「好き」と言いたい。
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#351 [あんみつ]
 
気付いた健二が、心配そうに私の方を振り向いた。

「・・・ねこ、俺」

「ん??大丈夫だよ」

私は、健二の言葉をさえぎって言った。

 

⏰:07/10/08 14:34 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#352 [あんみつ]
 

健二は、きっと「ごめん」って言おうとしたんだ。

「ごめん」なんて言わないで。

健二は悪くない。

私、嬉しかった。

健二が、私の所に来てくれて。
 

⏰:07/10/08 14:36 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#353 [あんみつ]
 
楽しかった。

健二と笑い合えて。

けど、私は・・・間違っていたのかもしれない。

私を見た洋平君の目は、悲しそうだった。

 

⏰:07/10/08 14:37 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#354 [あんみつ]
――――――――


「えーみんな、おつかれ!!7組、総合3位を祝って!!乾杯!!」

「「かんぱーい!!」」

みんな口々に言って、近くの人と缶をぶつけ合う。

小さめの缶ジュースは、担任から、生徒38人への差し入れ。
 

⏰:07/10/08 14:39 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#355 [あんみつ]
 
「おつかれー!!」

「おつかれ!!」

私も近くの人たちと乾杯し、最後に奈津美と缶をぶつけて1口飲んだ。

オレンジの甘酸っぱさが、口の中に広がる。

 

⏰:07/10/08 14:41 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#356 [あんみつ]
 

借り物が終わって、すぐ応援席に戻った。

何か、洋平君に言うべきかと思ったけど、何を言えば良いのか分からなかった。

「ねこ、すごかったねー!!」

応援席に戻ると、みんな口々に言った。
 

⏰:07/10/08 14:46 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#357 [あんみつ]
 
「ねぇ、やっぱねこと竹本君って付き合ってるの??」

今まで何度もされてきた質問。

私は、洋平君と付き合っていることを、奈津美と健二以外に言っていない。

言わなくても、その内気付かれると思ったし、言う気にもなれなかった。
 

⏰:07/10/08 16:21 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#358 [あんみつ]
 
洋平君と付き合ってても、健二を手放そうとしない自分が、ずるいのは分かってるから。

健二を手放せない自分が、臆病なのも分かってるから。

だから私は、ただいつも通りの言葉を返す。

「ただの幼なじみだよー」

言い慣れたはずの言葉が、何となく重くて、痛かった。

 

⏰:07/10/08 16:23 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#359 [あんみつ]
 

「・・・こ、ねこ!!」

奈津美が私の顔を覗き込んでいた。

「あ、ごめん。何??」

教室は盛り上がって、そこら中でカメラのシャッター音が響いていた。
 

⏰:07/10/08 21:24 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#360 [あんみつ]
 
「いや、別に何でもないけど・・・疲れた??」

奈津美が心配そうに聞く。

「んー・・・ちょっとね」

私は、両手で缶を握り締めた。

 

⏰:07/10/08 21:25 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#361 [あんみつ]
 

私は、間違っていたのかな??

きっと私は、これからも健二を手放せない。

絶対に失いたくない存在。

大切な人。

私は、この気持ちを、誰に伝えればいいんだろう。

誰に・・・。

 

⏰:07/10/08 21:27 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#362 [あんみつ]
 

ガタッ

私は残りのジュースを一気に飲んで、立ち上がった。

「ねこ??」

「ごめん、奈津美・・・私帰るね!!」

荷物を引っ掴んで、私は教室を出た。

 

⏰:07/10/08 21:28 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#363 [真帆]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400

⏰:07/10/08 21:30 📱:F902i 🆔:7aA1iCdQ


#364 [あんみつ]
――――――――


うまく言えるか分からない。

けど、伝えなきゃならない。

じゃないと、また私は、あの人を傷つける。

傷つけたくない。

傷つけてはいけない。

私のことを想ってくれる気持ちを、裏切ることになるから。

だから・・・

 

⏰:07/10/08 21:51 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#365 [あんみつ]
真帆さん
アンカー(?)ありがとうございます

⏰:07/10/08 21:53 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#366 [あんみつ]
 

ドンッ!!

