.。改]恋愛成就の洞窟で。.
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#212 [桔妁]
姐御がそう言うと、すくっとお雪が立ち上がり、
「玄関まで案内します」
と、連れていってくれた。
玄関先には天弥が居て、なんとも言えない平和な笑みで迎えてくれていた。
繭はお雪に礼を言い、天弥に駆け寄った。
すると、天弥は万遍の笑みで、こう言った。
「町に家を貰ったぞ!」
:08/01/04 15:33 :SH903i :☆☆☆
#213 [桔妁]
「は!?」
「だから、一人暮らしのジーサンが死んでな、家が空いたからくれたんだよ!」
今年最後の、神様からのプレゼントみたいだ。
「家…ってことは、部屋が幾つかあるんだよね!?…ドアついてるんだよね!?」
繭は上擦った声で尋ねる。
これで、寒い寒い家とはお別れだと思うと嬉しくてたまらない。
「当たり前だろっ!!さ、荷物は俺が持ってったから、早く行こう!!」
:08/01/04 15:38 :SH903i :☆☆☆
#214 [桔妁]
「うわ-!立派なモンじゃない!!」
居間と寝室と客間の三部屋ある家は、今時のマンションより立派だと思う。
居間にある囲炉裏を焚けば、今時期の冬もあったかいだろう。
「な!すげ-だろ!!」
「これで二人で同じ部屋に寝なくて済むね!!…私の部屋、寝室に決めた!」
「え」
:08/01/04 15:43 :SH903i :☆☆☆
#215 [桔妁]
「や、寝室は寝室じゃネ?」
繭はププッと笑って天弥に言う。
「や、「ネ?」っていうか、年頃の娘としては違う部屋が当たり前じゃネ?…天弥がなんかしてきたら嫌だしー…」
早速、寝室に自分の荷物を運び込む繭。
愕然とする天弥は渋々、自分の荷物を客間に運んだ。
:08/01/04 15:48 :SH903i :☆☆☆
#216 [桔妁]
(そ、そりゃ-頼仲とか、笹原とかに「よく我慢できるのう」とか言われてるけどなァ…別に、まだ平気じゃねーか…)
ぶつくさ言う天弥は、やはり納得が行かないらしい。
「さぁ、部屋に入れるもの入れたし…。頼仲と頼弦さん呼んで…―カウントダウンパーティーしよ!!」
打って変わってハイテンションの繭は、天弥に全力な笑顔を向けた。
「―…はいはい…呼びに行くよ…」
:08/01/04 15:54 :SH903i :☆☆☆
#217 [桔妁]
―――――
―
大晦日パーティーは大成功を納めた。
今は明け方である。
頼仲はおちょこを握りながら眠っていて、天弥は飲み過ぎでハイテンション、頼弦は酔い覚ましにと外に出ていた。
繭は酒に抵抗があるので、玄米茶を飲んで過ごしていた。
「まゆー」
酔った天弥は、餓鬼んちょで可愛いげがある。
:08/01/04 15:58 :SH903i :☆☆☆
#218 [桔妁]
が、ひっつかられると中々嫌なものなので、思わず繭得意の蹴りが飛び出してしまった。
「………ぐへ…っ」
何かが出たような音がしたが、気持ちが良さそうに眠る姿を見て安心した。
と、頼弦さんが戻って来た。
:08/01/04 18:05 :SH903i :☆☆☆
#219 [桔妁]
「あ、外は寒かったんじゃないですか?」
繭は頼弦に柔らかい笑みを向けながら、ぬるくなった玄米茶を一気飲みした。
「や、寝正月だとあんまりだから、みんなを起こしに来たのだが…それ…」
「あひゃれ?」
頼弦が見たときには遅かった。
:08/01/04 18:11 :SH903i :☆☆☆
#220 [桔妁]
「そ、そりゃあ頼仲が飲んでた酒だぞ……」
酒好きの頼仲が持ってきた中でも、自分専用だと言いはっていた強い酒を一気飲みしてしまったのだ。
運の悪い事に、玄米茶の隣にあったので仕方ないといえば仕方ないが…
そうこうしている間に、繭は意識を手放してしまった。
「結局皆……寝正月か…」
頼弦は繭の飲んでいた玄米茶を飲み干し、自分は壁によりかかり、眠りについた。
:08/01/04 19:47 :SH903i :☆☆☆
#221 [桔妁]
次に繭が目覚めたのは、二日の夕方であった。
寝室で寝ているあたり、誰かが運んでくれたのだろう。
「頼弦さんかな…お礼言わなくっちゃ……」
と、半身を起こしたところで、家に人の気配がないことに気がついた。
戸が半分開いていて、居間の様子がわかった。
勿論、正月の後片付けはしてある居間は、誰も居なく、囲炉裏の火が寂しそうに瞬いていた。
:08/01/05 00:16 :SH903i :☆☆☆
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