黒蝶・蜜乙女―第2幕―
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#90 [向日葵]
自分の気持ちが、“恋”だとは分かってないのかもしれない……。

蜜「でなきゃあんな表情見せないよね……。」

そういえば、前に言ってた。

ラフィーユ[同じ事、言う。]

私がラフィーユに自分の話し方が変だろう?と問われた時だ。

あの時のラフィーユは、目が優しさで揺らいでいて、声音もなんだか愛しさで満ちていた気がする。

そっかぁ……ラフィーユ、自分には鈍感なんだね……。

⏰:07/08/18 03:15 📱:SO903i 🆔:bITymfKA


#91 [向日葵]
私はそっと苦笑する。

ならもう少し、二人だけの時間を過ごさせてあげようじゃないですか……。

蜜「――っくしゅん!あー…でもちょっと寒いかな……。」

『風をひかれたら困る。』

…………。

今日はやけに思い出してしまう……。

もうすぐ……

三年生……。

⏰:07/08/18 03:19 📱:SO903i 🆔:bITymfKA


#92 [向日葵]
――――――――

さて、皆様お待たせいたしました……。

次で……最終回でございます

蜜はセツナに会えるのか、はたまた会えないのか

どうぞ最後までお付き合いのほど、よろしくお願いしますm(__)m

⏰:07/08/18 03:21 📱:SO903i 🆔:bITymfKA


#93 [向日葵]
貴方は言ったよね。

私達は惹かれ合うって……

なら私は貴方を助けた時に、もう惹かれてたのかもしれないね。

だから、貴方を助けたのかなぁ……。

今貴方は自由に空を、この青く眩しい空を、舞っていますか……?






ラストチャプター:桜風

⏰:07/08/18 03:25 📱:SO903i 🆔:bITymfKA


#94 [向日葵]
三年生になると早送りの様に毎日が過ぎて行った。

進路を考え、夏には特別授業で勉強し、そして受験……。

私は製菓の専門学校に行く事にした。
何だかんだでお菓子作るのは嫌いじゃないし、私の取り柄がこれくらいしか見当たらなかった。

そして……

蜜「あぁー!待って待って待ってぇぇ!!」

オウマ「どっちだよ!蜜が開けるの恐いって言うから開けてるのに。」

家に合格通知が届いた。

⏰:07/08/18 03:31 📱:SO903i 🆔:bITymfKA


#95 [向日葵]
封筒は大きいサイズだった。この場合、大抵は合格の筈なんだけど、私は裏があると思い、開けるのを恐がっていた。

ラフィーユ「蜜。自分、開けろ。」

ラフィーユの後ろに隠れていた私に彼女はそう告げた。

蜜「で、でもぉー……。」

ラフィーユ「大丈夫。心配ない。さぁ…。」

勧められるがまま、私はA4サイズの封筒を手にした。ブルブル手が揺れてまともに開けれない。

⏰:07/08/18 03:37 📱:SO903i 🆔:bITymfKA


#96 [向日葵]
蜜「むむ無理無理無理無理!開けれないってホント。」

オウマ「お前変なトコビビリだよなぁ!さっと見ろよさっとぉ!」

さっとね…。さっと……。

蜜「さっとぉ――!!!」

ガサガサ、ザッ!!

中にある紙を一枚引っ張り出す。それを一斉に三人で覗き込んだ。
そこに書いてあった文字は……

蜜「ぬ…ぅお……。―――合格ぅぅぅぅ!!!!!」

オウマ「うぅっお――!!!やったな蜜ぅ!!」

蜜「うん!!」

⏰:07/08/18 03:42 📱:SO903i 🆔:bITymfKA


#97 [向日葵]
ラフィーユは私達二人みたいに馬鹿騒ぎするんじゃなくて、微笑んで私の頭を撫でてくれた。

ラフィーユ「良かったな。」

蜜「うんっ!ありがとうラフィーユ!!あ、清に言おう!」

清とは結局三年生でも一緒のクラスにはなれなかったけど、隣のクラスの為、よく遊びに来た。

小川君は、いつの間にか生徒会長とかやっちゃってて、二年生からは常に忙しそうだった。
彼はもう自然に話してくれる。

⏰:07/08/18 03:46 📱:SO903i 🆔:bITymfKA


#98 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/08/18 03:47 📱:SO903i 🆔:bITymfKA


#99 [向日葵]
もう……って訳でもないか。どっちかって言うと私が自然に話せる様になったんだと思う。

約束通り、普段と変わらず喋ってはいたものの、拭いきれない申し訳なさとか、気まずさとかがあって。

無理してるって自覚はあった。

きっと小川君も気づいていたと思う。

それでも絶えず、笑いかけてくれた。

――――――……

季節は、それでも容赦無く過ぎていく。

⏰:07/08/19 00:29 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#100 [向日葵]
秋が過ぎたら、また寒い寒い冬がやって来た。

