「好き」と言いたい。
最新 最初 全 
#200 [あんみつ]
:07/08/14 12:53
:N901iC
:ygQ9hxEg
#201 [あんみつ]
:07/08/14 13:05
:N901iC
:ygQ9hxEg
#202 [我輩は匿名である]
:07/08/14 13:09
:N903i
:kKpIHO.w
#203 [あんみつ]
匿名さん


ん(゜∀。?)
よかったら読んでみて下さぃね


:07/08/15 06:15
:N901iC
:x81TabjI
#204 [あんみつ]
09、友達
――――――――

7/31 19:27
To 木原奈津美
Sub 無題
明日、暇??
話したい事あるよ。
――――――――
――――――――

7/31 19:35
From 木原奈津美
Sub Re:
暇だよー☆
じゃあ、うちにでも来る??
――――――――
:07/08/17 08:32
:N901iC
:3H5O1myQ
#205 [あんみつ]
――――――――

7/31 19:42
To 木原奈津美
Sub Re:Re:
そうするー!!
何時頃行けばいい??
――――――――
――――――――

7/31 19:45
From 木原奈津美
Sub Re2:Re:
いつでもいいよ。
来る前にメールしてね!!
――――――――
:07/08/17 08:34
:N901iC
:3H5O1myQ
#206 [あんみつ]
カチカチッ
「りょうかい・・・っと」
メールを送信して、私はベットに寝転がった。
奈津美に、全部話そう。
話したい、聞いてほしい。
健二の事も、あの子の事も、洋平君の事も。
私の気持ちも。
けど、上手く言葉にできるかな。
ピピーピーピー♪
携帯が鳴った。
私は、ベット脇の机の上に置いていた携帯を、寝たまま手を伸ばして取った。
:07/08/17 08:36
:N901iC
:3H5O1myQ
#207 [あんみつ]
――――――――

7/31 19:53
From 田村洋平
Sub Re:Re2:Re2:Re2:Re:
ねこちゃんって、猫飼ってんだ(笑)
今度、写メ見して!!
俺ん家は犬飼ってるよ。
――――――――
昨日、あれから洋平君とは、たわいもないメールのやり取りが続いている。
少しずつでも、知っていこうと思って。
:07/08/17 08:37
:N901iC
:3H5O1myQ
#208 [あんみつ]
――――――――

7/31 19:58
To 田村洋平
Sub Re2:Re2:Re2:Re2:Re:
いいよー☆
洋平君も、犬見してね!!
――――――――
今は、こんな何気ないメールのやり取りでも、何だか新鮮で、楽しい。
相手の事を知っていけるのが、何だか嬉しい。
・・・私、進めてるよね。
:07/08/17 08:38
:N901iC
:3H5O1myQ
#209 [あんみつ]
――――――――
ピーンポーン
お昼過ぎ、私は、奈津美の家のチャイムを鳴らした。
ガチャッ
ドアが開いて、奈津美が顔を出した。
「いらっしゃい!!入って入って」
そう言って、私を手招きする。
「おじゃましまーす!!」
私は玄関に入って、サンダルを脱いだ。
「飲み物持ってくから、先部屋行ってて」
「分かったー」
:07/08/17 08:40
:N901iC
:3H5O1myQ
#210 [あんみつ]
階段を上がっていって、奈津美の部屋のドアを開ける。
ぬいぐるみがいっぱい飾ってあって、女の子って感じの可愛らしい部屋。
(・・・何か久しぶりかも)
部屋を見渡していると、棚に飾ってある写真立てが目についた。
(あ・・・これ)
飾ってある写真は、1年の文化祭の時に撮った、奈津美と私が一緒に映っているやつ。
:07/08/17 08:41
:N901iC
:3H5O1myQ
#211 [あんみつ]
「おまたせー。オレンジジュースでいい??」
奈津美が、両手にオレンジジュースを持って入ってきた。
「うん、ありがと」
部屋の真ん中の丸テーブルに、奈津美と向かい合って座る。
私は、ジュースを1口飲んだ。
:07/08/17 08:43
:N901iC
:3H5O1myQ
#212 [あんみつ]
「何か、ねこがうち来るの久しぶりじゃない??」
奈津美も1口飲んで、言った。
「そう、私もさっき思った」
(前来たときは、写真飾ってなかったし)
私は、横目であの写真を見た。
自分と映っている写真が飾られているのは、少し照れ臭いけど、すごく嬉しい。
:07/08/17 08:44
:N901iC
:3H5O1myQ
#213 [あんみつ]
時間が経って、だいぶ暑さも落ち着いてきた。
奈津美は、自分からは話を切り出そうとしない。
私が、話し始めるのを待ってるんだ。
「・・・奈津美」
私は、ジュースを置いて口を開いた。
「うん??」
奈津美が、私の顔を見る。
:07/08/17 08:46
:N901iC
:3H5O1myQ
#214 [あんみつ]
「私、健二の事・・・」
私は、テーブルに置いた自分の手を見ながら続ける。
「・・・もうどうにもならないの。私、健二と喧嘩しちゃったし。健二は、佐古さんと付き合ってるし」
「うん・・・」
健二が佐古さんと一緒にいるのを、見た事があるのだろう。
奈津美は驚かなかった。
私はそこで、ジュースを飲んだ。
:07/08/17 08:48
:N901iC
:3H5O1myQ
#215 [あんみつ]
「・・・私・・・洋平君に告白されたの」
そして、一息ついた後に言った。
「・・・え??」
奈津美が、驚きの声を出す。
「・・・前に進みたいの。洋平君の事、好きになりたいの。だから・・・洋平君の事、もっと知りたいって、好きになりたいって。洋平君にもそう言った」
私は、自分の気持ちを言葉にするのに、必死だった。
奈津美は、何も言わない。
:07/08/17 08:49
:N901iC
:3H5O1myQ
#216 [あんみつ]
「健二の事以上に、洋平君の事、好きになれる気がするの。健二とは、・・・普通の幼なじみに戻れたらいいなって思う」
私は、言葉にできる限り、自分の気持ちを話した。
「・・・洋平君と付き合うの??」
私が話し終え、少しの沈黙の後、奈津美がやっと口を開いた。
:07/08/17 08:50
:N901iC
:3H5O1myQ
#217 [あんみつ]
「・・・前向きに考えるって、言ったから」
私の言葉に、奈津美は静かに「そっか」と言って、私の肩を叩いた。
「ねこが決めたなら・・・応援するよ!!」
そう言った奈津美の顔を見ると、笑顔だった。
だけど、どこかいつもと違う笑顔。
「ありがとう」
それを深く気に留めなかった私は、笑顔で言った。
:07/08/17 08:52
:N901iC
:3H5O1myQ
#218 [あんみつ]
――――――――
ピピーピーピー♪
地元の駅から家に帰る途中、メールが来た。
――――――――

8/1 16:28
From 田村洋平
Sub 無題
7日の夜って暇??
よかったら祭り行かない??
できれば2人で。
――――――――
:07/08/17 08:53
:N901iC
:3H5O1myQ
#219 [あんみつ]
7日の夜の祭りと言ったら、多分、高校の近くの川原である花火大会だ。
・・・去年は、健二と行った。
(・・・できれば2人で)
携帯の画面のその7文字が、私の頭に、照れたように笑う洋平君の顔を思い起こさせる。
胸が、小さくキュンと鳴った気がした。
:07/08/17 08:54
:N901iC
:3H5O1myQ
#220 [あんみつ]
カチカチッ
「送信・・・っと」
――――――――

8/1 16:36
To 田村洋平
Sub Re:
行けるよ☆
何時に待ち合わす??
2人でもいいよ。
――――――――
前を見る。
振り返らない。
・・・これでいいんだ。
:07/08/17 08:56
:N901iC
:3H5O1myQ
#221 [あんみつ]
:07/08/17 09:01
:N901iC
:3H5O1myQ
#222 [あんみつ]
10、手と手
「奈子、今日お祭り行くんでしょ??」
お母さんが、庭で水やりをしながら聞いてきた。
「うん、行くけど??」
私は、リビングで漫画を読みながら答える。
「浴衣着なくていいの??」
ページをめくる手が止まった。
「浴衣・・・」
:07/08/23 16:34
:N901iC
:d/x858V.
