.。改]恋愛成就の洞窟で。.
最新 最初 🆕
#201 [桔妁]
 
「あ、あぁ…うん。」

繭の空気が明るくなりつつありそうだと、天弥は顔を上げた、が。

「人殺しの、給料?」


それはそれは綺麗な簪であったのだ。

それが、天弥の給料だとしたら…つまり人殺しをした分の給料ということだ。

「受け取れない…」

⏰:08/01/02 22:16 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#202 [桔妁]
 


「それは平気じゃ!」

そこへ、聞き覚えのある声が響いた。

「「頼仲(くん)!?」」


「そらやの奴ァ、俺んところで働いちょるんよ!その少ない銭集めて買ったんじゃ!

だから繭、貰ってやってくれんか?」

なっ、と頼仲は天弥の肩をたたく。

⏰:08/01/02 22:21 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#203 [桔妁]
 
「じゃあ、もう…殺してない?…人は、殺さない?」

簪を見つめながら繭が言った。

天弥も頼仲も頷いた。


「そのかわり"此処"は過去なんだ。いつかやむを得ないときがある…。そのときは、許してくれ。」

「繭を守りたいから」

おい!!!!!誰が守りたいからだ!!」

⏰:08/01/02 22:27 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#204 [桔妁]
 
頼仲が口を挟んだことにより、なんとなく格好がつかない天弥はぶんむくれていた。

繭は、そんな二人を見て微笑み、簪を髪に刺した。そして天弥のほうへ駆け寄り、


「帰ろう?……なんか、ごめんなさい…でした。」

ばつが悪そうに繭が天弥に言い、手を差し出した。

⏰:08/01/02 22:31 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#205 [桔妁]
 
天弥は驚きながらも手を取り、頼仲に会釈した。

ぱしゃんと家の扉が閉まり、天弥と繭は帰っていった。

「あ-…繭が取られちったよ…。」

頼仲が繭に本気だったのかは知れないが、空しく響いた声は土壁が吸収した。



その後すぐに二人が雪まみれで戻って来て、明るくなるまで頼仲の家に居たのは、また違う話だ。

⏰:08/01/04 14:58 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#206 [桔妁]
 
―第6章―

 ――守るためにと
  男は泣いて剣を振る―


.

⏰:08/01/04 15:01 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#207 [桔妁]
 

「うわ-!こんなにいいんですか??」

冬、村に人が来る事は滅多にないそうで、お茶屋は休業中である。

だからと言う事で、お雪ちゃんに連れられて、お雪ちゃんの家(?)の年始の手伝いに誘われたのだ。(家というか…仕事場?)

そう、今はその手伝いが終わり、一番偉い人からお金を貰った所である。

⏰:08/01/04 15:09 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#208 [桔妁]
 
「あぁ、こんなに働いてくれたんだ。当たり前さね。」

姐御的なその人は、美人で気の強そうな人だ。

「有り難うございます!」

横ではお雪が腕をつつく。

「やりましたね!これでお着物を買って髪を結ってもらって…天弥様に…キャッ!」

めくるめく妄想を始めそうなお雪に、繭はため息をついた。

⏰:08/01/04 15:16 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#209 [桔妁]
 
「着物か…。そ-だねっ!あ-でも髪は……」

チラリ、と繭はお雪の髪を見る。

綺麗に時代劇的に結ってある髪がヅラじゃないと思うと、もはやそれは芸術であると見えた。

ただ、やはり抵抗がある。

そのために繭はいつもポニーテールなのだ。

「髪は、……私の国ではこうだから…いいかな、これで。」

苦笑いすると、お雪も頷いた。

⏰:08/01/04 15:20 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#210 [桔妁]
 
「まぁ、それでいいですよね!貴女らしいです!」

ふふ、と微笑むお雪に繭も微笑み返した。


と、奥からお雪の仕事仲間がやってきた。その人によると、客人らしい。

「繭を呼んでくれ、とお若い殿方が…」

あぁ、天弥が迎えに来たんだ。繭は立ち上がって姐御(違)に挨拶をする。

⏰:08/01/04 15:25 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194