 [あんみつ]
――――――――

ピピーピーピー♪
地元の駅から家に帰る途中、メールが来た。
――――――――
8/1 16:28
From 田村洋平
Sub 無題

7日の夜って暇??
よかったら祭り行かない??
できれば2人で。
――――――――
 

⏰:07/08/17 08:53 📱:N901iC 🆔:3H5O1myQ


#219 [あんみつ]
 
7日の夜の祭りと言ったら、多分、高校の近くの川原である花火大会だ。
・・・去年は、健二と行った。

(・・・できれば2人で)
携帯の画面のその7文字が、私の頭に、照れたように笑う洋平君の顔を思い起こさせる。
胸が、小さくキュンと鳴った気がした。
 

⏰:07/08/17 08:54 📱:N901iC 🆔:3H5O1myQ


#220 [あんみつ]
 
カチカチッ
「送信・・・っと」

――――――――
8/1 16:36
To 田村洋平
Sub Re:

行けるよ☆
何時に待ち合わす??
2人でもいいよ。
――――――――

前を見る。
振り返らない。
・・・これでいいんだ。
 

⏰:07/08/17 08:56 📱:N901iC 🆔:3H5O1myQ


#221 [あんみつ]
09は以上です
感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2685/
読んでくれた方は、一言でも感想くれると嬉しぃです

⏰:07/08/17 09:01 📱:N901iC 🆔:3H5O1myQ


#222 [あんみつ]
10、手と手


「奈子、今日お祭り行くんでしょ??」

お母さんが、庭で水やりをしながら聞いてきた。

「うん、行くけど??」

私は、リビングで漫画を読みながら答える。

「浴衣着なくていいの??」

ページをめくる手が止まった。

「浴衣・・・」
 

⏰:07/08/23 16:34 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#223 [あんみつ]
 
「あんた、去年は着たじゃない」

お母さんは水やりを終えて、今度は草を抜き始めた。

「去年は・・・」

私は、口を閉じた。

(・・・健二と一緒だったから)
 

⏰:07/08/23 16:36 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#224 [あんみつ]
 
「別にいいけど、せっかくあるんだから・・・」

「・・・着る」

「へ??」

呟いた私の言葉を、聞き取れなかったお母さんが聞き返す。

「着て行く!!」

今度ははっきりと言って、私は浴衣を探しに、2階へ駆け上がった。

 

⏰:07/08/23 16:37 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#225 [あんみつ]
――――――――


携帯を開くと6時25分だった。

浴衣に手間取って、遅れるかと思って急いできたけど、まだ待ち合わせの5分前だった。

「ふぅー・・・」

私は、学校の校門にもたれた。

前を、祭りに向かう浴衣の人達が通っていく。
 

⏰:07/08/23 16:41 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#226 [あんみつ]
 
『ねこ、歩くの遅せー』

『だって!!下駄とかめったに履かないし』

こんな会話をしながら、去年は、健二とこの道を通った。

何だかんだ文句言いながらも、健二は歩く速度をゆるめてくれた。

時々、振り向いて私を見てくれた。
 

⏰:07/08/23 16:42 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#227 [あんみつ]
 
私は下駄を、カランと鳴らした。

携帯を見ると、丁度29分から30分へと変わった。

「ごめん!!待った??」

それと同時に、洋平君が来た。

「・・・ふ、きゃはは!!」

「えっ、どしたの??」

突然笑いだした私を見て、洋平君が不思議そうに聞く。
 

⏰:07/08/23 16:43 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#228 [あんみつ]
 
「だって!!洋平君、30分なった瞬間に来るんだもん」

私は、携帯の画面を見せた。

「あー、ほんとだ。けど・・・」

洋平君は、自分の携帯を開いて、私に見せる。

「俺のはまだ29分」

洋平君が言った瞬間、30分に変わった。
 

⏰:07/08/23 16:45 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#229 [あんみつ]
 
「「・・・」」

私と洋平君は、顔を見合わせる。

「洋平君、めっちゃ時間通りー!!」

「ははっ!!・・・行こっか??」

洋平君は笑顔で言った。

「うん!!」

私達は、川原に向かって歩き始めた。
 

⏰:07/08/23 16:46 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#230 [あんみつ]
 
「あー・・・と」

歩きながら洋平君が言った。

「ん??どしたの??」

私が聞くと、洋平君はこっちをチラッと見て、また前を向いた。

「えっと・・・浴衣、似合うね」

そう言うと、洋平君は照れ臭そうに、右手で自分の髪をクシャッとした。
 

⏰:07/08/23 16:47 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#231 [あんみつ]
 
そんな洋平君を見ると、私も照れ臭くなって、何だかドキドキする。

「あ、ありがと・・・」

私の言葉に、洋平君は照れたように笑った。

それにつられて、私も笑う。

(・・・あれ??)

何だか歩くのが楽だ。
 

⏰:07/08/23 16:48 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#232 [あんみつ]
 
「俺、今年の祭りこれが初だよ」

「あ、私もー」

洋平君は、ずっと私の隣を歩いている。

(・・・もしかして、歩調合わせてくれてる??)

洋平君と私とじゃ、歩幅が違いすぎる。

意識して歩かなきゃ、並んで歩けるはずがない。

気付いたら、顔がほてっていく気がした。
 

⏰:07/08/23 16:50 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#233 [あんみつ]
 
健二とは、また違う優しさ。

何か、こういうの、いいなって思った。

洋平君とメールをしても、直接話しても、純粋に楽しいと思った。

無理しなくていい、泣かなくていい。

幸せって、こんなのかなって思った。

 

⏰:07/08/23 16:51 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#234 [あんみつ]
――――――――


「うわー!!人すげーね」

屋台で賑わう川原は、すでに人でいっぱいだった。

「ねー!!お祭りって感じ」

ソース系の匂いが、食欲をそそる。

「とりあえず、回ってみる??」

「うん!!」

人込みの中を、屋台を見ながら進んで行く。
 

⏰:07/08/23 16:55 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#235 [あんみつ]
 
「ねこちゃん、何食べたい??」

「んー・・・わっすみません」

キョロキョロしながら歩いていると、すれ違う人にぶつかった。

「大丈夫??」

洋平君が聞いた。

「うん、平気」

笑って言うと、洋平君は突然私の手首を掴んだ。
 

⏰:07/08/23 16:56 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#236 [あんみつ]
 
そして、私に洋平君のTシャツの裾を掴ませた。

「俺の服、掴んどきなよ」

そう言って、洋平君は手を離した。

「・・・ありがと」

手には、かすかにまだ洋平君の体温が残っていて、ドキドキした。
 

⏰:07/08/23 16:57 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#237 [あんみつ]
 
「・・・あ、私!!お好み焼き食べたい!!」

ドキドキに耐えきれなくなった私は、とっさに、目についたお好み焼きの屋台を指差して言った。

「お、いいね。・・・混んでるな」

そう言うと、洋平君は、屋台とは逆方向に歩いていく。

洋平君の服を掴んだまま、私もついていく。
 

⏰:07/08/23 16:58 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#238 [あんみつ]
 