#223 [あんみつ]
「あんた、去年は着たじゃない」
お母さんは水やりを終えて、今度は草を抜き始めた。
「去年は・・・」
私は、口を閉じた。
(・・・健二と一緒だったから)
:07/08/23 16:36
:N901iC
:d/x858V.
#224 [あんみつ]
「別にいいけど、せっかくあるんだから・・・」
「・・・着る」
「へ??」
呟いた私の言葉を、聞き取れなかったお母さんが聞き返す。
「着て行く!!」
今度ははっきりと言って、私は浴衣を探しに、2階へ駆け上がった。
:07/08/23 16:37
:N901iC
:d/x858V.
#225 [あんみつ]
――――――――
携帯を開くと6時25分だった。
浴衣に手間取って、遅れるかと思って急いできたけど、まだ待ち合わせの5分前だった。
「ふぅー・・・」
私は、学校の校門にもたれた。
前を、祭りに向かう浴衣の人達が通っていく。
:07/08/23 16:41
:N901iC
:d/x858V.
#226 [あんみつ]
『ねこ、歩くの遅せー』
『だって!!下駄とかめったに履かないし』
こんな会話をしながら、去年は、健二とこの道を通った。
何だかんだ文句言いながらも、健二は歩く速度をゆるめてくれた。
時々、振り向いて私を見てくれた。
:07/08/23 16:42
:N901iC
:d/x858V.
#227 [あんみつ]
私は下駄を、カランと鳴らした。
携帯を見ると、丁度29分から30分へと変わった。
「ごめん!!待った??」
それと同時に、洋平君が来た。
「・・・ふ、きゃはは!!」
「えっ、どしたの??」
突然笑いだした私を見て、洋平君が不思議そうに聞く。
:07/08/23 16:43
:N901iC
:d/x858V.
#228 [あんみつ]
「だって!!洋平君、30分なった瞬間に来るんだもん」
私は、携帯の画面を見せた。
「あー、ほんとだ。けど・・・」
洋平君は、自分の携帯を開いて、私に見せる。
「俺のはまだ29分」
洋平君が言った瞬間、30分に変わった。
:07/08/23 16:45
:N901iC
:d/x858V.
#229 [あんみつ]
「「・・・」」
私と洋平君は、顔を見合わせる。
「洋平君、めっちゃ時間通りー!!」
「ははっ!!・・・行こっか??」
洋平君は笑顔で言った。
「うん!!」
私達は、川原に向かって歩き始めた。
:07/08/23 16:46
:N901iC
:d/x858V.
#230 [あんみつ]
「あー・・・と」
歩きながら洋平君が言った。
「ん??どしたの??」
私が聞くと、洋平君はこっちをチラッと見て、また前を向いた。
「えっと・・・浴衣、似合うね」
そう言うと、洋平君は照れ臭そうに、右手で自分の髪をクシャッとした。
:07/08/23 16:47
:N901iC
:d/x858V.
#231 [あんみつ]
そんな洋平君を見ると、私も照れ臭くなって、何だかドキドキする。
「あ、ありがと・・・」
私の言葉に、洋平君は照れたように笑った。
それにつられて、私も笑う。
(・・・あれ??)
何だか歩くのが楽だ。
:07/08/23 16:48
:N901iC
:d/x858V.
#232 [あんみつ]
「俺、今年の祭りこれが初だよ」
「あ、私もー」
洋平君は、ずっと私の隣を歩いている。
(・・・もしかして、歩調合わせてくれてる??)
洋平君と私とじゃ、歩幅が違いすぎる。
意識して歩かなきゃ、並んで歩けるはずがない。
気付いたら、顔がほてっていく気がした。
:07/08/23 16:50
:N901iC
:d/x858V.
#233 [あんみつ]
健二とは、また違う優しさ。
何か、こういうの、いいなって思った。
洋平君とメールをしても、直接話しても、純粋に楽しいと思った。
無理しなくていい、泣かなくていい。
幸せって、こんなのかなって思った。
:07/08/23 16:51
:N901iC
:d/x858V.
#234 [あんみつ]
――――――――
「うわー!!人すげーね」
屋台で賑わう川原は、すでに人でいっぱいだった。
「ねー!!お祭りって感じ」
ソース系の匂いが、食欲をそそる。
「とりあえず、回ってみる??」
「うん!!」
人込みの中を、屋台を見ながら進んで行く。
:07/08/23 16:55
:N901iC
:d/x858V.
#235 [あんみつ]
「ねこちゃん、何食べたい??」
「んー・・・わっすみません」
キョロキョロしながら歩いていると、すれ違う人にぶつかった。
「大丈夫??」
洋平君が聞いた。
「うん、平気」
笑って言うと、洋平君は突然私の手首を掴んだ。
:07/08/23 16:56
:N901iC
:d/x858V.
#236 [あんみつ]
そして、私に洋平君のTシャツの裾を掴ませた。
「俺の服、掴んどきなよ」
そう言って、洋平君は手を離した。
「・・・ありがと」
手には、かすかにまだ洋平君の体温が残っていて、ドキドキした。
:07/08/23 16:57
:N901iC
:d/x858V.
#237 [あんみつ]
「・・・あ、私!!お好み焼き食べたい!!」
ドキドキに耐えきれなくなった私は、とっさに、目についたお好み焼きの屋台を指差して言った。
「お、いいね。・・・混んでるな」
そう言うと、洋平君は、屋台とは逆方向に歩いていく。
洋平君の服を掴んだまま、私もついていく。
:07/08/23 16:58
:N901iC
:d/x858V.
#238 [あんみつ]
洋平君は、私を屋台が見える、木の所まで連れてきた。
「よし、ここで待ってて。俺、買ってくるから」
そう言うと、人込みの中へと消えていく。
軽く握っていた私の手から、洋平君の服がするりとぬけた。
私は、握っていた手を見つめる。
:07/08/23 17:00
:N901iC
:d/x858V.
#239 [あんみつ]
何だか、まだ温かい。
指も、心も。
心臓の鼓動が聞こえる。
私、洋平君の事、好きになっていってるのかな。
太鼓の音が聞こえる。
辺りは、暗くなってきた。
:07/08/23 17:01
:N901iC
:d/x858V.
#240 [あんみつ]
『ぎゃー!!綿飴で手ベタベタするー』
『ちょっ、俺に付けんな!!』
去年、私がベタベタの手で、健二の手を触ろうとしたら、逃げられたっけ。
「あ、ねこじゃん。やっほー」
クラスの女子が通って、私も手を振り返した。
ここの祭りは、地元の人だけでなく、うちの高校の生徒がけっこう来る。
:07/08/23 17:02
:N901iC
:d/x858V.
#241 [あんみつ]
(・・・健二も来てるのかな)
誰と来てるんだろう。
やっぱり・・・
考えて前を向くと、私の予想通りの光景があった。
向こうを健二と、浴衣姿の佐古さんが歩いていく。
見たくないのに。
何で見つけてしまうんだろう。
2人は、手を繋いでいた。
:07/08/23 17:05
:N901iC
:d/x858V.
#242 [あんみつ]
そのまま2人は、人込みで見えなくなった。
「おまたせ!!」
ハッと横を見ると、洋平君がお好み焼きを持って、立っていた。
「あ・・・ありがと」
私は、お好み焼きを受け取る。
「・・・何かあった??」
「え、別に??向こうで食べよー!!」
私は笑顔で言って、洋平君に背を向けて歩きだす。
:07/08/23 17:07
:N901iC
:d/x858V.
#243 [あんみつ]
嘘だ。
このもやもやする気持ちは、嘘だ。
私には関係ないんだ。
私たちは、土手の斜面に腰を下ろした。
食べながら、洋平君と、いろいろ話した。
笑いながら話した。
:07/08/23 17:08
:N901iC
:d/x858V.
#244 [あんみつ]
一緒にいると楽しいし、安心するし、心が温かくなる。
この気持ちは、嘘じゃない。
だから、私は・・・
:07/08/23 17:09
:N901iC
:d/x858V.
