黒蝶・蜜乙女―第2幕―
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#1 [向日葵]
という事で黒蝶・蜜乙女です。
完結へ向けますんで、お話的には少ないですが、良ければ読んでください(*´∀`)ノシ

尚、感想などはこちらまで
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オーダーをしてますんでここには私だけしか書けません。ご了承ください(◎・ω・◎)

⏰:07/08/12 12:57 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#2 [向日葵]
チャプター15:それぞれの想い 〜小川編〜








ずっと好きだった。
いつからなんて忘れたけど、そのサバサバしてあっさりした性格とか、たまに見せる笑顔とか……。

⏰:07/08/12 13:01 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#3 [向日葵]
蜜「おはよう。」

小川「あ、おはよう。」

本山蜜。

この子こそが僕の好きな人。
最近は髪が伸びたりして、黒い綺麗な髪がより強調され、僕はドキドキしっぱなしだった。

蜜「明日は三年生もう卒業だねー。」

そうなのだ。
一学年上の先輩方が明日卒業する。

小川「その内俺らなんだね。なんだか早いな〜。」

⏰:07/08/12 13:08 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#4 [向日葵]
本山はクスクスと笑う。

最近の彼女は元気だ。

この間まで、悲しそうな顔をして無理して笑っている様な、そんな様子だった。

それはきっと、彼女の環境が少し変わったからだ。

原因は彼氏にあるだろう。

とても格好良くて、僕なんかじゃ到底敵わない様な相手。

名はセツナ。
最近忽然と姿を見せなくなった。
噂によれば海外に留学したとか言う。

⏰:07/08/12 13:11 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#5 [向日葵]
でも彼女から出る悲しみは、寂しさとは別の様な感じがした。

勿論、別れた訳でも。

僕だったら、そんな顔をさせない。
僕だったら、本山を一人ぼっちにはさせない。

僕だったら……僕だったら……。
そんな想いが、毎日頭をよぎった。

本山。
僕が想いを告げたら、君はどうしますか……?

⏰:07/08/12 13:15 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#6 [向日葵]
『なぁんて。』

そんな事を考えても答えはNOに決まってるんだけどね。

廊下の窓で黄昏ながら自分にツッコミを入れる。

また、桜の季節がやって来る。
丁度こんな時期だった。

彼女に彼が現れたのは。

⏰:07/08/12 13:17 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#7 [向日葵]
最初は手に取れるほど、本山の彼に対する反応は最悪だった。
毎日顔を見せる彼に本山はうんざりしていた。

それを見た僕は、ホッとして、油断していた。

いつの間にか、彼女の反応が一変。
彼が姿を見せれば、白い肌の顔を紅潮させ、少し困った顔をして彼の側へ心なしか足早に近寄って行った。

それを見た僕は、雷に打たれた感覚を覚えた。
でも、どうする事も出来ず、ただ彼女が恋している姿を見ているだけだった。

⏰:07/08/12 13:22 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#8 [向日葵]
それでも、僕の中の恋心は捨てきれず、図太いながらもまだチャンスを伺っていた。

もしかして、今がチャンスなのか……?

「あれっ?小川君じゃん!」

声のする方に目を向けた。そこにいたのは、ただ唯一僕の気持ちを知っている人物。

小川「あぁ西堂。」

西堂清。
元クラスメートで、本山の友達だった人物。

清「ひっさびさぁ!元気?」

⏰:07/08/12 13:27 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#9 [向日葵]
小川「元気。クラス離れてちゃうとあんまり会わないものなんだな。」

清「ホントそれよね!最初は寂しくて仕方なかったわよ!」

ホントに寂しかった様には思えない感じの西堂に、僕は笑った。

……!
もしかしたら、西堂は何か知ってるかもしれない。

小川「なぁ西堂。この頃ね本山について何か知ってるか?」

清「蜜?さぁ……この頃あんまり連絡取ってないし、クラス離れてるしだからねー。」

⏰:07/08/12 13:31 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#10 [向日葵]
――――――――

一旦キリます

⏰:07/08/12 13:43 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#11 [向日葵]
そりゃそうか。
近頃は転校生のラフィーユさんとオウマって人達とべったりだし。

その人達に聞いた方が無難かもしれない。

清「ただね。」

西堂がまた話始めたので耳を傾ける。

清「あの子、何かあっても我慢って言うか……無理しちゃう子だからさ……。一回前にあったのよ。」

――それは小川が知らない、セツナとケンカして蜜が泣いた時の話だ。

⏰:07/08/13 01:59 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#12 [向日葵]
清「どうしたか問いかけても「何にも無い」の一点ばり…。強制しても聞かないんだから。」