洋平君は、私を屋台が見える、木の所まで連れてきた。

「よし、ここで待ってて。俺、買ってくるから」

そう言うと、人込みの中へと消えていく。

軽く握っていた私の手から、洋平君の服がするりとぬけた。

私は、握っていた手を見つめる。
 

⏰:07/08/23 17:00 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#239 [あんみつ]
 
何だか、まだ温かい。

指も、心も。

心臓の鼓動が聞こえる。

私、洋平君の事、好きになっていってるのかな。

太鼓の音が聞こえる。

辺りは、暗くなってきた。
 

⏰:07/08/23 17:01 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#240 [あんみつ]
 
『ぎゃー!!綿飴で手ベタベタするー』

『ちょっ、俺に付けんな!!』

去年、私がベタベタの手で、健二の手を触ろうとしたら、逃げられたっけ。

「あ、ねこじゃん。やっほー」

クラスの女子が通って、私も手を振り返した。

ここの祭りは、地元の人だけでなく、うちの高校の生徒がけっこう来る。
 

⏰:07/08/23 17:02 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#241 [あんみつ]
 
(・・・健二も来てるのかな)

誰と来てるんだろう。

やっぱり・・・

考えて前を向くと、私の予想通りの光景があった。

向こうを健二と、浴衣姿の佐古さんが歩いていく。

見たくないのに。

何で見つけてしまうんだろう。

2人は、手を繋いでいた。
 

⏰:07/08/23 17:05 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#242 [あんみつ]
 
そのまま2人は、人込みで見えなくなった。

「おまたせ!!」

ハッと横を見ると、洋平君がお好み焼きを持って、立っていた。

「あ・・・ありがと」

私は、お好み焼きを受け取る。

「・・・何かあった??」

「え、別に??向こうで食べよー!!」

私は笑顔で言って、洋平君に背を向けて歩きだす。
 

⏰:07/08/23 17:07 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#243 [あんみつ]
 
嘘だ。

このもやもやする気持ちは、嘘だ。

私には関係ないんだ。

私たちは、土手の斜面に腰を下ろした。

食べながら、洋平君と、いろいろ話した。

笑いながら話した。
 

⏰:07/08/23 17:08 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#244 [あんみつ]
 
一緒にいると楽しいし、安心するし、心が温かくなる。

この気持ちは、嘘じゃない。

だから、私は・・・

 

⏰:07/08/23 17:09 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#245 [あんみつ]
――――――――


お好み焼きを食べた後、また屋台を回って、綿飴とかき氷を食べた。

ベタベタする手はちゃんと洗って、家で食べようと林檎飴を1本買った。

あの2人を見かけることは、もうなかった。

「あ、そろそろ花火始まるかな??」

洋平君が、携帯を開いて言った。
 

⏰:07/08/23 17:13 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#246 [あんみつ]
 
「じゃあ、土手行こっか??」

私の右手には、林檎飴。

左手には、洋平君の服。

私たちは、人の流れに乗って土手に向かう。

土手には、すでに人が大勢いた。
 

⏰:07/08/23 17:14 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#247 [あんみつ]
 
私は、洋平君の服を離した。

花火は、まだあがらない。

「・・・洋平君」

「ん??」





「私・・・洋平君と付き合う」
 

⏰:07/08/23 17:16 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#248 [あんみつ]
 
「・・・へ??」

ドンッ!!

花火があがった。

私は洋平君を見る。

花火の光に照らされた顔は、驚きから、だんだんと笑顔に変わっていく。

私は、恥ずかしさでいっぱいだった。

けど、洋平君の笑顔を見たら、私も自然に笑えて、嬉しかった。
 

⏰:07/08/23 17:17 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#249 [あんみつ]
 
洋平君が、そっと、私の左手を握った。

何か言ったのだろう。

洋平君の口が動いたけど、花火の音と歓声で聞き取れなかった。

私がぽかんとしていると、洋平君が、私の耳に口を近付け、そして離した。

耳元で聞こえた言葉。


『大事にする』

 

⏰:07/08/23 17:20 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#250 [あんみつ]
 
私の耳だけでなく、全身を熱くしたその言葉は、私は進んでるという、確かな確信をくれた。

きっと、もっと好きになる。

洋平君の手を、ギュッと握り返し、私は上を見上げた。
 

⏰:07/08/23 17:21 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#251 [あんみつ]
 
 
どうか、私の選んだ言葉が、行動が、進む道が、間違っていませんように。

流れ星の代わりに、夜空に咲く花に祈った。
 
 

⏰:07/08/23 17:22 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#252 [あんみつ]
10は以上です
改行多めにしてみましたご意見お願いします

感想板
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⏰:07/08/23 17:27 📱:N901iC 🆔:d/x858V.


#253 [あんみつ]
11、祭りの後に


私が健二に告白しようとした、あの七夕の日。

あれから、丁度1ヵ月。

8月7日。

私は、洋平君と付き合うことを決めた。

 

⏰:07/08/30 10:22 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#254 [あんみつ]
――――――――


「送ってくれて、ありがとね」

「うん・・・連絡する」

洋平君は、握った手をなかなか離そうとしない。

「・・・うん」

私が答えると、洋平君は手を離した。
 

⏰:07/08/30 10:25 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#255 [あんみつ]
 
「じゃーな!!」

そう言って、私に背を向ける。

「バイバイ!!」

背中に向かって言うと、洋平君は振り向いて、笑顔で右手を軽く挙げた。

私は、洋平君が曲がり角を曲がるまで、その後ろ姿を見ていた。
 

⏰:07/08/30 10:26 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#256 [あんみつ]
 

何だか、不思議な感じ。

私、洋平君と付き合うんだなぁって、あらためて思った。

こうやって、前に進むんだなぁって。


(・・・家入ろっかな)

私は、家の門に手を掛けて、ふと上を見た。
 

⏰:07/08/30 10:28 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#257 [あんみつ]
 
「・・・わー」

思わず声が出た。

今日は、月がきれいだ。

私は、門の所の段差に座って、月を見上げた。

(・・・あの日は、曇ってたな)
 

⏰:07/08/30 10:30 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#258 [あんみつ]
 
『16年の付き合いなめんなよ』

そう言ったのは、健二。

・・・16年だよ??

16年も一緒にいて、今まで、1ヵ月近く話さないなんて事なかった。

こんなになるなんて、思ってなかった。

・・・私が悪いんだけど。
 

⏰:07/08/30 10:32 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#259 [あんみつ]
 
けど、やっぱり、戻りたい。

邪魔な気持ち、全部捨てて、ただの「幼なじみ」に。

私、もう迷わないから。

このままは嫌だよ。
 

⏰:07/08/30 10:33 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#260 [あんみつ]
 
ザッザッ

誰かの足音が聞こえる。

私は、音のする方を見た。

(・・・あ)

健二だ。

向こうから、健二が歩いてくる。

佐古さんは、いない。
 

⏰:07/08/30 10:34 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#261 [あんみつ]
 
(え・・・うそ)

私は、下を向いた。

足音が、だんだん近づいてくる。

(どうしよ・・・)

ドクドクと、自分の心臓の音が聞こえる。

・・・そのまま、健二は私の前を通り過ぎた。
 

⏰:07/08/30 10:36 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#262 [あんみつ]
 
足音が遠ざかっていく。

私はそっと顔を上げて、健二の後ろ姿を見た。


行ってしまう。

・・・いいの??

