―温―
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#351 [向日葵]
バシン!

……へ?

何が起こったか分からなかった。
ガーゼを張っていない方の頬が熱を帯びている。
そして痛い。

「なぁ。お前何やってんの?」

静流の低い声を聞いて分かった。
私はひっぱたかれたんだと。

静流は私の胸ぐらを掴んで自分へ引き寄せた。

「おい静流?!」

そこで香月さんが私の後ろから止めに入ったが、静流の目は私しか捕えてなかった。

⏰:07/09/14 03:27 📱:SO903i 🆔:Bf6JTbxA


#352 [向日葵]
「何やってんの?」

何が?
私が何をしたって言うの?

「私、静流が怒るような事した覚えないんだけど。」

「じゃあ香月何でいんだよ。しかも父さんは?」

紅葉はぎくっとした。

実は静流は玄関で源の靴が無いのを、今では犯人が分かった靴を見た時に気づいていたのだ。

「仕事で……昨日出て行ったっきり……。」

私がそう言うと、胸ぐらの手を外してくれた。
でも冷たい目からは解放してくれない。

⏰:07/09/14 03:32 📱:SO903i 🆔:Bf6JTbxA


#353 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/09/14 03:33 📱:SO903i 🆔:Bf6JTbxA


#354 [向日葵]
「なんであげた……。お前一人なら尚更だ。男をあげるなよ!」

は?

「何それ?」

私は呟いた。
怒りが、血となって頭に上りだす。

だってそうでしょ?
私は何も悪いことしてない。
ってかアンタよく自分を棚に上げて言えるわよね。
アンタはどうなのよ。

「私は別に静流の子供でもなければ恋人でもないの!何でアンタにそこまで束縛されなきゃいけないわけ?!」

⏰:07/09/14 11:06 📱:SO903i 🆔:Bf6JTbxA


#355 [向日葵]
「お前な」

「自分だって何よ!こんな時間に帰って来てるくせに!私の事とやかく言う前にアンタ自ら見本見せてみなさいよ!」

まだ早朝なのを忘れて、起きたてであまり働かない脳を必死で動かして言葉を搾りだした。

「俺は……きちんと昨日連絡しただろ。」

「そうね。なら番号知らないのに私に電話かけろって言いたいわけ?私は超能力者じゃないの。」

そこで静流はカッとなったのか、また右手を振り上げた。

⏰:07/09/14 11:12 📱:SO903i 🆔:Bf6JTbxA


#356 [向日葵]
「殴れば済むと思ってんの?」

そこで静流はハッとして、振り上げたまま静止した。

どいつもこいつも気に入らない事があればすぐに暴力なのね。
静流も最近おかしい。
まるで監視されてるみたいでイラつく。

「殴りなさいよ。それで気が済むんでしょ。何度でも殴りなさいよ。そしてまたゴミ捨て場に捨てればいいじゃない。」

静流は目を凍らせたまま右手をゆっくり下ろした。
今度は私が冷たい目で静流を見ている。

⏰:07/09/14 11:16 📱:SO903i 🆔:Bf6JTbxA


#357 [向日葵]
香月さんは初めて聞く私のエピソードに驚いて私を見下ろしていた。

「ごめん……紅葉。」

叩いた方の頬を撫でようとした手を私は乱暴に振り払った。

「お風呂入ってもないのに触らないで。それ以前に、私には当分触れないで。」

そう言ってから久々にベランダへ出て、ピシャリと戸を閉めた。

静流は……何も分かってない。

********************

俺は後悔していた。

⏰:07/09/14 11:21 📱:SO903i 🆔:Bf6JTbxA


#358 [向日葵]
暴力に敏感になってる紅葉に手を上げるなんて、出ていけって言った時と同じくらいしてはいけない事なのに…………。

叩いた右手をギュッと握りしめた。

「なぁ静流……。」

「ん?何?」

香月は紅葉の背中を指差しながら俺に聞いてきた。

「ゴミ捨て場って……。」

「ウン。……本当なんだ。」

香月は紅葉を見つめながら「そっか……。」と呟いた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

香月も帰り、家には俺と紅葉だけになった。

⏰:07/09/14 11:26 📱:SO903i 🆔:Bf6JTbxA


#359 [向日葵]
相変わらず紅葉は飽きもせずにベランダにいて、空を見上げている。

「当分触るな宣言」をされていたけど、このままじゃいけないと思ってベランダに近づいた。

放っておくと、雨と一緒に紅葉がどこか行ってしまう気がして……。

紅葉の丁度後ろに座って、ガラス越しに背中に触れる。

「く……紅葉……。」

囁きは聞こえない。

「紅葉っ。」

声を大きめに名前を呼ぶと、聞こえたのか少し身じろぎした。

⏰:07/09/14 11:31 📱:SO903i 🆔:Bf6JTbxA


#360 [向日葵]
戸をゆっくりと開ける。

「なぁ……紅葉。中に入れよ。」

その言葉を紅葉はことごとく無視した。
雨がまた少し強まって降っているのに気づく。

「な?ガーゼも貼り直さなきゃいけないだろ?」

俺は紅葉のすぐ側で膝まずいた。

********************

来ないでよ。
何で放っておいてくれないの。

予想通りだ。
やっぱり静流は帰って来たら優しくそう言うんだ。

⏰:07/09/14 11:37 📱:SO903i 🆔:Bf6JTbxA


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