.。改]恋愛成就の洞窟で。.
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#208 [桔妁]
 
「あぁ、こんなに働いてくれたんだ。当たり前さね。」

姐御的なその人は、美人で気の強そうな人だ。

「有り難うございます!」

横ではお雪が腕をつつく。

「やりましたね!これでお着物を買って髪を結ってもらって…天弥様に…キャッ!」

めくるめく妄想を始めそうなお雪に、繭はため息をついた。

⏰:08/01/04 15:16 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#209 [桔妁]
 
「着物か…。そ-だねっ!あ-でも髪は……」

チラリ、と繭はお雪の髪を見る。

綺麗に時代劇的に結ってある髪がヅラじゃないと思うと、もはやそれは芸術であると見えた。

ただ、やはり抵抗がある。

そのために繭はいつもポニーテールなのだ。

「髪は、……私の国ではこうだから…いいかな、これで。」

苦笑いすると、お雪も頷いた。

⏰:08/01/04 15:20 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#210 [桔妁]
 
「まぁ、それでいいですよね!貴女らしいです!」

ふふ、と微笑むお雪に繭も微笑み返した。


と、奥からお雪の仕事仲間がやってきた。その人によると、客人らしい。

「繭を呼んでくれ、とお若い殿方が…」

あぁ、天弥が迎えに来たんだ。繭は立ち上がって姐御(違)に挨拶をする。

⏰:08/01/04 15:25 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#211 [桔妁]
 
「いいねぇ、色男が居るときた!…あたしらも負けてはられないねぇ!!」

「や、別に男って…え??や!!違いますけどっっ!!」

誤解ですよと必死に否定する繭に、姐御はニタッと笑う。

「また、いつでも遊びにきて!!歓迎するからさ!!」

⏰:08/01/04 15:29 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#212 [桔妁]
 
姐御がそう言うと、すくっとお雪が立ち上がり、

「玄関まで案内します」

と、連れていってくれた。

玄関先には天弥が居て、なんとも言えない平和な笑みで迎えてくれていた。

繭はお雪に礼を言い、天弥に駆け寄った。

すると、天弥は万遍の笑みで、こう言った。

「町に家を貰ったぞ!」

⏰:08/01/04 15:33 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#213 [桔妁]
 
「は!?」

「だから、一人暮らしのジーサンが死んでな、家が空いたからくれたんだよ!」

今年最後の、神様からのプレゼントみたいだ。

「家…ってことは、部屋が幾つかあるんだよね!?…ドアついてるんだよね!?」

繭は上擦った声で尋ねる。

これで、寒い寒い家とはお別れだと思うと嬉しくてたまらない。

「当たり前だろっ!!さ、荷物は俺が持ってったから、早く行こう!!」

⏰:08/01/04 15:38 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#214 [桔妁]
 


「うわ-!立派なモンじゃない!!」

居間と寝室と客間の三部屋ある家は、今時のマンションより立派だと思う。

居間にある囲炉裏を焚けば、今時期の冬もあったかいだろう。

「な!すげ-だろ!!」

「これで二人で同じ部屋に寝なくて済むね!!…私の部屋、寝室に決めた!」

「え」

⏰:08/01/04 15:43 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#215 [桔妁]
 
「や、寝室は寝室じゃネ?」

繭はププッと笑って天弥に言う。

「や、「ネ?」っていうか、年頃の娘としては違う部屋が当たり前じゃネ?…天弥がなんかしてきたら嫌だしー…」

早速、寝室に自分の荷物を運び込む繭。

愕然とする天弥は渋々、自分の荷物を客間に運んだ。

⏰:08/01/04 15:48 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#216 [桔妁]
 
(そ、そりゃ-頼仲とか、笹原とかに「よく我慢できるのう」とか言われてるけどなァ…別に、まだ平気じゃねーか…)

ぶつくさ言う天弥は、やはり納得が行かないらしい。


「さぁ、部屋に入れるもの入れたし…。頼仲と頼弦さん呼んで…―カウントダウンパーティーしよ!!」

打って変わってハイテンションの繭は、天弥に全力な笑顔を向けた。

「―…はいはい…呼びに行くよ…」

⏰:08/01/04 15:54 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#217 [桔妁]
 

―――――



大晦日パーティーは大成功を納めた。

今は明け方である。

頼仲はおちょこを握りながら眠っていて、天弥は飲み過ぎでハイテンション、頼弦は酔い覚ましにと外に出ていた。

繭は酒に抵抗があるので、玄米茶を飲んで過ごしていた。

「まゆー」

酔った天弥は、餓鬼んちょで可愛いげがある。

⏰:08/01/04 15:58 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


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