.。改]恋愛成就の洞窟で。.
最新 最初 🆕
#1 [ぱる.。+]
――――――――――

次は、途中で止めたり
しないようにします!
[01作品目]
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/4927/

――――――――――

⏰:07/09/10 07:15 📱:SH903i 🆔:tbKD4FSE


#2 [ぱる.。+]
 
私の名前は時枝繭。

今は夏休みの中盤に差し掛かったところ。

そして私は田舎のおばあちゃんの家に泊まりに来ています。

都会に居ると、たまに田舎に憧れたりしちゃうから。

「………。」

「………。」

…………日暮しが鳴いている。

⏰:07/09/10 15:48 📱:SH903i 🆔:tbKD4FSE


#3 [ぱる.。+]
 
「…おばあちゃん。」

食卓の静寂を破ったのは私の方から。

「なんだい、繭ちゃん?」

おばあちゃんは微笑み、私を見て返してくれた。

おばあちゃんが食事の時に静かなのは、いつもは喋る相手が居ないからかも。

⏰:07/09/11 16:34 📱:SH903i 🆔:yH.K3jE6


#4 [ぱる.。+]
 
それでもきちんと答えてくれるおばあちゃんが何となく嬉しかったりして。

…と、そんなおばあちゃんに会うのも田舎に泊まるのも楽しみだったけど。

私が此処に来たのはもうひとつ理由がある。

「この辺にね、[恋愛成就]の洞窟があるって聞いたんだけど…」

そう!大好きな早川先輩との恋愛を成就させたくて私は来たのです!

⏰:07/09/11 16:39 📱:SH903i 🆔:yH.K3jE6


#5 [ぱる.。+]
 
「あぁ、あれかね。…昔から有名だからねえ…。

恋は愛じゃない、
恋と愛は真逆。

但し、恋愛となれば
繋がりを持つ。

なんて変な言い伝えみたいなものがあるんだよ。」

…結構素敵な言い伝え。さすが、恋愛成就の隠れた名所だと思う。

⏰:07/09/11 16:47 📱:SH903i 🆔:yH.K3jE6


#6 [ぱる.。+]
 
「そう、そこ!…近いなら明日行ってもいい?」

「あぁ、いいよ。…でもねえ、ちと草むらを歩くから。明日はおばあちゃんの用意する服を着て行きなさいな。」

私が持って来た服はミニばかり。

おばあちゃんの服…なんか和服しか来てるイメージないけど、借りるかな…

「わかった!有り難う!ご馳走様!!」

⏰:07/09/17 16:38 📱:SH903i 🆔:MxS/zels


#7 [ぱる.。+]
 

私は床につくと、ケータイを開いた。

薄暗い部屋の中で開いた液晶画面の光は、私の目を刺す。

私は、手慣れた手つきで画像フォルダを開く。

「…早川先輩、やっぱり格好イイィ-!」

以前情報部の友達に頼みに頼んでもらった隠し撮り画像。

⏰:07/09/17 16:51 📱:SH903i 🆔:MxS/zels


#8 [ぱる.。+]
 
や、隠し撮りとかまでいくとストーカーじみてるかもしれない。

そこを思うと少し自分に引くけど…でもやっぱり。

「明日は絶対恋愛成就だな♪」

片思いの少女とは、こういうものじゃない?

あれ、私だけ?まあいいや。
(う-ん!どんなところなんだろうっ!)

⏰:07/09/17 16:54 📱:SH903i 🆔:MxS/zels


#9 [ぱる.。+]
 



「ほいさ!完成だよ!」

「き、きついよ…?」


案の定、着せられたのは和服

ま、予想通りって言う訳だ。

「ちぃっと位はきついモンさ。根性だよ。」

根性…。昔の人は、服一枚も根性だったんだ。凄い。

⏰:07/09/17 16:58 📱:SH903i 🆔:MxS/zels


#10 [ぱる.。+]
 
「根性、か…。ところで、おばあちゃん、今何時…」

朝ご飯を食べたまでは、違和感無かったんだけれども、外を見ればまだ薄暗い。

もしかして、相当早起き?

「ん、今は6時半さよ。…ちと遅いねえ。」

時計が無いじゃん…。何故時間が分かるのですか!?

⏰:07/09/17 17:03 📱:SH903i 🆔:MxS/zels


#11 [ぱる.。+]
 
「え、じゃあまだ出かけるのは早いかな…?」

さすがに6時半だと、早いような気がする。…外は霧かかってるし……。

「そうさねえ…。うん、まあ近いし平気だとは思うけど、好きにしなさいな。」

「じゃあ、それまで和服の着付け教えて!」


.

⏰:07/09/17 19:42 📱:SH903i 🆔:MxS/zels


#12 [さく]
応援してます☆★
頑張って下さい!!
楽しみにしてます。

⏰:07/09/27 17:19 📱:SH902iS 🆔:☆☆☆


#13 [ぱる.。+]

うひゃあ..ろんぐ放置ッ..!!
ものすごくすみません!!


更新!!