廊下の曲がり角で、誰かにぶつかってよろけた。

「わっごめん!!・・・て、ねこちゃん??」

「・・・洋平君」

「ごめん、大丈夫??」

洋平君は、借り物の前と変わらない、優しい目で私を覗き込む。

その目を見て、私はほっとした。
 

⏰:07/10/08 21:59 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#367 [あんみつ]
 
「あ、うん。大丈夫」

(・・・前もこんなことあったな)

「そっか。どしたの急いで??」

「洋平君のとこ・・・行こうと思って」

私が言うと、洋平君は驚いた顔をした。
 

⏰:07/10/08 22:01 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#368 [あんみつ]
 
「俺も、ねこちゃんのクラス行くところだった」

そう言って、洋平君はふっと笑った。

洋平君が笑うから、私も笑えた。

(・・・よかった)
 

⏰:07/10/08 22:02 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#369 [あんみつ]
 
「じゃぁ・・・」

「一緒に帰ろっか」

私が言う前に、洋平君が言った。

「・・・うん」


この人に、伝える。

 

⏰:07/10/08 22:03 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#370 [あんみつ]
――――――――


グラウンドに、私と、自転車を押す洋平君の影が伸びる。

みんなまだそれぞれの教室で騒いでいるのか、外にいる生徒は少なく、静かだった。

「あーなんか疲れたな」

そう言うと、洋平君は首を回した。
 

⏰:07/10/19 22:13 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#371 [あんみつ]
 
「洋平君、100mすごかったしねー!!」

私の言葉に、洋平君は照れ臭そうに「まーな」と言った。

校門を出ると、洋平君はさり気なく車道側に行く。

いつも通りの優しさが、今の私の心にひしひしと伝わってくる。
 

⏰:07/10/19 22:16 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#372 [あんみつ]
 
(・・・言わなきゃ)

「・・・洋」

チリンチリーン

後ろで自転車のベルが鳴った。

洋平君が私の前に来て、1列になる。

2人乗りをした他校の学生が、私たちの横を通り抜けた。
 

⏰:07/10/19 22:17 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#373 [あんみつ]
 
後ろに乗った小柄な女の子が、前の男子の大きな背中にしがみついている。

自転車が通り過ぎて、洋平君は再び私の横に並んだ。

タイミングを逃した私は、口をつぐむ。

「・・・俺が」

洋平君が口を開いた。
 

⏰:07/10/19 22:18 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#374 [あんみつ]
 
私は、洋平君の方を見た。

「・・・俺が、後ろにねこちゃんを乗せないのは・・・歩いて帰って、少しでも長く、ねこちゃんと話していたいから」

洋平君は前を見据えている。

夕日に照らされて、その横顔はオレンジ色だった。
 

⏰:07/10/19 22:20 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#375 [あんみつ]
 
「・・・健二よりも長く、ねこちゃんと一緒にいたいって思うから」

(・・・あ)

「・・・洋平君、健二は」

「分かってる」

洋平君は、私の言葉をさえぎった。

「・・・分かってるよ。ねこちゃんにとっても、健二にとっても・・・お互いが大事なのは」

洋平君は、片手で軽く頭を押さえた。
 

⏰:07/10/19 22:23 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#376 [あんみつ]
 
「けど・・・ねこちゃんの1番って誰??俺は、健二以上になれないの??」

歩くスピードを落とすことなく、洋平君は続ける。

「・・・そんな」

口の中が乾く。

(そんなこと・・・)

言葉がでない。
 

⏰:07/10/19 22:25 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#377 [あんみつ]
 
「・・・ごめん、意地悪言った」

洋平君が、やっと私の方を向いた。

「ごめんな。・・・ただ、健二に嫉妬してるだけだから」

立ち止まって、私の頭を撫でる。

「あとちょっとだけど・・・後ろ乗る??」

そう言って、洋平君は自転車の後ろを手で叩いた。
 

⏰:07/10/19 22:29 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#378 [あんみつ]
 
「・・・うん」

私は頷いた。

洋平君の後ろに乗って、両手で座っている荷台を掴む。

私が乗ったのを確認して、洋平君は自転車を漕ぎ始めた。

ゆっくりと進む。

お互い何も言わない。

 

⏰:07/10/19 22:31 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#379 [あんみつ]
 

あまり、顔を見られたくなかった。

多分、今私は、泣きそうな顔してる。

何も言えなかった。

きっと、また傷つけた。

『ごめん』って。

言うのは私の方だよ。


洋平君の広い背中を見ると、胸が締め付けられる思いがした。

 

⏰:07/10/19 22:32 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#380 [あんみつ]
――――――――


洋平君は、私の家のすぐ前で自転車を止めた。

私は降りて、洋平君からカバンを受け取る。

上手く目を見れない。

けど、このままじゃダメだ。

何か言わなきゃ。

「・・・私」

口を開いたけど、言葉が見つからない。
 

⏰:07/10/19 22:43 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#381 [あんみつ]
 
(なんで・・・)

喉が熱い。

洋平君の顔を見れずに、私はうつむいた。

すると、頭を2度、優しく叩かれた。
 

⏰:07/10/19 22:45 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#382 [あんみつ]
 
「ありがとう・・・じゃ」

洋平君が言い終わると同時に、頭から手が離れた。

私がそっと前を向くと、洋平君はすでにだいぶ進んでいた。

後ろ姿を見ていたら、また泣きそうになった。

 

⏰:07/10/19 22:51 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#383 [あんみつ]
 

あの手に私は、何度救われただろう。

なのに、私は傷つけてばかり。

「ごめん」も「ありがとう」も、みんな私のセリフだよ。

 

⏰:07/10/19 23:04 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#384 [あんみつ]
 

『ねこちゃんの1番って誰??』

あの時、何も言えなかったのは、洋平君の顔を見れなかったのは・・・。


私は門の前に座り込んだ。

「・・・なんで」

 

⏰:07/10/19 23:07 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#385 [あんみつ]
 

あの時、1番に頭に浮かんだのは・・・健二の顔だった。


私には洋平君がいるのに。

私、洋平君のこと好きだよ??

