〜運命のヒト(2)〜
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#253 [りく☆]
『祥子のやつ、オレ達を探してるみたいだぜ。

…おいっ、りく。大丈夫か?』

呆然と立ち尽くしたオレに慌てて滝沢が話しかけてきた。滝沢も瞬時にオレがショックを受けている原因を察知したのか、それ以上何も言ってこなかった。
滝沢はオレの肩を軽く叩き、扉の方へと歩きだした。

⏰:08/08/22 01:56 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#254 [りく☆]
『祥子!!
オレとりくならここにいるぜ。

ついでに盗み聞きしてる奴も出てこいよ。』

少し怒った口調で滝沢は扉に向かって言った。彼もオレの話を聞かれたことに腹をたてていた。

『そこにいるんだ♪

ってか盗み聞きって……美里あんた何やってんの?』
驚いた口調で話している祥子の声が聞こえた。

⏰:08/08/22 02:02 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#255 [りく☆]
『美里がいるのか?』

驚きを隠せない滝沢が声を上げて言った。
それと同時に扉が開き、慌てて入ってくる祥子と、戸惑いを隠せずにいる美里の姿が見えた。

『別に…盗み聞きしてたわけじゃぁ』

目線にやり場のない美里が、俯きながら言った。

⏰:08/08/22 02:05 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#256 [りく☆]
『別にいいじゃん。
勇貴がりくに愛の告白でもしてたら別だけど♪』

何も知らない祥子は笑いながらオレ達を見ていた。

『何バカ言ってんだよ。ってか愛の告白は違うから』
呆れた様に滝沢が祥子に言い返した。祥子もベロを出して、冗談だよと言わんばかりの表情で滝沢を見ていた。

⏰:08/08/22 02:10 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#257 [りく☆]
『美里……お前聞いていたのか?』

ふざけ合う2人を余所に、オレは真顔で美里に言った。

『だから……盗み聞きは』

『聞いたどうかを聞いてるんだよ!!』

言い訳しようとした美里にオレは怒鳴り返した。
もはや何と言おうとオレは彼女を許す気になれなかった。

⏰:08/08/22 02:13 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#258 [りく☆]
美里は何も答えず、逃げるように屋上から走り去った。
その様子を祥子はただ呆然と見つめていた。


『あの様子じゃ……聞いていたな』

ため息混じりで滝沢がいった。もはや美里を追いかける気力すら湧いてこない様子だ。

⏰:08/08/22 02:16 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#259 [りく☆]
優希と一緒にいる美里なら、いつかは知る事かもしれない。
しかし、優希は彼女に全てを話してはいなかった。だから、もしオレが話した事が優希にバレたら……そう考えただけで背筋に寒気が走った。

あんな過去、優希は誰にも知られたくないはずだから…。

オレは絶望感にどっぷりと浸り、ただ立つことしかできなかった。

⏰:08/08/22 02:21 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#260 [りく☆]
『何があったの?』

ようやくパニックから抜け出した祥子が口を開いた。この屋上での話は、自分からはできないと思ったのか、滝沢は黙ってオレを見た。しかし、そんな彼の視線に気がつくことなく、オレは美里が駆け降りた階段をただ見つめていた。

『また…後で話すよ。
とりあえず人に聞かれたくない話だったんだ。』

滝沢がオレの代わりに遠回しに祥子に説明してくれた。

⏰:08/08/22 02:27 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#261 [りく☆]
『美里ならいいじゃん。仲良しなんだし』

不思議そぉに祥子が答える。

『それがいろいろ訳ありで……

ところでお前、オレ達に用があるんじゃなかったのか?』

話を変えるため、滝沢は祥子に尋ねた。
祥子は自分の用件を思い出したらしく、急に慌てた表情になった。

⏰:08/08/22 02:30 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


#262 [りく☆]
『た……卓也の居場所がわかったの!!』

行方不明になっていた卓也の居場所がわかった明るい報告なはずだ。なのに祥子の顔には笑顔は存在しなかった。

『どこにいたんだ?』

それを察したオレ達は、慎重な口調で祥子に聞き返した。

『時間がないの……ついて来て。』

そう言うと、祥子は階段を勢いよく降りていった。

⏰:08/08/22 02:35 📱:SH903i 🆔:XTS191aU


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