⏰:07/10/09 01:34 📱:SH903i 🆔:JE1I2vBk


#14 [ぱる.。+]
 
――1時間後―

「うぅっ…出来ない―…」

おばあちゃんは熱心に教えてくれていた。…でも、私は物覚えがもの凄く悪い子なのです。

「…まぁ、まぁ…さぁ、あと一息だよ!!!」

おばあちゃんは、やっぱり熱心に教えてくれた。

私がマスターするのは、後1時間後の事―…。

―プロローグ終―

⏰:07/10/09 01:42 📱:SH903i 🆔:JE1I2vBk


#15 [ぱる.。+]
 
―第1章―

 ―嗚呼、愛しき貴方とは
   中々、壁が多く――


.

⏰:07/10/09 01:44 📱:SH903i 🆔:JE1I2vBk


#16 [ぱる.。+]
 
「行ってきま-す♪」

私は草履を履く。

こうなれば足元まで雰囲気を出して、とことん大和撫子になりませう!!!!!

「いってらっしゃいな……、と-、近場なのに荷物が多いんだねぇ、繭ちゃんは。」


おばあちゃんは私の持つ和風の鞄に目配せをする。

⏰:07/10/09 01:48 📱:SH903i 🆔:JE1I2vBk


#17 [ぱる.。+]
 
幸い、今回持参した鞄は和柄なので、和服でもぴったりなのだ。

中は勿論…

女の子グッツだらけなのだ☆(半分嘘なのだ☆)

「いいの!今ドキの子の癖なの♪」

私は家を飛び出す様な勢いで家を出た。

⏰:07/10/09 01:51 📱:SH903i 🆔:JE1I2vBk


#18 [ぱる.。+]
 

「…早川先輩ィイ♪もう少しですよぉ♪♪」

…ニヤニヤしながら歩く私は、もはや変態なのか…?

いやいや!恋する女の子は皆そうだよね。


と、ある地点で私の足は留まる。

「え…草村は?…あれ、森?」

目に止まるは森。雰囲気が悪い訳じゃないけれど森。

⏰:07/10/09 01:55 📱:SH903i 🆔:JE1I2vBk


#19 [ぱる.。+]
 
「虫だらけじゃん、森……」

私は嫌いです。

私の中には、

森=毛虫=甲虫=蜘蛛

とゆ-方程式があります。


でも、こんなハードルは想定内な恋する女の子なのである。

「ふふふ♪アー●の虫よけ(携帯用)登場!!」

⏰:07/10/09 01:58 📱:SH903i 🆔:JE1I2vBk


#20 [ぱる.。+]
 
田舎のおばあちゃんの家という訳だから、勿論用意していた虫よけグッツである!!

(アー●は蚊だけしか避けないような気もしますが)

「ふふふん♪こんなハードル低すぎよ♪♪」

恋する女の子は強いんです、いやいや、まじで。

⏰:07/10/09 02:00 📱:SH903i 🆔:JE1I2vBk


#21 [ぱる.。+]
 
恋する女の子は、ある意味ストーカーかもしれません。

あれ?私だけかなぁ?

普通、好きな人の住所と両親の名前と下着の色と、使ってるワックスとかシャンプーリンス、放課後の日課やベットの下のあれこれ……以下略

知ってるんじゃない?

あれ?私だけなのかなぁ?

⏰:07/10/09 02:04 📱:SH903i 🆔:JE1I2vBk


#22 [ぱる.。+]
 
それからそれから、私と先輩の結婚生活まで考えますっ♪


お帰りなさい貴方♪

何になさいます?

ご飯?お風呂?

そ・れ・と・も♪

キャ――――♪

と、繭が妄想の最長を上げた瞬間だった。…歓喜の悲鳴は叫びに変わった。

⏰:07/10/09 02:07 📱:SH903i 🆔:JE1I2vBk


#23 [ぱる.。+]
 
「キャ―――――!?」

私、繭は落ちていました。

おばあちゃんは言っていた。「草村が少しある」と。

でもね、少し歩いただけで崖なんて…―


私の意識は、飛びました。あぁ、死ぬのかな、私。

けれど思うは貴方のこと。

―死のハードル高すぎですよ神様…。

せめて、生かして下さいよぉ…

⏰:07/10/09 02:11 📱:SH903i 🆔:JE1I2vBk


#24 [ぱる.。+]
 


「…………。」

気が付くと川でもなく、御花畑でもなく、古ぼけた家の中に居た。

申し訳なさそうに上にかかる布、何処からか撫でる風が心地よい。

「…死、んだわけじゃない…?」


むくりと起き上がろうとした時である。

右足に激痛。

「………痛ァッ!!!!」

⏰:07/10/09 22:21 📱:SH903i 🆔:JE1I2vBk


#25 [ぱる.。+]
 

―…考えてみれば。

私は崖から転落した訳だから当たり前と言えば、当たり前、か。

というか、足以外今の所すべて無傷なのは、殆ど奇跡ではないか…?