それはこの頃の本山と類似していた。

何を聞いても「なんでも無い」と強がる彼女。
僕はそんな彼女を見るのが辛くて仕方なかった。

清「本人が話すまで待つしか手は無いわね。まぁ……話すか分からないけど。」

確かに……。
本山の弱音なんか、僕が聞ける訳がない。
友達の彼女ですら聞いてないのだから。

⏰:07/08/13 12:02 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#13 [向日葵]
蜜「あれ?清?」

本山が教室から出てくる所だった。

清「みーっつー!久しぶりぃ!ってか大人っぽくなってぇ!」

蜜「久しぶりって……昨日メールしたじゃない…。」

清「……そうだっけ?」

こんなやりとりを見るのは久しぶりだ。
まるで一年に戻った気分。
この二人の漫才みたいな話の展開を側で見ているのが、僕は何より好きだった。

⏰:07/08/13 12:06 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#14 [向日葵]
蜜「あ、あのね小川君。今日委員会あるらしくって、放課後残らなきゃいけないって。」

小川「うん。わかったよ。」

僕は一年に引き続き、本山と委員会をやっている。
これだけが唯一の楽しみ。

大変だけど、本山と二人の時間を作れるから何より幸せだった。

そういえば一年前、僕は衝撃な瞬間を目にした事がある。

それは……職員室に用事があって帰って来た時だ。

⏰:07/08/13 12:10 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#15 [向日葵]
―――一年前

本山もう帰っちゃったかなぁ……。

でも今日は焦った。
俺ら悲しいかな付き合ってないし……。

でもそう見えるって事は結構いい感じに見えてるってことだよな?!
あーそれってメチャクチャ嬉しいかも。

あのセツナって人も微妙って言ってたし!

階段を上がりながら動き付きで(幸い校舎には誰もいなかった)考え込んでいた。
そして教室前で止まる。

⏰:07/08/13 12:15 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#16 [向日葵]
そこでうろうろと歩き回る。

あぁ…。先に帰ってもらうんじゃなかった。

僕は密かに決心していた。
今日、告白しようと……。

放課後夕日が射す教室で告白だなんて少女漫画のベタな事だとは思うけど、実際には告白の場なんてこれくらいしかなかった。

あくまで僕が考えるにはだけど……。

でもまず、その相手が教室に入るか否かだよな……。

⏰:07/08/13 12:20 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#17 [向日葵]
――――――――
キリます

⏰:07/08/13 12:21 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#18 [向日葵]
その時だった。



――バンッ!!

『?!』

今の……何?
どこからの音?

そう思った時、教室内から声が聞こえた。

あれ?本山まだいる?!

内心ガッツポーズを取るが、一人で喋ってる訳が無い。

⏰:07/08/13 19:50 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#19 [向日葵]
しかももう一人の声だってちゃんと聞こえている。

もしかしたら西堂かな。

そう解釈して中に入る事にした。

ガラガラ

小川「本山?いる……!」

そこで見たのは、セツナって人と、本山のキスシーンだった。

俺はショックと言うよりただただ驚いてその場で立ち尽くしていた。

⏰:07/08/13 19:57 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#20 [向日葵]
その相手は、男の僕でも見とれてしまいそうな綺麗な顔でこちらを見る。

そして可笑しそうに顔を歪ませて僕に一言言った。

セツナ「ジロジロ見てんなよ。」

その言葉に我に返った僕は、顔が赤くなるのを感じながら鞄を持っておぼつかない足で走って帰った。

走りながら色々考えた。

⏰:07/08/13 20:03 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#21 [向日葵]
本山は無理矢理されたんだとか、あの人が悪いんだとか……。

僕にはどうにも出来ない悩みの様なムシャクシャした気持ちのまま家に帰って、ベッドに沈み込んだ。

僕はまだこの頃僅かな期待を胸にしていた。

本山の微妙と言う言葉を信じて、いつか僕に振り向いてくれるだろうと気を緩めていた。

……その可能性は無く、二人が結ばれたと気付いたのは、バレンタインの時だった。

本山からチョコをあげると言われた時、正直「マジで?!」の言葉で脳内が一杯だった。

⏰:07/08/13 20:09 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#22 [向日葵]
そのすぐ後に「友チョコだ」と聞いた時は、ピンク色の脳が崩れ去って一気にブルーになった。

