.。改]恋愛成就の洞窟で。.
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#242 [桔妁]
「繭、お前いい加減になァ…」
天弥は髪をかいて、面倒臭そうに欠伸をした。
季節は、雪解けの春。
小春日和でついついうたた寝の今日この頃。
「な、天弥だって薄情じゃない!?友達じゃん!」
私、繭は元気になれません。
頼仲くんにもらったハートのお守りをきゅっと握る。
:08/01/08 18:05 :SH903i :☆☆☆
#243 [桔妁]
「もう、頼仲は居ないんだからさ。……前向け。前。
頼仲だって、望んでないと思う。こんなクヨクヨされるのは。」
分かる。
天弥の気持ちも、頼仲くんの気持ちも。
……うん。そうなんだよね…!!
「うん、分かった。…そーだよね!!頼仲くんも…ってアレ??
話聞けぇぇ!!!!」
.
:08/01/08 20:33 :SH903i :☆☆☆
#244 [桔妁]
天弥は村外れへと歩いていく、旅人のような人にくぎづけだ。
そう!繭と天弥は久しぶりに村に居るわけである。
「ん?変わった人だね…」
村の端には鬼道の洞窟があるために、滅多に人は近づかないと天弥もよく言っていたが。
だが、旅人は奥へ奥へと進む。
いつの間にか無意識に二人も、奥へ奥へと尾行していた。
:08/01/08 20:37 :SH903i :☆☆☆
#245 [桔妁]
「ちょ、なんで後つけてるの!?」
草村に隠れながら洞窟の前にいる旅人を指差し繭は小声で言う。
「馬ー鹿。だったら付いてくんなよ。……でも、なんかさ、珍しいじゃん。人が洞窟に居るのって。」
「確かにそうだけど…あれ?なんか…あの人こっち見てるよ?」
.
:08/01/09 15:16 :SH903i :☆☆☆
#246 [桔妁]
繭が旅人をチラ見した瞬間に、目が合った気がした。
「そんなはずないだろ…って………!!!」
そう言うと天弥は固まった。
しばらくして、しゃがみこんでいる繭の頭上に影がかかった。
それは紛れも無く人の影。
繭が上をむくと、旅人がにっと笑った。
:08/01/09 15:21 :SH903i :☆☆☆
#247 [桔妁]
「え、あ、あれれれ…」
笠を被った旅人の顔は確認出来ず、余計に緊張させられる。
旅人は、透き通る声で二人に言った。
「お前ら、ここの村人か?」
確実にその声に少し酔いしれていた二人だが、しばらくしてからこくこく頷いた。
「そうか!!で…この洞窟の噂を知っているか??…私は、この事を物語にしたく来たのだが。」
:08/01/09 15:26 :SH903i :☆☆☆
#248 [桔妁]
二人はブンブンと首を横に振る。
「二人とも何も喋らないとは、似た者夫婦だな!!」
あはははと笑うその声も、稟としていて美しい。
天弥もつられて笑っている。
「ん?夫婦じゃないですよ!!??」
笑いで掻き消され、繭の必死な声は届かなかった。
:08/01/09 15:44 :SH903i :☆☆☆
#249 [桔妁]
「…―ていうか、そもそも…この洞窟の噂って、なにがあるの?」
しばらく笑っている二人を見ていた繭がそういうと、旅人がまた、にっと笑った。
「なんと、村人なら知っているかと思ったんだがな!!…中々心を引かれる噂があるんだよ!!」
天弥の方をむくと、俺も洞窟については知らないと首を振った。
「それじゃあ私が話してやろうか。」
旅人は繭達としゃがみ込み、洞窟の昔話を始めた。
:08/01/09 15:49 :SH903i :☆☆☆
#250 [桔妁]
「この洞窟はな、名前の通りの"鬼の道"なんだ。恐ろしい鬼の国への通路となっているらしい。
"何らかの事"をすれば、道は開けるらしい―…まあその"何か"は今調べようとしているんだけども…
そしてその道が繋がった瞬間、ふいに暗闇に包まれ……いつの間にか、意識を失っているんだ。
目を覚ますと…すでに鬼の国に着いてしまっているそうだ。
:08/01/09 20:17 :SH903i :☆☆☆
#251 [桔妁]
目が覚めると、沢山のお墓の並ぶ太い道があるそうだ。そして、遠くからは鬼の鳴き声が。
そうして、お墓の並ぶ道を段々と道を進んでいくと……鬼の都を見渡せるという話だ。
家屋がところ狭しと立ち並び、人々が慌ただしく働く。…人々は鬼の配下のようだ。
それに目を向けていれば、お次は巨大な大蛇が鳴きながら高速で駆け抜ける。
だが、鬼の姿は見当たらないというのが不思議なところだ。」
:08/01/11 23:34 :SH903i :☆☆☆
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