私は、痛みを堪えゆっくりと起き上がり、足を見る。

「………」

丁寧に、日本手ぬぐいのような布で止血がしてある。…木の枝で固定もしてある。

⏰:07/10/11 00:11 📱:SH903i 🆔:ajRZbal2


#26 [ぱる.。+]
 
間違いなく、誰かが手当てをしてくれた跡だ。

「崖の下の、村の人かな…」

繭は、とりあえずまた横になる。

…待っていれば、家の主が帰ってくるだろうし、家に通る風は眠気を誘う。


繭は静かに、ゆっくりと意識を落としていった。

⏰:07/10/11 00:16 📱:SH903i 🆔:ajRZbal2


#27 [ぱる.。+]
 




気付けば、烏が鳴き交わしていて、空はオレンジ色に輝いている。

ふと、家の中に目をやれば、和服の人が囲炉裏の前に座っている。

「……あ、の…」

私が呼ぶ声と同時に、人は振り返った。

…同じ歳位の男の子だろうか、彼はこちらに歩みよる。

⏰:07/10/11 00:20 📱:SH903i 🆔:ajRZbal2


#28 [ぱる.。+]
 
「…起きたか」

その男は、目が鋭い…言えば目つきの悪そうな、すこし背の低めの人だった。

私は問い掛けに小さく頷く。

「二日寝てたんだ、あんたは。…今、雑炊は食えるか?」

また私は、小さく頷くが慌てて聞く。

「あ、あの、」

⏰:07/10/11 00:23 📱:SH903i 🆔:ajRZbal2


#29 [ぱる.。+]
 
「何?」

チラりとこちらを向かれる。

「や…。ありがとう…」

「……。」

……何故無言!!!!!

やりにくい、助けてくれたのはありがとうですが、やりにくい……!



しばらくすれば、お雑炊をこちらに持って来た。

⏰:07/10/12 07:20 📱:SH903i 🆔:W00sXFiA


#30 [ぱる.。+]
 
中を箸で混ぜてみる。

お湯が多く、米らしいものが入っていない...。

アワ、ヒエというもの、みたいな感じ。

おばあちゃんの近所は貧困に悩んでいるのか..。

試しに口に運ぶ。
味付けは、シンプルに塩。

「……。」

正直に、まずい。

⏰:07/10/13 08:05 📱:SH903i 🆔:Hv.9eWTE


#31 [ぱる.。+]
 

繭はそれを口に流し込み、とりあえずお礼。

「助けてくれて、ありがとう…ございます…。」


すると目つきの悪い人は繭の隣に座り、ため息を付きつつ言った。

「さっき、聞いた。…それとさ、お前、服買わない?」

「え?」

私は、ふと自分の服を見る。…折角、おばあちゃんが着せてくれたのに、ボロボロだ。

⏰:07/10/14 20:08 📱:SH903i 🆔:af55k7C2


#32 [ぱる.。+]
 
「え、あ、」

「…じゃあ、待ってろ。」

繭は呆気にとられるだけだ。

目つきの悪い人は、表に出ていってしまった。



「…………あの-…」

繭の小さな声は、木造の建物が吸い込んでいった。

⏰:07/10/14 20:16 📱:SH903i 🆔:af55k7C2


#33 [ぱる.。+]
 

「折角おばあちゃんに借りたのにな…」

改めて服を見ると、崖から転落しただけあって結構ボロボロであった。

借り物をこんなにしてしまうなんて、さすがに罪悪感を感じる。

ただ、そんな中でも自分の命が助かったのは奇跡的だったのではと思う。

⏰:07/10/23 12:53 📱:SH903i 🆔:i/kZHN5c


#34 [ぱる.。+]
 

ふと、部屋の隅に目をやれば、自分の和柄の鞄が置いてあった。

自分と一緒にあの人が持って来てくれたんだろう。

中身を確認するべく、繭は這いながら鞄に手をやる。

携帯とその電池パックは鞄の中で分列されていて、眼鏡は割れていて。

転落の衝撃の強さを物語っている。

⏰:07/10/23 12:58 📱:SH903i 🆔:i/kZHN5c


#35 [ぱる.。+]
 
おまけにお財布も小銭口が空いているものだから、鞄の中身は散らかっている。

仕方なく繭は、鞄の整理に取り掛かった。

「携帯無事かなぁ……」


財布の中に小銭をしまい込み、眼鏡の破片などは仕方なく眼鏡ケースに保管。

携帯の電池を入れて、電源ボタンを押す。

「…………駄目か…」

⏰:07/10/23 13:03 📱:SH903i 🆔:i/kZHN5c


#36 [ぱる.。+]
 
さすがに携帯は死んだらしくて、仕方なく繭は携帯を鞄にしまい込む。


それからは相当に暇で、ただ部屋を流れる風は気持ちがよくて。

繭はまた、しばしの眠りに落ちるのであった。

⏰:07/10/23 13:07 📱:SH903i 🆔:i/kZHN5c


#37 [ぱる.。+]
 

「……い、おい〜…」

聞き覚えの無いその声で目が覚めると、鋭い目がまず先に視界に入る。

そこで、あぁそういえば私は看病されてたんだっけと繭は思い出す。

「あ、寝てましたか私…」

そう言い上半身を起こすが早いか、目の前に見えるのは薄紅色の和服。

⏰:07/10/23 13:13 📱:SH903i 🆔:i/kZHN5c


#38 [ぱる.。+]
 
「…あ、これ……」

本当に、この人は和服を買ってきた、ようだ。

着れるか?と聞いてくる彼に私は、

着れないっていったら着替えさせちゃうのかよ、

とか、少し余裕をこきながら、着れますと答えた。

すると、彼は外へと出ていってくれた。

気を利かせてくれたのだろう。

⏰:07/10/23 23:22 📱:SH903i 🆔:i/kZHN5c


#39 [ぱる.。+]

突然ながらお知らせ。


この度、ハンネを変えます。

ぱる.。+ → 桔妁(きなこ)

理由は、新しくはじめたHP
でのハンネに合わせようと
思う、という勝手事ですが、
どうか
これからもお願いします。

⏰:07/10/23 23:27 📱:SH903i 🆔:i/kZHN5c


#40 [桔妁]
 
私は今寝転がっていた、一段高いところに座り、和服を着替えた。

座って、地に触れる足の鼓動が痛い。


(そういえば、こんなん買ってもらって、しかも初対面で……悪い、よね…?)

