.。改]恋愛成就の洞窟で。.
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#308 [桔妁]
「…早川先輩、もう表情が思い出せないんだもん…」
しばらく色々と繭は墓石(大きな岩だけど)に語りかけていれば、不意に後ろに気配がした。
繭はそちらの気配を確認しようと振り向こうとした。
だが、驚きの声によりそれは止められた。
「振り向くな、」
「―――…!?」
:08/04/05 11:28 :SH903i :☆☆☆
#309 [桔妁]
―――――――
――
「寒っ!!頼弦山ん中に用事があるとか言ってたけど…何だ?」
しばらく二人で呑んでいた訳であるが、突然頼弦は山の中へと入って行った。
確かそっちは頼仲の墓…。
「俺放って、弟の墓参りか!?」
いても立ってもいられなくなってきた天弥は墓へと向かった。
:08/04/05 11:43 :SH903i :☆☆☆
#310 [桔妁]
――
―――――――――
(そん、な…)
繭は言われた直後から微動さえ出来ない状況に居た。
「そうそう、振り向いたら、いけんよ?……繭、」
少し、訛ったような口調が繭の耳に入ってくる。
「な、…よ、頼仲くん……!?」
:08/04/05 12:18 :SH903i :☆☆☆
#311 [桔妁]
繭の心臓は以外にも静かに、静かに動いていた。
「何、泣いとるんじゃ?…やっぱり天弥じゃなくて、わしにしておけば、繭は泣かさないのに。」
「い、いやだな…頼仲くんはもう死んじゃってるし…。」
不思議と、普通に話が出来た。
…頼仲の声は少し低く聞こえたが、温かいものであった。
:08/04/05 12:25 :SH903i :☆☆☆
#312 [桔妁]
「あははは!!死んじゃってるからって、そりゃあそうじゃけど!」
「……はは、」
そんな繭の少し後ろの木の上、そこに頼仲の正体は居た。
(…頼仲の声、難しいな…)
誰より頼りになる兄、頼弦だ。
:08/04/05 14:30 :SH903i :☆☆☆
#313 [桔妁]
(だけどこうして、成功すれば繭殿と天弥殿がもう泣きに来ないからな…もう少し頑張ろう…)
実はきちんと、頼弦がここまで繭と天弥を応援するには理由があった。ただ、泣きに来られたら迷惑だという理由が。
それからしばらく繭の愚痴を静かに聞いていたが、
「…じゃけど、そらやは繭を好いてるのは丸分かりじゃ!」
:08/04/05 14:36 :SH903i :☆☆☆
#314 [桔妁]
「は!?」
耐え切れてとうとう核心をついてしまった。
「そりゃあ確かに頼仲くんは浮遊霊みたいにして天弥の様子を探ったりするけどさ……」
「いやいや、これは本当!…都ではこれを恋というらしいのじゃけど、つまり天弥は恋して愛してるんと思う!」
:08/04/05 14:44 :SH903i :☆☆☆
#315 [桔妁]
[何、言うんじゃ!違う!]
「!?」
それを言った直後だ。不意に、頼弦の真後ろから声が聞こえた。
「……な、天弥殿!!」
それは今まさに頼弦に追い付いて山に来た天弥だった。
:08/04/05 14:48 :SH903i :☆☆☆
#316 [桔妁]
「?」
急に聞こえなくなった声にしばし不安を覚える繭。
(なな何故天弥殿が!)
(だって頼弦遅かったからね?…それより!繭に何を吹き込んでるんですか?)
ニタニタと、見せた事もないような表情で頼弦に問い掛ける。
そして答えは聞かず、自分は木から飛び降りた。
:08/04/05 21:43 :SH903i :☆☆☆
#317 [桔妁]
「繭。」
はっ、と繭は振り向いた。
その向こうに、見慣れた小柄な少年が立っている。
「…天弥…!?」
さ、最悪!!!聞かれた!?今までの全部聞かれた!?
繭はみるみるうちに頭が熱くなるのを自覚した。
:08/04/05 21:46 :SH903i :☆☆☆
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