#245 [あんみつ]
――――――――
お好み焼きを食べた後、また屋台を回って、綿飴とかき氷を食べた。
ベタベタする手はちゃんと洗って、家で食べようと林檎飴を1本買った。
あの2人を見かけることは、もうなかった。
「あ、そろそろ花火始まるかな??」
洋平君が、携帯を開いて言った。
:07/08/23 17:13
:N901iC
:d/x858V.
#246 [あんみつ]
「じゃあ、土手行こっか??」
私の右手には、林檎飴。
左手には、洋平君の服。
私たちは、人の流れに乗って土手に向かう。
土手には、すでに人が大勢いた。
:07/08/23 17:14
:N901iC
:d/x858V.
#247 [あんみつ]
私は、洋平君の服を離した。
花火は、まだあがらない。
「・・・洋平君」
「ん??」
「私・・・洋平君と付き合う」
:07/08/23 17:16
:N901iC
:d/x858V.
#248 [あんみつ]
「・・・へ??」
ドンッ!!
花火があがった。
私は洋平君を見る。
花火の光に照らされた顔は、驚きから、だんだんと笑顔に変わっていく。
私は、恥ずかしさでいっぱいだった。
けど、洋平君の笑顔を見たら、私も自然に笑えて、嬉しかった。
:07/08/23 17:17
:N901iC
:d/x858V.
#249 [あんみつ]
洋平君が、そっと、私の左手を握った。
何か言ったのだろう。
洋平君の口が動いたけど、花火の音と歓声で聞き取れなかった。
私がぽかんとしていると、洋平君が、私の耳に口を近付け、そして離した。
耳元で聞こえた言葉。
『大事にする』
:07/08/23 17:20
:N901iC
:d/x858V.
#250 [あんみつ]
私の耳だけでなく、全身を熱くしたその言葉は、私は進んでるという、確かな確信をくれた。
きっと、もっと好きになる。
洋平君の手を、ギュッと握り返し、私は上を見上げた。
:07/08/23 17:21
:N901iC
:d/x858V.
#251 [あんみつ]
どうか、私の選んだ言葉が、行動が、進む道が、間違っていませんように。
流れ星の代わりに、夜空に咲く花に祈った。
:07/08/23 17:22
:N901iC
:d/x858V.
#252 [あんみつ]
:07/08/23 17:27
:N901iC
:d/x858V.
#253 [あんみつ]
11、祭りの後に
私が健二に告白しようとした、あの七夕の日。
あれから、丁度1ヵ月。
8月7日。
私は、洋平君と付き合うことを決めた。
:07/08/30 10:22
:N901iC
:cFsPMBtA
#254 [あんみつ]
――――――――
「送ってくれて、ありがとね」
「うん・・・連絡する」
洋平君は、握った手をなかなか離そうとしない。
「・・・うん」
私が答えると、洋平君は手を離した。
:07/08/30 10:25
:N901iC
:cFsPMBtA
#255 [あんみつ]
「じゃーな!!」
そう言って、私に背を向ける。
「バイバイ!!」
背中に向かって言うと、洋平君は振り向いて、笑顔で右手を軽く挙げた。
私は、洋平君が曲がり角を曲がるまで、その後ろ姿を見ていた。
:07/08/30 10:26
:N901iC
:cFsPMBtA
#256 [あんみつ]
何だか、不思議な感じ。
私、洋平君と付き合うんだなぁって、あらためて思った。
こうやって、前に進むんだなぁって。
(・・・家入ろっかな)
私は、家の門に手を掛けて、ふと上を見た。
:07/08/30 10:28
:N901iC
:cFsPMBtA
#257 [あんみつ]
「・・・わー」
思わず声が出た。
今日は、月がきれいだ。
私は、門の所の段差に座って、月を見上げた。
(・・・あの日は、曇ってたな)
:07/08/30 10:30
:N901iC
:cFsPMBtA
#258 [あんみつ]
『16年の付き合いなめんなよ』
そう言ったのは、健二。
・・・16年だよ??
16年も一緒にいて、今まで、1ヵ月近く話さないなんて事なかった。
こんなになるなんて、思ってなかった。
・・・私が悪いんだけど。
:07/08/30 10:32
:N901iC
:cFsPMBtA
#259 [あんみつ]
けど、やっぱり、戻りたい。
邪魔な気持ち、全部捨てて、ただの「幼なじみ」に。
私、もう迷わないから。
このままは嫌だよ。
:07/08/30 10:33
:N901iC
:cFsPMBtA
#260 [あんみつ]
ザッザッ
誰かの足音が聞こえる。
私は、音のする方を見た。
(・・・あ)
健二だ。
向こうから、健二が歩いてくる。
佐古さんは、いない。
:07/08/30 10:34
:N901iC
:cFsPMBtA
#261 [あんみつ]
(え・・・うそ)
私は、下を向いた。
足音が、だんだん近づいてくる。
(どうしよ・・・)
ドクドクと、自分の心臓の音が聞こえる。
・・・そのまま、健二は私の前を通り過ぎた。
:07/08/30 10:36
:N901iC
:cFsPMBtA
#262 [あんみつ]
足音が遠ざかっていく。
私はそっと顔を上げて、健二の後ろ姿を見た。
行ってしまう。
・・・いいの??
このままでいいの??
何も言わなくていいの??
:07/08/30 10:39
:N901iC
:cFsPMBtA
#263 [あんみつ]
私、前に進んでるよ。
健二の幸せを、祈れるよ。
邪魔な気持ちは、捨てる。
だから、戻りたい。
「幼なじみ」に戻りたい。
・・・ねぇ、健二は??
:07/08/30 10:41
:N901iC
:cFsPMBtA
#264 [あんみつ]
私は、立ち上がった。
(・・・健・・・二)
「っ・・・健二!!」
呼び止めた。
健二が、前を向いたまま止まった。
そして、ゆっくりと振り向く。
:07/08/30 10:43
:N901iC
:cFsPMBtA
#265 [あんみつ]
(あ、どうしよ・・・何て言おう)
顔が熱い。
健二が、完全に私の方を向いた。
足が震える。
健二の顔を正面から見るのも、久しぶりだ。
月と電灯の明かりの下、健二は無表情で私を見る。
:07/08/30 10:44
:N901iC
:cFsPMBtA
#266 [あんみつ]
私は何か言おうと口を開くが、言葉がでない。
視界がにじむ。
今、泣いたらダメだ。
ダメなのに・・・。
私は、目をギュッとつむり、手を握り締めた。
(何で・・・)
:07/08/30 10:47
:N901iC
:cFsPMBtA
#267 [あんみつ]
「・・・おせーんだよ、たこ」
健二の声だ。
私が驚いて目を見開くと、健二は優しく微笑んだ。
変わらない笑顔。
:07/08/30 10:50
:N901iC
:cFsPMBtA
#268 [あんみつ]
あぁ、健二だ。
話してくれた。
私を、ちゃんと見てくれてる。
「・・・うぇ」
泣いたらダメだと思うのに、健二の笑顔を見ると、涙がこぼれた。
:07/08/30 10:51
:N901iC
:cFsPMBtA
#269 [あんみつ]
「おい、何泣いてんだよ」
そう言って、健二が私に近づく。
「ひっ・・・健・・・二」
「ん??」
「・・・ごめん、ね」
:07/08/30 10:52
:N901iC
:cFsPMBtA
#270 [あんみつ]
健二、ごめんね。
こんな風に、泣いちゃって。
避けて、向き合えなくて、ごめんね。
健二、ありがとう。
こんな私を、見離さないでくれて。
:07/08/30 10:55
:N901iC
:cFsPMBtA
#271 [あんみつ]
伝えたい事は、たくさんあるんだよ。
上手く言葉にできないけど。
ねぇ、健二。
私たち、幼なじみに戻れるの??
:07/08/30 10:56
:N901iC
:cFsPMBtA
#272 [あんみつ]
「・・・俺も、ごめんな」
(違う・・・健二が悪いんじゃない)
私は、首を横に振った。
健二が、ゆっくり右手をあげる。
バチッ!!
