黒蝶・蜜乙女―第2幕―
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#120 [向日葵]
そしてその哀れな光景を目にしながら私は隣でガーターの嵐……。

蜜「私…、見とくだけでいいかなぁ……。」

オウマ「だぁいじょうぶ!俺がコツ教えるし!んで、その後は着替えてカラオケオールしようぜぇ!!」

すっかりこっちの生活に馴れ親しんだらしいオウマ君。
これじゃぁ普通の高校生。いやそれでいいんだけど……。

まぁカラオケなら私はまだ人並みにいけるので

蜜「ウン。盛り上がろうかっ!」

⏰:07/08/19 02:20 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#121 [向日葵]
オウマ「おっし決まりぃ!んじゃあ俺風呂用意してくるー♪」

ピューっとはしゃぎながらオウマ君は行ってしまった。

私も明日の用意をしてすぐ寝れる様に準備しよっと。
あ、そうだ。

蜜「ラフィーユ!オウマ君もだけど、写真一杯撮ろうねぇっ!」

ラフィーユ「今?」

蜜「うぅん。明後日!制服姿で一緒に撮りたいし♪」

ラフィーユはフッと笑ってコクリと頷いた。

⏰:07/08/19 02:25 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#122 [向日葵]
インスタントカメラ買っておかなきゃなぁ……。

そう思いながら私は部屋に行く為、階段をトントン上がっていた。

カチャ バタン

ベッドに座る前に、ハンガーにかかっている制服を見た。

蜜「あと二回…着たら終わりかぁ……。」

なんか、濃ゆい三年間だったなぁ。
色々あったなぁ……。
色々……。

ハッ!

私は頭を振った。いらないとこまで思い出す所だった。

⏰:07/08/19 02:28 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#123 [向日葵]
窓を開けて、夜空を見上げる。

空気が澄んでるのか星がよく見えた。
瞬いていてさっきのオウマ君の目みたいにキラキラ光っている。

あの顔を思い出して思わずクスッと笑ってしまった。

とうとう私も卒業か……。

『卒業するんですから!』

窓を閉める時、何時かの私の声が聞こえた気がした。でも聞かないフリをした……。

⏰:07/08/19 02:34 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#124 [向日葵]
暖冬で桜が咲いていた。

少し早い、来春の合図。

でもそれが、卒業式をよりドラマ的に変えるのだった。

清「みーぃつ!」

蜜「ん?」

パシャ!

簡単な予行が昨日終わり、今日はついに卒業の日だった。
式は既に終わって、皆先生が来るまで友達との別れを惜しむ様にカメラのボタンを押す。

⏰:07/08/19 02:38 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#125 [向日葵]
蜜「ちょっと!何今の不意打ち!」

清「キャハハ!いい思い出♪あ、蜜、アルバムに一言書いてよ!」

蜜「じゃあ清も書いてー。」

アルバムを交換して、周りをヒョイと見ると、ラフィーユやオウマ君はモテモテで、たらい回しの様に写真を撮られ(撮って)いた。

清「蜜。」

蜜「ん?」

清「……ずっと友達でいてね?」

私はニコッと笑って頷いた。

⏰:07/08/19 02:43 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#126 [向日葵]
蜜「もちろん。当たり前でしょ?」

そう言うと、清は涙を流し始めた。

清「絶対だよぉ?!メールだってしてよ?!一緒にまた遊んでよぉっ?!」

抱きついて泣き始める清に困りながら頭を撫でてなだめる。

蜜「わ、分かってるから。泣かないで?ね?ホラ、先生来たから、また後でね?」

グスグス鼻を鳴らしながら清は教室に戻って行った。それを苦笑しながら見届けて、私は席につく。

⏰:07/08/19 02:48 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#127 [向日葵]
席についてふと思う。

今まで机とか、椅子とか、そんなに気にせずクラスを去って行ったけど、いざもう永遠に近い別れとなるとこんなにも寂しいんだ……。

蜜「ありがとう……。」

そっと使っていた机と椅子にお礼を言った所で、卒業証書が配られた。

しばらくして、私の名前が呼ばれた。

「本山蜜。」

蜜「はい…。」

・・・・・・・・・・・・・・・

誰もいない教室で、私はまだ残っていた。

⏰:07/08/19 02:52 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#128 [向日葵]
ラフィーユとオウマ君には、校舎内を回りたいから校門で待つように言った。

いつまでもこうしている訳にもいかない。
席を立って、教室内を見渡した。

目を瞑れば、授業中の雰囲気が安々と蘇る。

もえこんなにも懐かしいものに変わってしまったんだ。

蜜「ありがとう……。そして」

さようなら。

廊下、移動教室の教室、グラウンド……。

⏰:07/08/19 02:55 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#129 [向日葵]
廊下から中庭を見れば、まだ沢山人がいた。
皆帰りたくないみたい。

思い出の校舎には、数人の人しかいない。
自分の歩く音が、やけに響いて聞こえる。

私は思い出の場所を回っていった。

1年の教室、2年の教室、保健室、職員室、体育館、食堂、……そして。

タン…タン…………。

久しぶりの、屋上のドア前。忘れたとしとも、ここは思い出の場所だから。

来ておきたかった……。

カチャ……ギギギィィィ……。

⏰:07/08/19 03:00 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


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