このままでいいの??

何も言わなくていいの??
 

⏰:07/08/30 10:39 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#263 [あんみつ]
 
私、前に進んでるよ。

健二の幸せを、祈れるよ。

邪魔な気持ちは、捨てる。

だから、戻りたい。

「幼なじみ」に戻りたい。

・・・ねぇ、健二は??
 

⏰:07/08/30 10:41 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#264 [あんみつ]
 

私は、立ち上がった。

(・・・健・・・二)

「っ・・・健二!!」

呼び止めた。

健二が、前を向いたまま止まった。

そして、ゆっくりと振り向く。
 

⏰:07/08/30 10:43 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#265 [あんみつ]
 
(あ、どうしよ・・・何て言おう)

顔が熱い。

健二が、完全に私の方を向いた。

足が震える。

健二の顔を正面から見るのも、久しぶりだ。

月と電灯の明かりの下、健二は無表情で私を見る。
 

⏰:07/08/30 10:44 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#266 [あんみつ]
 
私は何か言おうと口を開くが、言葉がでない。

視界がにじむ。

今、泣いたらダメだ。

ダメなのに・・・。

私は、目をギュッとつむり、手を握り締めた。

(何で・・・)
 

⏰:07/08/30 10:47 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#267 [あんみつ]
 


「・・・おせーんだよ、たこ」

健二の声だ。

私が驚いて目を見開くと、健二は優しく微笑んだ。

変わらない笑顔。
 

⏰:07/08/30 10:50 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#268 [あんみつ]
 
あぁ、健二だ。

話してくれた。

私を、ちゃんと見てくれてる。


「・・・うぇ」

泣いたらダメだと思うのに、健二の笑顔を見ると、涙がこぼれた。
 

⏰:07/08/30 10:51 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#269 [あんみつ]
 
「おい、何泣いてんだよ」

そう言って、健二が私に近づく。

「ひっ・・・健・・・二」

「ん??」

「・・・ごめん、ね」
 

⏰:07/08/30 10:52 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#270 [あんみつ]
 
 
健二、ごめんね。

こんな風に、泣いちゃって。

避けて、向き合えなくて、ごめんね。

健二、ありがとう。

こんな私を、見離さないでくれて。
 

⏰:07/08/30 10:55 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#271 [あんみつ]
 
伝えたい事は、たくさんあるんだよ。

上手く言葉にできないけど。

ねぇ、健二。

私たち、幼なじみに戻れるの??
 

⏰:07/08/30 10:56 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#272 [あんみつ]
 

「・・・俺も、ごめんな」

(違う・・・健二が悪いんじゃない)

私は、首を横に振った。

健二が、ゆっくり右手をあげる。

バチッ!!

「いったー!!?」

私は、おでこを押さえた。
 

⏰:07/08/30 10:58 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#273 [あんみつ]
 
頭を撫でられるかと思ったら、デコピンされた。

「いつまで泣いてんだよ!!」

笑いながら、健二は門の前に座る。


・・・そっか、佐古さんがいるんだもん。

私の頭なんか、撫でちゃダメだよね。
 

⏰:07/08/30 10:59 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#274 [あんみつ]
 
私も健二の横に座る。

痛みのお陰で、涙は止まったみたいだ。

私は、また月を見上げる。

もう、大丈夫。


「・・・健二、佐古さんと付き合ってんだよね??」
 

⏰:07/08/30 11:01 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#275 [あんみつ]
 
ずっと、健二に聞きたかった事。

聞けなかった事。

だけど、今なら大丈夫。

だから・・・答えて、健二。


健二も、私と同じように上を見ている。

「・・・あぁ」

健二がうなずいた。
 

⏰:07/08/30 11:04 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#276 [あんみつ]
 

・・・今度は、ごまかさずに言ってくれたね。

ちゃんと、健二の口から聞けた。

きっと、洋平君と付き合う前の私だったら、受けとめられなかった。

けど、今なら、受け入れられるよ。
 

⏰:07/08/30 11:06 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#277 [あんみつ]
 

「ねこは・・・洋平と付き合ってんだろ??」

健二が聞いてきた。

隠すことはない。

私も、真っすぐ返さなきゃ。
 

⏰:07/08/30 11:07 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#278 [あんみつ]
 
「・・・うん」

私が答えると、健二は私の肩を軽く叩いた。

「洋平、いい奴だからな!!」

笑顔で言う健二の手を、私は押し返した。

「分かってるよー。・・・健二も!!佐古さん大事にしてあげなよ!!」

私も、笑って言えた。
 

⏰:07/08/30 11:09 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#279 [あんみつ]
 
「おう!!・・・なぁ、ねこ」

「ん??」

私は、健二の方を見る。

「俺・・・ねこには、幸せになってほしいって、思ってるから」

言い切ると、健二は立ち上がった。
 

⏰:07/08/30 11:10 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#280 [あんみつ]
 
(・・・健二)

まぶたの裏が、熱くなった。

けど、それ以上に胸が熱くなった。

「・・・私もだよ!!」

 

⏰:07/08/30 11:11 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#281 [あんみつ]
――――――――


健二の想いが、すごく嬉しかった。

私と同じだったから。


もう、迷わない。

私たちは「幼なじみ」。
 

⏰:07/08/30 11:14 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#282 [あんみつ]
 
別々の道を行くけど、繋がってられる。

お互いの幸せを祈れる。

そんな関係。

これからも、続けていこうね。

これからも、ずっと・・・。
 

⏰:07/08/30 11:15 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#283 [あんみつ]
11は以上です
読んでくれた方がいたら、是非コメントお願いします

感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2685/

⏰:07/08/30 11:19 📱:N901iC 🆔:cFsPMBtA


#284 [あんみつ]
12、日常


「いってきまーす!!」

外に出て、私は門の前に立った。

朝日が眩しい。

8月も、もうすぐ終わりだというのに、暑さは和らぐどころか、厳しさを増した気がする。
 

⏰:07/09/17 16:51 📱:N901iC 🆔:r..DyAZc


#285 [あんみつ]
 
(・・・待ってていいよね)

私は、健二の家の方を見た。

まだ、出て来る気配はない。

私は、門の前に座った。


『俺・・・ねこには、幸せになってほしいって、思ってるから』

・・・私もだよ。

私も、健二に幸せになってほしい。

 

⏰:07/09/17 16:53 📱:N901iC 🆔:r..DyAZc


#286 [あんみつ]
 

バシッ!!

「・・・ったぁー!!」

上を見上げると、健二が立っていた。

「行くぞ、ねこ」

睨み付ける私を横目に、健二は笑って歩きだす。

何だか、懐かしいこの感じ。
 

⏰:07/09/17 16:55 📱:N901iC 🆔:r..DyAZc


#287 [あんみつ]
 
バンッ!!