しっかり着替えてからそれを思う私は馬鹿だと思うが。

「着替えたか?」

しばらくすると、彼が入って来た。…そういえば、彼、彼と呼んでいて名前も知らない。

⏰:07/10/23 23:32 📱:SH903i 🆔:i/kZHN5c


#41 [桔妁]
 
「あの、こんな和服貰っちゃって…しかも、名前知らない人に……」

「…あ、これは貰い物だからいいよ。……名前、言ってなかったっけ?」

買ってくるっていったの誰だよ!!貰い物かよ!!

それにっ!

「名前は、まだ聞いてませんし、ちなみに私も言ってません、よ?」

⏰:07/10/23 23:36 📱:SH903i 🆔:i/kZHN5c


#42 [桔妁]
 
「そうだったか、」

首を傾げて言う彼は少し可愛さがある。目は怖いが

「俺、は…天弥(ソラヤ)って言う。」

変わった名前、だけど聞いたことのあるような名前。

「天弥さん、…私は、時枝 繭です。」

普通に自己紹介なのに、こんな情景は新鮮ですこし照れる。

⏰:07/10/23 23:43 📱:SH903i 🆔:i/kZHN5c


#43 [桔妁]
天弥は繭を見て驚いている。

「時枝、繭――…苗字、あるのか?」

「は?」

私は首を傾げるしかなかった。

そして、唐突な質問を続ける天弥。

⏰:07/10/24 11:56 📱:SH902iS 🆔:vEfPNceo


#44 [桔妁]
 
「…―今、何年何月何日?」

「え、平成1X年の8月12日、ですが。」

すると天弥は嬉しそうな、また悲しそうな顔をして言った。

「…落ち着いて、聞いて。……此処は過去だよ。」

私は、こいつが何をいったのか、意味こそ分かるが馬鹿にした。

⏰:07/10/24 12:02 📱:SH902iS 🆔:vEfPNceo


#45 [桔妁]
 
「…い?」

「そりゃ、信じらんないかもしんないけどな……。」

ドッキリだろうか、それにしても真剣な天弥……

「天弥……」

ふと思った。いや、思い出した

⏰:07/10/24 12:14 📱:SH902iS 🆔:vEfPNceo


#46 [桔妁]

ミゾウラ ソラヤ

溝浦 天弥。

彼の事を全く知らないといえば嘘になる。



繭は、中三という事もあり、卒業研究に取り組んでいる。

テーマは[神隠し]

そして資料を漁る中、出て来た一人の名前…天弥。

⏰:07/10/25 21:30 📱:SH903i 🆔:5/L4oiLw


#47 [桔妁]
 
彼は三年前の夏、当時十二歳の時に、田舎に遊びに行ったきり帰らず、

しかも、当時の事件を目撃した彼の祖母は、天弥は目の前で消えたと言うのだ。

祖母は、今はこの世に居ないが、あの頃は少し頭にきていたみたいで、"目の前で消えた説"は消滅したのだが。

その後、一時期は300人体制で捜すも見つからず、今では風化しつつあるのか…

⏰:07/10/30 07:52 📱:SH903i 🆔:ruBS5tUk


#48 [桔妁]
 
その、天弥が今目の前に居るのだ、

そう思えば此処が過去というのはよく理解出来る。

信じられないけど。


でも、神隠しされた彼と同じ所に居る私も神隠しにあったのだろう…。

「…じゃあ、此処は何処?」

⏰:07/10/30 07:55 📱:SH903i 🆔:ruBS5tUk


#49 []
続き楽しみにしてます(*pq・v・*)

⏰:07/11/05 01:44 📱:N701i 🆔:xXpN/Zrk


#50 [桔妁]

ろんぐ放置ごめんなさい。

こっちは話の構成を考えるのが
なぜか進まず。。

これからはビシバシ更新です

⏰:07/12/14 18:32 📱:SH903i 🆔:mTWrr0Hk


#51 [桔妁]
「此処か?此処は…鬼道村。」

「キドウムラ?」

「はぁ、鬼の道の村って事。……でも繭って、本当に現代人なのかよ。」

「なっ、失礼な!!」

いきなり知らない所(過去)に連れて来られてしまってテンパってる少女(なんか冷静だけど)に、何と言う言葉を。

⏰:07/12/14 18:51 📱:SH903i 🆔:mTWrr0Hk


#52 [桔妁]
「まぁ、まぁ。それよりさ、なんで急に俺の話を信じてるの。」

「……新聞で見たからです-。神隠し少年だって、騒がれてましたよ-っ。」

自分より大人な対応(?)に、繭は若干負け惜しむような言い方で言った。

「嘘。すっげ-じゃん俺。テレビに名前出ちゃったのかよ。」

そっちかよ。現世に残した家族の心配くらいしなさいよ…。」

⏰:07/12/14 19:35 📱:SH903i 🆔:mTWrr0Hk


#53 [桔妁]
 
(てゆーか、テレビじゃなくて新聞だしなぁ。あ、テレビでもやってたかな?)