蜜「うぅっ!寒いし!」

オウマ「ん?なんだコレ。」

ヒラヒラ白い固まりが空から落ちてくる。

蜜「あ……雪……。」

通りで寒い訳だよ。
しかも粉雪。積もっちゃうじゃん。

オウマ「雪ねぇ。初めてみた。」

蜜「去年は降らなかったしね。」

自分で去年と言って、少し凍りついた。

⏰:07/08/19 00:32 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#101 [向日葵]
寂しい気持ちを押し込めて、もうすぐ2年が経とうとしている事実に呆然とした。

最近は不安で仕方ない。

ホントに帰ってくるかとか、何かあったんじゃないかとか。

他に……好きな人が出来たんじゃないのかとか……。
もしそうなら、私は忘れる事出来るかな。
もう一度、普通に戻れるのかな。

ううん違う。

⏰:07/08/19 00:40 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#102 [向日葵]
 




セツナと毎日を過ごしたせいで、いない今の方がいつの間にか非日常になっていたんだ。

⏰:07/08/19 00:41 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#103 [向日葵]
私は普通の女子高生。

やる気はそこそこの、容姿十人並のどこにでもいる奴だ。

初めてかもしれない。

何かに、誰かにこんなに

夢中になったのは……。

溢れる様に降ってくる雪を見ながら、そう思った。

そんな気持ちをくれたのなら、私はもう、充分だよ……。

ゴメンネセツナ。
私に待ってる事に、少し疲れたみたい。

私の為、行ってしまった貴方を私は、忘れる事にします…………。

⏰:07/08/19 00:47 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#104 [向日葵]
オウマ「蜜……?」

私は庭へ出ていた。
そして灰色の空を見上げていた。

蜜「ゴメン。ちょっと、一人にさせてくれる?」

いぶかしげに顔を歪めるオウマ君に、ラフィーユは家へと促した。

雪独特の静けさと雰囲気の中で、私は一人、目を閉じた。

閉じれば、思い出が、後から後から流れてくる。

初めて会った時はそれは驚いた。
何せ普通の生活にどっぷりハマっていたから。

⏰:07/08/19 00:51 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#105 [向日葵]
ファーストキスは奪われるし、いきなり人生初の愛の告白はされるし。

はっきり言ってセツナは嫌いだった。

でも、なんでこんなに好きになったんだろう。

私のせいで傷付いた顔。
優しい微笑み。
滅多に見せない照れた顔。
助けに来てくれた勇敢な姿。

そして初めての日、大切に扱ってくれた温かさ……。

大好きだよ。
ううん。
大好きだった……。

⏰:07/08/19 00:55 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#106 [向日葵]
もう二度も約束破ったから、いいよね?

泣いても……
その名を呼んでも……

蜜「……。……ナ…。――セツナァ……っ!!」

鳴咽を漏らして、搾り出す様な声で愛しい人の名を何度も呼ぶ。

蜜「セツナ……セツナァッ!!大好きでしたよっ……。」

ごめんなさい。
ごめんなさい。

貴方は何度も助けてくれたのに、私は努力もしないで、貴方をただ待っているだけのくせに……。

⏰:07/08/19 00:59 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#107 [向日葵]
私はその事すら放棄して、寂しさに負けて、貴方を忘れます。

蜜「……ら…!……さよならっ…。セツナ!」

さようなら。

貴方の事は忘れます。
でも決して、忘れません……。

初めて好きになった人……。
私の運命だった人……。

―――――
―――――――……

また、春がやってくる。

清「すっごいねぇ!もう明後日には卒業だってぇ!」

⏰:07/08/19 01:02 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#108 [向日葵]
――――――――

一旦キリます

⏰:07/08/19 01:03 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#109 [向日葵]
久しぶりに清とお出かけ中。今は喫茶店でお茶してます。

蜜「清ってどこ行くんだっけ?」

清「私は看護学校。専門学校だね。そういえば小川君、推薦で難関の大学行けたんだって!凄いよねぇっ!」

何故か嬉しそうに話す清を見て、なんとなく予想がついてしまった。

蜜「小川君が好きなんだ?」

清「え……。」

シュワァァァァ……

清から湯気が立ち上った。

⏰:07/08/19 01:26 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#110 [向日葵]
どうやら私は人の事を当てるのが得意らしい。
ラフィーユとオウマ君にしても清達にしても分かりやすすぎだ……。

清「み、蜜!アンタ何言っちゃって……っ。」

蜜「知ってるんだよ?この間のバレンタインにチョコあげてたこと。」

清の顔が更に赤くなる。
可愛らしいなぁ……と和みながら思った。

⏰:07/08/19 01:29 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#111 [向日葵]
二人がいい感じになってたのは秋くらいに感じた。

小川君と話す時の雰囲気が少し違ってた気がしたからだ。
清は清でやたらと小川君の話が増えていた。

何かが二人にあったらしい。明らかにおかしいって言ったら失礼だけどおかしかった。

清「まだ返事もらってないし……。なんてったって明後日だからねホワイトデー!」

蜜「きっと大丈夫だよ。小川君も清のこと好きみたいだし。」

そこで私はジュースを飲んだ。

⏰:07/08/19 01:33 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#112 [向日葵]
二口ほど飲んだ所で、清の視線に気づき、ストローから口を離した。

蜜「何……?」

清「なぁんかさ……違うんだよねぇ……。」

蜜「?」

清はテーブルに身を乗り出して更に私を観察する。

私はなんだか悪い事をした気分になって少し身を引いた。

蜜「き、清……?」

清「なんか、蜜らしくない。」

私らしく…?