私は立ち上がって、勢いをつけて健二の背中を叩いた。

「いてーよ!!」

健二が振り向く。

「ばーかっ!!」

私は、そのまま健二を追い越して笑った。

 

⏰:07/09/17 16:56 📱:N901iC 🆔:r..DyAZc


#288 [あんみつ]
 

あの時、勇気を出して呼んで良かった。

元に戻れて良かった。

『幼なじみ』

これが、私たちの適当な距離。

・・・変わらない日常が戻ってきた。

 

⏰:07/09/17 16:58 📱:N901iC 🆔:r..DyAZc


#289 [あんみつ]
――――――――


「じゃあ、これで決まりで。自分の出る種目、覚えといてくださーい」

体育委員の言葉に返事をして、みんな帰り支度を始める。

「なーつみっ!!一緒の種目にできて良かったねー」

私は、奈津美の腕に飛び付いた。
 

⏰:07/09/17 16:59 📱:N901iC 🆔:r..DyAZc


#290 [あんみつ]
 
「ねー!!しかも、綱引きと玉入れって。めっちゃ楽だし!!」

奈津美も、私の手を取って飛び跳ねる。

9月10日にある体育祭。

リレー系に出ずにすんで、私はとにかく嬉しかった。
 

⏰:07/09/17 17:01 📱:N901iC 🆔:r..DyAZc


#291 [あんみつ]
 
笑い合っていると、急に奈津美の動きが止まった。

振り向いて奈津美の目線の先を見ると、教室のドアの所に洋平君がいた。

私を見て手招きをする。

「あ、ちょっとごめんね」

奈津美に一言言って、私は洋平君の元に行った。
 

⏰:07/09/17 17:05 📱:N901iC 🆔:r..DyAZc


#292 [あんみつ]
 

あのお祭りの次の日。

奈津美に電話をして、洋平君と付き合うことにした事、それと、健二と仲直りした事を話した。

奈津美は黙って私の話を聞いて、「そっか・・・良かったね!!」って言ってくれた。
 

⏰:07/09/17 17:06 📱:N901iC 🆔:r..DyAZc


#293 [あんみつ]
 

「洋平君、どしたの??」

付き合い始めてから、学校で会うのは初めてだ。

何だか照れ臭い。

「いや・・・一緒に帰らん??」

一瞬、健二の顔が頭をよぎった。

(・・・健二も佐古さんと帰るかな)
 

⏰:07/09/17 17:08 📱:N901iC 🆔:r..DyAZc


#294 [あんみつ]
 
「・・・うん、いいよ!!ちょっと待ってて」

私は荷物を取りに、再び教室に入った。

「ごめん、奈津美!!私、帰るね」

カバンを持って奈津美に言った。

「うん、バイバイ!!」

そう言って、奈津美は笑顔で私の背中を押した。

 

⏰:07/09/17 17:09 📱:N901iC 🆔:r..DyAZc


#295 [あんみつ]
――――――――


洋平君と付き合い始めて、2回、2人で出かけた。

1回目は映画を見て、2回目は街を歩いた。

2回共、途中手をつないだ。
 

⏰:07/09/17 17:10 📱:N901iC 🆔:r..DyAZc


#296 [あんみつ]
 

「ねこちゃん、体育祭何出るん??」

洋平君は自転車を押しながら、車道側を歩く。

「綱引きと玉入れ!!」

「えー、めっちゃ楽じゃん!!」

本気で羨ましそうな洋平君がおかしくて、私は笑った。
 

⏰:07/09/17 17:12 📱:N901iC 🆔:r..DyAZc


#297 [あんみつ]
 
「洋平君は??何出るの??」

「俺は、借り物競争と100mリレー」

「うわ、頑張ってー!!借り物とか、お題引くの怖くない??」

「こえー!!あれ、人が出たりするし」

「去年、健二なんか校長先生借りてたしねー!!」
 

⏰:07/09/17 17:14 📱:N901iC 🆔:r..DyAZc


#298 [あんみつ]
 
(・・・あ)

健二の名前を出した後、しまったと思った。

今まで、健二の話題を出すのを、避けていた訳じゃないけど、出ることはなかった。

「校長と手つないでゴールしたの、うけたよなー!!健二、今年も出ることになってたよ」

私の心配をよそに、洋平君は会話を続ける。

(・・・大丈夫だったかな)
 

⏰:07/09/17 17:15 📱:N901iC 🆔:r..DyAZc


#299 [あんみつ]
 

いろいろ話していたら、いつのまにか私の家の前だった。

洋平君は、自転車かごからカバンを取って、私に渡す。

「ありがと」

「うん・・・あのさ!!」

洋平君は、片手で頭をかいた。

私は黙って、次の言葉を待つ。
 

⏰:07/09/17 17:17 📱:N901iC 🆔:r..DyAZc


#300 [あんみつ]
 
「・・・借り物競争、健二も出るけど・・・ねこちゃんは俺の事、応援してほしい・・・」

言い終わって、洋平君は頭をかいていた手で顔をおおった。

そんな洋平君が、すごく可愛くて、いとおしく感じた。

「・・・もちろん!!」

私の言葉に、洋平君は照れ臭そうに笑った。

「・・・じゃ、また!!」

「うん、ばいばい!!」

 

⏰:07/09/17 17:18 📱:N901iC 🆔:r..DyAZc


#301 [あんみつ]
――――――――


やっぱり気にしてたんだ。

健二は私の幼なじみで、洋平君の友達でもあるから、その内、話題にはなったと思う。

それでも、洋平君からならともかく、私の口から健二の話題を出したのは、無神経だったかもしれない。

洋平君は、私が健二を好きだった事、知ってる訳だし。
 

⏰:07/09/17 17:20 📱:N901iC 🆔:r..DyAZc


#302 [あんみつ]
 
けど、私は洋平君と付き合ってるんだよ。

それが、私の答え。

健二とは、もうただの幼なじみだし。

話すたび、洋平君の良い所を知って、好きになってる。

付き合ってるっていう、実感も湧いてきた。

きっと、これからは洋平君といる事が、日常になっていくんだ。
 

⏰:07/09/17 17:21 📱:N901iC 🆔:r..DyAZc


#303 [あんみつ]
 

私は立ち上がって、机の上のカレンダーをめくり、9月10日の所に赤ペンで丸をした。

もうすぐ、体育祭だ。
 

⏰:07/09/17 17:22 📱:N901iC 🆔:r..DyAZc


#304 [あんみつ]
300突破だぁ
だいぶ日にち空いたけど、読んでくれてる人いるのかな
読んでくれた方は感想お願いします

感想板
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⏰:07/09/17 17:27 📱:N901iC 🆔:r..DyAZc


#305 [あんみつ]
13、体育祭


ピンポンパンポーン

{100mリレーと二人三脚に出る選手は、入場門に集合して下さい}

太陽の照りつけるグラウンドに、今日何度目かの放送が流れた。
 

⏰:07/09/24 17:13 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#306 [あんみつ]
 
「洋平君出るんだっけ??」

頭にタオルをかぶった奈津美が聞く。

「うん、100mリレー」

答えながら、私は日焼け跡防止のために、半袖の体操服を更にまくった。

「あ、前空いたよ。行く??」

応援テントの1番前を陣取っていた集団が、どこかに行ったみたいだ。
 

⏰:07/09/24 17:15 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#307 [あんみつ]
 
「うん、やった!!」

2人で空いた所に移動して、座りなおす。

やっぱり、前がいなかったらよく見える。

が、代わりに影が何もなくなったので、すごく暑い。

太陽の光が、容赦なくジリジリと肌を刺す。

奈津美と同様に、私も頭にタオルをかぶった。
 

⏰:07/09/24 17:17 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#308 [あんみつ]
 
前の種目の選手が、退場門から出ていく。

それと入れ代わりに、100mリレーに出る選手が、入場門から駆け足で入ってきた。

「あ、洋平君いたよ」

奈津美が早々と見つけて、指差した。
 

⏰:07/09/24 17:19 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#309 [あんみつ]
 
1番後ろに並んだ洋平君は、アンカーらしい。

2組のクラスカラーの、黄色いたすきを付けている。

色黒の肌に引き締まった筋肉、おまけに背の高い洋平君。

(何か・・・格好いい)

思った後、片手で頬を押さえると、ただでさえ熱いのに、私の顔はさらに熱さを増していた。
 

⏰:07/09/24 17:20 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#310 [あんみつ]
 
「あ、始まるよ」

パンッ!!