「いったー!!?」
私は、おでこを押さえた。
:07/08/30 10:58
:N901iC
:cFsPMBtA
#273 [あんみつ]
頭を撫でられるかと思ったら、デコピンされた。
「いつまで泣いてんだよ!!」
笑いながら、健二は門の前に座る。
・・・そっか、佐古さんがいるんだもん。
私の頭なんか、撫でちゃダメだよね。
:07/08/30 10:59
:N901iC
:cFsPMBtA
#274 [あんみつ]
私も健二の横に座る。
痛みのお陰で、涙は止まったみたいだ。
私は、また月を見上げる。
もう、大丈夫。
「・・・健二、佐古さんと付き合ってんだよね??」
:07/08/30 11:01
:N901iC
:cFsPMBtA
#275 [あんみつ]
ずっと、健二に聞きたかった事。
聞けなかった事。
だけど、今なら大丈夫。
だから・・・答えて、健二。
健二も、私と同じように上を見ている。
「・・・あぁ」
健二がうなずいた。
:07/08/30 11:04
:N901iC
:cFsPMBtA
#276 [あんみつ]
・・・今度は、ごまかさずに言ってくれたね。
ちゃんと、健二の口から聞けた。
きっと、洋平君と付き合う前の私だったら、受けとめられなかった。
けど、今なら、受け入れられるよ。
:07/08/30 11:06
:N901iC
:cFsPMBtA
#277 [あんみつ]
「ねこは・・・洋平と付き合ってんだろ??」
健二が聞いてきた。
隠すことはない。
私も、真っすぐ返さなきゃ。
:07/08/30 11:07
:N901iC
:cFsPMBtA
#278 [あんみつ]
「・・・うん」
私が答えると、健二は私の肩を軽く叩いた。
「洋平、いい奴だからな!!」
笑顔で言う健二の手を、私は押し返した。
「分かってるよー。・・・健二も!!佐古さん大事にしてあげなよ!!」
私も、笑って言えた。
:07/08/30 11:09
:N901iC
:cFsPMBtA
#279 [あんみつ]
「おう!!・・・なぁ、ねこ」
「ん??」
私は、健二の方を見る。
「俺・・・ねこには、幸せになってほしいって、思ってるから」
言い切ると、健二は立ち上がった。
:07/08/30 11:10
:N901iC
:cFsPMBtA
#280 [あんみつ]
(・・・健二)
まぶたの裏が、熱くなった。
けど、それ以上に胸が熱くなった。
「・・・私もだよ!!」
:07/08/30 11:11
:N901iC
:cFsPMBtA
#281 [あんみつ]
――――――――
健二の想いが、すごく嬉しかった。
私と同じだったから。
もう、迷わない。
私たちは「幼なじみ」。
:07/08/30 11:14
:N901iC
:cFsPMBtA
#282 [あんみつ]
別々の道を行くけど、繋がってられる。
お互いの幸せを祈れる。
そんな関係。
これからも、続けていこうね。
これからも、ずっと・・・。
:07/08/30 11:15
:N901iC
:cFsPMBtA
#283 [あんみつ]
:07/08/30 11:19
:N901iC
:cFsPMBtA
#284 [あんみつ]
12、日常
「いってきまーす!!」
外に出て、私は門の前に立った。
朝日が眩しい。
8月も、もうすぐ終わりだというのに、暑さは和らぐどころか、厳しさを増した気がする。
:07/09/17 16:51
:N901iC
:r..DyAZc
#285 [あんみつ]
(・・・待ってていいよね)
私は、健二の家の方を見た。
まだ、出て来る気配はない。
私は、門の前に座った。
『俺・・・ねこには、幸せになってほしいって、思ってるから』
・・・私もだよ。
私も、健二に幸せになってほしい。
:07/09/17 16:53
:N901iC
:r..DyAZc
#286 [あんみつ]
バシッ!!
「・・・ったぁー!!」
上を見上げると、健二が立っていた。
「行くぞ、ねこ」
睨み付ける私を横目に、健二は笑って歩きだす。
何だか、懐かしいこの感じ。
:07/09/17 16:55
:N901iC
:r..DyAZc
#287 [あんみつ]
バンッ!!
私は立ち上がって、勢いをつけて健二の背中を叩いた。
「いてーよ!!」
健二が振り向く。
「ばーかっ!!」
私は、そのまま健二を追い越して笑った。
:07/09/17 16:56
:N901iC
:r..DyAZc
#288 [あんみつ]
あの時、勇気を出して呼んで良かった。
元に戻れて良かった。
『幼なじみ』
これが、私たちの適当な距離。
・・・変わらない日常が戻ってきた。
:07/09/17 16:58
:N901iC
:r..DyAZc
#289 [あんみつ]
――――――――
「じゃあ、これで決まりで。自分の出る種目、覚えといてくださーい」
体育委員の言葉に返事をして、みんな帰り支度を始める。
「なーつみっ!!一緒の種目にできて良かったねー」
私は、奈津美の腕に飛び付いた。
:07/09/17 16:59
:N901iC
:r..DyAZc
#290 [あんみつ]
「ねー!!しかも、綱引きと玉入れって。めっちゃ楽だし!!」
奈津美も、私の手を取って飛び跳ねる。
9月10日にある体育祭。
リレー系に出ずにすんで、私はとにかく嬉しかった。
:07/09/17 17:01
:N901iC
:r..DyAZc
#291 [あんみつ]
笑い合っていると、急に奈津美の動きが止まった。
振り向いて奈津美の目線の先を見ると、教室のドアの所に洋平君がいた。
私を見て手招きをする。
「あ、ちょっとごめんね」
奈津美に一言言って、私は洋平君の元に行った。
:07/09/17 17:05
:N901iC
:r..DyAZc
#292 [あんみつ]
あのお祭りの次の日。
奈津美に電話をして、洋平君と付き合うことにした事、それと、健二と仲直りした事を話した。
奈津美は黙って私の話を聞いて、「そっか・・・良かったね!!」って言ってくれた。
:07/09/17 17:06
:N901iC
:r..DyAZc
#293 [あんみつ]
「洋平君、どしたの??」
付き合い始めてから、学校で会うのは初めてだ。
何だか照れ臭い。
「いや・・・一緒に帰らん??」
一瞬、健二の顔が頭をよぎった。
(・・・健二も佐古さんと帰るかな)
:07/09/17 17:08
:N901iC
:r..DyAZc
#294 [あんみつ]
「・・・うん、いいよ!!ちょっと待ってて」
私は荷物を取りに、再び教室に入った。
「ごめん、奈津美!!私、帰るね」
カバンを持って奈津美に言った。
「うん、バイバイ!!」
そう言って、奈津美は笑顔で私の背中を押した。
:07/09/17 17:09
:N901iC
:r..DyAZc
#295 [あんみつ]
――――――――
洋平君と付き合い始めて、2回、2人で出かけた。
1回目は映画を見て、2回目は街を歩いた。
2回共、途中手をつないだ。
:07/09/17 17:10
:N901iC
:r..DyAZc
#296 [あんみつ]
「ねこちゃん、体育祭何出るん??」
洋平君は自転車を押しながら、車道側を歩く。
「綱引きと玉入れ!!」
「えー、めっちゃ楽じゃん!!」
本気で羨ましそうな洋平君がおかしくて、私は笑った。
:07/09/17 17:12
:N901iC
:r..DyAZc
#297 [あんみつ]
「洋平君は??何出るの??」
「俺は、借り物競争と100mリレー」
「うわ、頑張ってー!!借り物とか、お題引くの怖くない??」
「こえー!!あれ、人が出たりするし」
「去年、健二なんか校長先生借りてたしねー!!」
:07/09/17 17:14
:N901iC
:r..DyAZc
#298 [あんみつ]
(・・・あ)
健二の名前を出した後、しまったと思った。
今まで、健二の話題を出すのを、避けていた訳じゃないけど、出ることはなかった。
「校長と手つないでゴールしたの、うけたよなー!!健二、今年も出ることになってたよ」
私の心配をよそに、洋平君は会話を続ける。
(・・・大丈夫だったかな)
:07/09/17 17:15
:N901iC
:r..DyAZc
#299 [あんみつ]
いろいろ話していたら、いつのまにか私の家の前だった。
