―温―
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#406 [向日葵]
「だぁ〜れだ!」
「はぁっ?!誰よ!」
そう言うと視界が明るくなって、目を覆ってたのが手だと分かった。
そして逆に香月さんが現れた。
「?!」
「よっ!数時間ぶり!」
水を一旦止めて、立ち上がって香月さんとの距離を取った。
まだあの言葉に戸惑いを隠せない。
「フゥ…。警戒しないでよ。力づくでとか思ってないし。」
と香月さんは微笑んだ。
:07/09/18 01:57 :SO903i :EPqLf0/I
#407 [向日葵]
力づく……。
そう言われてさっきの静流とのキスを思い出してしまった。
忘れる為に、また口をゴシゴシ拭く。
「え?何?どうかしたか?」
急な私の行動にびっくりした香月さんは私の手を止めた。
「……あれ?手当て、しなくていいの?」
香月さんの指が私の頬にある傷近くを撫でる。
思わずビクッとしてしまって、顔が赤くなる。
:07/09/18 02:03 :SO903i :EPqLf0/I
#408 [向日葵]
「クスクス……。やっぱ可愛いわ紅葉。」
「……っ。」
「おいで。水やりは後。俺がしてあげるよ。」
と私の手を引いて、まるで自分の家みたいに家に入り「おじゃましまーす!」と元気よく挨拶すると階段を駆け上がった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「じゃ消毒からしよっか。」
消毒液をティッシュに二、三回吹きかけてから私の顔や手、足の傷をトントンと拭いていく。
:07/09/18 02:07 :SO903i :EPqLf0/I
#409 [向日葵]
さっき乱暴にガーゼやらを剥がしたから少し傷が開いたのか、消毒液が傷に当たる度に痛みが走る。
そんな私を気づかってか、拭く強さを優しくしてくれた。
それからは丁寧に包帯を巻いてくれたりバンソーコーを貼ってくれたりした。
「……ありがとう。」
「どーいたしまして!さて、水やりしに行く?」
「もーいい。」
出たり入ったりすんのもうめんどくさい。
「気分は?」
「え?」
:07/09/18 02:15 :SO903i :EPqLf0/I
#410 [向日葵]
そりゃ頗る悪いけど。
内面的にも。
体的にも……。
「あんまり食事出来ないのにケーキあんだけ食べちゃっただろ?」
「あぁ……。別にどうもない。そんな事吹き飛ばす事があったし。」
最後は小声だ。
なので香月さんの耳には届いてない……筈。
「そっか。」と言って救急箱を元に戻す香月さん。
そしてまた私の隣に来て座った。
そういえば……。
「何しに来たの?」
:07/09/18 02:19 :SO903i :EPqLf0/I
#411 [向日葵]
「ん?何かさ、電話するより話した方が早いと思って。ちゃんと話した事ってあんまりなかったっしょ?だから一回ゆっくり喋りたいと思って。」
ニカッと笑うと、私の頭を撫でてきた。
静流が真っ直ぐだからその友達も真っ直ぐに気持ちをぶつけてくるみたい。
まさしく類友。
だから私はこの人に対する反応に困ってしまうのだ。
「さてと。まずはお互いの事でも知り合おっか!趣味とかは?」
「あのね。お見合いじゃないんだから……。」
:07/09/18 02:26 :SO903i :EPqLf0/I
#412 [向日葵]
そこでなんだか笑えてしまって、ハハと軽く笑った。
すると香月さん口がぽかんと開いた。
私は眉を寄せて「何事?」と思った。
「笑った……。めちゃくちゃ可愛い……。」
「なっ……!!」
驚いた。
可愛いなんて初めて言われた。
更にしどろもどろになる。
「趣味知りたいんでしょ!趣味は映画よっ!映画鑑賞!」
「え?マジ?俺も映画超好き!」
:07/09/18 02:31 :SO903i :EPqLf0/I
#413 [向日葵]
香月さんは最近の最新作とかを沢山教えてくれた。
私は甘ったるいラブストーリーよりもミステリーとかホラーとかが結構好きだった。
「へー。怖そうなのならもうすぐ公開するよ。なんなら見に行く?」
「いいけど……。私、街あんまり好きじゃないし……。」
「穴場知ってるんだ。行こうよ。」
行きたい。
でもそれってデート?
あまり意識したくないけど意識してしまう……。
:07/09/18 02:35 :SO903i :EPqLf0/I
#414 [向日葵]
「あれ?香月くん来てたの!」
二人で横を向くと、リビングの入口に彼女さんと静流が立ってた。
彼女さんの手にはトレーに乗った二つのコップ。
おそらくジュースが無くなったコップを彼女さんがキッチンに運ぶと持って来て、静流の事だから「いいよ」と止めに着いてきたのだろう。
まんざら間違いでもなさそうな自分の分析に呆れた。
「どうしたのどうしたの?紅葉ちゃんと仲良しなんだね。」
:07/09/18 02:41 :SO903i :EPqLf0/I
#415 [向日葵]
「映画が好きなんだって。だからその話してたら盛り上がっちゃって!今度ホラー見に行こうって言ってたとこ!」
静流は香月さんの言葉に無言で私を見つめた。
初めて聞いたみたいな顔をして。
当たり前じゃない。
聞かれもしなけりゃ言ってもないもの。
「そうなの?あ!じゃあ、近くのレンタルビデオで怖そうなの借りてこない?ね!紅葉ちゃん!」
え、私?
「ね、行こ!」
「え、ちょっ……。」
有無を言わさず私は彼女さんに引っ張られて家を出た。
:07/09/18 02:46 :SO903i :EPqLf0/I
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