奈津美が言い終わるのとほぼ同時に、ピストルがなった。

各クラス1番手の選手が、一斉に走りだす。

途端にグラウンドは、応援や歓声に包まれた。
 

⏰:07/09/24 17:22 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#311 [あんみつ]
 
1人100mずつ走って、次の人にバトンをつなげていく。

応援席はクラスごとなので、後ろは「7組行けー!!」とか、声を張り上げて叫んでいる。

そんな中で、違うクラスの応援をしてたら、反感を買ってしまいそう。

(・・・声出して応援はできないな)
 

⏰:07/09/24 17:24 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#312 [あんみつ]
 
考えてるうちに、それぞれのクラス、走っているのはすでに4人目の走者になっていた。

走るのは5人なので、次がアンカー。

洋平君の番だ。

アンカーの選手たちは、立ってバトンを待っている。

今のところ、2組は2位。

1位は・・・あ、うちのクラスだ。
 

⏰:07/09/24 17:27 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#313 [あんみつ]
 
差がなかなか縮まらない。

変わらないまま、洋平君にバトンが渡った。

「わ・・・はや」

速い。

洋平君はぐんぐんスピードを上げて、うちのクラスのアンカーと並んだ。

競り合いながら、私たちの応援席の前を通過する。
 

⏰:07/09/24 17:28 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#314 [あんみつ]
 
「洋平君、速いじゃん!!」

奈津美が私の肩を叩いてくる。

私はうなずきながら、洋平君を目で追う。

わずかに洋平君がリードして、そのままゴールした。
 

⏰:07/09/24 17:31 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#315 [あんみつ]
 
「すごい!!1位だー!!」

私は、肩に置かれっぱなしだった奈津美の手を取った。

「ねー!!すごい速かった!!」
奈津美も私の手を持って、ぶんぶんと振り回す。

「うん!!めっちゃすご・・・い」
 

⏰:07/09/24 19:38 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#316 [あんみつ]
 
(・・・やば)

私たちに向けられているのは、7組一同の冷たい眼差し。

私の様子を見て、奈津美もそれに気付いたらしい。

私の手を離して、へへっと苦笑いをしながら、そっと立ち上がって応援席から出ようとする。

私もそれに続いて、応援席から抜け出した。

 

⏰:07/09/24 20:53 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#317 [あんみつ]
 

「あー、失敗したー」

応援席から離れて、私は言った。

けど、本当は口で言うほど気にしてない。

みんなの冷たい眼差しより、走る洋平君の姿が目に焼き付いて離れない。

思い出すと、また顔がほてってきた。

「やっちゃったよねー。けど、ほんと速かった!!」

奈津美もたいして気にしてなさそう。
 

⏰:07/09/24 20:55 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#318 [あんみつ]
 
ピンポンパンポーン

{これで午前の部を終了します。12時40分まで休憩なので、各自お昼をとって下さい}

「もう昼なんだ。お弁当取り行こー」

「うん」

 

⏰:07/09/24 20:56 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#319 [あんみつ]
――――――――


昇降口に着いて、朝クラスごとにお弁当を集めた段ボール箱から、自分のを探す。

「あ、あった!!」

他の人のお弁当をひっくり返さないように、私は自分のを取り出した。

「どうする??この辺で食べる??影だし」

「だねー。あ、あそこは??」

そう言って、奈津美は昇降口前に植えてある木の下を指差した。
 

⏰:07/09/24 20:58 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#320 [あんみつ]
 
私たちは木の下に移動して、囲いのわずかな段差に座った。

「いただきまーす」

お茶で喉を潤した後、私はお弁当を広げて、手をあわせた。

「お、旨そうじゃん」

卵焼きを食べようとすると、上から声がした。
 

⏰:07/09/24 20:59 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#321 [あんみつ]
 
上を向くと、案の定、健二が立っていた。

日に焼けたのか、何となく朝会った時より、鼻が赤くなっている気がする。

「健二、自分のあるでしょー」

私は止まっていた箸を動かして、卵焼きを口に入れた。

「うちの、冷凍食品ばっかだし」

健二は言いながら、私の前にしゃがむ。
 

⏰:07/09/24 21:01 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#322 [あんみつ]
 
「うわ、おばさんに言ってやろーっと」

私は笑いながら、唐揚げに箸を伸ばす。

「どーぞ、ご自由に」

私の箸が唐揚げを取る前に、健二の指が唐揚げをさらっていった。

「あー!!ちょっと!!」

「うめー!!じゃあな」

健二は唐揚げを口に入れると、さっさと友達の元に戻っていった。
 

⏰:07/09/24 21:02 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#323 [あんみつ]
 
「あーあ、唐揚げ・・・」

「ははっ!!相変わらずだねー」

横でやりとりを見ていた奈津美が笑う。
 

⏰:07/09/24 21:03 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#324 [あんみつ]
 
「ほんとに!!全然成長しないよね」

「ねこもねー」

奈津美の言葉に、私はうなった。

ふと奈津美のお弁当を見ると、いつのまにかだいぶ食べ進んでいる。

それを見て私は、慌ててご飯を口に運んだ。

 

⏰:07/09/24 21:04 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#325 [あんみつ]
――――――――


私が食べ終わった時には、もう12時半で、午後1番の綱引きにでる私たちは、早足でグラウンドに向かう。

「あ、ねこちゃん!!」

呼ばれて立ち止まると、洋平君が駆け寄ってきた。

「洋平君、1位おめでとー!!すごい速かった!!ね、奈津美!!」
 

⏰:07/09/24 21:28 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#326 [あんみつ]
 
「あ、うん!!」

急に話をふったからか、奈津美は慌てて何度もうなずいた。

「そ??ありがとう」

洋平君は、私と奈津美の顔を交互に見て言った。

「ねこちゃんは??あと綱引きだっけ??」

「うん、そう。洋平君、借り物頑張ってね!!」

「おう、綱引きもな!!」
 

⏰:07/09/24 21:29 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#327 [あんみつ]
 
「うん!!ごめん、行こ、奈津美」

再び早足で入場門に向かう。

「・・・ねぇ、ねこ」

「ん??」

ピンポンパンポーン

{綱引きと障害物競走に出る選手は、入場門に集まって下さい}
 

⏰:07/09/24 21:30 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#328 [あんみつ]
 