「そういう繭も、自分の心配をしろよな-。」

ため息混じりに天弥が言えば。

「あぁ、そうだよね!?…どうやって帰ればいいの!?」

急に青ざめる繭であった。

⏰:07/12/14 19:40 📱:SH903i 🆔:mTWrr0Hk


#54 [桔妁]
 

 しばらくしないうちに、空は闇に喰われかけていた。

部屋には蝋燭の明かりだけ。外ではひぐらしが鳴いている。

目の前にはくさいイノシシ鍋。ほうけている私に天弥はどうした?と聞いてきたけど、首を横に振った。


(ああ、昨日の夜とおんなじなのに……。)

なのに時空が、違うのだ。

⏰:07/12/14 19:46 📱:SH903i 🆔:mTWrr0Hk


#55 [桔妁]
 
(早川先輩のために来たのに、帰れないんだ、もう。

嗚呼、大人びた15歳の天弥とも壁を感じるし、会えない早川先輩にも大きな壁……

こんな大きな試練のある恋をした人は居ないよね。私だけだよ……)


―嗚呼、私はどうなるの…?―

⏰:07/12/14 19:49 📱:SH903i 🆔:mTWrr0Hk


#56 [桔妁]
 

―第2章―

 ―楽しむ過去LIFE?―



.

⏰:07/12/14 19:55 📱:SH903i 🆔:mTWrr0Hk


#57 [桔妁]
 
気付けば、朝だった。


――目を開けたら、お母さんが目の前に居た。

ああ、あれは意識がなかったときの、私の夢だったんだ―――…。


「……なんてワケないんだよね…。これは現実なんだよ…。」

今この太陽の明るさ具合は、ちょうど昨日崖から落ちたのと同じくらいだった。

⏰:07/12/15 07:42 📱:SH903i 🆔:u/O9biFY


#58 [∴ナ‐
頑張ってください

⏰:07/12/15 13:38 📱:W43H 🆔:JTZsX2Nw


#59 [桔妁]

>>58闇さん
ありがとう
がんばります

⏰:07/12/15 17:32 📱:SH903i 🆔:u/O9biFY


#60 [桔妁]
 
「…………。いない…?」


ふと、繭は周りを見渡した。天弥が居ない。

「天弥さ-ん…。」

こんな未開の地に一人なのだ。例え知らない人だろうと、同類が居る事は心の支え。いなくなると心配である。

「…うう-………」

そんな唸り声を上げたときだった。

⏰:07/12/15 18:00 📱:SH903i 🆔:u/O9biFY


#61 [桔妁]
 
「そらや-っ!今日こそ団子屋小町の小夜ちゃんを……あれ?おまいさん、誰じゃ?」

(あなたが、だれです?)

玄関口から現れたのは、薄汚れた少年だった。

と、同時に裏口から声がした。

「「俺なら此処だ-!!!!!」」

「あ、天弥さんの声。」

⏰:07/12/15 18:15 📱:SH903i 🆔:u/O9biFY


#62 [桔妁]
 
そのすぐ後に、天弥の姿が声の方から現れた。

「あぁもう、今日は行かな……あ、繭起きたのか。」

手に魚を持っているところを見ると、朝ごはんの準備をしていたようだ。

「あ、天弥さん。おはようございます。」

「…あぁ-、なんかそのお嬢さんみたいな喋り方やめろ。普通でいい。」

⏰:07/12/15 20:47 📱:SH903i 🆔:u/O9biFY


#63 [桔妁]
 
お嬢さん?繭は首を傾げた。そして、すぐに気がついた。

(敬語の事?…あぁ、当時12歳のままで学問が終わってるからか…)

「う、うん分かった……て、いうか……

「おい!わしを忘れとるよな、お前ぇら…」

そう、そう。この人は誰なんだか……。気になりますよね、あれ?私だけ?

⏰:07/12/15 20:58 📱:SH903i 🆔:u/O9biFY


#64 [桔妁]
 
「ん?…あぁ繭、こいつ

「わしは、頼仲(自称)という者じゃ!よろしくな、繭!」

彼の、第一印象はこうだ。

人の話を聞け。


それと同時に、いい人という感覚はある。

「…ははぁ、よろしく。……ていうか何、その目は。」

⏰:07/12/15 22:05 📱:SH903i 🆔:u/O9biFY


#65 [桔妁]
 
「いや-、そらやもこんな女子を見付けるとは。中々のめっけもんだァ!…でも繭よ、絶対わしの方がいい!」

「え?」

ああ、それからこの人、きっと凄く女好きなんだろうな、と繭は感じずには居られなかった。

「……もう俺、ぶっちゃけコイツ嫌だ。」

頼仲の女好きには、天弥もため息モノらしい。

⏰:07/12/15 22:10 📱:SH903i 🆔:u/O9biFY


#66 [桔妁]
 
(頼仲さんの目は、女見ると輝くんだろうな……。っていうか天弥!!

