―温―
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#306 [向日葵]
「静流の次でいいよ。君のお世話する権利を俺にくれない?」

お世話って……。

「やっぱり子供扱いじゃない…。」

「違うよ!例えば紅葉が」

あ、勝手に呼び捨てになった。

「胸を貸してって時に貸す役。つまり、恋人補助みたいな?」

余計訳分からん……。

「ってか静流恋人じゃないし。」

⏰:07/09/10 03:29 📱:SO903i 🆔:9xBi8V7I


#307 [向日葵]
自分で言って自分で傷つく。
図解して見るとハートに矢が何本もサクサクブサブサ刺さってる状態とでも言ったら分かりやすいかしら。

「違うよ何言ってんの。」

香月さんはハハッと笑うと、急に男の顔でニヤリと笑った。

「恋人候補において欲しいって事。わっかんないかなぁー。」

顔を離すと頭をポリポリかきながらいつもの香月さんに戻った。

は?恋人?候補?

⏰:07/09/10 03:34 📱:SO903i 🆔:9xBi8V7I


#308 [向日葵]
もう何が何だかさっぱりの私はただただ目が点になってた。

色々分析した結果、冷やかしだと決定して冷ややかな目で香月さんを見た。
ってかこんなの一回前にもあって笑われたし。

「騙されないけど、私そう言う遊び嫌い。」

「そう言うと思った。でも残念ながら本気なんだよね。」

と言いながらまた身を屈めて来た。
何をするのか分からない私はただ香月さんの動きを見ていた。

すると

「……!」

香月さんの唇が、私のおでこに触れた。正式には髪の毛の上からだけど。

⏰:07/09/10 03:39 📱:SO903i 🆔:9xBi8V7I


#309 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/09/10 03:40 📱:SO903i 🆔:9xBi8V7I


#310 [向日葵]
びっくりして、数歩素早く後退りした。
自分でも顔が真っ赤になっていくのが分かる。

「な!……っ何……っっ!」

「分かってくれた?俺の気持ち。」

ニコッと余裕の笑顔。
まるで慣れてるみたいに。
もしかしてこの人タラシ……?

威嚇する様に見つめていると、鼻歌混じりに香月さんは家へ入って行った。

は?!もしかして上がる気?!

⏰:07/09/13 00:52 📱:SO903i 🆔:i0NKXNbs


#311 [向日葵]
静流もいないのに何で……。

そこまで考えると、胸がキィンと痛くなった。

今日、静流は帰ってこない……。
彼女ときっと熱い夜を過ごすんだ。

そして帰って来たらいつも通り笑顔で私のガーゼや包帯を付け直して、膝に乗せてご飯を食べさせる。

まるで何もなかったみたいに……。

彼女に触れたその手で優しく頭を撫で、彼女の唇に触れたその唇で私の名を紡ぐ。

⏰:07/09/13 00:55 📱:SO903i 🆔:i0NKXNbs


#312 [向日葵]
キィンとした胸の痛さの余韻が目に来て、涙が溢れそうになった。

せっかく……ケーキ買ってきたのになぁ……。

肩をがっくり落として、涙を拭いた後、私は家へと入って行った。

リビングに着くと、さっきまでカチャカチャ作業していた源さんの姿が無かった。ふと目を落とすと小さな紙切れが一枚。

<急に仕事が入りました。しかも今日は帰れないかもしれません。静流君と二人で仲良くお留守番して下さいね。>

…………え。

⏰:07/09/13 01:00 📱:SO903i 🆔:i0NKXNbs


#313 [向日葵]
思わず口がひし形になる。

紙切れに書いてある文字を何度も何度も読み返してまた頭が真っ白になる。

つまり……私は今晩一人って……訳?

「なんなら俺がいてあげようか?」

いつの間にか側に来ていた香月さんは紙切れを取りながら私に笑いかけてくる。

「明日土曜だし。女の子一人は不用心でしょ。」

「結構よ。ってか帰って。」

⏰:07/09/13 01:03 📱:SO903i 🆔:i0NKXNbs


#314 [向日葵]
香月さんの背中を押しながら階段へ促す。
香月さんは口を尖らせて「今来たばっかじゃん」とか「釣れないなぁ!」とか文句を言ってる。

やっとの事で玄関へ行ってくれた香月さんは相変わらずにこにこしている。

「寂しくなったらいつでもかけといで!」

そう言って小さな紙を私に握らせて「じゃあね〜。」と去って行った。

台風一過……。騒がしい人だなんて思いながら紙に書かれた文字を読む。

数字ばっかり。明らかにケー番だ。

⏰:07/09/13 01:08 📱:SO903i 🆔:i0NKXNbs


#315 [向日葵]
無言でスカートのポケットに紙を入れて、私はリビングに戻った。

リビングに足を踏み入れると同時に

プルルルル プルルルル

電話が鳴り響く。

私が取るべきか迷った。
もし静流の知り合いなら、私がとったら勘違いされるのでは?

でも急ぎの用ならいけない。そう決断して、私は受話器を取って、ゆっくりと耳に当てた。

「はい…。もしもし。」

{もしもし?紅葉か?何だよ暗いなぁ。どうかしたか?}

⏰:07/09/13 01:12 📱:SO903i 🆔:i0NKXNbs


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