「やば、急ご!!あ、ごめん、何??」

「いや・・・何か2人、付き合ってるって感じしてきたなーって!!」

そう言って、奈津美は私の肩をこづく。

「へ??そう??」

改めて言われると、少し照れ臭かった。

 

⏰:07/09/24 21:31 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#329 [あんみつ]
――――――――


「あー、手の皮むけた」

綱引きを終えて、私たちは応援席に戻った。

手の皮がむけるまで頑張った甲斐あって、結果はなんと1位。

これで100mリレーで、うちのクラスを応援しなかったことは、許してほしい。

まぁ、もうみんな忘れてるみたいだけど。
 

⏰:07/09/30 21:16 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#330 [あんみつ]
 
何となく、前に行きにくい私たちは、応援席の後ろの方に座っていた。

「借り物っていつだっけ??」

奈津美に聞かれて、私はポケットからプログラムを取り出す。

「えっと・・・あ、もう次だ」

「えー。前、行けるかなー」
 

⏰:07/09/30 21:17 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#331 [あんみつ]
 
前には、すでに自分の競技に出終わって、動かなさそうな人たち。

「・・・ちゃんと見たいんだけどなー」

(・・・健二も出るし)

・・・

(・・・いや、私が応援するのは洋平君だし)

思った後、すぐに思い直した。

 

⏰:07/09/30 21:19 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#332 [あんみつ]
 

『・・・借り物競走、健二も出るけど・・・ねこちゃんには俺の事、応援してほしい・・・』


そう。

私が付き合ってるのは、洋平君だもん。

健二より、洋平君を応援するのは当たり前だ。

 

⏰:07/09/30 21:20 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#333 [あんみつ]
 

{次は借り物競走です。選手が入場します}

アナウンスがかかって、私はハッとした。

借り物競走は、わが校の体育祭の中で、盛り上がる種目の1つ。

前にいる人たちがすでに立ち上がっているので、よく見えない。

「もー!!見えないー」

奈津美もいつのまにか立ち上がって、私の横で飛び跳ねている。
 

⏰:07/09/30 21:21 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#334 [あんみつ]
 
私も遅れて立ち上がった。

パンッ!!

ピストルが鳴った。

始まったみたいだ。

歓声が一層大きくなる。

私も奈津美同様、飛び跳ねてみるが、やっぱり見えない。

(・・・え??)

こりずに飛び跳ねていると、急に、前に見える人の頭が、私のいる所を境に、だんだん両側に分かれていく。
 

⏰:07/09/30 21:22 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#335 [あんみつ]
 
(何??まさか、私が見えるように??)

バカなことを考えていると、私のすぐ前にいた背の高い男子が、私の方を振り向く。

そして右によけた。

「ねこ!!」

私の前の視界が開けたのと同時に、声がした。

人と人の間をぬって、声の主が私に向かって走ってくる。
 

⏰:07/09/30 21:24 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#336 [あんみつ]
 
「ねこ、来い!!」

声の主、健二は、私の手首をつかんで引っ張った。

「え??ちょっと、何!?」

私の質問には答えずに、健二は私を、リレーのコースに連れ出した。

「走れ、ねこ!!」

健二は、私の手首を引いて走りだす。

それにつられて、私の足も動く。
 

⏰:07/09/30 21:25 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#337 [あんみつ]
 
応援席からは、キャーとかワーとか、歓声がさらに激しさを増す。

(・・・何なの??)

走るスピードが上がった。

私は、健二に引かれるままに全速力で走る。

「・・・はぁ・・・はぁ」

必死で走るが、足が速い方でない私が、健二のスピードについていけるわけがない。
 

⏰:07/09/30 21:26 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#338 [あんみつ]
 
健二の手が、私の手首から離れた。

それに気付いた健二は振り向いて、今度は私の手をしっかりと握る。

「大丈夫か??あとちょっとだから、頑張れ!!」

そう言って健二は、ゆっくりと走りだす。

今度は、駆け足程度のスピードで。

 

⏰:07/09/30 21:27 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#339 [あんみつ]
 

前方に、白いテープが見えた。

ゴールだ。

あと少し・・・。

・・・3m、2m、1m。


パンッ!!

健二と、2人で並んでゴールした。

途端、私は健二の手を放して、その場にしゃがみこんだ。
 

⏰:07/09/30 21:28 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#340 [あんみつ]
 
「・・・はぁ・・・はぁ」

久しぶりに走ったせいか、かなりしんどい。

その時、健二も隣にしゃがんで、私の頭に手を置いた。

「よく頑張りました。ありがとな!!」

そう言って、ぽんぽんと叩く。

だんだんと落ち着いてくる。
 

⏰:07/09/30 21:29 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#341 [あんみつ]
 
私は、大きく深呼吸した。

「はぁ・・・何??私が借り物だったの??」

私が聞くと、健二はニヤーっと笑いながら、手に持っていた紙を見せる。

「そう!!お題は"猫目の女子"」

そう言うと健二は、私の目元を指差した。
 

⏰:07/09/30 21:30 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#342 [あんみつ]
 
「はぁ!?何、猫目って!!」

「ほんとのことじゃん」

そう言って笑う健二の指先を、私は払った。

「1位の人、こっちに並んでくださーい!!」

1位の旗を持った体育委員が、私たちを呼んだ。
 

⏰:07/09/30 21:31 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#343 [あんみつ]
 
「ほら、行くぞ」

健二は立ち上がって、私に手を差し出す。

私はそれを掴んで、勢いをつけて立ち上がった。
 

⏰:07/09/30 21:32 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#344 [あんみつ]
 
「・・・ふ」

「何だよ??」

「健二の手、汗かいてるー」

私は手を放して、ひらひらと振ってみせた。

「は??ねこの汗だろ!!」

健二に頭をこずかれて、私は笑った。

 

⏰:07/09/30 21:33 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#345 [あんみつ]
――――――――


ねぇ、健二。

猫目の女の子なんて、他にもいるでしょ??

なのに、私の所に来たって事は、健二にとって私の存在は、けっこう大きなものなんだって、思ってもいい??

彼女じゃなくても、特別な存在なんだって、うぬぼれてもいい??