"ぶっちゃけ"
って大分古いからね。…さすが当時12歳だよ……)

「は-あぁ-………」

「何じゃ繭、そのため息は。」

「ううん、なんでもないよ。」


たしかに、こんな人ばっかりじゃあ、現世に帰る希望はなくなるかもしれない。

⏰:07/12/15 22:15 📱:SH903i 🆔:u/O9biFY


#67 [桔妁]
 

それから、幾分か時は経った。

半月、いや一ヶ月は経ったのだろう。

―――

――



「繭-!」

(来た…団子屋小町んとこ行けばいいのに……)

しばらく頼仲は繭を標的にし、誘い続けていた。

⏰:07/12/15 22:18 📱:SH903i 🆔:u/O9biFY


#68 [桔妁]
 
「でもさ、もう怪我治っただろ。一回位付き合ってやれよ。」

なんてことを言うのかこの男!!

「一回位って!!!あんたね-!私には一途に好きな人が………――ァアア!!!!」

繭は、忘れていた。早川先輩を。

「うるさいな-。今のは頼仲よりうるせぇババァ。」

⏰:07/12/15 22:22 📱:SH903i 🆔:u/O9biFY


#69 [桔妁]
 
最近、この小学生のまま途絶えた天弥のコミュニケーションにも、やっと慣れた所だ。

「うるさ…!?あぁ、分かりましたよぅ!いいもんね!美味いモノ、たくさん食べてやるんだからっ!!」

それでこんな返答をする私も、天弥並に下がったのかなと、最近思う。正直泣きたい。


「頼仲くん、町に行きたいな-、私っ♪怪我の快気祝いってことで。」

⏰:07/12/15 22:28 📱:SH903i 🆔:u/O9biFY


#70 [桔妁]
 
「けっ、何が快気だかなァ?横に伸びる病にかかるぞ。」


うるせ-ジジィ。」


こんな感じで、なんとなく過去の生活が成り立ってきた。

―――順応していた。

⏰:07/12/15 22:31 📱:SH903i 🆔:u/O9biFY


#71 [桔妁]
 
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「おばあちゃん、本当に繭は、あの森を抜けて左へ行ったの?」

「そのはずだけどね…繭ちゃん………。」

「おねぇちゃん、帰ってこないの-?」

【ニュースの時間です。少女が消えてから、今日で一ヶ月です。一説では、三年前にもあった神隠しと関連していると見て、迷宮かと………】

⏰:07/12/15 22:36 📱:SH903i 🆔:u/O9biFY


#72 [桔妁]
 
「繭の奴、電話も繋がらないし、メールの返事も無い…。」


「早川部長、心配じゃないんですか、一応部員だし。」

「……まぁ、それなりに。」


「時枝は、依然として捜索が続けられている。皆も情報があったら先生に言うんだ。わかったね。」

⏰:07/12/15 22:39 📱:SH903i 🆔:u/O9biFY


#73 [桔妁]
 
「天弥と同じような子が出るなんて……あの村は何なんだ……」


「神隠しだって。」

「繭ちゃんが?見つかるといいんだけど。」

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

順応している繭に対して、現世では日本国内で知る者は居ない程の話題になってしまっていた。

⏰:07/12/15 22:43 📱:SH903i 🆔:u/O9biFY


#74 [桔妁]
 
―――

――

「…頼仲くん。町って、いつ着くの?」


しばらく歩いていた二人だが、中々町には着かない。

「あれれ-、おまいさん。町の女じゃないのかい?鬼道村から町までは二里あるんだけどな。」

二里!?

二里といえば、たしか8キロメートルくらいだっただろうか。確か小学生の時に習った気がする。

⏰:07/12/16 14:33 📱:SH903i 🆔:tZ4U.oSM


#75 [桔妁]
 
だから天弥が町に行くと言う日は、朝早く出て日が落ちた後帰ってくるのだろう。

「…あぁ-私、村の崖の上から来た者だから……。分からなくて。」

「何、おまいさんもか!」

急に声をあげられたので、少し驚く繭。

「あ、いや。天弥もわしが偶然、鬼道洞窟の近くに居たときに助けたんじゃ。…まぁ、見つけたのはわしで助けたのは父上だがの!」

⏰:07/12/16 14:39 📱:SH903i 🆔:tZ4U.oSM


#76 [桔妁]
 
あんな餓鬼拾う位なら、繭みたいなべっぴんを拾いたかったと笑う頼仲だ。

「…へぇ、そうだったんだ。……ていうか、鬼道洞窟って何?」

鬼の道の洞窟なのだ。相当な言い伝えがあるに違いない。

といっても繭はそんなものには何の興味がないので、ただの話題の種なのだが。

「あァ、あそこか?あそこァちょっとした昔話みたいなものがあるね。」

⏰:07/12/16 14:45 📱:SH903i 🆔:tZ4U.oSM


#77 [桔妁]
 