洋平君は、自転車かごからカバンを取って、私に渡す。
「ありがと」
「うん・・・あのさ!!」
洋平君は、片手で頭をかいた。
私は黙って、次の言葉を待つ。
:07/09/17 17:17
:N901iC
:r..DyAZc
#300 [あんみつ]
「・・・借り物競争、健二も出るけど・・・ねこちゃんは俺の事、応援してほしい・・・」
言い終わって、洋平君は頭をかいていた手で顔をおおった。
そんな洋平君が、すごく可愛くて、いとおしく感じた。
「・・・もちろん!!」
私の言葉に、洋平君は照れ臭そうに笑った。
「・・・じゃ、また!!」
「うん、ばいばい!!」
:07/09/17 17:18
:N901iC
:r..DyAZc
#301 [あんみつ]
――――――――
やっぱり気にしてたんだ。
健二は私の幼なじみで、洋平君の友達でもあるから、その内、話題にはなったと思う。
それでも、洋平君からならともかく、私の口から健二の話題を出したのは、無神経だったかもしれない。
洋平君は、私が健二を好きだった事、知ってる訳だし。
:07/09/17 17:20
:N901iC
:r..DyAZc
#302 [あんみつ]
けど、私は洋平君と付き合ってるんだよ。
それが、私の答え。
健二とは、もうただの幼なじみだし。
話すたび、洋平君の良い所を知って、好きになってる。
付き合ってるっていう、実感も湧いてきた。
きっと、これからは洋平君といる事が、日常になっていくんだ。
:07/09/17 17:21
:N901iC
:r..DyAZc
#303 [あんみつ]
私は立ち上がって、机の上のカレンダーをめくり、9月10日の所に赤ペンで丸をした。
もうすぐ、体育祭だ。
:07/09/17 17:22
:N901iC
:r..DyAZc
#304 [あんみつ]
:07/09/17 17:27
:N901iC
:r..DyAZc
#305 [あんみつ]
13、体育祭
ピンポンパンポーン
{100mリレーと二人三脚に出る選手は、入場門に集合して下さい}
太陽の照りつけるグラウンドに、今日何度目かの放送が流れた。
:07/09/24 17:13
:N901iC
:E6Bwt1vM
#306 [あんみつ]
「洋平君出るんだっけ??」
頭にタオルをかぶった奈津美が聞く。
「うん、100mリレー」
答えながら、私は日焼け跡防止のために、半袖の体操服を更にまくった。
「あ、前空いたよ。行く??」
応援テントの1番前を陣取っていた集団が、どこかに行ったみたいだ。
:07/09/24 17:15
:N901iC
:E6Bwt1vM
#307 [あんみつ]
「うん、やった!!」
2人で空いた所に移動して、座りなおす。
やっぱり、前がいなかったらよく見える。
が、代わりに影が何もなくなったので、すごく暑い。
太陽の光が、容赦なくジリジリと肌を刺す。
奈津美と同様に、私も頭にタオルをかぶった。
:07/09/24 17:17
:N901iC
:E6Bwt1vM
#308 [あんみつ]
前の種目の選手が、退場門から出ていく。
それと入れ代わりに、100mリレーに出る選手が、入場門から駆け足で入ってきた。
「あ、洋平君いたよ」
奈津美が早々と見つけて、指差した。
:07/09/24 17:19
:N901iC
:E6Bwt1vM
#309 [あんみつ]
1番後ろに並んだ洋平君は、アンカーらしい。
2組のクラスカラーの、黄色いたすきを付けている。
色黒の肌に引き締まった筋肉、おまけに背の高い洋平君。
(何か・・・格好いい)
思った後、片手で頬を押さえると、ただでさえ熱いのに、私の顔はさらに熱さを増していた。
:07/09/24 17:20
:N901iC
:E6Bwt1vM
#310 [あんみつ]
「あ、始まるよ」
パンッ!!
奈津美が言い終わるのとほぼ同時に、ピストルがなった。
各クラス1番手の選手が、一斉に走りだす。
途端にグラウンドは、応援や歓声に包まれた。
:07/09/24 17:22
:N901iC
:E6Bwt1vM
#311 [あんみつ]
1人100mずつ走って、次の人にバトンをつなげていく。
応援席はクラスごとなので、後ろは「7組行けー!!」とか、声を張り上げて叫んでいる。
そんな中で、違うクラスの応援をしてたら、反感を買ってしまいそう。
(・・・声出して応援はできないな)
:07/09/24 17:24
:N901iC
:E6Bwt1vM
#312 [あんみつ]
考えてるうちに、それぞれのクラス、走っているのはすでに4人目の走者になっていた。
走るのは5人なので、次がアンカー。
洋平君の番だ。
アンカーの選手たちは、立ってバトンを待っている。
今のところ、2組は2位。
1位は・・・あ、うちのクラスだ。
:07/09/24 17:27
:N901iC
:E6Bwt1vM
#313 [あんみつ]
差がなかなか縮まらない。
変わらないまま、洋平君にバトンが渡った。
「わ・・・はや」
速い。
洋平君はぐんぐんスピードを上げて、うちのクラスのアンカーと並んだ。
競り合いながら、私たちの応援席の前を通過する。
:07/09/24 17:28
:N901iC
:E6Bwt1vM
#314 [あんみつ]
「洋平君、速いじゃん!!」
奈津美が私の肩を叩いてくる。
私はうなずきながら、洋平君を目で追う。
わずかに洋平君がリードして、そのままゴールした。
:07/09/24 17:31
:N901iC
:E6Bwt1vM
#315 [あんみつ]
「すごい!!1位だー!!」
私は、肩に置かれっぱなしだった奈津美の手を取った。
「ねー!!すごい速かった!!」
奈津美も私の手を持って、ぶんぶんと振り回す。
「うん!!めっちゃすご・・・い」
:07/09/24 19:38
:N901iC
:E6Bwt1vM
#316 [あんみつ]
(・・・やば)
私たちに向けられているのは、7組一同の冷たい眼差し。
私の様子を見て、奈津美もそれに気付いたらしい。
私の手を離して、へへっと苦笑いをしながら、そっと立ち上がって応援席から出ようとする。
私もそれに続いて、応援席から抜け出した。
:07/09/24 20:53
:N901iC
:E6Bwt1vM
#317 [あんみつ]
「あー、失敗したー」
応援席から離れて、私は言った。
けど、本当は口で言うほど気にしてない。
みんなの冷たい眼差しより、走る洋平君の姿が目に焼き付いて離れない。
思い出すと、また顔がほてってきた。
「やっちゃったよねー。けど、ほんと速かった!!」
奈津美もたいして気にしてなさそう。
:07/09/24 20:55
:N901iC
:E6Bwt1vM
#318 [あんみつ]
ピンポンパンポーン
{これで午前の部を終了します。12時40分まで休憩なので、各自お昼をとって下さい}
「もう昼なんだ。お弁当取り行こー」
「うん」
:07/09/24 20:56
:N901iC
:E6Bwt1vM
#319 [あんみつ]
――――――――
昇降口に着いて、朝クラスごとにお弁当を集めた段ボール箱から、自分のを探す。
「あ、あった!!」
他の人のお弁当をひっくり返さないように、私は自分のを取り出した。
「どうする??この辺で食べる??影だし」
「だねー。あ、あそこは??」
そう言って、奈津美は昇降口前に植えてある木の下を指差した。
:07/09/24 20:58
:N901iC
:E6Bwt1vM
#320 [あんみつ]
私たちは木の下に移動して、囲いのわずかな段差に座った。
「いただきまーす」
お茶で喉を潤した後、私はお弁当を広げて、手をあわせた。
「お、旨そうじゃん」
卵焼きを食べようとすると、上から声がした。
:07/09/24 20:59
:N901iC
:E6Bwt1vM
#321 [あんみつ]
上を向くと、案の定、健二が立っていた。
日に焼けたのか、何となく朝会った時より、鼻が赤くなっている気がする。
「健二、自分のあるでしょー」
私は止まっていた箸を動かして、卵焼きを口に入れた。
「うちの、冷凍食品ばっかだし」
健二は言いながら、私の前にしゃがむ。
:07/09/24 21:01
:N901iC
:E6Bwt1vM
#322 [あんみつ]
「うわ、おばさんに言ってやろーっと」
私は笑いながら、唐揚げに箸を伸ばす。