⏰:07/08/19 01:38 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#113 [向日葵]
清「蜜って、嘘つけないタイプだからさ、すぐ顔に出るじゃん?でも今はなんだか……仮面被ってるって感じ。」

蜜「仮面?」

清「ホントはどう思ってるか、読くなっちゃった。」

……。
仮面……か……。
そんなつもりはなかった。清とのお喋りがつまんない訳でもないし。

もしかして私、仮面を被って生活することに慣れちゃってるのかな。

だから、人間らしくなくなっちゃった?

⏰:07/08/19 01:42 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#114 [向日葵]
蜜「大人に近付いたって感じじゃない?」

清「うーんそうかもねー。」

あっさり肯定しちゃったよ。
でも、掘り出して聞こうとしない所が、清の良いところだよね。

蜜「清。」

清「んー?」

蜜「ありがと…。」

清は照れた様に笑うと、私の頭をくしゃくしゃ撫でた。

清「ぃよし!プリクラ撮りに行こう!今日は沢山撮ろうね!」

蜜「りょーかいっ。」

⏰:07/08/19 01:46 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#115 [向日葵]
清が友達で良かった。
これからも友達だよね?

普段照れ臭くて言いづらいことを、落書きのメッセージスタンプで表した。

“いつもありがとう!アンタは心友や!”

そのプリクラは、私の携帯の裏に、密かに貼っておいた。

――――……

蜜「ただいまー。」

家に帰ると、既にいい香りがしていた。
この頃は毎日の様にラフィーユが料理を作ってくれる。

⏰:07/08/19 01:50 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#116 [向日葵]
ラフィーユの料理の腕は日に日に上がっていって、冷蔵庫の僅かに残った食材でさえレストランに出てくるメニューの様に作った。

ちなみにラフィーユとオウマ君の進路は私と一緒。

なんかもう三人一緒って感じ。

オウマ「よっす蜜!お帰り!」

蜜「ただいま。二人ともご飯は済んだの?」

ラフィーユ「今日、蜂蜜を料理、作った。」

蜂蜜で?!
もしや密かに匂ってる甘い匂いはそれ?

⏰:07/08/19 02:01 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#117 [向日葵]
蜜「ラフィーユすごいねぇ……。」

席に着きながらテーブルに広げられてる私の食事に思わず涎が口から出かけた。

ラフィーユ「意外、楽しい。」

オウマ「ラフィーがここまで楽しんでるの初めてだなぁ。」

へー。
それなら嬉しいな。

いただきますと礼をしてから私はほっぺが落ちそうな料理を堪能した。

・・・・・・・・・・・・・

蜜「んー!食べたぁ!」

⏰:07/08/19 02:07 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#118 [向日葵]
料理のお皿を全部空にして私は食事を終えた。

ラフィーユの料理は結構バランスとかを考えている料理で、私の嫌いなコンニャクとか椎茸とか使った料理め出たけど美味しく調理してくれたおかげで私に好き嫌いは無くなった。

ラフィーユすげぇ……。

オウマ「なぁなぁ蜜!」

オウマ君がキラキラ目を光らせてテーブルに身を乗り出しながら私に話かけてくる。

蜜「何?」

オウマ「明後日卒業式+ホワイトデーだっけ…?じゃん?」

⏰:07/08/19 02:12 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#119 [向日葵]
蜜「ウン。そうだけど?」

オウマ君はラフィーユと顔を見合わせてからニヒッと笑って私にまた目を向ける。

オウマ「その後ボーリングでも行かね?」

私は目をパチクリした。

一回だけ三年になってからクラスの皆でやったけど……まさかボーリングとは。

オウマ君は運動神経がいいのか、説明を一回受けるとバンバンストライクの嵐。

女子に良いところを見せようとしたクラスの男子は面目丸潰れだった。

⏰:07/08/19 02:16 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


#120 [向日葵]
そしてその哀れな光景を目にしながら私は隣でガーターの嵐……。

蜜「私…、見とくだけでいいかなぁ……。」

オウマ「だぁいじょうぶ!俺がコツ教えるし!んで、その後は着替えてカラオケオールしようぜぇ!!」

すっかりこっちの生活に馴れ親しんだらしいオウマ君。
これじゃぁ普通の高校生。いやそれでいいんだけど……。

まぁカラオケなら私はまだ人並みにいけるので

蜜「ウン。盛り上がろうかっ!」

⏰:07/08/19 02:20 📱:SO903i 🆔:NfUWlfOw


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