「昔話?……むっ


急に口を塞がれた。

「繭、向こうから誰か来る。」


しばらく二人で固まっていると、本当に誰かが来た。……侍みたいな人が。

しかも、相当お怒りの御様子。

⏰:07/12/16 14:50 📱:SH903i 🆔:tZ4U.oSM


#78 [桔妁]
 
頼仲は、すたすた繭の手を引き、足をすすめた。だが、侍の言葉で足をとめる。

「今お前ェ-、睨んだよなァ?…んだ!野郎が!!」

頼仲は、侍の方を向いた。


威勢のいい奴だなぁ、しかも自意識過剰…。

繭は少し呆れ顔で見ていた。が。

⏰:07/12/16 14:54 📱:SH903i 🆔:tZ4U.oSM


#79 [桔妁]
 
「んだ餓鬼がアァァ!!」

急に刀を頼仲に振って来たではないか。

これにはさすがに繭も青ざめる。

キャアアアア!!!」

だが、頼仲はそれをするりとかわして、逆に短刀を侍に向けた。

⏰:07/12/16 14:57 📱:SH903i 🆔:tZ4U.oSM


#80 [桔妁]
 
「お侍さん、間違えちゃいけんよ。わしはもう19だ。なめるな。

だが…今日は繭が居るから無駄な殺生はせんよ。…鬱憤が溜まっているなら遊郭にでも行けや。」


頼仲はそういって短刀を侍から離すと、繭の方へ駆け寄った。

侍は、すぐに森の中へと姿を消した。

「さぁ、町までは後少しじゃ!」

⏰:07/12/16 15:03 📱:SH903i 🆔:tZ4U.oSM


#81 [桔妁]
 
「う、うん。」

「何じゃ-?ちょっとか男前で惚れたか?」

繭は、はぁとため息を付いた。

無邪気に笑う彼は十九歳だったのか、と。

そして意外と強いのねと。

「まぁ、絶対惚れないけど。」


そう繭が呟けば、次は残念そうなため息が隣から聞こえた。

⏰:07/12/16 15:08 📱:SH903i 🆔:tZ4U.oSM


#82 [桔妁]
 

「ま、まだ食うのか!?」

「うん♪あ、あれも-♪」

町に着いた私達は、早速回り歩いた。

特に、何故か頼仲くんはお金持ちで、色々と食べたり買ったりしてくれた。


「いや、さすがに限界があるってもんだ!!…っておい!」


私は遠慮なく頂いていた。

⏰:07/12/17 01:49 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


#83 [桔妁]
 
「あ、あれ何だろ?」

町を進んでいくと、雑貨屋のような店があった。

「…お守り屋じゃ-。胡散臭い石っころに願掛けしたい種類が書いてあるんだけどな。」

頼仲は乗り気ではないが、此処は女の子!

繭も例外はなく、お守りだのおまじないだのという類に弱いのだ。

⏰:07/12/17 18:31 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


#84 [桔妁]
 
「…こんなんでいいんか?」


どうしても欲しかった私は、他にはもう欲しがらないからこれを買ってと頼んだ。

「仕方ないな。はい、おじちゃん。この子に一つ。」

頼仲がそういっている間に私は石を選んでいた。

「……あ、おじさん、この石がいい!!」

⏰:07/12/17 18:34 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


#85 [桔妁]
 
「なんでェ、ケツみてェな石がいいんか。…で、入れたい文字はあるかいねェ?」

ケツみたいな石とは、失礼な。…私が選んだ石は、ほのかにピンク色で、さらにハート型の石である。

ここに"恋愛"って掘ってもらえば最高だと思う。

「ええ-、じゃあ恋愛って書いて下さい!」

私は紙に恋愛の二文字を書いた。ついでにハート型も。間違えて逆さまに書かれたら嫌だったから。

⏰:07/12/17 18:41 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


#86 [桔妁]
 
それが出来上がるまでに、一時間程かかるらしいので、私達は茶屋でのんびりしていた。

「頼仲くんって、十九歳だったんだね…。全然わからなかったよ…。」

「そうか?皆には歳相応だと言われるがな。………というか、繭は凄いよなァ。」

他愛もない話をしているときに突然、繭は凄いと言われてきょとんとした。

⏰:07/12/17 18:45 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


#87 [桔妁]
 
「…そらやだよ。あいつァ、他の人間とあんなに話をしないからな。

…わしとおまいさんと……それ以外は会話しちょるのを見た事はないな。」


そりゃあ、そうだろう。小学生にしていきなり過去へと連れていかれたのだ。

心を閉ざしてしまっていても不思議はないだろう。

その点で、頼仲くんの場合は天弥を助けたから話してくれるんだろう。そして私は同じ神隠し仲間だから。

⏰:07/12/17 18:49 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


#88 [桔妁]
 
「…天弥も色々あるんだろうなぁ……。あ、あの-…鬼道村に縁結びの洞窟って、あったりしない?」

ここ最近、忙しすぎて全然探せなかった洞窟。頼仲くんは何か知っているだろうか。

そう思った、が。

「ん?そんなん鬼道村にはないな。」

「え、嘘だァ!!」

「いやいや本当さ。」

⏰:07/12/17 18:53 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


#89 [桔妁]
 
「な、なんと…」

じゃあ、相当浅い歴史のモノだったと言う事か。

恋する乙女の為の昔ながらの縁結びスポットじゃなかったのか!