「どーぞ、ご自由に」
私の箸が唐揚げを取る前に、健二の指が唐揚げをさらっていった。
「あー!!ちょっと!!」
「うめー!!じゃあな」
健二は唐揚げを口に入れると、さっさと友達の元に戻っていった。
:07/09/24 21:02
:N901iC
:E6Bwt1vM
#323 [あんみつ]
「あーあ、唐揚げ・・・」
「ははっ!!相変わらずだねー」
横でやりとりを見ていた奈津美が笑う。
:07/09/24 21:03
:N901iC
:E6Bwt1vM
#324 [あんみつ]
「ほんとに!!全然成長しないよね」
「ねこもねー」
奈津美の言葉に、私はうなった。
ふと奈津美のお弁当を見ると、いつのまにかだいぶ食べ進んでいる。
それを見て私は、慌ててご飯を口に運んだ。
:07/09/24 21:04
:N901iC
:E6Bwt1vM
#325 [あんみつ]
――――――――
私が食べ終わった時には、もう12時半で、午後1番の綱引きにでる私たちは、早足でグラウンドに向かう。
「あ、ねこちゃん!!」
呼ばれて立ち止まると、洋平君が駆け寄ってきた。
「洋平君、1位おめでとー!!すごい速かった!!ね、奈津美!!」
:07/09/24 21:28
:N901iC
:E6Bwt1vM
#326 [あんみつ]
「あ、うん!!」
急に話をふったからか、奈津美は慌てて何度もうなずいた。
「そ??ありがとう」
洋平君は、私と奈津美の顔を交互に見て言った。
「ねこちゃんは??あと綱引きだっけ??」
「うん、そう。洋平君、借り物頑張ってね!!」
「おう、綱引きもな!!」
:07/09/24 21:29
:N901iC
:E6Bwt1vM
#327 [あんみつ]
「うん!!ごめん、行こ、奈津美」
再び早足で入場門に向かう。
「・・・ねぇ、ねこ」
「ん??」
ピンポンパンポーン
{綱引きと障害物競走に出る選手は、入場門に集まって下さい}
:07/09/24 21:30
:N901iC
:E6Bwt1vM
#328 [あんみつ]
「やば、急ご!!あ、ごめん、何??」
「いや・・・何か2人、付き合ってるって感じしてきたなーって!!」
そう言って、奈津美は私の肩をこづく。
「へ??そう??」
改めて言われると、少し照れ臭かった。
:07/09/24 21:31
:N901iC
:E6Bwt1vM
#329 [あんみつ]
――――――――
「あー、手の皮むけた」
綱引きを終えて、私たちは応援席に戻った。
手の皮がむけるまで頑張った甲斐あって、結果はなんと1位。
これで100mリレーで、うちのクラスを応援しなかったことは、許してほしい。
まぁ、もうみんな忘れてるみたいだけど。
:07/09/30 21:16
:N901iC
:t6MEvR6Q
#330 [あんみつ]
何となく、前に行きにくい私たちは、応援席の後ろの方に座っていた。
「借り物っていつだっけ??」
奈津美に聞かれて、私はポケットからプログラムを取り出す。
「えっと・・・あ、もう次だ」
「えー。前、行けるかなー」
:07/09/30 21:17
:N901iC
:t6MEvR6Q
#331 [あんみつ]
前には、すでに自分の競技に出終わって、動かなさそうな人たち。
「・・・ちゃんと見たいんだけどなー」
(・・・健二も出るし)
・・・
(・・・いや、私が応援するのは洋平君だし)
思った後、すぐに思い直した。
:07/09/30 21:19
:N901iC
:t6MEvR6Q
#332 [あんみつ]
『・・・借り物競走、健二も出るけど・・・ねこちゃんには俺の事、応援してほしい・・・』
そう。
私が付き合ってるのは、洋平君だもん。
健二より、洋平君を応援するのは当たり前だ。
:07/09/30 21:20
:N901iC
:t6MEvR6Q
#333 [あんみつ]
{次は借り物競走です。選手が入場します}
アナウンスがかかって、私はハッとした。
借り物競走は、わが校の体育祭の中で、盛り上がる種目の1つ。
前にいる人たちがすでに立ち上がっているので、よく見えない。
「もー!!見えないー」
奈津美もいつのまにか立ち上がって、私の横で飛び跳ねている。
:07/09/30 21:21
:N901iC
:t6MEvR6Q
#334 [あんみつ]
私も遅れて立ち上がった。
パンッ!!
ピストルが鳴った。
始まったみたいだ。
歓声が一層大きくなる。
私も奈津美同様、飛び跳ねてみるが、やっぱり見えない。
(・・・え??)
こりずに飛び跳ねていると、急に、前に見える人の頭が、私のいる所を境に、だんだん両側に分かれていく。
:07/09/30 21:22
:N901iC
:t6MEvR6Q
#335 [あんみつ]
(何??まさか、私が見えるように??)
バカなことを考えていると、私のすぐ前にいた背の高い男子が、私の方を振り向く。
そして右によけた。
「ねこ!!」
私の前の視界が開けたのと同時に、声がした。
人と人の間をぬって、声の主が私に向かって走ってくる。
:07/09/30 21:24
:N901iC
:t6MEvR6Q
#336 [あんみつ]
「ねこ、来い!!」
声の主、健二は、私の手首をつかんで引っ張った。
「え??ちょっと、何!?」
私の質問には答えずに、健二は私を、リレーのコースに連れ出した。
「走れ、ねこ!!」
健二は、私の手首を引いて走りだす。
それにつられて、私の足も動く。
:07/09/30 21:25
:N901iC
:t6MEvR6Q
#337 [あんみつ]
応援席からは、キャーとかワーとか、歓声がさらに激しさを増す。
(・・・何なの??)
走るスピードが上がった。
私は、健二に引かれるままに全速力で走る。
「・・・はぁ・・・はぁ」
必死で走るが、足が速い方でない私が、健二のスピードについていけるわけがない。
:07/09/30 21:26
:N901iC
:t6MEvR6Q
#338 [あんみつ]
健二の手が、私の手首から離れた。
それに気付いた健二は振り向いて、今度は私の手をしっかりと握る。
「大丈夫か??あとちょっとだから、頑張れ!!」
そう言って健二は、ゆっくりと走りだす。
今度は、駆け足程度のスピードで。
:07/09/30 21:27
:N901iC
:t6MEvR6Q
#339 [あんみつ]
前方に、白いテープが見えた。
ゴールだ。
あと少し・・・。
・・・3m、2m、1m。
パンッ!!
健二と、2人で並んでゴールした。
途端、私は健二の手を放して、その場にしゃがみこんだ。
:07/09/30 21:28
:N901iC
:t6MEvR6Q
#340 [あんみつ]
「・・・はぁ・・・はぁ」
久しぶりに走ったせいか、かなりしんどい。
その時、健二も隣にしゃがんで、私の頭に手を置いた。
「よく頑張りました。ありがとな!!」
そう言って、ぽんぽんと叩く。
だんだんと落ち着いてくる。
:07/09/30 21:29
:N901iC
:t6MEvR6Q
#341 [あんみつ]
私は、大きく深呼吸した。
「はぁ・・・何??私が借り物だったの??」
私が聞くと、健二はニヤーっと笑いながら、手に持っていた紙を見せる。
「そう!!お題は"猫目の女子"」
そう言うと健二は、私の目元を指差した。
:07/09/30 21:30
:N901iC
:t6MEvR6Q
#342 [あんみつ]
「はぁ!?何、猫目って!!」
「ほんとのことじゃん」
そう言って笑う健二の指先を、私は払った。
「1位の人、こっちに並んでくださーい!!」
1位の旗を持った体育委員が、私たちを呼んだ。
:07/09/30 21:31
:N901iC
:t6MEvR6Q
#343 [あんみつ]
「ほら、行くぞ」
健二は立ち上がって、私に手を差し出す。
私はそれを掴んで、勢いをつけて立ち上がった。
:07/09/30 21:32
:N901iC
:t6MEvR6Q
#344 [あんみつ]
「・・・ふ」
「何だよ??」
「健二の手、汗かいてるー」
私は手を放して、ひらひらと振ってみせた。
「は??ねこの汗だろ!!」
健二に頭をこずかれて、私は笑った。
:07/09/30 21:33
:N901iC
:t6MEvR6Q
#345 [あんみつ]
――――――――
ねぇ、健二。
猫目の女の子なんて、他にもいるでしょ??