相変わらず思い上がりが激しいなと反省した。

でもこの時に確定の判子を押した訳じゃ無い。

本山が帰ると言って教室を出た後、密かに後をつけて行った。

辿り着いた先は屋上だった。
息を切らして、心なしか浮足だっている本山を見ながら、屋上に何が待っているのか分からなかった。

そしてドアの隙間から見たその光景……。
僕は一生忘れる事が出来ない気がする。

⏰:07/08/13 20:14 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#23 [向日葵]
夕暮れがかった空の下の冷たい風が吹く中で、セツナと本山がいた。

本山は自覚がないだろうけど、彼を見る目は愛しさで満ちていた。
そして彼の顔に手を触れていたその姿は、なんだか泣きたくなった。

それは失恋したからとかじゃなくて、とても温かく感じたから。

心が、とても満たされた気がしたから。

だから余計に痛いほど分かってしまった。
―――僕には遅かったんだと……。

⏰:07/08/13 20:21 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#24 [向日葵]
―――――……



「……君。小川君!」

小川「あ、……何?」

現実だ。
いつになく物思いにふけってしまった…。

蜜「委員会、始まるから行こう。」

気付けば時間は3時半。確か委員会は4時から。
まだ30分もあるのに真面目だなー。

そんなトコもたまらなく好きだ……。

ぼんやりしている僕に、彼女は首を傾げた。
そんな彼女に僕は微笑む。

⏰:07/08/13 20:28 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#25 [向日葵]
小川「本山、後で時間ある?」

・・・・・・・・・・・・

「では委員会を始めます。」


長机に二人で座る。
配られたプリントに目を通す。

蜜「ねぇ、後で何かあるの?」

僕は思わず笑ってしまった。
本山が素で聞くからだ。
僕がすることなんて読者でも分かるハズだ。

そう、告白だ。

⏰:07/08/13 20:42 📱:SO903i 🆔:tJdVPUMQ


#26 [向日葵]
普通ならそんな事容易に考えられるのに、本山は違うみたいだ。

蜜「な、何?」

小川「クスクス。ゴメン。でも内緒なんだ。あと、約束してくれない?後で何があっても普段と変わらないでいてくれるって。」

大きなヒントをあげたにも関わらず、本山は全く訳が分かっていないようだった。

蜜「?うん……。わかった。」

それからは委員会に集中した。
僕は不思議と緊張はしていなかった。

フラレると分かっている開き直りかな?

⏰:07/08/14 02:23 📱:SO903i 🆔:BHHisEIE


#27 [向日葵]
でも言う言葉はあれこれ考えていたりした。
レパートリーが少ない僕は、率直に好きだと伝える事にした。

・・・・・・・・・・・・・・・

ガラガラ

委員会が終わって、僕達はもう誰もいない教室へと帰ってきた。

蜜「で、どうかした?」

僕がこれから何を言うか分かってない本山は無邪気に聞いてくる。

僕は胸に手を当ててみた。変なの。別に緊張してるつもりないのに、バクバクいってる。

⏰:07/08/14 02:26 📱:SO903i 🆔:BHHisEIE


#28 [向日葵]
蜜「小川君?」

瞬きを何度かしながら、本山が見つめてくる。

そんな本山に、僕は微笑み返す。

小川「約束、ちゃんと守ってね。」

蜜「勿論!任せて。」

にっこり笑う本山に笑顔を向けたまま、僕はいよいよ想いを告げる……。

小川「好きだよ……。」

蜜「…………え?」

小川「俺ずっと、本山が好きだった……。」

⏰:07/08/14 02:30 📱:SO903i 🆔:BHHisEIE


#29 [向日葵]
本山は固まった。
笑みを残したままの口元は段々と力を無くして元の状態に戻る。

そしてまた、薄く微笑んだ。

蜜「ありがと…。」

小川「……うん。」

本山の笑みが徐々に崩れて、悲しみに顔がいがむ。

蜜「……っありがとう……。」

うん。分かった。
そのありがとうは、ごめんなさいも含まれているよね。

蜜「待ってる…、人がいるから……。でも、ありがとう……。」

涙を拭きながら途切れ途切れに言葉を紡ぐ本山。

⏰:07/08/14 02:34 📱:SO903i 🆔:BHHisEIE


#30 [向日葵]
その姿がとても愛しくて、抱き締めたくて、手が伸びた……けど戻した。

抱き締めるのは僕の役目じゃない。
目を瞑って、屋上の光景を思い出す。

あの愛しさで満ちていた目から、涙が流れている。

それは他でもない僕の為に。
それだけで充分じゃないか……。
断るんじゃなくて、「ありがとう」と言ってくれた。
それだけで幸せじゃないか……。

小川「本山。約束、破っちゃダメだよ?」

⏰:07/08/14 02:38 📱:SO903i 🆔:BHHisEIE


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