.。改]恋愛成就の洞窟で。.
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#28 [ぱる.。+]
 
「…起きたか」

その男は、目が鋭い…言えば目つきの悪そうな、すこし背の低めの人だった。

私は問い掛けに小さく頷く。

「二日寝てたんだ、あんたは。…今、雑炊は食えるか?」

また私は、小さく頷くが慌てて聞く。

「あ、あの、」

⏰:07/10/11 00:23 📱:SH903i 🆔:ajRZbal2


#29 [ぱる.。+]
 
「何?」

チラりとこちらを向かれる。

「や…。ありがとう…」

「……。」

……何故無言!!!!!

やりにくい、助けてくれたのはありがとうですが、やりにくい……!



しばらくすれば、お雑炊をこちらに持って来た。

⏰:07/10/12 07:20 📱:SH903i 🆔:W00sXFiA


#30 [ぱる.。+]
 
中を箸で混ぜてみる。

お湯が多く、米らしいものが入っていない...。

アワ、ヒエというもの、みたいな感じ。

おばあちゃんの近所は貧困に悩んでいるのか..。

試しに口に運ぶ。
味付けは、シンプルに塩。

「……。」

正直に、まずい。

⏰:07/10/13 08:05 📱:SH903i 🆔:Hv.9eWTE


#31 [ぱる.。+]
 

繭はそれを口に流し込み、とりあえずお礼。

「助けてくれて、ありがとう…ございます…。」


すると目つきの悪い人は繭の隣に座り、ため息を付きつつ言った。

「さっき、聞いた。…それとさ、お前、服買わない?」

「え?」

私は、ふと自分の服を見る。…折角、おばあちゃんが着せてくれたのに、ボロボロだ。

⏰:07/10/14 20:08 📱:SH903i 🆔:af55k7C2


#32 [ぱる.。+]
 
「え、あ、」

「…じゃあ、待ってろ。」

繭は呆気にとられるだけだ。

目つきの悪い人は、表に出ていってしまった。



「…………あの-…」

繭の小さな声は、木造の建物が吸い込んでいった。

⏰:07/10/14 20:16 📱:SH903i 🆔:af55k7C2


#33 [ぱる.。+]
 

「折角おばあちゃんに借りたのにな…」

改めて服を見ると、崖から転落しただけあって結構ボロボロであった。

借り物をこんなにしてしまうなんて、さすがに罪悪感を感じる。

ただ、そんな中でも自分の命が助かったのは奇跡的だったのではと思う。

⏰:07/10/23 12:53 📱:SH903i 🆔:i/kZHN5c


#34 [ぱる.。+]
 

ふと、部屋の隅に目をやれば、自分の和柄の鞄が置いてあった。

自分と一緒にあの人が持って来てくれたんだろう。

中身を確認するべく、繭は這いながら鞄に手をやる。

携帯とその電池パックは鞄の中で分列されていて、眼鏡は割れていて。

転落の衝撃の強さを物語っている。

⏰:07/10/23 12:58 📱:SH903i 🆔:i/kZHN5c


#35 [ぱる.。+]
 
おまけにお財布も小銭口が空いているものだから、鞄の中身は散らかっている。

仕方なく繭は、鞄の整理に取り掛かった。

「携帯無事かなぁ……」


財布の中に小銭をしまい込み、眼鏡の破片などは仕方なく眼鏡ケースに保管。

携帯の電池を入れて、電源ボタンを押す。

「…………駄目か…」

⏰:07/10/23 13:03 📱:SH903i 🆔:i/kZHN5c


#36 [ぱる.。+]
 
さすがに携帯は死んだらしくて、仕方なく繭は携帯を鞄にしまい込む。


それからは相当に暇で、ただ部屋を流れる風は気持ちがよくて。

繭はまた、しばしの眠りに落ちるのであった。

⏰:07/10/23 13:07 📱:SH903i 🆔:i/kZHN5c


#37 [ぱる.。+]
 

「……い、おい〜…」

聞き覚えの無いその声で目が覚めると、鋭い目がまず先に視界に入る。

そこで、あぁそういえば私は看病されてたんだっけと繭は思い出す。

「あ、寝てましたか私…」

そう言い上半身を起こすが早いか、目の前に見えるのは薄紅色の和服。

⏰:07/10/23 13:13 📱:SH903i 🆔:i/kZHN5c


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