なのに、私の所に来たって事は、健二にとって私の存在は、けっこう大きなものなんだって、思ってもいい??
彼女じゃなくても、特別な存在なんだって、うぬぼれてもいい??
:07/09/30 21:43
:N901iC
:t6MEvR6Q
#346 [あんみつ]
健二の手の温もりや、優しさ。
ずっと、ずっと変わらないでね。
:07/09/30 21:44
:N901iC
:t6MEvR6Q
#347 [あんみつ]
:07/09/30 21:48
:N901iC
:t6MEvR6Q
#348 [あんみつ]
14、想い
私は、まわりが見えていなかった。
健二といると、あまりに楽しかったから。
健二の手が、あまりに温かかったから。
・・・私にとって、健二の存在は絶対だった。
:07/10/08 14:19
:N901iC
:cPjKM5TQ
#349 [あんみつ]
――――――――
私は、間違っていたのかもしれない。
健二と一緒に、素直に走るべきじゃなかったのかもしれない。
後からゴールしてきた洋平君と、目が合って思った。
:07/10/08 14:26
:N901iC
:cPjKM5TQ
#350 [あんみつ]
風が吹いて、グラウンドの砂を舞い上げる。
私は思わず目を閉じ、風が止むのを待って、また開いた。
(・・・あ)
洋平君は、私からすっと目をそらした。
そして、4位の旗の前に並ぶ。
:07/10/08 14:32
:N901iC
:cPjKM5TQ
#351 [あんみつ]
気付いた健二が、心配そうに私の方を振り向いた。
「・・・ねこ、俺」
「ん??大丈夫だよ」
私は、健二の言葉をさえぎって言った。
:07/10/08 14:34
:N901iC
:cPjKM5TQ
#352 [あんみつ]
健二は、きっと「ごめん」って言おうとしたんだ。
「ごめん」なんて言わないで。
健二は悪くない。
私、嬉しかった。
健二が、私の所に来てくれて。
:07/10/08 14:36
:N901iC
:cPjKM5TQ
#353 [あんみつ]
楽しかった。
健二と笑い合えて。
けど、私は・・・間違っていたのかもしれない。
私を見た洋平君の目は、悲しそうだった。
:07/10/08 14:37
:N901iC
:cPjKM5TQ
#354 [あんみつ]
――――――――
「えーみんな、おつかれ!!7組、総合3位を祝って!!乾杯!!」
「「かんぱーい!!」」
みんな口々に言って、近くの人と缶をぶつけ合う。
小さめの缶ジュースは、担任から、生徒38人への差し入れ。
:07/10/08 14:39
:N901iC
:cPjKM5TQ
#355 [あんみつ]
「おつかれー!!」
「おつかれ!!」
私も近くの人たちと乾杯し、最後に奈津美と缶をぶつけて1口飲んだ。
オレンジの甘酸っぱさが、口の中に広がる。
:07/10/08 14:41
:N901iC
:cPjKM5TQ
#356 [あんみつ]
借り物が終わって、すぐ応援席に戻った。
何か、洋平君に言うべきかと思ったけど、何を言えば良いのか分からなかった。
「ねこ、すごかったねー!!」
応援席に戻ると、みんな口々に言った。
:07/10/08 14:46
:N901iC
:cPjKM5TQ
#357 [あんみつ]
「ねぇ、やっぱねこと竹本君って付き合ってるの??」
今まで何度もされてきた質問。
私は、洋平君と付き合っていることを、奈津美と健二以外に言っていない。
言わなくても、その内気付かれると思ったし、言う気にもなれなかった。
:07/10/08 16:21
:N901iC
:cPjKM5TQ
#358 [あんみつ]
洋平君と付き合ってても、健二を手放そうとしない自分が、ずるいのは分かってるから。
健二を手放せない自分が、臆病なのも分かってるから。
だから私は、ただいつも通りの言葉を返す。
「ただの幼なじみだよー」
言い慣れたはずの言葉が、何となく重くて、痛かった。
:07/10/08 16:23
:N901iC
:cPjKM5TQ
#359 [あんみつ]
「・・・こ、ねこ!!」
奈津美が私の顔を覗き込んでいた。
「あ、ごめん。何??」
教室は盛り上がって、そこら中でカメラのシャッター音が響いていた。
:07/10/08 21:24
:N901iC
:cPjKM5TQ
#360 [あんみつ]
「いや、別に何でもないけど・・・疲れた??」
奈津美が心配そうに聞く。
「んー・・・ちょっとね」
私は、両手で缶を握り締めた。
:07/10/08 21:25
:N901iC
:cPjKM5TQ
#361 [あんみつ]
私は、間違っていたのかな??
きっと私は、これからも健二を手放せない。
絶対に失いたくない存在。
大切な人。
私は、この気持ちを、誰に伝えればいいんだろう。
誰に・・・。
:07/10/08 21:27
:N901iC
:cPjKM5TQ
#362 [あんみつ]
ガタッ
私は残りのジュースを一気に飲んで、立ち上がった。
「ねこ??」
「ごめん、奈津美・・・私帰るね!!」
荷物を引っ掴んで、私は教室を出た。
:07/10/08 21:28
:N901iC
:cPjKM5TQ
#363 [真帆]
:07/10/08 21:30
:F902i
:7aA1iCdQ
#364 [あんみつ]
――――――――
うまく言えるか分からない。
けど、伝えなきゃならない。
じゃないと、また私は、あの人を傷つける。
傷つけたくない。
傷つけてはいけない。
私のことを想ってくれる気持ちを、裏切ることになるから。
だから・・・
:07/10/08 21:51
:N901iC
:cPjKM5TQ
#365 [あんみつ]
:07/10/08 21:53
:N901iC
:cPjKM5TQ
#366 [あんみつ]
ドンッ!!
廊下の曲がり角で、誰かにぶつかってよろけた。
「わっごめん!!・・・て、ねこちゃん??」
「・・・洋平君」
「ごめん、大丈夫??」
洋平君は、借り物の前と変わらない、優しい目で私を覗き込む。
その目を見て、私はほっとした。
:07/10/08 21:59
:N901iC
:cPjKM5TQ
#367 [あんみつ]
「あ、うん。大丈夫」
(・・・前もこんなことあったな)
「そっか。どしたの急いで??」
「洋平君のとこ・・・行こうと思って」
私が言うと、洋平君は驚いた顔をした。
:07/10/08 22:01
:N901iC
:cPjKM5TQ
#368 [あんみつ]
「俺も、ねこちゃんのクラス行くところだった」
そう言って、洋平君はふっと笑った。
洋平君が笑うから、私も笑えた。
(・・・よかった)
:07/10/08 22:02
:N901iC
:cPjKM5TQ
#369 [あんみつ]
「じゃぁ・・・」
「一緒に帰ろっか」
私が言う前に、洋平君が言った。
「・・・うん」
この人に、伝える。
:07/10/08 22:03
:N901iC
:cPjKM5TQ
#370 [あんみつ]
――――――――
グラウンドに、私と、自転車を押す洋平君の影が伸びる。
みんなまだそれぞれの教室で騒いでいるのか、外にいる生徒は少なく、静かだった。
「あーなんか疲れたな」
そう言うと、洋平君は首を回した。
:07/10/19 22:13
:N901iC
:L5RMhy3k
#371 [あんみつ]
「洋平君、100mすごかったしねー!!」
私の言葉に、洋平君は照れ臭そうに「まーな」と言った。
校門を出ると、洋平君はさり気なく車道側に行く。
いつも通りの優しさが、今の私の心にひしひしと伝わってくる。
:07/10/19 22:16
:N901iC
:L5RMhy3k
#372 [あんみつ]
(・・・言わなきゃ)
「・・・洋」
チリンチリーン
後ろで自転車のベルが鳴った。
洋平君が私の前に来て、1列になる。
2人乗りをした他校の学生が、私たちの横を通り抜けた。
:07/10/19 22:17
:N901iC
:L5RMhy3k
#373 [あんみつ]
後ろに乗った小柄な女の子が、前の男子の大きな背中にしがみついている。
自転車が通り過ぎて、洋平君は再び私の横に並んだ。
タイミングを逃した私は、口をつぐむ。
「・・・俺が」
洋平君が口を開いた。
:07/10/19 22:18
:N901iC
:L5RMhy3k
#374 [あんみつ]