 

⏰:07/09/30 21:43 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#346 [あんみつ]
 

健二の手の温もりや、優しさ。

ずっと、ずっと変わらないでね。

 

⏰:07/09/30 21:44 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#347 [あんみつ]
13話目は以上です
長くなっちゃった
よかったら読んでみてください

感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2685/36-40

⏰:07/09/30 21:48 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#348 [あんみつ]
14、想い


私は、まわりが見えていなかった。

健二といると、あまりに楽しかったから。

健二の手が、あまりに温かかったから。


・・・私にとって、健二の存在は絶対だった。

 

⏰:07/10/08 14:19 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#349 [あんみつ]
――――――――


私は、間違っていたのかもしれない。

健二と一緒に、素直に走るべきじゃなかったのかもしれない。

後からゴールしてきた洋平君と、目が合って思った。

 

⏰:07/10/08 14:26 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#350 [あんみつ]
 

風が吹いて、グラウンドの砂を舞い上げる。

私は思わず目を閉じ、風が止むのを待って、また開いた。

(・・・あ)

洋平君は、私からすっと目をそらした。

そして、4位の旗の前に並ぶ。
 

⏰:07/10/08 14:32 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#351 [あんみつ]
 
気付いた健二が、心配そうに私の方を振り向いた。

「・・・ねこ、俺」

「ん??大丈夫だよ」

私は、健二の言葉をさえぎって言った。

 

⏰:07/10/08 14:34 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#352 [あんみつ]
 

健二は、きっと「ごめん」って言おうとしたんだ。

「ごめん」なんて言わないで。

健二は悪くない。

私、嬉しかった。

健二が、私の所に来てくれて。
 

⏰:07/10/08 14:36 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#353 [あんみつ]
 
楽しかった。

健二と笑い合えて。

けど、私は・・・間違っていたのかもしれない。

私を見た洋平君の目は、悲しそうだった。

 

⏰:07/10/08 14:37 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#354 [あんみつ]
――――――――


「えーみんな、おつかれ!!7組、総合3位を祝って!!乾杯!!」

「「かんぱーい!!」」

みんな口々に言って、近くの人と缶をぶつけ合う。

小さめの缶ジュースは、担任から、生徒38人への差し入れ。
 

⏰:07/10/08 14:39 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#355 [あんみつ]
 
「おつかれー!!」

「おつかれ!!」

私も近くの人たちと乾杯し、最後に奈津美と缶をぶつけて1口飲んだ。

オレンジの甘酸っぱさが、口の中に広がる。

 

⏰:07/10/08 14:41 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#356 [あんみつ]
 

借り物が終わって、すぐ応援席に戻った。

何か、洋平君に言うべきかと思ったけど、何を言えば良いのか分からなかった。

「ねこ、すごかったねー!!」

応援席に戻ると、みんな口々に言った。
 

⏰:07/10/08 14:46 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#357 [あんみつ]
 
「ねぇ、やっぱねこと竹本君って付き合ってるの??」

今まで何度もされてきた質問。

私は、洋平君と付き合っていることを、奈津美と健二以外に言っていない。

言わなくても、その内気付かれると思ったし、言う気にもなれなかった。
 

⏰:07/10/08 16:21 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#358 [あんみつ]
 
洋平君と付き合ってても、健二を手放そうとしない自分が、ずるいのは分かってるから。

健二を手放せない自分が、臆病なのも分かってるから。

だから私は、ただいつも通りの言葉を返す。

「ただの幼なじみだよー」

言い慣れたはずの言葉が、何となく重くて、痛かった。

 

⏰:07/10/08 16:23 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#359 [あんみつ]
 

「・・・こ、ねこ!!」

奈津美が私の顔を覗き込んでいた。

「あ、ごめん。何??」

教室は盛り上がって、そこら中でカメラのシャッター音が響いていた。
 

⏰:07/10/08 21:24 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#360 [あんみつ]
 
「いや、別に何でもないけど・・・疲れた??」

奈津美が心配そうに聞く。

「んー・・・ちょっとね」

私は、両手で缶を握り締めた。

 

⏰:07/10/08 21:25 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#361 [あんみつ]
 

私は、間違っていたのかな??

きっと私は、これからも健二を手放せない。

絶対に失いたくない存在。

大切な人。

私は、この気持ちを、誰に伝えればいいんだろう。

誰に・・・。

 

⏰:07/10/08 21:27 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#362 [あんみつ]
 

ガタッ

私は残りのジュースを一気に飲んで、立ち上がった。

「ねこ??」

「ごめん、奈津美・・・私帰るね!!」

荷物を引っ掴んで、私は教室を出た。

 

⏰:07/10/08 21:28 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#363 [真帆]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400

⏰:07/10/08 21:30 📱:F902i 🆔:7aA1iCdQ


#364 [あんみつ]
――――――――


うまく言えるか分からない。

けど、伝えなきゃならない。

じゃないと、また私は、あの人を傷つける。

傷つけたくない。

傷つけてはいけない。

私のことを想ってくれる気持ちを、裏切ることになるから。

だから・・・

 

⏰:07/10/08 21:51 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#365 [あんみつ]
真帆さん
アンカー(?)ありがとうございます

⏰:07/10/08 21:53 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#366 [あんみつ]
 

ドンッ!!

廊下の曲がり角で、誰かにぶつかってよろけた。

「わっごめん!!・・・て、ねこちゃん??」

「・・・洋平君」

「ごめん、大丈夫??」

洋平君は、借り物の前と変わらない、優しい目で私を覗き込む。

その目を見て、私はほっとした。
 

⏰:07/10/08 21:59 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#367 [あんみつ]
 
「あ、うん。大丈夫」

(・・・前もこんなことあったな)

「そっか。どしたの急いで??」

「洋平君のとこ・・・行こうと思って」

私が言うと、洋平君は驚いた顔をした。
 

⏰:07/10/08 22:01 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#368 [あんみつ]
 
「俺も、ねこちゃんのクラス行くところだった」

そう言って、洋平君はふっと笑った。

洋平君が笑うから、私も笑えた。

(・・・よかった)
 

⏰:07/10/08 22:02 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#369 [あんみつ]
 
「じゃぁ・・・」

「一緒に帰ろっか」

私が言う前に、洋平君が言った。

「・・・うん」


この人に、伝える。

 

⏰:07/10/08 22:03 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#370 [あんみつ]
――――――――


グラウンドに、私と、自転車を押す洋平君の影が伸びる。

みんなまだそれぞれの教室で騒いでいるのか、外にいる生徒は少なく、静かだった。

「あーなんか疲れたな」

そう言うと、洋平君は首を回した。
 

⏰:07/10/19 22:13 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#371 [あんみつ]
 
「洋平君、100mすごかったしねー!!」

私の言葉に、洋平君は照れ臭そうに「まーな」と言った。

校門を出ると、洋平君はさり気なく車道側に行く。

いつも通りの優しさが、今の私の心にひしひしと伝わってくる。
 

⏰:07/10/19 22:16 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#372 [あんみつ]
 
(・・・言わなきゃ)

「・・・洋」

チリンチリーン

後ろで自転車のベルが鳴った。

洋平君が私の前に来て、1列になる。

2人乗りをした他校の学生が、私たちの横を通り抜けた。
 

⏰:07/10/19 22:17 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#373 [あんみつ]
 
後ろに乗った小柄な女の子が、前の男子の大きな背中にしがみついている。

自転車が通り過ぎて、洋平君は再び私の横に並んだ。

タイミングを逃した私は、口をつぐむ。

「・・・俺が」

洋平君が口を開いた。
 

⏰:07/10/19 22:18 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#374 [あんみつ]
 
私は、洋平君の方を見た。

「・・・俺が、後ろにねこちゃんを乗せないのは・・・歩いて帰って、少しでも長く、ねこちゃんと話していたいから」

洋平君は前を見据えている。

夕日に照らされて、その横顔はオレンジ色だった。
 

⏰:07/10/19 22:20 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#375 [あんみつ]
 
「・・・健二よりも長く、ねこちゃんと一緒にいたいって思うから」

(・・・あ)