なのに、まだまだ「好き」が足りないの??

 

⏰:07/10/19 23:09 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#386 [あんみつ]
 

考えても考えても、自分の想いの深さは分からなくて。

けど、確かに言えるのは、健二を手放すっていう選択肢は、私の中になかったということ。


ねぇ、健二。

私は・・・ずるい。

 

⏰:07/10/19 23:12 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#387 [あんみつ]
14話目は以上です
感想くれると嬉しいです
感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2685/

⏰:07/10/19 23:15 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#388 [我輩は匿名である]
>>312-400

⏰:07/10/20 10:18 📱:P903i 🆔:LFsXw3nI


#389 [あんみつ]
匿名さん
ぁりがとぅござぃます
今から少し更新します

⏰:07/10/28 21:28 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#390 [あんみつ]
15、明後日


体育祭から1週間たった。

洋平君とは一緒に帰ったりもしたけど、当たり障りのない会話しかしていない。

不自然なのは分かってる。

けど私は、どうすればいいのか、自分がどうしたいのか、分からなかった。

 

⏰:07/10/28 21:33 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#391 [あんみつ]
――――――――


「なぁ、ねこ日曜暇??」

「へ??日曜??」

間抜けな声が出て、健二に笑われた。

「はっ!!・・・久しぶりに2人でどっか行こー」

健二は靴を履きかえながら、平然と言った。

(・・・健二と2人で)
 

⏰:07/10/28 21:40 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#392 [あんみつ]
 
「・・・おい、何止まってんの」

靴を持って止まったままの私の手を、健二がはたく。

「あ、えーと・・・」

私は、靴を下駄箱にしまいながら考える。

「何か用事ある??」

(ないけど・・・)
 

⏰:07/10/28 21:42 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#393 [あんみつ]
 
「おっす、健二!!1時間目体育だよな??」

がっちりした感じの男子が、健二の肩を叩いた。

「あ、やべ!!ねこ、ごめん先行くわ。メールしろよ!!」

「あ、うん」

私がうなずいたのを確認して、健二は友達と階段を駆け上がっていった。

 

⏰:07/10/28 21:49 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#394 [あんみつ]
 

何で誘ってくれたんだろう。

ただの気紛れ??

けど、理由はどうであれ・・・嬉しい。

健二と2人で出かけるのなんて、ほんと久しぶり。
 

⏰:07/10/28 21:51 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#395 [あんみつ]
 
けど・・・

今、健二と2人で出かけてる場合じゃない。

分かってる。

分かってるのに。

・・・胸が高鳴る自分がいるのを、私は否定できなかった。

 

⏰:07/10/28 21:54 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#396 [あんみつ]
――――――――


(・・・どうしよ)

みんながだんだんと帰り始める中、私はまだ自分の席に座ったままでいた。


何だかんだで、洋平君は放課後、いつも私を迎えにきてくれる。

だけど、待ってるだけじゃダメな気がする。

私からも動かなきゃ。

 

⏰:07/10/28 21:58 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#397 [あんみつ]
 

(・・・よし!!)

「ねこー!!呼んでるよー」

私が立ち上がった時、ドアの所にいる友達に呼ばれた。

(え、洋平君かな??出遅れちゃった・・・)

かばんを持って、足早にドアの所へ向かう。

「・・・あ」

驚きを、思わず声に出してしまった。
 

⏰:07/10/28 21:59 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#398 [あんみつ]
 
「こんにちは。あの・・・ちょっといいですか??」

目の前にいるのは・・・佐古さん。


健二の・・・彼女。

 

⏰:07/10/28 22:01 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#399 [あんみつ]
――――――――


カチカチッ

――――――――
9/17 16:02
To 田村洋平
Sub 無題

ごめん!!
今日用事できたから、先帰ってて(pω・`)
――――――――
 

⏰:07/10/29 16:14 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#400 [あんみつ]
 
パコンッ

携帯を閉じて、私は前を向いた。

それに気付いて、佐古さんが振り向く。

「ごめんね。・・・で、話って・・・??」

私は、恐る恐る聞いた。

けど、本当は何を言われるか、何となく分かる。
 

⏰:07/10/29 16:16 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


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