私は、洋平君の方を見た。
「・・・俺が、後ろにねこちゃんを乗せないのは・・・歩いて帰って、少しでも長く、ねこちゃんと話していたいから」
洋平君は前を見据えている。
夕日に照らされて、その横顔はオレンジ色だった。
:07/10/19 22:20
:N901iC
:L5RMhy3k
#375 [あんみつ]
「・・・健二よりも長く、ねこちゃんと一緒にいたいって思うから」
(・・・あ)
「・・・洋平君、健二は」
「分かってる」
洋平君は、私の言葉をさえぎった。
「・・・分かってるよ。ねこちゃんにとっても、健二にとっても・・・お互いが大事なのは」
洋平君は、片手で軽く頭を押さえた。
:07/10/19 22:23
:N901iC
:L5RMhy3k
#376 [あんみつ]
「けど・・・ねこちゃんの1番って誰??俺は、健二以上になれないの??」
歩くスピードを落とすことなく、洋平君は続ける。
「・・・そんな」
口の中が乾く。
(そんなこと・・・)
言葉がでない。
:07/10/19 22:25
:N901iC
:L5RMhy3k
#377 [あんみつ]
「・・・ごめん、意地悪言った」
洋平君が、やっと私の方を向いた。
「ごめんな。・・・ただ、健二に嫉妬してるだけだから」
立ち止まって、私の頭を撫でる。
「あとちょっとだけど・・・後ろ乗る??」
そう言って、洋平君は自転車の後ろを手で叩いた。
:07/10/19 22:29
:N901iC
:L5RMhy3k
#378 [あんみつ]
「・・・うん」
私は頷いた。
洋平君の後ろに乗って、両手で座っている荷台を掴む。
私が乗ったのを確認して、洋平君は自転車を漕ぎ始めた。
ゆっくりと進む。
お互い何も言わない。
:07/10/19 22:31
:N901iC
:L5RMhy3k
#379 [あんみつ]
あまり、顔を見られたくなかった。
多分、今私は、泣きそうな顔してる。
何も言えなかった。
きっと、また傷つけた。
『ごめん』って。
言うのは私の方だよ。
洋平君の広い背中を見ると、胸が締め付けられる思いがした。
:07/10/19 22:32
:N901iC
:L5RMhy3k
#380 [あんみつ]
――――――――
洋平君は、私の家のすぐ前で自転車を止めた。
私は降りて、洋平君からカバンを受け取る。
上手く目を見れない。
けど、このままじゃダメだ。
何か言わなきゃ。
「・・・私」
口を開いたけど、言葉が見つからない。
:07/10/19 22:43
:N901iC
:L5RMhy3k
#381 [あんみつ]
(なんで・・・)
喉が熱い。
洋平君の顔を見れずに、私はうつむいた。
すると、頭を2度、優しく叩かれた。
:07/10/19 22:45
:N901iC
:L5RMhy3k
#382 [あんみつ]
「ありがとう・・・じゃ」
洋平君が言い終わると同時に、頭から手が離れた。
私がそっと前を向くと、洋平君はすでにだいぶ進んでいた。
後ろ姿を見ていたら、また泣きそうになった。
:07/10/19 22:51
:N901iC
:L5RMhy3k
#383 [あんみつ]
あの手に私は、何度救われただろう。
なのに、私は傷つけてばかり。
「ごめん」も「ありがとう」も、みんな私のセリフだよ。
:07/10/19 23:04
:N901iC
:L5RMhy3k
#384 [あんみつ]
『ねこちゃんの1番って誰??』
あの時、何も言えなかったのは、洋平君の顔を見れなかったのは・・・。
私は門の前に座り込んだ。
「・・・なんで」
:07/10/19 23:07
:N901iC
:L5RMhy3k
#385 [あんみつ]
あの時、1番に頭に浮かんだのは・・・健二の顔だった。
私には洋平君がいるのに。
私、洋平君のこと好きだよ??
なのに、まだまだ「好き」が足りないの??
:07/10/19 23:09
:N901iC
:L5RMhy3k
#386 [あんみつ]
考えても考えても、自分の想いの深さは分からなくて。
けど、確かに言えるのは、健二を手放すっていう選択肢は、私の中になかったということ。
ねぇ、健二。
私は・・・ずるい。
:07/10/19 23:12
:N901iC
:L5RMhy3k
#387 [あんみつ]
:07/10/19 23:15
:N901iC
:L5RMhy3k
#388 [我輩は匿名である]
:07/10/20 10:18
:P903i
:LFsXw3nI
#389 [あんみつ]
:07/10/28 21:28
:N901iC
:G7bXKkWg
#390 [あんみつ]
15、明後日
体育祭から1週間たった。
洋平君とは一緒に帰ったりもしたけど、当たり障りのない会話しかしていない。
不自然なのは分かってる。
けど私は、どうすればいいのか、自分がどうしたいのか、分からなかった。
:07/10/28 21:33
:N901iC
:G7bXKkWg
#391 [あんみつ]
――――――――
「なぁ、ねこ日曜暇??」
「へ??日曜??」
間抜けな声が出て、健二に笑われた。
「はっ!!・・・久しぶりに2人でどっか行こー」
健二は靴を履きかえながら、平然と言った。
(・・・健二と2人で)
:07/10/28 21:40
:N901iC
:G7bXKkWg
#392 [あんみつ]
「・・・おい、何止まってんの」
靴を持って止まったままの私の手を、健二がはたく。
「あ、えーと・・・」
私は、靴を下駄箱にしまいながら考える。
「何か用事ある??」
(ないけど・・・)
:07/10/28 21:42
:N901iC
:G7bXKkWg
#393 [あんみつ]
「おっす、健二!!1時間目体育だよな??」
がっちりした感じの男子が、健二の肩を叩いた。
「あ、やべ!!ねこ、ごめん先行くわ。メールしろよ!!」
「あ、うん」
私がうなずいたのを確認して、健二は友達と階段を駆け上がっていった。
:07/10/28 21:49
:N901iC
:G7bXKkWg
#394 [あんみつ]
何で誘ってくれたんだろう。
ただの気紛れ??
けど、理由はどうであれ・・・嬉しい。
健二と2人で出かけるのなんて、ほんと久しぶり。
:07/10/28 21:51
:N901iC
:G7bXKkWg
#395 [あんみつ]
けど・・・
今、健二と2人で出かけてる場合じゃない。
分かってる。
分かってるのに。
・・・胸が高鳴る自分がいるのを、私は否定できなかった。
:07/10/28 21:54
:N901iC
:G7bXKkWg
#396 [あんみつ]
――――――――
(・・・どうしよ)
みんながだんだんと帰り始める中、私はまだ自分の席に座ったままでいた。
何だかんだで、洋平君は放課後、いつも私を迎えにきてくれる。
だけど、待ってるだけじゃダメな気がする。
私からも動かなきゃ。
:07/10/28 21:58
:N901iC
:G7bXKkWg
#397 [あんみつ]
(・・・よし!!)
「ねこー!!呼んでるよー」
私が立ち上がった時、ドアの所にいる友達に呼ばれた。
(え、洋平君かな??出遅れちゃった・・・)
かばんを持って、足早にドアの所へ向かう。
「・・・あ」
驚きを、思わず声に出してしまった。
:07/10/28 21:59
:N901iC
:G7bXKkWg
#398 [あんみつ]
「こんにちは。あの・・・ちょっといいですか??」
目の前にいるのは・・・佐古さん。
健二の・・・彼女。
:07/10/28 22:01
:N901iC
:G7bXKkWg
#399 [あんみつ]
――――――――
カチカチッ
――――――――

9/17 16:02
To 田村洋平
Sub 無題
ごめん!!
今日用事できたから、先帰ってて(pω・`)
――――――――
:07/10/29 16:14
:N901iC
:N8JyO4Pk
#400 [あんみつ]
パコンッ
携帯を閉じて、私は前を向いた。
それに気付いて、佐古さんが振り向く。
「ごめんね。・・・で、話って・・・??」
私は、恐る恐る聞いた。
けど、本当は何を言われるか、何となく分かる。
:07/10/29 16:16
:N901iC
:N8JyO4Pk
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