「・・・洋平君、健二は」

「分かってる」

洋平君は、私の言葉をさえぎった。

「・・・分かってるよ。ねこちゃんにとっても、健二にとっても・・・お互いが大事なのは」

洋平君は、片手で軽く頭を押さえた。
 

⏰:07/10/19 22:23 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#376 [あんみつ]
 
「けど・・・ねこちゃんの1番って誰??俺は、健二以上になれないの??」

歩くスピードを落とすことなく、洋平君は続ける。

「・・・そんな」

口の中が乾く。

(そんなこと・・・)

言葉がでない。
 

⏰:07/10/19 22:25 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#377 [あんみつ]
 
「・・・ごめん、意地悪言った」

洋平君が、やっと私の方を向いた。

「ごめんな。・・・ただ、健二に嫉妬してるだけだから」

立ち止まって、私の頭を撫でる。

「あとちょっとだけど・・・後ろ乗る??」

そう言って、洋平君は自転車の後ろを手で叩いた。
 

⏰:07/10/19 22:29 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#378 [あんみつ]
 
「・・・うん」

私は頷いた。

洋平君の後ろに乗って、両手で座っている荷台を掴む。

私が乗ったのを確認して、洋平君は自転車を漕ぎ始めた。

ゆっくりと進む。

お互い何も言わない。

 

⏰:07/10/19 22:31 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#379 [あんみつ]
 

あまり、顔を見られたくなかった。

多分、今私は、泣きそうな顔してる。

何も言えなかった。

きっと、また傷つけた。

『ごめん』って。

言うのは私の方だよ。


洋平君の広い背中を見ると、胸が締め付けられる思いがした。

 

⏰:07/10/19 22:32 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#380 [あんみつ]
――――――――


洋平君は、私の家のすぐ前で自転車を止めた。

私は降りて、洋平君からカバンを受け取る。

上手く目を見れない。

けど、このままじゃダメだ。

何か言わなきゃ。

「・・・私」

口を開いたけど、言葉が見つからない。
 

⏰:07/10/19 22:43 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#381 [あんみつ]
 
(なんで・・・)

喉が熱い。

洋平君の顔を見れずに、私はうつむいた。

すると、頭を2度、優しく叩かれた。
 

⏰:07/10/19 22:45 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#382 [あんみつ]
 
「ありがとう・・・じゃ」

洋平君が言い終わると同時に、頭から手が離れた。

私がそっと前を向くと、洋平君はすでにだいぶ進んでいた。

後ろ姿を見ていたら、また泣きそうになった。

 

⏰:07/10/19 22:51 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#383 [あんみつ]
 

あの手に私は、何度救われただろう。

なのに、私は傷つけてばかり。

「ごめん」も「ありがとう」も、みんな私のセリフだよ。

 

⏰:07/10/19 23:04 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#384 [あんみつ]
 

『ねこちゃんの1番って誰??』

あの時、何も言えなかったのは、洋平君の顔を見れなかったのは・・・。


私は門の前に座り込んだ。

「・・・なんで」

 

⏰:07/10/19 23:07 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#385 [あんみつ]
 

あの時、1番に頭に浮かんだのは・・・健二の顔だった。


私には洋平君がいるのに。

私、洋平君のこと好きだよ??

なのに、まだまだ「好き」が足りないの??

 

⏰:07/10/19 23:09 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#386 [あんみつ]
 

考えても考えても、自分の想いの深さは分からなくて。

けど、確かに言えるのは、健二を手放すっていう選択肢は、私の中になかったということ。


ねぇ、健二。

私は・・・ずるい。

 

⏰:07/10/19 23:12 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#387 [あんみつ]
14話目は以上です
感想くれると嬉しいです
感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2685/

⏰:07/10/19 23:15 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#388 [我輩は匿名である]
>>312-400

⏰:07/10/20 10:18 📱:P903i 🆔:LFsXw3nI


#389 [あんみつ]
匿名さん
ぁりがとぅござぃます
今から少し更新します

⏰:07/10/28 21:28 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#390 [あんみつ]
15、明後日


体育祭から1週間たった。

洋平君とは一緒に帰ったりもしたけど、当たり障りのない会話しかしていない。

不自然なのは分かってる。

けど私は、どうすればいいのか、自分がどうしたいのか、分からなかった。

 

⏰:07/10/28 21:33 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#391 [あんみつ]
――――――――


「なぁ、ねこ日曜暇??」

「へ??日曜??」

間抜けな声が出て、健二に笑われた。

「はっ!!・・・久しぶりに2人でどっか行こー」

健二は靴を履きかえながら、平然と言った。

(・・・健二と2人で)
 

⏰:07/10/28 21:40 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#392 [あんみつ]
 
「・・・おい、何止まってんの」

靴を持って止まったままの私の手を、健二がはたく。

「あ、えーと・・・」

私は、靴を下駄箱にしまいながら考える。

「何か用事ある??」

(ないけど・・・)
 

⏰:07/10/28 21:42 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#393 [あんみつ]
 
「おっす、健二!!1時間目体育だよな??」

がっちりした感じの男子が、健二の肩を叩いた。

「あ、やべ!!ねこ、ごめん先行くわ。メールしろよ!!」

「あ、うん」

私がうなずいたのを確認して、健二は友達と階段を駆け上がっていった。

 

⏰:07/10/28 21:49 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#394 [あんみつ]
 

何で誘ってくれたんだろう。

ただの気紛れ??

けど、理由はどうであれ・・・嬉しい。

健二と2人で出かけるのなんて、ほんと久しぶり。
 

⏰:07/10/28 21:51 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#395 [あんみつ]
 
けど・・・

今、健二と2人で出かけてる場合じゃない。

分かってる。

分かってるのに。

・・・胸が高鳴る自分がいるのを、私は否定できなかった。

 

⏰:07/10/28 21:54 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#396 [あんみつ]
――――――――


(・・・どうしよ)

みんながだんだんと帰り始める中、私はまだ自分の席に座ったままでいた。


何だかんだで、洋平君は放課後、いつも私を迎えにきてくれる。

だけど、待ってるだけじゃダメな気がする。

私からも動かなきゃ。

 

⏰:07/10/28 21:58 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#397 [あんみつ]
 

(・・・よし!!)

「ねこー!!呼んでるよー」

私が立ち上がった時、ドアの所にいる友達に呼ばれた。

(え、洋平君かな??出遅れちゃった・・・)

かばんを持って、足早にドアの所へ向かう。

「・・・あ」

驚きを、思わず声に出してしまった。
 

⏰:07/10/28 21:59 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#398 [あんみつ]
 
「こんにちは。あの・・・ちょっといいですか??」

目の前にいるのは・・・佐古さん。


健二の・・・彼女。

 

⏰:07/10/28 22:01 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#399 [あんみつ]
――――――――


カチカチッ

――――――――
9/17 16:02
To 田村洋平
Sub 無題

ごめん!!
今日用事できたから、先帰ってて(pω・`)
――――――――
 

⏰:07/10/29 16:14 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#400 [あんみつ]
 
パコンッ

携帯を閉じて、私は前を向いた。

それに気付いて、佐古さんが振り向く。

「ごめんね。・・・で、話って・・・??」

私は、恐る恐る聞いた。

けど、本当は何を言われるか、何となく分かる。
 

⏰:07/10/29 16:16 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


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