「そ、そうなんだ…ありがとう…!!」

御利益があるかと思ったのに!過去に連れて来られてまで田舎に来たのに…


「何、落ち込んでるんじゃ-?」

「ううん、なんでもないよ-ん……」

⏰:07/12/17 19:49 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


#90 [桔妁]
 
―――

――


「わぁ、おじさん有難う!」

日も西の山に消えかけて、空は紫色だ。

「おぉ-、ごっつい手の割に、ちっこく掘るんだな-!!」


おじさんからお守りを貰って、帰り道を歩いていると、遠くから悲鳴が聞こえた。

「盗賊共かの。誰か侍が倒してるのかもな。」

⏰:07/12/17 19:54 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


#91 [桔妁]
 

特に気にもせずに(盗賊の死体にはびっくりだったけど)道を歩いていたらだ。

一里塚のところに、天弥が居た。しかもボロボロで。

「何があったんスか…」

私がちょっと聞くと、山菜採りだと言った。

「刀持ってるんだね-。」

私がちょっと聞くと、届かない高さの山菜を採るためだと言った。

「あ-!おまい、繭居ないと寂しいんじゃろ-!弱いのう!」

⏰:07/12/17 19:59 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


#92 [桔妁]
 
そうやって頼仲がからかうと、天弥は鞘で頼仲を殴った。

頼仲は頭を押さえている。


「ねぇ、あの盗賊さぁ…」

私が聞けば、天弥は。

「知らないね。大体さ、平成生まれの子供が人なんて斬れません。怖いです。これは山菜専用です。」

なぜか天弥は敬語で答えていた。

⏰:07/12/17 20:03 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


#93 [桔妁]
 
そこで、頼仲は私に耳打ちをした。


「盗賊が繭に手ェ出したら困るから倒したんじゃろ-ねェ。

繭は美人だから盗賊に何されるか分からないから。…惚れてるな。」



「な、」

あははっと笑う頼仲くんって、結構分からない子だと思った。(子っていうか19なんだけどね…)

⏰:07/12/17 20:07 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


#94 [桔妁]
 
それから、三人で手を繋いで帰った。私は右で頼仲くんは真ん中で天弥は左。

なんか、お月様が優しかった。



「なんだかんだ、楽しいんじゃない、かな?」

「お前、帰りたくね-のかよ。」

「繭は他所に行っちゃ駄目じゃ!わしの嫁…うっ!」

腹にクリーンヒット。


まぁ、今も楽しまなくっちゃだよね!

⏰:07/12/17 20:11 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


#95 [桔妁]
 
―第3章―

――鬼道村でお勤め。
   私、茶屋小町です。―

.

⏰:07/12/17 20:16 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


#96 [桔妁]
 

「……第一回、居候会議ィ〜。」

「わ-い!…って、なんじゃそりゃ。」


気付けば紅葉が真っ盛りだった。皆は中間テスト中くらいか。


突然だが、溝浦家では会議が行われています。

「ど-もこうもね-んだよ!繭、てめぇ食い過ぎ!!

「…え、えへ♪」

⏰:07/12/17 20:19 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


#97 [桔妁]
 
昔の人っていうのは、平均身長が物凄い小さい。

だから食事も少ないのだが。

来日(違う)したばかりの私は、ばりばり未来人なので食欲旺盛だ。

天弥は過去に来てからだいぶ経つので少ない量に慣れたのだという。


「食費が大変だ!俺、そろそろ強盗するかも。本当危ないなァー。

…ってなわけで!!!!」

.

⏰:07/12/17 20:24 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


#98 [桔妁]
 


「アルバイトね……。働かざる者食うべからず…ってやつですか。」

私は、村の中心部のお茶屋で働く事になった。

「ここは旅人も多いからね。楽しいよ。」

店長っぽい人(主人かな)は優しそうでなによりだ。

「すいません、最中と緑茶を…」

早速お客だ。たしかに身なりが旅人な人。少し……臭い…。

⏰:07/12/17 20:29 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


#99 [桔妁]
 
「か、かひこまひました〜♪」

近くに居るとツーンとする。

わかるだろうか、皆には。


―――

――


「つかれたァ…」

気付けば一日中働いていた。まぁ、疲れたといえど、私はお茶を運ぶだけなんだけど。

⏰:07/12/17 20:32 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


#100 [桔妁]
 


「ただいま…」

家に帰ると、最近会っていなかった頼仲が居た。

それと他に女の子も。

「お帰りんしゃいな繭!」

「頼仲くん、久しぶり。……で、この人誰?」

女の子は、多分私と同じ位の年齢だろう。

…化粧などしていてよく分からないけれど。

⏰:07/12/17 20:35 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


#101 [桔妁]
 
「わしの行きつけの遊郭の子じゃ-。今日は仕事が休みなようでね、連れてきた。」

「こんにちは、繭様。」

小さくお辞儀をするその子は、確かに、営業スマイルかもしれない。

「やだなぁ、繭でいいよ!…私、女の子の友達できるの初めてだから嬉しいなっ♪」

するとその子はにこりと笑ってくれた。次は自然な笑顔で。

⏰:07/12/17 20:40 📱:SH903i 🆔:VoPBYhWg


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